レビュー

「Zenfone 12 Ultra」レビュー! AI 強化で魅力が増したお値打ちハイエンド

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

進化したAIと高性能を兼ね備えながら、価格は控えめ。ASUSのフラッグシップスマートフォン「Zenfone 12 Ultra」は、最新ハイエンドとして充実したスペックを持つ、高コストパフォーマンスな1台です。実機を使って、その実力と魅力を徹底レビューします。

ASUS のSIMフリーハイエンドスマートフォン「Zenfone 12 Ultra」。希望小売価格(税込)は16GBメモリー+512GBストレージモデルが169,800円、12GBメモリー+256GBストレージモデルが 149,800円。2025年5月30日発売

ASUS のSIMフリーハイエンドスマートフォン「Zenfone 12 Ultra」。希望小売価格(税込)は16GBメモリー+512GBストレージモデルが169,800円、12GBメモリー+256GBストレージモデルが 149,800円。2025年5月30日発売

前モデルから大画面を継承。リッチな質感のボディ表面が魅力的

「Zenfone」シリーズは、コンパクトボディやフリップカメラ、ジンバル付きカメラなど、他メーカーとは一線を画する独自性で注目されることが多い製品だ。しかし、昨年2024年7月に発売された「Zenfone 11 Ultra」は、ハイエンドスマートフォンのトレンドである大画面ディスプレイを搭載し、幅広いユーザーに訴求した。その後継となる「Zenfone 12 Ultra」もその流れを踏襲しているが、さらにオンデバイスAI機能を強化したことをセールスポイントとしている。

本機のディスプレイは6.78インチの有機EL。最近のスマホのなかでは画面は大きめだが、ベゼルが細く、ボディ幅は77mmに抑えられている。厚さは8.9mmで、重さは220g。手にすると、ハイエンド機らしい重厚さが感じられた。

6.78インチディスプレイのリフレッシュレートは最大144Hz。1〜120Hzの自動可変に対応している

6.78インチディスプレイのリフレッシュレートは最大144Hz。1〜120Hzの自動可変に対応している

カラーバリエーションはエボニーブラック、セージグリーン、サクラホワイトの3色で、筆者が借りたのはセージグリーン。落ち着いた色合いで、背面パネルはしっとりしているがサラリとした磨かれた石のような質感だ。透明のスマホケースが同梱されているが、そのまま使って感触を味わいたくなった。

カラーバリエーションは16GBメモリーモデル、12GBメモリーモデルどちらもエボニーブラック、セージグリーン、サクラホワイトの3色

カラーバリエーションは16GBメモリーモデル、12GBメモリーモデルどちらもエボニーブラック、セージグリーン、サクラホワイトの3色

背面パネルは磨かれた石のようなリッチな触感

背面パネルは磨かれた石のようなリッチな触感

クリアケースが同梱されている

クリアケースが同梱されている

右側面に音量ボタンと電源ボタンを、上部にマイクを搭載。底部にはUSB Type-C接続口、SIMスロット、スピーカー、マイク、さらに3.5mm穴のヘッドホン端子もある。

右側面に音量ボタンと電源ボタンを搭載

右側面に音量ボタンと電源ボタンを搭載

左側面にボタンや外部インターフェイスはない

左側面にボタンや外部インターフェイスはない

上部にはマイクのみ

上部にはマイクのみ

USB接続口は底部の中央ではなく左にある。ヘッドホン端子はこの面に配置されている

USB接続口は底部の中央ではなく左にある。ヘッドホン端子はこの面に配置されている

なお、スピーカーはディスプレイ上部にも搭載されていて、ステレオ音声を楽しめる。音量は十分で、好みの音質にカスタマイズできる「オーディオウィザード」機能も備わっている。好みの有線ヘッドホンを使うこともできるので、サウンドにこだわりがある人には魅力だろう。

「オーディオウィザード」は、デフォルトが「動的」で、「音楽」「シネマ」「ゲーム」に切り替えられる。イコライザーのカスタマイズも可能

「オーディオウィザード」は、デフォルトが「動的」で、「音楽」「シネマ」「ゲーム」に切り替えられる。イコライザーのカスタマイズも可能

高性能AIカメラに新しい撮影モードを追加

「Zenfone」シリーズのハイエンドモデルはカメラ性能に定評があり、もちろん本機にも継承されている。

背面のカメラは、広角(約5000万画素/F1.9)、超広角(約1300万画素/F2.2)、望遠(約3200万画素/F2.4)のトリプル構成。広角カメラには1/1.56インチの大型センサーを採用し、6軸のジンバルモジュールも内蔵する。このジンバルは従来よりも光学式手ブレ補正の角度が広くなり、前モデル比で補正制度が66%向上しているとのこと。望遠カメラは光学3倍ズームで撮影でき、デジタルズームは最大30倍。光学式手ブレ補正にも対応している。

5000万画素をメインとする3眼カメラを搭載。カメラ部は出っ張っている

5000万画素をメインとする3眼カメラを搭載。カメラ部は出っ張っている

実際に撮影してみると、超広角は若干暗めだが、広角と望遠は明るくメリハリが感じられる画質で写った。デジタルズームは10倍までは画質劣化を抑える「Hyper Clarity」で撮れる。しかし、最大の30倍にしても、さほど粗くならず、スマホの画面で見るには十分。デジタルズームも積極的に活用できそうな印象だ。

超広角カメラ(0.7倍)で撮影

広角、望遠カメラと比べてアンダー気味(暗め)。構図の中央あたりは解像感が高い

広角、望遠カメラと比べてアンダー気味(暗め)。構図の中央あたりは解像感が高い

広角カメラ(1倍)で撮影

こちらも解像感が高い。広角カメラは通常の撮影において4つの画素をひとつにまとめて感度性能を高め、明るく撮影できる

こちらも解像感が高い。広角カメラは通常の撮影において4つの画素をひとつにまとめて感度性能を高め、明るく撮影できる

広角カメラ(2倍のデジタルズーム)で撮影

5000万画素のうち、センサー中央の約1200万画素を切り取って、デジタルズームだが光学ズーム相当の劣化のない画質で撮れる。

5000万画素のうち、センサー中央の約1200万画素を切り取って、デジタルズームだが光学ズーム相当の劣化のない画質で撮れる。

望遠カメラ(光学3倍ズーム)で撮影

望遠カメラも鮮明な画質で写った

望遠カメラも鮮明な画質で写った

望遠カメラ(30倍のデジタルズーム)で撮影

最大の倍率となる30倍デジタルズーム。スマホの画面に表示させる分にはノイズも気にならない

最大の倍率となる30倍デジタルズーム。スマホの画面に表示させる分にはノイズも気にならない

広角カメラ(1倍)で撮影

店内で撮影。料理は明るめに写った

店内で撮影。料理は明るめに写った

広角カメラ(1倍)で撮影

夜景はバランスのよいコントラストに。シャッタースピードが1/5秒とかなり長めだが手ブレの影響はほぼ見られない。自慢の光学式手ブレ補正機構が効果的のようだ

夜景はバランスのよいコントラストに。シャッタースピードが1/5秒とかなり長めだが手ブレの影響はほぼ見られない。自慢の光学式手ブレ補正機構が効果的のようだ

自分好みの色合いで撮影できるカラーモード「Photo Vibe」も用意されている。色味を大きく変えたいわけではないが、「温かみを加えたい」「涼しくすっきりした雰囲気にしたい」といった際に役立ちそうだ。

「Photo Vibe」は初期設定が「スタンダード」で、これら4つのモードに切り替えられる。色調が大きく変わるわけではないので、日常的に使える

「Photo Vibe」は初期設定が「スタンダード」で、これら4つのモードに切り替えられる。色調が大きく変わるわけではないので、日常的に使える

本機は、オンデバイスのAI機能を大きく進化させているが、カメラでもAIを生かした新しい撮影を楽しめる。たとえば「AI流し撮り」機能では、動いている被写体を普通に撮影するだけで、被写体はブレずに、背景が流れるようにボケた写真を撮影できる。カメラを水平に動かしながらシャッターを切るといったテクニックは不要だ。

「AI流し撮り」で撮影した画像は、3つのボケ方から好みのものを選んで保存できる

「AI流し撮り」で撮影した画像は、3つのボケ方から好みのものを選んで保存できる

文書などをきれいに撮影できる「ドキュメントキャプチャー」も便利。単に文書の形が補正されるのではなく、先進のAIアルゴリズムによって、文書内の画像や文字の歪みも補正され、写り込んだ影も除去されるすぐれものだ。

「ドキュメントキャプチャー」は影も除去されるのが便利

「ドキュメントキャプチャー」は影も除去されるのが便利

本機のカメラは強力な手ブレ補正によって動画撮影にも優位性を持つ。さらに、新機能の「AIトラッキング」も追加された。動画を撮る際に、AIが認識した人物やペットを指定すると、ピントが追尾し、指定した被写体が画面の中央にとらえるように撮影が続けられる機能だ。筆者は愛犬を撮影してみたが、被写体がフレームから外れないようにカメラの向きを変える必要はあるが、愛犬が離れると自動でズームインされ、逆に近づくとズームアウトされるなど、簡単に被写体が際立つ動画が撮れることを確認できた。

被写体をAFが追尾し、フレーム中央に収める「AIトラッキング」

被写体をAFが追尾し、フレーム中央に収める「AIトラッキング」

ほかには、被写体にピントを合わせて、背景をぼかした動画が撮れる「ポートレート動画」モードも追加されている。

インカメラは3200万画素で、F値は2.0。鮮明が画質で自撮りを楽しめる。AIトラッキングはインカメラでも利用できるので、自撮り動画を撮りたい人にも役立つだろう。

ASUS独自の生成AI機能も実用性が高い

音声をテキスト化したり、要約したりといったAI機能も充実している。新たに搭載されたのが要約機能だ。ブラウザーに表示したウェブページを要約する「AI記事の要約」と、保存したドキュメントを要約する「AIドキュメント要約」機能が追加されていた。

「AI記事の要約」を試してみたが、要約結果は簡潔な箇条書きで表示された。ざっくりとした内容を把握できるので、気になる記事があるが、じっくり読む時間がないときに重宝しそうだ。

「価格.comマガジン」の記事を要約してみた。操作は、共有メニューから「AI記事の要約」を選択するだけ。タイトル部に文字化けが生じたが、どんな記事かがわかるように簡潔明瞭に要約された

「価格.comマガジン」の記事を要約してみた。操作は、共有メニューから「AI記事の要約」を選択するだけ。タイトル部に文字化けが生じたが、どんな記事かがわかるように簡潔明瞭に要約された

プリインストールされている「レコーダー」アプリでは、リアルタイムの文字起こしが可能。取材で録音した音声や、家族との会話を録音してみたところ、日本語の認識精度はかなり高いようだ。英語、中国語(繁体字、簡体字、広東語)、スペイン語、ドイツ語、フランス語など14言語に対応している。今回は、外国語の文字起こしは試さなかったが、最大3人の話者を識別し、複数の異なる言語を認識できるとのこと。通訳を介した会話を録音する機会に使ってみたいと思う。

青空文庫の読み上げ音声を録音して、要約してみた。牧野富太郎の「若き日の思い出」という作品で、著者の名前など一部正しく起こされなかった部分はあるが、9割以上正しく起こされて、簡潔に要約された

青空文庫の読み上げ音声を録音して、要約してみた。牧野富太郎の「若き日の思い出」という作品で、著者の名前など一部正しく起こされなかった部分はあるが、9割以上正しく起こされて、簡潔に要約された

「Zenfone」シリーズ独自の画像管理アプリ「ギャラリー」でもAIを用いた画像編集を楽しめる。本機で撮った写真だけでなく、ほかのデジカメで撮った画像やダウンロードした画像なども編集可能。筆者が気に入ったのは「AIピンボケ補正」という機能。過去に撮影して、ブレているのだが捨てられなかった写真を「Googleフォト」からダウンロードして補正してみたが、かなり鮮明な写真になった。

4年前に愛犬に初めて会った際に撮ったピントが甘い写真が、鮮明で高コントラストの写真によみがえった

4年前に愛犬に初めて会った際に撮ったピントが甘い写真が、鮮明で高コントラストの写真によみがえった

なお、新機能として「AI消しゴム」も追加されたが、Android標準の「フォト」アプリにもある機能なので、どちらを使うべきかは悩ましいところ。「ギャラリー」と「フォト」の両方でAI機能を利用できることを優位性ととらえるべきだろう。

パフォーマンスと電池持ちも満足できる

本機が搭載するSoCは、現行機種では最高峰のひとつであるクアルコムの「Snapdragon 8 Elite」だ。メモリーは16GBモデルと12GBモデルから選べるが、筆者が借りたのは16GBモデル。ぜいたくなハードウェアなので動作は悪いわけがない。実際、ストレスを感じることなくサクサクと操作でき、タッチ操作の追従性もハイエンド機らしくキビキビとしていた。

ベンチマークアプリ「Geekbench 6」でベンチマークを測定してみたが、やはりハイエンド機にふさわしい高いスコアを記録した。「Zenfone 12 Ultra」には、パフォーマンスと電池持ちのどちらを優先するかを選べる「システムモード」と言う機能がある。初期設定は「ダイナミック」だが、「高性能」に切り替えると、ベンチマークスコアはさらに上昇した。

「ダイナミック」で計測

「Geekbench 6」アプリで測定したベンチマークスコア。デフォルトの「ダイナミック」に設定した場合で、左がCPU、右がGPUのスコア。どちらもハイエンド機として申し分のない結果だ

「Geekbench 6」アプリで測定したベンチマークスコア。デフォルトの「ダイナミック」に設定した場合で、左がCPU、右がGPUのスコア。どちらもハイエンド機として申し分のない結果だ

「高性能」で計測

システムモードを「高性能」に切り替えると、さらに高いスコアをマークした。CPUとGPU両方のスコアがアップしていることが注目だろう

システムモードを「高性能」に切り替えると、さらに高いスコアをマークした。CPUとGPU両方のスコアがアップしていることが注目だろう

バッテリーは5500mAhで、駆動時間はWi-Fi接続時で約14.9時間、モバイル通信時で約13.1時間(5G)。カメラを多用した日でも電池は余裕で持続した。よほどのヘビーユーザーでない限り、1日でなくなる心配はないだろう。充電器は同梱されていないが、最大65Wの急速充電にも対応している。さらにワイヤレス充電(最大15W)にも対応している。

システムモードは4つから選べる。充電時のバッテリーへの負荷を低減できる機能も備えている

システムモードは4つから選べる。充電時のバッテリーへの負荷を低減できる機能も備えている

おサイフケータイ、防塵・防水、さらにeSIMにも対応!

「Zenfone」シリーズは便利な機能が多いことも特徴。本機には、これといった新しい機能はないようだが、ユーザーから支持されている機能は引き続き搭載されている。たとえば、背面をダブルタップするとスクリーンショットが撮れたり、片手で操作しやすくなる画面表示に切り替えられたりできる。

多くのユーザーに支持されている便利機能は引き続き搭載

多くのユーザーに支持されている便利機能は引き続き搭載

おサイフケータイにも対応しているので、タッチ決済も利用できる。本体にFeliCaのロゴはないが、カメラ部の下がNFCおよびFeliCaを認識するエリアとなっている。防塵・防水はIP65/IP68に対応している。

SIMスロットには2枚のnanoSIMを装着できるが、eSIMにも対応したので、nanoSIM+eSIMの2回線で運用することも可能。通話とデータ通信のSIMを使い分けられるし、eSIMは契約直後に発行されるので海外渡航時の利便性も増したとえよう。

おサイフケータイに対応し、eSIMも使える

おサイフケータイに対応し、eSIMも使える

【まとめ】最新AI×高機能で幅広いユーザーに適したハイエンド機

「Zenfone 12 Ultra」は、多くの人が必要とする機能をもれなく備えている。加えて、注力しているAI機能も「こんなこともできるのか!」と言うちょっとした感動がある。もちろん、Googleの「Gemini」も対応している。こうしたAIを使い続けていけば新しい活用法も見つかり、愛着も増しそうだ。

パッと見た印象だと、よくあるハイエンド機のようだが、実際に手にすると非常に質感がよい。操作感が申し分ない点も魅力的だ。独自機能が多いので、パフォーマンスやカメラの性能を重視するヘビーユーザーはもちろん、長く続けたい人も満足できる。価格は絶対的には安くはないが、内容を考えればお値打ち。ハイエンド機としては屈指の高コスパモデルと言えるだろう。

村元正剛
Writer
村元正剛
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの企画・編集などにも携わっている。
記事一覧へ
田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
記事一覧へ
記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
本ページはAmazonアソシエイトプログラムによる収益を得ています
関連記事
SPECIAL
ページトップへ戻る
×