レビュー

自律神経の乱れがわかる! 大人向けスマホFCNT「arrows We2 Plus」を試す

レノボグループとして再生したFCNTのスマートフォン「arrows We2 Plus」をレビュー。伝統のタフネスボディや操作性に加えて、独自の「自律神経パワー」計測機能を備えた健康管理を重視した製品です。お手ごろ価格の入門スマホとして人気を博し、出荷台数約280万台を記録した「arrows We」シリーズの、最新かつ上位モデルとしても注目です。

オープンマーケット向けモデルは価格.comで税込59,950円〜。IIJmioやmineo、イオンモバイルなど、多くのMVNOでも取り扱われています

オープンマーケット向けモデルは価格.comで税込59,950円〜。IIJmioやmineo、イオンモバイルなど、多くのMVNOでも取り扱われています

「arrows」シリーズとしては久しぶり、現実的な価格のミドルレンジスマホ

FCNTは、「arrows」シリーズやらくらくスマートフォンなど、幅広い年齢層に向けたユニバーサルデザインのスマホを提供していたメーカー。富士通を離れてレノボ傘下となっても、それは変わらないと感じられるのが、今回取り上げる「arrows We2 Plus」です。NTTドコモからやオープンマーケットモデルが販売中ですが、10月15日からは楽天モバイルでも発売されます。

「arrows We2 Plus」はSoCにクアルコムの「Snapdragon 7s Gen2」を搭載し、オープンマーケットモデルは6万円以下という現実的な価格のミドルレンジスマートフォンです。メモリーは8GBですが、IIJmio限定でメモリーが12GBのモデルも取り扱われています。今回はこの12GBのモデルを試しました。ストレージ256GBで、1TBまでのmicroSDXCカードに対応するほか、ストレージの一部を仮想メモリーとして使えます。

256GBのストレージのうち、最大8GBをメモリーとして割り当てられます

256GBのストレージのうち、最大8GBをメモリーとして割り当てられます

ディスプレイは、144Hzのリフレッシュレートをサポートしていますが、デフォルトのリフレッシュレートは60Hzに設定されています。デフォルト設定で実施した、主なベンチマークテストの結果を以下にまとめました。

「AnTuTuベンチマーク」の総合スコアは60万以上、そのほかのベンチマークテストの結果もミドルレンジとしては及第点といったところ。なお、「3DMark(Wild Life)」や「Geekbench 6(GPU)」の結果から、ゲームで求められるグラフィック性能はそこまで高くないようです。

そのいっぽうで、「PCMark Work3.0」や「Geekbench 6(CPU)」のような、日常利用で重要なCPUの処理性能を示すスコアは、この価格帯としては悪くなく、ストレスなく操作ができるレベルです。実際にWebブラウザー、地図、SNS、動画など、日頃よく使うアプリはまったく問題なく動作します。

軽量なボディはバランスも良好で持ちやすい

端末を手にしてみて、最初に感じたのは軽さです。本機のディスプレイは約6.6インチ、フルHD+(2400×1080)の有機EL。サイズは約162(高さ)×75(幅)×8.5(厚さ)mmと標準的。しかし、外装に再生プラスチックを使用していることもあり、重さは約182gと、同程度のディスプレイサイズのスマホと比べても軽量です。

右手で持ったときに、ちょうど親指があたる中央よりやや下の位置に、電源ボタン兼指紋認証センサーが配置されていますが、そこを軸に持ったときのバランスが良好で、より軽く感じられるのかもしれません。側面から背面にかけてエッジを曲面にすることで、手のひらに角が当たらない持ちやすさも美点です。

ディスプレイ面はフラットで上下のベゼルがやや厚くなっています

ディスプレイ面はフラットで上下のベゼルがやや厚くなっています

側面、背面はゆるやかにカーブした曲面デザインで、角が手に当たりません

側面、背面はゆるやかにカーブした曲面デザインで、角が手に当たりません

右側面には音量キーと、電源ボタン兼指紋認証センサー。生体認証は指紋のほか顔認証もサポート

右側面には音量キーと、電源ボタン兼指紋認証センサー。生体認証は指紋のほか顔認証もサポート

左側面のSIMカードスロットは、SIMピンを使わずに引き出せます。nanoSIMカードのほかeSIMにも対応

左側面のSIMカードスロットは、SIMピンを使わずに引き出せます。nanoSIMカードのほかeSIMにも対応

nanoSIMカード1枚と、背面にmicroSDXCカードを1枚セットできます

nanoSIMカード1枚と、背面にmicroSDXCカードを1枚セットできます

上部にはスピーカーホールを配置。横位置ではそこそこ迫力のあるステレオサウンドが楽しめます。Dolby Atmosにも対応しています

上部にはスピーカーホールを配置。横位置ではそこそこ迫力のあるステレオサウンドが楽しめます。Dolby Atmosにも対応しています

底部にはUSB type-C端子のほか、3.5mmヘッドフォン端子もあり、有線のヘッドフォンが直接利用できます

底部にはUSB type-C端子のほか、3.5mmヘッドフォン端子もあり、有線のヘッドフォンが直接利用できます

背面はさらっとした触感で、汚れが目立ちにくい塗装がされています。カメラの出っ張りも少ないので、見た目はすっきり。これまでの「arrows」シリーズと同様、IP68相当の防塵、防水に加えて、耐衝撃や高温、低温など、米国国防省の調達基準「MIL規格」23項目に対応しています。さらにハンドソープを使った丸洗いや、アルコールを使った除菌も可能。一見すると頑強そうには見えないものの、実際にはかなりタフに使える「arrows」シリーズの特徴は受け継がれています。

丸2日は使えそうなバッテリー。27Wの急速充電やダイレクト給電にも対応

軽量ですがバッテリーも5000mAhと大きく、電池持ちも良好です。体感では充電なしでも丸2日間は使える印象。USB PD3.0の急速充電にも対応していて、NTTドコモでは最大45Wの出力ができる「ACアダプタ 08」を使用すると、約90分で充電が可能とアナウンスしています。メーカーに確認したところ27Wまでの急速充電に対応しているとのことなので、27W以上のACアダプタであれば、同様の急速充電ができると思われます。

また、充電しながらスマホを使用するとバッテリーが劣化しやすくなりますが、本機では、充電をいったん停止して本体に直接給電する「ダイレクト給電」が可能。ほかにも、過充電を防ぐため100%まで充電しないようにするなど、スマホを長く使うことを想定し、バッテリーを長持ちさせる工夫もされています。

なお、OSはAndroid 14で、最新OSへの更新を最大3回、セキュリティ更新は最大4年間のサポートが約束されています。

充電しながらスマホを使いたいときに、バッテリー劣化を防止する「ダイレクト給電」に対応

充電しながらスマホを使いたいときに、バッテリー劣化を防止する「ダイレクト給電」に対応

カメラはシンプルな操作とAIシーン認識の組み合わせで操作は簡単

背面のカメラは、光学手ブレ補正対応の約5010万画素(F1.8)メインカメラと、約800万画素(F2.2)の超広角カメラの2眼。セルフィー用のインカメラは約1610万画素(F2.45)となっています。カメラのUIに標準で表示されている撮影モードは、「写真」と「ビデオ」だけとシンプル。AIによるシーン認識がデフォルトでオンになっているので、特に何もしなくてもシャッターを切るだけでシーンに合わせた最適な設定で撮影できます。焦点距離は、マクロ、0.5、1、2Xをワンタッチで切り替え可能。デジタルズームは最大8倍まで対応しています。

出っ張りが少ない背面カメラ。カメラ横には「おサイフケータイ」対応であることを示す、FeliCaマークもプリントされています

出っ張りが少ない背面カメラ。カメラ横には「おサイフケータイ」対応であることを示す、FeliCaマークもプリントされています

カメラのUIがシンプルでわかりやすいのも特徴。シーンが自動認識されるのでシャッターを切るだけでOKです

カメラのUIがシンプルでわかりやすいのも特徴。シーンが自動認識されるのでシャッターを切るだけでOKです

「モード」から表示されていない撮影モードに切り替えられます

「モード」から表示されていない撮影モードに切り替えられます

超広角カメラで撮影。やや日が陰った夕方の自然な色味が出ています

超広角カメラで撮影。やや日が陰った夕方の自然な色味が出ています

メインカメラで撮影。黒つぶれや白飛びもなく、樹木のディテールもなかなか残っています

メインカメラで撮影。黒つぶれや白飛びもなく、樹木のディテールもなかなか残っています

デジタルズームで8倍まで拡大できます

デジタルズームで8倍まで拡大できます

マクロでは5cmほどの接写が楽しめます

マクロでは5cmほどの接写が楽しめます

料理も自動シーン認識で簡単に撮影可能。やや暖色系になります

料理も自動シーン認識で簡単に撮影可能。やや暖色系になります

「モード」からそのほかの撮影モードを選ぶこともでき、「Super Night Shot」モードでは、周囲の光量にあわせてシャッター速度を自動調節し、夜景などをきれいに撮影できます。暗い場所ではシャッターボタン上に3秒間のカウントダウンが表示されるのですが、実際にはカウントダウンが終わっても、さらに2秒間ぐらいはスマホをじっと構え続けるとようやくシャッターが切れるといった感じです。

ノイズも目立たず、きれいな夜景が撮影できます

ノイズも目立たず、きれいな夜景が撮影できます

かなり暗い場所で撮る場合は長めにカメラを構える必要があります

かなり暗い場所で撮る場合は長めにカメラを構える必要があります

撮影モードにはこのほか、Adobeの写真編集アプリ「Photoshop Express」と連携した、「Photoshop Expressモード」も用意されています。このモードで撮影すると、「Photoshop Express」の自動補正と同様に、写真の露出や陰影などが自動調整されます。

左の作例は「Photoshop Expressモード」を使用しない状態、右は使用したもの。空の鮮やかさや、樹木の明るさが調整されていることがわかります

左の作例は「Photoshop Expressモード」を使用しない状態、右は使用したもの。空の鮮やかさや、樹木の明るさが調整されていることがわかります

健康意識改善につながる「自律神経パワー」計測機能

背面のカメラの下には、指をあてることで自律神経の活性度を測定できる脈波センサーも搭載されています。これは、読み取ったデータから独自の「自律神経パワー」を測定して、自分の自律神経年齢がわかるもの。季節の変わり目や更年期など、自律神経が乱れがちなときに測定すると、専門家監修の自律神経を活性させる生活習慣アドバイスなどが見られます。クイック測定でも2分じっとしている必要がありますが、健康意識が高まるかもしれません。

指をあてることで自律神経パワーがわかる独自機能が搭載されています

指をあてることで自律神経パワーがわかる独自機能が搭載されています

自律神経パワーの計測には約2分じっとしている必要があります。自律神経のバランスやパワーは何歳くらいなのかチェックできます

自律神経パワーの計測には約2分じっとしている必要があります。自律神経のバランスやパワーは何歳くらいなのかチェックできます

「arrows We2 Plus」には、この自律神経パワーのほか、歩数や心拍数、睡眠、血圧などをまとめて管理できるアプリ「ララしあコネクト」がプリインストールされています。一定時間、自分の顔を撮影して心拍数を測定、スマホを枕元に置いて睡眠を測定するなど、スマートバンドに近い機能を利用できます。また、血圧計のモニターを写真撮影してデータが取り込める機能なども用意されています。

スマホひとつで健康管理ができる専用アプリ「ララしあコネクト」がプリインストールされています

スマホひとつで健康管理ができる専用アプリ「ララしあコネクト」がプリインストールされています

「Exlider」や「FASTフィンガーランチャー」など「arrows」独自の機能も継承

健康管理のほかにも、「arrows We2 Plus」にはたくさんの独自機能が搭載されています。たとえば、「arrows」シリーズではおなじみの片手操作に便利な「Exlider(エクスライダー)」もそのひとつ。指紋認証センサーをなぞる動作でスクロール、ダブルタップでズームができるというもので、画面に触れることなく見たいものにフォーカスできます。

片手操作自体は別に「Exlider」がなくてもできますが、「Exlider」を使えば指を大きく動かしたり、操作のために端末を持ち替えたりする必要がないので、落下のリスクを軽減できそうです。

ほかにも、ロック画面から素早くメモを起動できる「FASTメモ」、指紋認証にアプリを連動させてロック解除と同時に設定したアプリを起動できる「FASTフィンガーランチャー」など、便利な独自機能がたくさんあります。いずれの機能にもチュートリアルやガイドが用意されていて、直観的に使えるように工夫されています。こういう点はまさに「arrows」シリーズの真骨頂と言えるでしょう。

「FASTメモ」ではロック画面から音声メモやテキストメモを起動できます

「FASTメモ」ではロック画面から音声メモやテキストメモを起動できます

指ごとにアプリを割り当てて、その指でロック解除すると同時にアプリを起動することもできます。QRコードアプリなども一発で起動できます

指ごとにアプリを割り当てて、その指でロック解除すると同時にアプリを起動することもできます。QRコードアプリなども一発で起動できます

経営が変わっても受け継がれる「arrows」の魅力

文字入力アプリに、Androidで広く使われる「Gboard」ではなく「Super ATOK ULTIAS」が引き続き採用されているなど、「arrows We2 Plus」には、使い慣れると手放せなくなるタイプの機能がたくさんあります。便利ないっぽうで、他社メーカーから乗り換え、あるいは他社メーカーへ乗り換えするときには、そこがちょっと障壁になるかもしれません。FCNTでは「arrows」シリーズだけでなく、らくらくスマートフォンについても継続して開発しているとのことなので、そちらも楽しみに待ちたいところです。

太田百合子
Writer
太田百合子
インターネット黎明期よりWebディレクションやインターネット関連のフリーペーパー、情報誌の立ち上げに携わる。以降パソコン、携帯電話、スマートフォンからウェアラブルデバイス、IoT機器まで、身近なデジタルガジェットと、それら通じて利用できる様々なサービス、アプリケーション、および関連ビジネスを中心に取材・執筆活動を続けている。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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