スマホとおカネの気になるハナシ

驚きのKDDI新料金プランを解説! UQ小容量プランユーザーはどうする?

スマートフォンやモバイル通信とお金にまつわる話題を解説していく「スマホとおカネの気になるハナシ」。今回は、KDDIの発表した新料金を取り上げよう。既存のプランが値上げされるほか、小容量プランの後継が用意されないなど、ライトユーザーの負担が相対的に増えている。

※本記事中の価格は税込で統一している。

KDDIはauとUQ mobileの新料金を発表。付加価値を高めつつ値上げされているが、特に小容量プランのユーザーに厳しい内容かもしれない

KDDIはauとUQ mobileの新料金を発表。付加価値を高めつつ値上げされているが、特に小容量プランのユーザーに厳しい内容かもしれない

使い放題プラン「auバリューリンクプラン」は月額550円の値上げ

2025年のゴールデンウィーク前にNTTドコモが「ドコモ MAX」「ドコモ mini」などの新料金プランを発表したばかりだが、ゴールデンウィークが明けた直後の2025年5月7日には、KDDIも新料金プランを発表している。

KDDIはメインブランドの“au”とサブブランドの“UQ mobile”、そしてオンライン専用の“povo”を持つ。今回発表された新料金プランはauとUQ mobileに関するもの。いずれの料金プランも、従来と比べて値上げしつつ、付加価値が多く追加されている。この点はNTTドコモと変わらないのだが、方向性はかなり異なる。

まずはauの新料金プランだ。今回新たに追加されたのは「auバリューリンクプラン」。これはauブランドで従来提供されていた「使い放題MAX+ 5G/4G」などと同様、定額でデータ通信が使い放題(ただし月当たり200GB超の通信で、通信速度が最大5Mbpsに制限される)のプランだ。適用できる割引も「家族割プラス」「auスマートバリュー」「au PAYカードお支払い割」の3つと変わらない。だが、その月額料金は8,008円。「使い放題MAX+ 5G/4G」の月額料金は7,458円なので、550円の値上がりとなっている。

「au」ブランドの新料金プラン「auバリューリンクプラン」。通信量や料金の仕組み自体は「使い放題MAX+ 5G/4G」と大きく変わらないが、月額料金は550円上がっている

「au」ブランドの新料金プラン「auバリューリンクプラン」。通信量や料金の仕組み自体は「使い放題MAX+ 5G/4G」と大きく変わらないが、月額料金は550円上がっている

付加価値その1
月額1,650円の「au Starlink Direct」が無料

値上がりされた分、付加価値サービスが追加されている。ひとつはスマートフォンと衛星の直接通信サービス「au Starlink Direct」。これは「使い放題MAX+ 5G/4G」など従来プランでも利用できるものだが、新料金プランの提供に合わせてauブランド以外の利用者に向けても月額1,650円で提供することが発表されている。それが無料で利用できることを大きな価値としてアピールしている。

他社サービス利用者にも提供されるようになった「au Starlink Direct」。「auバリューリンクプラン」では追加料金不要で利用できる

他社サービス利用者にも提供されるようになった「au Starlink Direct」。「auバリューリンクプラン」では追加料金不要で利用できる

付加価値その2
「サブスクぷらすポイント」の最大還元率が15%から20%にアップ

従来プランから継続して提供されるのが、「Netflix」「Apple Music」など指定のサービスに加入するとPontaポイントが貯まる「サブスクぷらすポイント」だ。こちらは新料金プランに合わせて還元率が最大で15%から20%に増え、よりお得になっているほか、新たに「Google One」なども対象になった。

「サブスクぷらすポイント」はポイント還元率が最大20%にアップしたほか、新たに「Google One」などが対象に加わっている

「サブスクぷらすポイント」はポイント還元率が最大20%にアップしたほか、新たに「Google One」などが対象に加わっている

付加価値その3
海外データローミングが毎月15日分は無料で使い放題

新たに追加される付加価値のひとつに「au海外放題」がある。「au海外放題」自体は24時間当たり800円から(予約の有無や国・地域によって料金は異なる)利用できるデータ通信使い放題の国際ローミングサービスだが、auバリューリンクプランでは月当たり15日分までは無料で利用できるという。仮に15日を使い切るなら10,000円以上の節約になる。

先んじて発表されたドコモの新料金「ドコモ MAX」でも無料で利用できる国際ローミングの通信量が追加されただけに、それに対抗する施策と見ることができそうだ。

利用に料金がかかっていた「au海外放題」も、「auバリューリンクプラン」では月当たり15日分まで無料で利用可能となった

利用に料金がかかっていた「au海外放題」も、「auバリューリンクプラン」では月当たり15日分まで無料で利用可能となった

付加価値その4
5Gの速度アップが可能な「au 5G Fast Lane」

4つ目は、2025年7月1日から利用可能になる「au 5G Fast Lane」である。これは5Gで接続している際、より多くの無線リソースが割り当てられるもの。それによって都市部の繁華街や電車の中など、混雑した場所であればUQ mobileやpovo、そしてKDDI回線を利用したMVNOの利用者などよりも快適に通信できるようになると考えられる。ただし利用するには5G SA対応の比較的新しい端末と、5G SA契約が必要だ。

5G接続時により多くの無線リソースが割り当てられる「au 5G Fast Lane」にも対応。混雑時に非対応ユーザーよりも快適に通信できるようになる

5G接続時により多くの無線リソースが割り当てられる「au 5G Fast Lane」にも対応。混雑時に非対応ユーザーよりも快適に通信できるようになる

付加価値その5
月額548円の「Pontaパス」がセット

5つ目の付加価値は「Pontaパス」。「auバリューリンクプラン」では月額548円の「Pontaパス」が標準付属することから、KDDIが経営参画したコンビニエンスストア「ローソン」などでお得な特典が利用できるようになる。

ローソンなどで利用できるお得な特典が付く有料プログラムの「Pontaパス」も、a「uバリューリンクプラン」には標準で付属する

ローソンなどで利用できるお得な特典が付く有料プログラムの「Pontaパス」も、a「uバリューリンクプラン」には標準で付属する

auの既存プランも月額110円から330円値上げ

新料金「auバリューリンクプラン」の内容を見ると、KDDIは他社に先行している衛星通信や、OpenSignalの調査で世界的にも高い評価を得たネットワークの優位性を生かし、通信サービスの基本となるネットワークに付加価値を付けることを重視しているようだ。いっぽう、サービス面での強化は「Pontaパス」など一部にとどまっている。「DAZN for docomo」がセットとなりお得さが高まったが、ユーザーを選ぶとの声も多かった「ドコモ MAX」と比べると、比較的穏当な内容と言える。

その分値上げ幅も550円と、既存プランから1,000円以上の値上げとなった「ドコモ MAX」より小幅にとどまっており、一見するとユーザーにやさしいように見える。だが、実は必ずしもそうとは言えない。なぜならKDDIは「使い放題MAX+ 5G/4G」など既存プランも値上げする方針を打ち出しているからだ。料金プランを乗り換えなくても値上げの影響を受けてしまうのである。

実は「auバリューリンクプラン」の提供後もauの既存プランは維持されるのだが、その代わりに料金が値上げされる。値上げ幅は110円から330円とされており、「使い放題MAX+ 5G/4G」や「auマネ活プラン+」などはいずれも330円の値上げ。各種割引なしでの月額料金は「使い放題MAX+ 5G/4G」が7,788円、「auマネ活プラン+」が9,108円となる。

auの既存プランは新プラン提供後も継続提供されるが、料金は値上げされ「使い放題MAX+ 5G/4G」では月額330円の値上げとなる

auの既存プランは新プラン提供後も継続提供されるが、料金は値上げされ「使い放題MAX+ 5G/4G」では月額330円の値上げとなる

もちろん、これらプランは単に値上げされるだけでなく、「auバリューリンクプラン」と同じ付加価値が付くのだが、「Pontaパス」はセットにならない。そして「auバリューリンクプラン」にも、“ポイ活”に対応した「auマネ活バリューリンクプラン」や各種サービスのバンドルプランも用意されることから、実は「auバリューリンクプラン」と「使い放題MAX+ 5G/4G」との違いは、月額220円の差額と「Pontaパス」が付くか否かだけなのである。

それゆえ、既存のauユーザーで、すでに「使い放題MAX+ 5G/4G」や「auマネ活プラン+」などを契約しているのであれば、いずれにせよ330円の値上げは覚悟する必要がある。ただ、すでに「Pontaパス」を契約しているのであれば、「auバリューリンクプラン」やその派生プランに乗り換えることで、「Pontaパス」の月額料金から220円を引いた月額328円分安く利用でき、実質的に値上げの影響をほぼ受けなくて済む。

実は「auバリューリンクプラン」と「使い放題MAX+ 5G/4G」の違いは、「Pontaパス」と月額220円の差だけ。「Pontaパス」契約者であれば新プランに乗り換えたほうが値上げの影響をそれほど受けずに済む

実は「auバリューリンクプラン」と「使い放題MAX+ 5G/4G」の違いは、「Pontaパス」と月額220円の差だけ。「Pontaパス」契約者であれば新プランに乗り換えたほうが値上げの影響をそれほど受けずに済む

値上げが大きく響くUQ mobileの新プラン

いっぽうで、より値上げの影響を強く受けてしまうのがUQ mobileである。UQ mobileはauと違って2つの新料金プランに総入れ替えする形が取られる。新たに提供されるのは、「コミコミプランバリュー」と「トクトクプラン2」の2プランだ。

UQ mobileは新料金プランの「コミコミプランバリュー」と「トクトクプラン2」に総入れ替えとなり、「ミニミニプラン」の後継は用意されていない

UQ mobileは新料金プランの「コミコミプランバリュー」と「トクトクプラン2」に総入れ替えとなり、「ミニミニプラン」の後継は用意されていない

「コミコミプランバリュー」は月額「コミコミプラン+」の後継プラン。割引を適用する必要なく35GBのデータ通信量と、1回10分以内の国内通話が利用でき、月額料金は3,828円。「コミコミプラン+」が月額3,278円なので、値上げ幅は550円とauの料金プランよりも大きい。

ただ、その分付加価値が新たに追加されており、「コミコミプラン+」でも対応していた「サブスクぷらすポイント」の還元率がau同様20%に増えたほか、「auバリューリンクプラン」と同様「Pontaパス」がセットになっている。それゆえ、「Pontaパス」をすでに利用している人なら、「コミコミプラン+」から乗り換えても大きな料金差はない。

「トクトクプラン2」は、各種割引の適用で安く利用できる「トクトクプラン」の後継で、月額料金は4,048円。トクトクプラン(月額3,465円)と比べると583円の値上げとなるのだが、「au PAYカードお支払い割」と「自宅セット割」の適用により月額2,728円に抑えられるほか、付加価値としてデータ通信量が15GBから30GBに倍増している。加えて、新たに「サブスクぷらすポイント」にも対応している。

また、「トクトクプラン」は、あまり使わなかった月、具体的には月当たりの通信量が1GB以下の時は1,188円の値引きが受けられたが、「トクトクプラン2」ではその上限が5GBにまでアップ。値引き額は1,100円とやや減っているものの、データ通信利用の変動が激しい人はより節約しやすくなった。

ちなみに、両プランとも、「au Starlink Direct」を月額550円で利用できる特典が用意されている。ただし、auとは違って別途SIMの発行が必要になることから、すでに「副回線サービス」などを利用しておりSIMスロットの空きがない人は注意が必要だ。

現状のUQ mobile「ミニミニプラン」は値上げの見込みで後継プランもなし

いっぽうで、UQ mobileの新料金プランには「ミニミニプラン」の後継プランがない。「ミニミニプラン」は通信量4GBで月額2,365円、各種割引を最大限適用すると1,078円で利用できる、小容量・低価格のプランなのだが、KDDIはその後継プランを用意しなかったのだ。

「トクトクプラン2」で通信量を5GB以下に抑えると月額2,948円、各種割引を最大限適用すると月額1,628円にまで引き下げられることから、そちらを「ミニミニプラン」の後継と位置付けていくようだが、その価格差は500円以上。もとが低価格なだけに、値上げされる割合が大きく負担感も大きい。

それゆえ、「ミニミニプラン」契約者は契約を維持したほうが得策に思われる。しかし、KDDIは今後UQ mobileも既存プランの料金改定を予定しており、値上げがなされる公算が高い。値上げがなされた際には他社サービスの乗り換えも検討したほうがよさそうだ。

店頭サポートが付く低価格プランに大きな影響

以上をまとめると、auは新プランの値上げ幅こそ大きくないものの、値上げの影響が既存プランにも及ぶため、新プランのメリットが得られる「Pontaパス」契約者でなければ大容量プラン利用者は年間で4,000円近くの値上げが見込まれる。UQ mobileについては、いずれ既存プランの値上げもなされるだけに、値上げを前提に新プランに乗り換えて付加価値を受けるか、節約にこだわるなら他社サービスへの転出、店頭サポートが不要ならpovoへの乗り換えも要検討だろう。

とりわけ、携帯電話会社に負担のかかる、店頭サポートが受けられる低価格プランが大きな影響を受ける点において、新規受付を停止するNTTドコモの「irumo」の500MBプランと似ている。結果、節約して料金を安く抑えたい人ほど選択肢が減っている。NTTドコモとKDDIの新料金プランで同様の傾向が見られることを考慮すると、今後発表される競業他社の新プランも類似した傾向になりそうだ。

佐野正弘
Writer
佐野正弘
福島県出身。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手がけた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手がける。
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田中 巧(編集部)
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田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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