スマートフォンやモバイル通信とお金にまつわる話題を解説していく「スマホとおカネの気になるハナシ」。今回は、学生や児童が初めて持つスマートフォンに迫ろう。ある程度の性能を備えつつ、値段も手ごろな4製品を厳選した。
親が納得しやすい価格と子どもの求める高性能を両立できるスマートフォンを紹介しよう
※本記事中の価格は税込で統一している。
2025年も春の新入学シーズンを控え、携帯各社が新たにスマートフォンを手にする学生を狙ったキャンペーン施策を展開するなど、携帯電話業界のいわゆる「学割」競争が盛り上がりつつある。
いっぽうで、子どもにスマートフォンを与える親からすると悩ましい要素もいくつかある。とりわけ今シーズンに頭を悩ませそうなのがスマートフォン選びではないだろうか。なぜなら2024年に続いて2025年も、電気通信事業法のガイドライン改正がなされスマートフォンの値引き規制がいっそう厳しくなり、スマートフォンの販売価格が再び大幅上昇してしまったからだ。
確かにスマートフォンの通信料は以前と比べ安くなったが、そのいっぽうでスマートフォンは政府の値引き規制に加え、円安の影響もあり、ここ数年のうちに著しい値上がりを記録している。さらに、新入学生はスマートフォンを最も積極的に利用する世代でもあるだけに、性能が高く値段の高い、ゲームを楽しめ高画質の撮影ができるようなスマートフォンを欲しがる傾向も強い。
それゆえ「なんでもいいからとにかく安いもの」を選んでしまうと、子ども側が強い不満を抱いてしまって早期の機種変更が求められ、かえって出費が増えてしまう可能性もある。それゆえ親子が満足するには、子ども側が満足できる機能・性能を備えながらも、比較的リーズナブルな価格で販売されているモデルを選ぶ必要があるわけだ。
そこで今回は現在販売されているスマートフォンの中から、初めてのスマートフォン選びで親子がともに満足できる可能性の高い機種を4機種紹介したいと思う。ぜひスマートフォンを選ぶ際の参考情報として活用してもらえれば幸いだ。
子ども世代に最も人気が高いのは、やはりアップルの「iPhone」シリーズだろう。日本で最も人気が高い「iPhone」は使っている人が多いだけに、「私もiPhoneが欲しい」という子どもの声は少なくないのではないだろうか。
とはいえ「iPhone」は性能が高いモデルが多く、その分値段も非常に高い。しかし少しでも安くiPhoneを手に入れる方法はいくつかある。最も代表的なものは型落ちの機種を選ぶことだ。
実はiPhoneは最新モデルだけでなく、2世代くらい前までの型落ちモデルも値下げして併売している。2025年1月現在では、1世代前の「iPhone 15」や2世代前の「iPhone 14」が現行モデルとして販売されているのだが、いずれも日常利用には困らない十分な性能を持ち合わせている。
2世代前のiPhone「iPhone 14」は現行モデルとして販売されており、携帯各社の端末購入プログラムを使えば安く利用できる
ただ最も古い「iPhone 14」でも、アップルストアで購入すれば95,800円、携帯各社での販売価格も10万円超と安くはない。そのため、携帯電話会社が提供している端末購入プログラムを活用して購入することをおすすめしたい。
これは長期間の分割払いでスマートフォンを購入し、1、2年後に返却することで安く利用できる仕組みで、iPhoneの場合これを利用すれば、2年後に端末を買い替える必要はあるが非常に安い値段で入手できる。
具体的な例として、NTTドコモのオンラインショップで「iPhone 14」の128GBモデルを新規契約で購入した場合をあげてみよう。同ショップでの「iPhone 14」の価格は107,041円なのだが、これを「いつでもカエドキプログラム」を適用して48か月払いで購入した場合、1か月目から23か月目の月額料金は957円となる。
そして、24か月目に返却すれば残金の支払いは不要になるので、実質的な負担額は22,033円で済む。それに加えてさまざまな割引キャンペーンを適用すれば、よりいっそうお得に利用できる可能性が高いだろう。
いっぽうAndroidスマートフォンの場合、新機種にモデルチェンジすると旧機種が販売されなくなることが多い。それゆえ現行モデルの中から低価格のものを選ぶことが基本となる。しかし、重視すべきポイントはやはり、性能が高くて価格が安いモデルを選ぶことだ。
そうしたなかからピックアップしたいのはGoogleの「Pixel 8a」である。Pixelシリーズの「a」が付くモデルは、カメラの性能やメモリー容量などを抑えて価格を引き下げた低価格モデルなのだが、前年に発売されたハイエンドモデル「Pixel」と同じチップセットを搭載し高い性能を備えていることから、高コストパフォーマンスで非常に人気が高い。
「Pixel 8a」も、1世代前のハイエンドモデル「Pixel 8」と同じチップセット「Tensor G3」を搭載しており、Googleが得意とするAI技術を活用した機能が多く利用できる。いっぽうで、Tensorシリーズは伝統的にゲーミングにあまり強くないのだが、それでも最上のクオリティにこだわらなければ十分プレイは可能だ。
Pixelシリーズの低価格モデル「Pixel 8a」は、販路が広くコストパフォーマンスも高いので、Androidスマートフォンの中では購入しやすいモデルとなっている
それでいてGoogleストアでの販売価格は72,600円、携帯大手3社での販売価格は6〜8万円といったところ。さらに各種割引施策と端末購入プログラムを適用すれば安く購入できることが多く、ソフトバンクの場合販売価格は77,760円だが、「新トクするサポート(スタンダード)」の適用により、新規契約であれば24回目までは月額100円、実質的には支払額が2400円で済む計算となる。
加えて「Pixel 8a」は、「UQ mobile」「ワイモバイル」といったサブブランドでも購入できるなど、「iPhone」に次いで販路が広い。安価な料金プランを重視しても購入しやすい点も、「Pixel 8a」の大きな優位性だろう。
これら2機種と比べると販路はかなり限定されるが、高い性能を求める若い世代でも満足できる、コストパフォーマンスを実現したスマートフォンの選択肢をいくつか紹介しておきたい。
ひとつはサムスン電子の「Galaxy S24 FE」である。これは同社が2024年に発売したハイエンドモデル「Galaxy S24」の、低価格版という位置付け。カメラやチップセットの性能は全体的に「Galaxy S24」と比べ引き下げられているが、それでも「Galaxy S24」シリーズで提供されている「Galaxy AI」を活用したカメラ機能などはしっかり搭載されているし、ゲームも快適にプレイできるだけの性能を備える。
「Galaxy S24」シリーズの特徴を取り入れながらも、性能を引き下げ価格も抑えた「Galaxy S24 FE」。ハイエンドモデルと同様にAI技術を活用した機能も利用できる
気になる価格は、サムスン電子のオンラインショップや家電量販店で販売されている「SIMフリー」のモデルで79,800円。携帯電話会社で販売しているのはKDDIのauブランドのみだが、こちらでの一括販売価格はauオンラインショップの場合83,600円。しかし、新規契約に適用される「au Online Shop お得割」(11,000円引き)と端末購入プログラムの「スマホトクするプログラム」を適用することで、24か月間の実質負担額は26,400円で済む。
メインブランドは月額料金が高いので、サブブランドでの契約を考えているのであれば、シャオミの「Xiaomi 14T」がおすすめだ。こちらはライカカメラが監修したトリプルカメラを搭載するなど、カメラを中心として比較的高い性能を備えながら、購入しやすい価格で販売されているモデルだ。
「Xiaomi 14T」はKDDIのauブランド、そしてサブブランドのUQ mobileで販売中。UQ mobileのオンラインショップでの販売価格は一括57,300円と、これまで紹介してきたほかの機種より安く抑えられている。それに加えて新規契約で「コミコミプラン+」と「増量オプションU」に加入し、「UQ mobile オンラインショップ おトク割」(11,000円引き)と端末購入プログラムの「スマホトクするプログラム」を適用すれば、24か月間の実質負担金は24,300円となる。
「Xiaomi 14T」もライカカメラが監修したカメラを搭載した性能の高いモデルながら、価格はかなり抑えられておりサブブランドのUQ mobileでも購入できる
ここまで紹介してきたように、子どもがSNSへの写真投稿やゲームを満足にこなせるだけの高性能を備えながら、比較的価格が抑えられているスマートフォンは意外と存在する。端末購入プログラムを活用すれば費用もかなり抑えやすい。
市場には1万円台の製品も存在するが、それらはゲームも楽しみたい子どもには必ずしも向いておらず、すぐに飽きられてしまっては結局不経済だ。であるなら、ある程度の性能を備える製品を与えたほうが、子どもも愛着を持って使い続けてくれ結局は経済的なのではないだろうか。
これらの情報を参考にしながら、親子で話し合って満足できる端末を選んでみてほしい。