オウガジャパンが2024年12月12日に発売した「OPPO A3 5G」を試してみた。本機は約6.7インチの大画面ディスプレイを搭載するエントリースマホだ。販売チャネルが多く、通信事業者では楽天モバイルとワイモバイル、格安SIM事業者はIIJmio、HIS モバイル、QTmobile、NURO mobileなどが扱っている。さらに、主要な量販店とECサイトでも購入可能で、オッポ公式オンラインショップでの税込価格は32,800円。価格.comの最安価格では3万円を下回るかなりのお値打ちの製品だ(価格はいずれも2024年12月下旬時点のもの)。
オッポ「OPPO A3 5G」、32,800円(税込。メーカー直販サイト販売価格)、2024年12月12日発売
「OPPO A3 5G」の本体サイズは約76(幅)×166(高さ)×7.7(厚さ)mm。約6.7インチのディスプレイを搭載しているので大きめではあるが、本体が約7.7mmと薄く、重さは約187gに抑えられている。手にすると “フラットな板” という印象だ。
約6.7インチのディスプレイを搭載。ベゼルは太めで、横幅は約76mm。片手では操作しづらいサイズ感だ
カラバリはパープルとブラックの2色。筆者が借りたのはパープルで、背面パネルはツルツルとした質感。細かい粒子がキラキラとした輝きを放つ。ちなみに、ブラックはマットな質感で、繊細な輝きを放つ「OPPO Glow」という独自加工が施されている。汚れや指紋が付きにくいことも特徴としている。
検証機のパープルは空に浮かぶ月をイメージしたデザインで、やさしい光沢を放つ
右側面には音量ボタンと電源ボタンを搭載。電源ボタンは指紋センサーを兼ねる。左側面にはSIMカードスロットを搭載。2枚のnanoSIMカードを格納できるが、2枚目のSIMの代わりにmicroSDXCカード(最大1TB)を装着することも可能。eSIMにも対応している。なお、eSIMを使う場合はnanoSIMを1枚しか使えず、nanoSIM+eSIMの組み合わせで2回線を併用する。
サイドフレームはメタリック仕上げ。右側面に音量ボタンと電源ボタン兼指紋センサーを搭載。なお、インカメラでの顔認証にも対応している
2枚のnanoSIMカードを装着できるが、2枚目はmicroSDXCカード(最大1TB)との排他利用となる
上部には何もなく、下部にはイヤホンジャック、USB Type-Cポート、マイク、スピーカーが搭載されている。
底部に3.5mmイヤホンジャック、マイク、USB Type-Cポート、スピーカーが並ぶ
スマホのディスプレイは有機ELが主流になってから久しいが、「OPPO A3 5G」のディスプレイは液晶だ。解像度はHD+(1604×720)で、昨今のスマホとしてはスペックが控えめ。しかし、日光下での最大輝度は1000nitsと明るく、リフレッシュレートは最大120Hzに設定できる。エントリーモデルとしては上々の仕様だろう。
Webブラウザーの「Chrome」を起動し、Webページを表示してみたが、ナチュラルな色で表示され、文字もクッキリ。写真や動画もきれいに表示できたが、高解像度の有機ELディスプレイを搭載するスマホに比べると、解像感に欠け、やや平坦に見えるようにも感じた。
ディスプレイの視認性は上々。不自然な色かぶりや曇りもない
色の階調が細かい画像を表示させてみた。やや奥行き感に欠けるように感じられた
背面のカメラは2眼。しかし、広角カメラ(約5000万画素/F1.8)と、映像の記録は行わない深度センサー(約200万画素/F2.4)という構成なので、実質的にはシングルカメラだ。ワンタッチで2倍ズームに切り替えられ、鮮明な画質で撮影可能。デジタルズームは最大10倍まで拡大できる。視野角の広い超広角カメラが搭載されていないことは注意したい。
トリプルカメラに見えるが、広角カメラがひとつだけで、残りは深度センサーとLEDフラッシュ
写真の画質は、日常的なスナップ撮影には十分な印象。デフォルトで明るめに写るが、ややハイキーで「もう少し色が濃く出てくれたら」と思うことがあった。
1倍で撮影。空や海は実際に見えるよりも青く写った
2倍ズームで撮影。画質劣化はほとんど気にならない
10倍ズームで撮影。画質はかなり粗くなる
料理を撮った作例。若干色味が薄くなった
背景をぼかすポートレート撮影も可能。「夜景モード」は、手ブレに注意すれば、すっきりとしたシャープな画質で写る。
「ポートレートモード」で愛犬を撮影。背景のボケは強め
「夜景モード」で撮影。スマホの小さな画面ではキレイに見えるが、拡大してみるとブレていることが多かった
インカメラは約800万画素、F2.4。手動で細かい調整ができる「フェイスビューティー」機能も備えている。
撮影した写真と動画は、OPPO独自の「写真」アプリ、もしくはAndroid標準の「フォト」アプリで閲覧できる。「写真」アプリでは画像編集が行え、不要な写り込みを消す「AI消しゴム」機能が搭載されていた。試してみたが、自然に消えて、精度はなかなか高いようだ。「フォト」にも「消しゴムマジック」機能があり、使いやすいと思うほうを使うとよいだろう。
「写真」アプリの「AI消しゴム」は、不要なものを自然に消すことができた
SoCはメディアテックの低価格帯向けモデル「MediaTek Dimensity 6300」(最大2.4GHz)を搭載。メモリーは4GBで、ストレージは128GB。ストレージの空き容量が十分あれば、最大4GBの仮想メモリーを追加して、メモリーを最大8GB相当まで拡大できる。
ベンチマークアプリ「GeekBench 6」を使用して、処理性能などを調べた。結果は、CPUのシングルコアが779、マルチコアが1688だった。なお、本機と価格帯の近いシャープ製エントリースマートフォン「AQUOS wish4」ではシングルコア718、マルチコア1833で、本機は価格相応の性能と言える。なお、描画性能を示すGPUのスコアは1364。昨今のハイエンドスマートフォンだと16000を超えるので、グラフィックを重視したゲームの適性は高くないようだ。
「Geekbench 6」で測定したベンチマークスコア。左がCPU、右がGPU。どちらもエントリーモデルらしい低めのスコアだった
操作感は日常使いに支障はないが、軽快とは言えない。アプリの起動時に若干待たされる感があり、「カメラ」アプリでの撮影モードの切り替え、スクリーンショットの保存などが遅く感じることがあった。とはいえ、フリーズをうたがうような著しい遅れではない。ライトユーザーや、ゆっくり操作する人は気にならないかもしれない。
バッテリーは5100mAh。電池持ちはすこぶるよかった。筆者が1週間ほど使った限りでは、1日で電池残量がピンチになることはなく、使い方によっては2〜3日持ちそうだ。
オッポの独自規格「45W SUPERVOOC」、またはUSB PDのオプション規格「PPS」を使った45Wの急速充電にも対応している。なお、充電器は同梱されない。これらに対応する充電器を使えば、1%から50%まで約30分で充電できるとのこと。レビューでは自前の急速充電対応の充電器を使ったのだが、残量20〜30%の状態から充電を始めて、1時間経たずに100%に近い量に達していた。
バッテリーの劣化を遅らせる「スマート充電」や、電池持ちを長くする「省エネモード」など、バッテリー周りの機能も揃っている
オッポのスマートフォンはAndroidをベースに独自のカスタマイズを施した「ColorOS」を採用している。「OPPO A3 5G」にはAndroid 14がベースの「ColorOS 14」を搭載。ちなみに同日に発売されたハイエンドモデル「OPPO Find X8」はAndroid 14がベースの「ColorOS 15」を搭載している。なので、本機は1世代前のOSにあたる。
ColorOSは、メーカー独自のカスタマイズOSとしては比較的クセが少なく、初めて使う人にもとっつきやすい印象だ。多くの便利機能を備えており、上手に活用することで使い勝手が上がる。
筆者が便利だと思ったのは「アイコンプルダウンジェスチャー」。ホーム画面の右下端、または左下端から内側にスワイプすると、アイコンが指先に集まるように表示される。そのまま起動したいアイコンに指をあてて離すと、アプリが起動する。「OPPO A3 5G」は片手で操作するには大きいが、これによって片手で素早くアプリを起動することができるわけだ。
アイコン表示を切り下げて、片手でお目当てのアイコンを起動できる「アイコンプルダウンジェスチャー」
画面右上を内側にスワイプして表示する「スマートサイドバー」も便利。よく使う機能やアプリも素早く起動するものだが、Web画面をまるごと翻訳したい場合や、画面に重ねて使いたいアプリがある場合などに重宝する。
「スマートサイドバー」から「画面翻訳」を起動すると、画面に表示されたテキストを素早く翻訳できる
画面を分割して2つのアプリを起動したうえで、さらに、もうひとつのアプリをフローティング表示することも可能
オッポは、2022年に発売した「OPPO Reno7 A」以降、独自のシステム劣化防止機能を採用しており、スムーズな操作感が約3年間持続することをアピール。同機能は「OPPO A3 5G」にも搭載されている。
さらに世界的な検査・認証企業であるSGS、米国国防総省の資材調達基準「MIL規格」の両方の耐衝撃テストもクリアしている。レビュー用に借りた端末なので、故意に落下させる検証は行わなかったが、発表会で披露された落下のデモンストレーションで頑強さは確認済みだ。
防水はIPX4、防塵はIP5X。日本向けのスマホでの主流は水没に耐えるIPX8、IP6Xなので、物足りなく感じるかもしれないが、雨に濡れるくらいは気にならない水準。画面や手が濡れても、誤作動しにくい「スプラッシュタッチ」機能も備えている。
FeliCaを搭載し、「おサイフケータイ」に対応。マイナンバーカード機能(スマホ用電子証明書機能)にも対応している。長く使い続けたいと考えている人でも不安なく購入できそうだ。
おサイフケータイにも対応
強いて残念なところをあげるとしたら内蔵スピーカーだ。スピーカーは底部のみ搭載され、音質はモノラル。しかし、「ウルトラボリュームモード」に対応し、一般的なスマホのスピーカーよりも大きな音量での出力が可能。さらに、自分好みの音質に変えられる「OReality Audio」機能も備えている。そのため「モノラルスピーカーのわりには迫力ある音を楽しめる」とも言える。今では少数派となった3.5mmのイヤホンジャックも搭載しており、これはメリットととらえることもできるだろう。
シングルスピーカーながら音量を上げて、好みの音質に変えることも可能
オッポには、本機の兄貴分となる「OPPO Reno 11 A」があり、本機との価格差は5,000円〜10,000円ほどだ。「OPPO Reno 11 A」には、本機にはない高画質な有機ELディスプレイや超広角カメラの搭載、処理性能の違いなど価格に見合った基本性能の違いがある。スマートフォンをより楽しみたいならそちらのほうがよいだろう。
いっぽう「OPPO A3 5G」の利点をあえて3つ指摘するなら「大画面」「耐久性」「電池持ち」になる。3万円台前半ではこれらすべてを満たしているのは安心感が高い。スマートフォンの性能に多くを求めない場合、または、「キッズモード」や、テキストやアイコンが大きく表示される「シンプルモード」を目当てに、子どもやシニア層に持たせる場合に検討する価値がありそうだ。
「キッズモード」は、子どもに使わせるアプリや使用時間の制限ができる