レビュー

“買って損なし”の実力派「Nothing Phone(3a)」はデザインも中身もひと味違う!

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Nothingは2025年4月15日、最新スマートフォン「Nothing Phone(3a)」(以下、「Phone(3a)」)を発売した。昨年4月にリリースされた「Phone(2a)」の後継モデルで、カラーバリエーションはブラック、ホワイト、ブルーの3色。ブルーは楽天モバイルのみが取り扱う。今回、Nothing Japanから借りた8GB+128GBモデルを使ってみた。

Nothing「Phone (3a)」。2025年4月15日発売。写真は8GBメモリー+128GBストレージを備えたSIMフリーモデル。価格は54,800円(税込)

Nothing「Phone (3a)」。2025年4月15日発売。写真は8GBメモリー+128GBストレージを備えたSIMフリーモデル。価格は54,800円(税込)

背面パネルがガラスになり、質感が向上

「Phone(3a)」は、前モデルと同様に背面パネルが透明で、スケルトン調のデザインが施されている。カメラのまわりにLEDを配置し、着信時などに光らせることができることも大きな特徴だ。

左は2023年7月発売のハイエンドモデル「Phone(2)」で、右は今回レビューする「Phone(3a)」。前モデルと同様、LEDの数は「Phone(2)」よりも少ない

左は2023年7月発売のハイエンドモデル「Phone(2)」で、右は今回レビューする「Phone(3a)」。前モデルと同様、LEDの数は「Phone(2)」よりも少ない

前モデルからの進化点のひとつとして、背面パネルがガラスになった。透明度が高まった印象で、触れた際の質感も向上。ガラスはアクリルよりも細かいキズがつきにくいので、長く使い続けても汚れにくい利点もあるだろう。

背面パネルがアクリルから強化ガラスに変わり、よりクリアになり、質感も向上した

背面パネルがアクリルから強化ガラスに変わり、よりクリアになり、質感も向上した

前面のディプレイは6.77インチの有機EL。前モデル(6.7インチ)よりも若干大きく、Nothingのスマホとしては最大だ。そのため本体サイズもわずかに大きくなった。しかし、厚みは前モデルの8.55mmから8.35mmと薄くなったため、手にした際のサイズ感はほとんど変わらない。

ディスプレイの解像度は2392×1080、最高輝度は3000nit、リフレッシュレートは最大120Hz。ハイエンド機に匹敵するスペックを備えている。画面内に指紋センサーも搭載している

ディスプレイの解像度は2392×1080、最高輝度は3000nit、リフレッシュレートは最大120Hz。ハイエンド機に匹敵するスペックを備えている。画面内に指紋センサーも搭載している

右側面に電源ボタンと新設の「Essentialキー」を搭載。「Essentialキー」の用途については後述する。左側面に音量ボタン、底部にSIMスロットとUSB-Cポートを配置している。スピーカーはディスプレイ上部と底部に搭載するステレオ構成だ。イヤホンジャックは備えていない。

右側面の電源ボタンの下に新しいボタン「Essentialキー」が追加された

右側面の電源ボタンの下に新しいボタン「Essentialキー」が追加された

左側面に音量ボタンを搭載

左側面に音量ボタンを搭載

底部のSIMスロットには2枚のnanoSIMを装着可能。なお、eSIMにも対応している。USB Type-Cの接続口、マイク、スピーカーも搭載

底部のSIMスロットには2枚のnanoSIMを装着可能。なお、eSIMにも対応している。USB Type-Cの接続口、マイク、スピーカーも搭載

カラーはブラック、ホワイト、ブルーの3色から選べる。ただし、ブルーは楽天モバイル限定色だ

カラーはブラック、ホワイト、ブルーの3色から選べる。ただし、ブルーは楽天モバイル限定色だ

望遠カメラを追加。画質は少し物足りない

ボディ背面に備わるリアカメラは、前モデルではメインの広角(約5000万画素)と超広角(約5000万画素)を組み合わせたデュアル構成だった。しかし、「Phone(3a)」は、メインの広角(5000万画素)と超広角カメラ(約800万画素)に、望遠(約5000万画素)を加えたトリプルカメラに進化し、光学2倍のズーム撮影が可能となった。なお、約5000万画素のメインカメラと望遠カメラは、初期設定では「12MP」モードで動作する。これは、4つの画素センサー(サブピクセル)を仮想的にまとめて1個の画素センサーとして振る舞い、撮影した画像は約1250万画素で記録されるもの。これによって、撮影データの大型化を防ぎつつ、感度性能を高める効果がある。

なお、4倍のズームで撮影した場合は、「12MP」モードを解除して約5000万画素でとらえた画像の一部を切り出す仕組みで、劣化の少ない光学ズーム相当の画質で撮影できる。デジタルズームを組み合わせて最大30倍まで撮影できるが、10倍くらいまではさほど画質劣化が気にならず、以降、倍率を上げるほど画質が粗くなるように感じた。

Nothing初のトリプルレンズカメラを搭載

Nothing初のトリプルレンズカメラを搭載

超広角カメラ(0.6倍)で撮影

センサーはソニー製。やや雲が多い日だったが、空や海が実際よりも若干明るく写った

センサーはソニー製。やや雲が多い日だったが、空や海が実際よりも若干明るく写った

メインカメラ(1倍)で撮影

メイン(1倍)で撮影。センサーはサムスン製。こちらも明るく鮮やかな色で写った

メイン(1倍)で撮影。センサーはサムスン製。こちらも明るく鮮やかな色で写った

望遠カメラ(光学2倍)で撮影

センサーはサムスン製。コンストラストは強めだが、超広角および広角カメラと比べると色調が乏しい印象

センサーはサムスン製。コンストラストは強めだが、超広角およびメインカメラと比べると色調が乏しい印象

望遠カメラ(デジタル4倍)で撮影

4倍の望遠は画質を落とさずに撮影可能

4倍の望遠は画質を落とさずに撮影可能

望遠カメラ(デジタル30倍)で撮影

最大30倍のデジタルズームを使った。さすがに画質は粗くなった

最大30倍のデジタルズームを使った。さすがに画質は粗くなった

メインカメラは明るく鮮やかな色で写るので、シャッターを押すことが楽しく感じられた。超広角カメラは、前モデルよりも有効画素数が減ったが、画質はよく、積極的に使えそうだ。ただし、望遠カメラはメインカメラに比べると色調が淡泊になるのが気になった。しかし、望遠カメラがあれば、光学ズームを用いて、背景をナチュラルにぼかすポートレートが撮りやすくなることは利点だ。

メインカメラ(1倍)で撮影

メインカメラは料理も美味しそうに写せる

メインカメラは料理も美味しそうに写せる

メインカメラ(1倍)で撮影

夜景もシャープな画質で写った

夜景もシャープな画質で写った

望遠カメラ(光学2倍)で撮影

ポートレートモードを使い望遠カメラの光学2倍ズームで撮影。背景ボケは調整できる

ポートレートモードを使い望遠カメラの光学2倍ズームで撮影。背景ボケは調整できる

Nothing独自のカメラ機能として「プリセット」も追加されている。これは、あらかじめ登録した撮影設定を素早く呼び出せるものだ。初期設定では「Soft Focus」「B&W Film」「Wide Angle」「Lenticular」の4つから選べる。よく使う撮影モードやフィルターなどを組み合わせてプリセットに加えれば、こだわりの写真を手軽に撮れるだろう。

あらかじめ4つのプリセットが用意されている

あらかじめ4つのプリセットが用意されている

オリジナルのプリセットを作成することもできる

オリジナルのプリセットを作成することもできる

フロントカメラは3200万画素。画角は1倍(22mm)と1.2倍(27mm)に切り替えられる。画質は良好。顔を小さく、目を大きくするようないわゆる美顔機能はないが、顔の明るさや肌理を整えるレタッチ機能を使って、ナチュラルな補正は行える。

新機能「Essential Space」は役立ちそうな印象

「Phone(3a)」には、背面に新しいボタン「Essentialキー」追加された。これを押すとスクリーンショットが撮れて、任意のメモを追加して保存することが可能。長押しするとボイスメモを録音して保存することもできる。そして、2回押すとオリジナルのアプリ「Essential Space」起動し、保存したスクショを閲覧できる。撮影した画像をただ時系列で並べるだけではなく、ユーザーが必要とすると推測される情報が表示されたり、行動をうながすアクションプランが提案されたりする趣向だ。

「Essentialキー」を押すだけで、スクショが撮れて、メモを追加して保存できる

「Essentialキー」を押すだけで、スクショが撮れて、メモを追加して保存できる

保存した情報がAIによって解析され、ユーザーに最適化された情報が提示される

保存した情報がAIによって解析され、ユーザーに最適化された情報が提示される

たとえば、SNSで見つけたレストランの料理のスクショを撮っておけば、その店の住所や営業時間がわかる。また、行きたいコンサートの情報をスクショに撮っておけば、前売り開始日時を教えてくれる。ユーザーが具体的な指令を出すことなく、AIが先回りして調べてくれるわけだ。しかも、提示される情報はなかなか的確で、不必要な情報で画面が埋まることもなかった。使い続けてみたいと思える新機能だ。

AIに関しては、グーグルの「Gemini」もプリインストールされていて、電源ボタンの長押しで起動できる。会話形式で知りたいことを調べられる「Gemini Live」も利用可能。画面下のホームバーを長押しし、画面にある物やテキストなどを囲って検索できる「かこって検索」にも対応している。

電源ボタンを長押しすると「Gemini」が起動し、知りたいことを素早く調べられる

電源ボタンを長押しすると「Gemini」が起動し、知りたいことを素早く調べられる

従来から対応している「ChatGPT」との連携機能も引き続き利用できる。「ChatGPT」アプリをインストールすれば、ウェブやSNSのテキストのコピー、スクショの共有メニューから素早く「ChatGPT」にアクセスできる仕組みだ。これも非常に便利だ。

「ChatGPT」を使っている人は、WebブラウザーやSNSなど、ほかのアプリからスムーズに起動できるのが便利

「ChatGPT」を使っている人は、WebブラウザーやSNSなど、ほかのアプリからスムーズに起動できるのが便利

パフォーマンスは(2a)と(2)の中間

性能に大きな影響を与えるSoCはクアルコム社製のミドルハイ向け「Snapdragon 7s Gen 3」を採用している。前モデルはMediaTek製「Dimensity 7200 Pro」だったが、それに比べるとパフォーマンスが最大33%向上しているという触れ込みだ。

「Snapdragon 7s Gen 3」は、AIの性能に注力したことも特徴。実際に使っていて、レスポンスが鈍いと感じることはなく、サクサクと操作できた。筆者は2年前に発売されたハイエンドモデル「Nothing Phone(2)」を使っているが、それと比べても操作感は大差がないと思えた。

広く使われているベンチマークテスト用アプリ「Geekbench 6」で測定した「Phone(3a)」のベンチマークスコア。左は通常の操作に影響する「CPU」の性能を示す。右はゲームなどの映像表現に影響を与える「GPU」の値

広く使われているベンチマークテスト用アプリ「Geekbench 6」で測定した「Phone(3a)」のベンチマークスコア。左は通常の操作に影響する「CPU」の性能を示す。右はゲームなどの映像表現に影響を与える「GPU」の値

過去の製品のスコア(CPU)を参考値として掲載する。左は「Snapdragon 8+ Gen 1」を搭載した「Phone(2)」のスコア。右は「Phone(2a)」の発売当時に計測したスコア。「Phone(3a)」は「Phone(2a)」より性能は高いが、2年前の発売になるハイエンドの「Phone(2)」にはまだ及ばない

過去の製品のスコア(CPU)を参考値として掲載する。左は「Snapdragon 8+ Gen 1」を搭載した「Phone(2)」のスコア。右は「Phone(2a)」の発売当時に計測したスコア。「Phone(3a)」は「Phone(2a)」より性能は高いが、2年前の発売になるハイエンドの「Phone(2)」にはまだ及ばない

バッテリー容量は5000mAh。1日は余裕で電池が持ち、使い方によっては2日使い続けることもできそうだ。充電器は同梱されていないが、50Wの急速充電にも対応している。

画面カスタマイズの楽しさもアップ!

「Nothing Phone」シリーズは、Androidをベースに、独自のカスタマイズが施された「Nothing OS」を搭載している。「Phone(3a)」に初期搭載されているのは、Android 15ベースの「Nothing OS 3.0」だ。従来どおり、モノクロを基調とするホーム画面で、初期設定ではカラーで表示されるアプリ一覧画面もモノクロ表示にすることが可能。Nothing独自のウィジェットも新しいものが増えて、よりカスタマイズを楽しめるようになっている。

初期設定のホーム画面とアプリ一覧画面。アプリ一覧は自分で追加したものも含めて、自動でカテゴリー分けされる

初期設定のホーム画面とアプリ一覧画面。アプリ一覧は自分で追加したものも含めて、自動でカテゴリー分けされる

「設定」→「カスタマイズ」で、画面表示のカスタマイズが可能。「アイコンパック」を「Nothing」にして「ホーム画面にのみ適用」をオフにすると、すべてのアプリアイコンが単色表示になる

「設定」→「カスタマイズ」で、画面表示のカスタマイズが可能。「アイコンパック」を「Nothing」にして「ホーム画面にのみ適用」をオフにすると、すべてのアプリアイコンが単色表示になる

オリジナルアプリとしては「天気」「レコーダー」、そしてNothingのワイヤレスイヤホンの接続・設定に用いる「Nothing X」アプリがプリインストールされている。いずれも白と黒をベースに、差し色として赤を使ったクールな画面デザインだ。「Nothing OS 3.0」からは、新たに「ギャラリー」アプリが追加された。撮った写真や動画が自動で整理されるが、独自の編集機能は備えていないようだ。今後のアップデートに期待したい。

「ギャラリー」アプリで画像を選択して編集しようとすると、「フォト」アプリに切り替わった(中央)。画像を自動で分類する機能(右)は、まだ不完全な印象だ

「ギャラリー」アプリで画像を選択して編集しようとすると、「フォト」アプリに切り替わった(中央)。画像を自動で分類する機能(右)は、まだ不完全な印象だ

おサイフケータイに続き、eSIMにも対応

「Phone(3a)」は、前モデルと同様に、おサイフケータイに対応している。防塵・防水は、日本国内で主流の「IP68」ではなく「IP64」だが、IPX4は雨がかかったり、濡れた手で触れたりしても、心配ないレベルだ。Nothingのスマホでは初めてeSIMに対応したことも評価したい。

「Phone(2a)」から対応したおサイフケータイに続き、「Phone(3a)」はeSIMにも対応した

「Phone(2a)」から対応したおサイフケータイに続き、「Phone(3a)」はeSIMにも対応した

【まとめ】楽天の取り扱いで新興の不安を払拭、オシャレなオールラウンダーに進化

デザイン先行の印象が強かった「Nothing Phone」シリーズだが、「Phone(3a)」は機能が追いつき、多くの人に役立つオールラウンダー端末に仕上がっている。仕様から判断すると、54,800円(税込)からという価格はなかなかの割安感だ。Nothingにとっても、普及の契機としたい勝負モデルなのだろう。

楽天モバイルで扱われるようになったことも大きく、購入後のサポートも安心感が高まった。個性的なデザインに魅力を感じながらも、新興メーカーのために購買をためらっていた人にとって、本機は待望の1台となるだろう。

村元正剛
Writer
村元正剛
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの企画・編集などにも携わっている。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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