サムスンのスマートフォン「Galaxy」シリーズのエントリーモデル「Galaxy A25 5G」が、2025年2月27日に発売された。2022年に登場した前モデルから久しぶりの新モデルだが、大型化するスマートフォンの傾向に合わせるように、ボディが大きく生まれ変わった。
サムスン「Galaxy A25 5G」、2025年2月27日発売。サムスンの税込直販価格は29,900円
「Galaxy A25 5G」は、2万円前後のエントリーモデル。NTTドコモ、au、ソフトバンク、UQ mobile、ワイモバイルに加えて、格安SIM事業者やメーカー直販サイト向けのSIMフリーモデルも用意されている。多くの人が目にし、手に取る機会の多い製品だろう。
税込みの端末料金は、NTTドコモが22,000円、auおよびUQ mobileは22,001円、ソフトバンクおよびワイモバイルは21,984円、サムスンの税込直販価格は29,900円となっている。
そんな「Galaxy A25 5G」だが、前モデルの「Galaxy A23 5G」からかなり大きくなった。液晶ディスプレイが5.8インチから6.7インチになり、重量も168gから210gに42gも増加。この大きなボディはAndroidスマートフォンの世界的な傾向で、エントリーモデルであっても、携帯性よりも、画面の見やすさや操作性を重視されることを受けたものだろう。
ボディデザインは近ごろのスマートフォンの傾向に沿ったシンプルなものだ。機能面を見ると、「おサイフケータイ」やマイナンバー機能、防水・防塵対応は継続しており、生体認証も指紋認証・顔認証に対応している。日常を支えるスマートフォンとして本機で不満を感じることは少ないだろう。
電源ボタンに指紋認証センサーを内蔵している
ディスプレイは大きいが、1600×720のHD+表示にとどめられている。リフレッシュレートも標準性能の60Hzで、HDR対応もしていない。エントリークラスとしてもかなりシンプルな性能だ。
ただ、画面が大きいことに加えて輝度も十分なので小さな文字も見やすい。もちろん、タッチ操作も快適に行える。ぜいたくではないがディスプレイの基本的な機能性は十分だろう。加えて、文字やアイコンを大きく表示するホーム画面「かんたんモード」の切り替えも容易に行える。大画面のシニア向けスマートフォンとしての適性も高そうだ。
フロントカメラを納める水滴型のノッチ(切り欠き)がある。なお、前モデルから引き続いて液晶ディスプレイだ
キーボードは左右に寄せることができ、片手持ちの親指入力も行いやすい
「かんたんモード」も引き続き搭載しており(左画面)、ホーム画面上のボタンを押すだけで切り替えられる
搭載されるSoCは、メディアテック製のエントリー向け「Dimensity 6100+」で、メモリーは4GB、ストレージは64GB、1.5TBまで対応するmicroSDXCメモリーカードスロットを備える。プリインストールされるOSはAndroid 15だ。なお、仮想メモリー機能「RAM Plus」を搭載しており、初期設定で4GBが割り当てられていた。
ベンチマークアプリをいくつか試した。なお、比較対象として、ほぼ同時期に発売され価格帯も近いnubiaのエントリースマートフォン「nubia S 5G」のスコアも合わせて掲載する。
Androidでは広く使われるベンチマークアプリ「AnTuTuベンチマーク(バージョン10.X)」のスコアは370477。右の「nubia S 5G」は437362、2割ほどの差がある
体感速度はあまり芳しくない。本機の前に検証を行っていた同クラスの「nubia S 5G」と比べても、動作待ちが目立ち、アプリの起動にかかる時間は長めだ。落ちものパズルなどのカジュアルゲームなら十分だが、操作全般のスムーズさを求めるのは少し厳しい。また、ストレージの容量が64GBと少ない点にも注意だ。ストレージはアプリのインストールに活用し、別途用意したmicroSDメモリーカードに撮影した写真や動画データを保存するのがよさそうだ。
通信性能を見てみると、NTTドコモ版は当然として、メーカー直販モデル、au版やソフトバンク版のいずれも、5Gの専用周波数帯であるn79に対応している。n79は、国内では現時点ではNTTドコモの5Gで使用中だが、オッポやシャオミなど中国メーカーの競合する製品で対応している製品が少ない。しかし、本機などはドコモ系の格安SIMを組み合わせても、エリアの制約なく5Gを使える。
「Galaxy A25 5G」は、約5000万画素の広角カメラと約200万画素マクロカメラのデュアルカメラを搭載。ただ、画素数の少ないマクロカメラは活用できる構図が限られるため、実際に使うのは広角カメラが大部分になるだろう。
以下に静止画の作例を掲載する。いずれも初期設定のまま、シャッターを押すだけのカメラ任せで撮影を行っている。
明暗差の大きな日中の構図。もやのかかったようなフレアが暗所全体にうっすらと見られる。ただしノイズは抑えられている
発色の強いアンスリウムを撮影。赤い苞(ほう)のディテールがギリギリ残っている
明るめの夜景を撮影。明るく写っているがディテールはあまり残っていない。この光量の構図でもシャッタースピードが1/15秒と長く、手ブレが起こりやすい
「Galaxy A25 5G」のカメラは総合的に感度性能がそこまで高くないようで、夜景撮影時の手ブレ、フレアが発生しやすい。加えて、先に触れた基本性能の解説とも重なるが、応答性が今ひとつなので、操作を急いでも応答が追いつかないことがある。撮影を楽しむことよりも、メモを記録し、QRコードをきちんと読み取るといった実用品としてのカメラを志向している。こうした用途であれば特に問題はないだろう。
内蔵バッテリーの容量は5000mAh、ボディが大きくなったためバッテリーの容量も増え、バッテリー駆動時間(動画再生時)は最大21時間。なお、手持ちのUSB PD対応充電器をいくつか試したが、いずれも給電中の電力は13〜15Wが上限で、充電にかかる時間は110〜120分だった。本機は充電器を同梱していないが、出力20W前後の比較的安価な充電器があれば十分そうだ。
検証におけるバッテリー持ちだが1日に1時間ほどのペースで使用した場合(ゲームは行わない)、24時間で16%前後のバッテリーを消費した。待ち受け状態なら24時間で4%程度のバッテリー消費で済んでいる。スマホ決済などでごく短時間だけ使う場合なら、1週間のバッテリー持ちも十分期待できそうだ。2泊程度の旅行でもうまく使えば充電器は不要かもしれない。バッテリーの持ちに不満を感じることはなさそうだ。
バッテリーの使用状況。左は24時間ほぼ待ち受け状態だった場合で、バッテリー消費は4%。右は24時間で1時間15分ほど使用した場合で、バッテリー消費は16%だった
通信キャリア各社は、本機を22,000円前後で発売しており、MNPや新規契約なら条件次第で1円など格安で購入できる場合もある。しかし、このクラスは激戦区でライバルは多い。具体的には、比較的高性能な「nubia S 5G」、同クラスの製品の中では小型の「arrows We2」、バッテリー持ちがよくクセの少ない「AQUOS wish4」、タフネス仕様の「OPPO A3 5G」などだ。こうしたライバルと比較したとき、優位性で突出した部分は見当たらないが、大きく見劣りする点も少ない。日常を支える手堅い1台と言ってよさそうだ。