スマートフォンやモバイル通信とお金にまつわる話題を解説していく「スマホとおカネの気になるハナシ」。今回の話題は、音声通話の有料オプションメニューを取り上げる。以前とは異なり音声通話の重要性が低下しているうえにセット割引や代替手段があるため、固定費を節約できる余地がある。
音声通話系オプションの見直しで節約できる可能性を探ります
※本記事中の価格は税込で統一している。
「最強家族プログラム」などの割引施策が好調で、2024年6月17日には700万契約を突破した楽天モバイル。その楽天モバイルは料金プラン「Rakuten最強プラン」自体が安いだけでなく、さまざまな手数料やオプションが無料、あるいは安価で提供されていることも魅力だ。だが、その内容に変化が起きつつある。
実際2024年7月17日には、オプションとして提供されている「留守番電話サービス」と「割込通話サービス」の料金変更を発表した。現在両サービスは「Rakuten最強プラン」などの契約者に向けて無料で提供されているが、2024年12月からは料金をそれぞれ、月額330円、月額220円に設定し有料での提供となる。
記事掲載時点では無料で提供されている楽天電話の「留守番電話」「割込通話」だが、2024年12月に有料化されることが発表された
ると「Rakuten最強プラン」契約者の場合、月額550円が上乗せされ、毎月の料金は1,628円〜3,828円となってしまう(割引なしの場合)。ユーザーとしては残念なところだろう。
ただ、よくよく考えてみると、これらのサービスは音声通話の利用がメインだった以前であれば必須のサービスだったかもしれないが、音声通話の利用が減少している現在、ほとんど使っていない人も増えていると考えられる。そして、契約時にこうしたオプションを付けたまま、見直すこともなく長年放置している人も、少なくなさそうだ。
では、そうした音声通話のオプションとは何か。改めて振り返ってみると、真っ先に思い浮かぶのはやはり留守番電話だろう。
これは文字どおり、電話に出られないときに伝言を預かり、後から再生して確認できるもの。伝言は携帯電話会社に残ることから保存できる数や期間は決まっているが、携帯4社の留守番電話サービス(povo 2.0は除く)であれば、録音された音声をファイルとして端末に保存し、後から電話アプリで再生できるiPhoneの「ビジュアルボイスメール」にも対応している。
留守番電話の伝言を確認するには通常、専用の番号に電話をかける必要がある。だが、iPhoneを利用している携帯4社のユーザーであれば、「ビジュアルボイスメール」を用い端末側に伝言を保存していつでも再生できる
2つ目が「割込通話」である。これは通話中にほかの人から電話がかかってきた際に、どちらかの通話をいったん保留にして、もう片方の相手と通話ができる。「キャッチホン」のほうが通りがよいかもしれない。なお、キャッチホンは日本電信電話(NTT)の登録商標であるため、この名称を使っているのはNTTの子会社であるNTTドコモのみとなっている。
NTTドコモのWebサイトより。「キャッチホン」をはじめとした割込電話サービスを使えば、通話中にほかの相手から着信があった場合、どちらか片方を保留にしてもう片方の相手の電話に出られる
そして3つ目は着信を別の電話番号に転送する「転送電話」。転送中も通話料はかかるが、ほかの電話から確実に電話を受けられるのがメリットとなる。山や海、長距離のフライトなど携帯電話が圏外、あるいは使えない場所に行く際、着信を自宅などに転送して対応してもらうといった使い方が主だ。だが、海外では着信にも料金がかかる場合があるため、料金を抑えるためデータ通信で通話ができるIP電話サービスに着信を転送するといった使い方もなされているようだ。
同じくNTTドコモのWebサイトより。「転送でんわ」などの転送電話サービスを使えば、自分の電話番号にかかってきた通話着信を、ほかの電話に転送できる
ほかにも3人での通話を可能にする「三者通話」など、いくつかのサービスがある。だが、音声通話の利用減少とともにサービスも減少傾向にあるため、これら3つのサービスが主なものとなるだろう。そして携帯4社におけるこれらサービスの対応状況を確認すると、NTTドコモのオンライン専用プラン「ahamo」以外は3つのうち何らかのサービスが提供されている。KDDIの「povo 2.0」も2024年5月20日から留守番電話のトッピング(月額330円)と着信転送のサービスが提供された。
各サービスを単独で契約した場合の料金も、各社でおおむね共通している。留守番電話は月額330円、割込通話は月額220円、転送電話は無料だが通常の通話料がかかる、といった具合だ。また、複数のオプションをひとまとめにして安価に提供するパックサービスも用意されている。具体的には、NTTドコモであれば「オプションパック割引」、KDDIであれば「au」「UQ mobile」向けに「電話きほんパック(V)」を契約することで、それぞれ留守番電話や割込通話などが月額440円で利用できる。
ソフトバンクの場合、「LINEMO」には留守番電話と着信転送が利用できて月額220円の「留守電パック」が提供されているのだが、ソフトバンクの「ソフトバンク」「ワイモバイル」ブランドの現行プラン「ペイトク」「シンプル2」に向けてはそうしたサービスが用意されていない。ただしソフトバンクの「定額オプション+」「準定額オプション+」やワイモバイルの「だれとでも定額+」「スーパーだれとでも定額+」といった通話定額オプションを利用すると、留守番電話や割込通話などが無料で利用可能になる。
ただ、これらオプションサービスの多くは、転送電話を除けば利用するのに毎月料金がかかってしまう。音声通話の利用減少によって割込通話は使用する機会が減少していることに加えて、留守番電話も現在では「LINE」やメールなど、別の方法で不在時に伝言を残せる。いずれも以前ほど重要性が高いとは言えなくなってきているため、普段これらの機能を使っていないなら、オプションの整理も視野に入れたい。
「留守番電話だけは残したい」というのであれば、NTTドコモの場合は「オプションパック割引」から「留守番電話サービス」に、auやUQ mobileの場合は「電話きほんパック(V)」から「お留守番サービスEX」に契約を変えることで月額110円を節約できる。
留守番電話の料金をもっと節約したいという人には、Androidスマートフォンの一部機種に搭載された、端末に直接伝言を録音してくれる「伝言メモ」などの簡易留守録機能を使う手がある。こちらは電話がつながらない場所では伝言を残せないという制約はあるものの、無料である程度留守番電話を代替できる。
シャープの「AQUOS」シリーズの多くの機種には「伝言メモ」などの簡易留守録機能が搭載されており、最新の「AQUOS R9」には生成AI技術を活用して伝言の文字起こしや要約もできる「伝言アシスタント」が搭載されている
そしてもうひとつはソースネクストの「スマート留守電」を使う方法だ。これは電話の転送機能を用いた留守番電話サービスで、サービスを契約すると発行される「050」で始まる番号に着信を転送し、そちらで着信することで留守番電話の音声を残せるだけでなく、それを文字に起こして「LINE」やメールなどに転送してくれる。
あくまで通話の転送機能が前提のサービスなので弱点はいくつかある。だが、年額版を購入すれば1年版が3,480円、3年版が8,580円で利用できる。月額に換算するとそれぞれおよそ290円、238円と、通常の留守番電話サービスより安く利用可能だ(月額版はApp Storeで月額360円、Google Playで月額319円)。
ソースネクストの「スマート留守電」は「050」で始まる専用の番号に着信を転送することで、伝言を録音するとともにその内容を文字起こししてくれるサービス。年額であれば携帯各社のサービスよりも安い
音声通話のオプションサービスは1契約あたり数百円、月額でも550円を超えないだけあって、つい「そのままにしてもいいか」と思ってしまいがちだ。だがそれらを見直すことで年額にしてみれば数千円の節約につながり、物価高の現状を考慮すれば意外と大きな額を節約できることにもなる。楽天モバイルの有料化を機として、他社サービスの利用者もぜひ見直しを進めてみるといいだろう。