オレオレ詐欺はじめとする電話を使った特殊詐欺の多くは、これまで固定電話にかかってきていましたが、この1年でスマートフォンや携帯電話にかけてくるケースが急増。知らない番号からの電話はネットで調べてから出るなど、警戒している人も多いでしょう。
オレオレ詐欺などで最初にかかってくる「アポ電」の大半が固定電話にかかってきていましたが、2023年から2024年のたった1年でスマートフォン・携帯電話へのアポ電が4%から34%に拡大しています
先日、特殊詐欺のアポ電や迷惑電話をガードする防犯機能を備えたシャープの電話機 を紹介しましたが、同社のスマートフォン「AQUOS」にも2024年7月発売の機種から迷惑電話対策の機能が搭載されました。
迷惑電話対策機能を搭載しているのは「AQUOS R9 pro」「AQUOS R9」「AQUOS sense9」「AQUOS wish4」の4機種
未登録の番号からの電話に自動音声で応答して相手に名前や要件を確認したり、通話を自動で録音したりするなど複数の機能を備えていますが、なかでも注目はAIを使った「伝言アシスタント/電話アシスタント」機能と「不審な会話のお知らせ」機能。一部のAndroidスマートフォンに標準搭載されている、着信した電話にAIが代わりに対応する「通話スクリーニング」や、米国の一部の「Pixel」ユーザー向けにパブリックベータ版として展開されているAIを活用した詐欺検出機能を組み合わせたような機能です。
AQUOS独自機能をまとめた「AQUOSトリック」に迷惑電話の対策機能が追加されました
まずは、最新機種4モデルすべてに搭載されている「不審な会話のお知らせ」機能を紹介します。
この機能は、AIが通話中の内容から詐欺電話の可能性があると判断すると音・振動・画面表示で詐欺の危険性を知らせるというもの。受話と同時に自動で録音が始まるのと、日本の警察が所有するデータベースを利用しているのがポイントです。
▼「不審な会話のお知らせ」機能の流れ
(1)電話帳に登録していない番号や非通知の電話から着信
↓→未登録の番号であることと注意喚起を画面に表示
(2)受話。通話開始とともに自動で録音がスタート
↓
(3)通話中の内容をAIが解析
↓※実際の詐欺電話音声のデータベースを使用
(4)詐欺電話と判断すると、音と振動でユーザーに警告するとともに、画面に「特殊詐欺などが疑われる不審な会話を検知しました」と表示
↓
(5)「迷惑ストップ」ボタンをタップすると、相手に自動音声を流して自動で通話が終了
AIが通話内容を文字に変換し、千葉県警が保有している詐欺電話をかけてきた犯人の音声データベースと照らし合わせてあやしい電話を検知します。単語ではなく文脈で照会しているので高い精度が期待できるのも強み
特殊詐欺などが疑われる内容だと判断すると表示される画面。「迷惑ストップ」をタップすると、機械音で断りの音声が流れて通話が終了します。相手の話を遮って電話を切るという心理的なストレスがないのは助かる人も多いはず
下の動画は、着信した内容を還付金詐欺の電話と判断し、詐欺である可能性を知らせてくれる様子。自分では詐欺と判断がつきにくい電話も多いので、こうした機能があるのは安心です。
「不審な会話のお知らせ」機能で着信した音声はスマートフォンに保存され、「録音リスト」から再生できます。ほかの人に録音された音声を聞いてもらい詐欺の判断をあおげるのはメリット。Googleが2025年3月に米国の「Pixel9」ユーザーに提供を拡大すると発表した詐欺検出機能も同じように警告してくれますが、「AQUOS」の「不審な会話のお知らせ」機能は音声の自動録音に対応するのが大きなアドバンテージ。録音できる時間は機種によって異なりますが、「AQUOS R9 pro」の場合、1件あたり最大60分で150件までです。
なお、2023年に発売された「AQUOS R8 pro」「AQUOS R8」「AQUOS sense8」はAndroid 15にアップデートすれば、「不審な会話のお知らせ」機能が使えるようになります。
知らない相手からの電話でも無視できない場合や、知り合いからの電話でも手が離せない、ちょっと出たくないと思うときもあるでしょう。そんなときに役立つのが「伝言アシスタント/電話アシスタント」に搭載されている録音・要約機能。着信画面に表示される「代わりに聞いときます」ボタンをタップするとAIが自動応答し、会話を録音します。そして、録音した内容を文字起こししてくれるので、録音された内容を聞かずに確認可能。しかも、生成AIが要約まで用意してくれるのでサッとチェックできます。
代理応答と録音の終了後、通知エリアに要約が表示されます。要約にある「全文表示」をタップすると全文を表示することが可能。全文表示の画面に、録音された伝言を再生するボタンも表示されます
この機能は、プライバシーを考慮し、録音・文字起こし・要約のすべてを端末上で行うのもこだわり。着信のたびに「代わりに聞いときます」ボタンをタップしなくても、自動でAIが応答する「自動応答」の設定も用意されています。
ちなみに、「AQUOS R9」には「伝言アシスタント」、「AQUOS R9 pro」には「電話アシスタント」という名称で搭載されています。「電話アシスタント」は、AIを使った自動応答、会話の録音、録音した内容の文字起こし、生成AIによる要約といった「伝言アシスタント」の機能に加え、生成AIが通話中の内容からキーワードを抽出してメモに残す機能にも対応しているのが異なる点。会話はすべて録音されているので、後から聞き直すことも可能です。
「電話アシスタント」搭載機種では通話中の内容を生成AIが解析し、重要な言葉やスケジュールを都度表示してくれます。メモとして残るので、通話後にメモを確認することも可能。関連する画像があるときはキーワードと一緒に表示したり、キーワードが日付だった場合、その日のスケジュールをGoogleカレンダーから取得して表示したりもしてくれます
なお、Androidの標準機能である「通話スクリーニング」も着信画面で「スクリーニング」ボタンをタップすると自動応答し、リアルタイムで音声を文字起こししてくれます。ただし、「AQUOS」の「伝言アシスタント/電話アシスタント」のように音声変換した内容を要約するなどの機能は搭載されていません。
●迷惑電話防止機能以外の機能や性能はレビュー記事でチェック!
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