サムスンから折りたたみスマートフォンの新モデル「Galaxy Z Fold7」が、2025年8月1日に発売されました。日本国内向けの折りたたみスマホとして史上最薄・最軽量を実現した注目製品です。SamsungオンラインショップでのSIMフリーモデルの価格は265,750円(税込)。高価ではありますが、その価格に見合う価値のある端末です。今回は、前モデルからの進化点・変更点を中心にレビューします。
サムスン「Galaxy Z Fold7」。2025年8月1日発売。SamsungオンラインショップでのSIMフリーモデルの価格は265,750円(税込)
「Galaxy Z Fold7」(以下、「Fold7」)の進化点で特に注目したいのが、「薄くて軽いボディ」です。折りたたんだ状態での厚さは約8.9mm、重量は約215g。サムスンによると、このスペックは日本国内向けの折りたたみスマホとして史上最薄・最軽量とのことです。ちなみに、前モデル「Galaxy Z Fold6」(以下、「Fold6」)は厚さが約12.1mmで、重量が約239g。この大幅な進化により、ストレート型の一般的なスマホとほぼ変わらない感覚で持ち運べるようになりました。
折りたたんだ状態の厚さはわずか約8.9mm、ストレート型スマートフォンと比較できるレベルの薄さです
重量は実測215.6g。機能性優先のストレート型のハイエンドスマートフォンと比較すればむしろ軽めな部類です
本機は開いた状態でも薄く、約4.2mmと驚くほどの厚さに収まっています。これまでの折りたたみスマホの「厚い」「重い」というイメージを完全に覆していると言っていいでしょう。7世代目にして極限まで追求された携帯性こそが、本機の最大の魅力です。
開いた状態の厚さは約4.2mm、折りたたむことを想定した設計としても、その薄さには驚かされます
ただし、本機は究極の薄型化を実現するために、「Sペン」には非対応となりました。これは、「Sペン」を機能させるために必要な「デジタイザー層」をディスプレイから省略したためです。
「Galaxy Z Fold」シリーズは第3世代から「Sペン」に対応。大画面と「Sペン」を組み合わせることで、手書きメモやイラスト作成、文書への書き込みといった生産性向上は特徴でした。「Sペン」をひんぱんに活用していたユーザーにとっては大きなマイナスポイントとなります。
「Fold7」はカメラ性能も大幅に進化しています。メインの広角カメラは、「Fold6」の約5000万画素から約2億画素へと大幅に画素数が引き上げられました。これにより、より高精細な写真が撮影可能となり、撮影後に大きく拡大したりトリミングしたりしても、画質は大きく劣化しません。「Galaxy Z Fold」シリーズのカメラは、「Galaxy S Ultra」シリーズよりやや劣る傾向でしたが、本機なら、カメラ性能も積極的に選ぶ理由になるでしょう。
広角は約5000万画素から約2億画素へと高画素化。スペック面では「Galaxy S25 Ultra」に並んでいます
さらに、望遠(光学3倍)、超広角カメラも搭載しており、インカメラは約400万画素から約1000万画素へと高画素化。よりきれいに自撮りできるようになりました。
インカメラは約400万画素から約1000万画素へと高画素化されました
Galaxyシリーズは画像処理技術に定評がありますが、カメラのイメージセンサーが高画素化することで、「Fold6」よりも高精細で美しい写真が撮れるようになりました。詳細は以下の静止画作例をご覧ください。
夏らしいコントラストの高い雰囲気をうまく再現。画面周辺部まで安定した画質が維持されています
画面右の木陰の再現力が良好。超広角カメラと比べた画質の統一感も、さすがハイエンドといったところ
光学3倍ズームの望遠カメラをデジタル10倍ズームで撮影。ノイズは現れているものの、10倍ズームとしてはディテールの再現度が高く、高画素センサーのパワーを感じる1枚となりました
長時間露光のナイトモードで夜景を撮影。クリアな夜景を手軽に撮ることができます
ただし、カメラ機能では、インカメラを高画素化するために、メインディスプレイがパンチホール仕様となりました。「Fold3」から「Fold6」までは、メインディスプレイのインカメラにアンダーディスプレイカメラが採用されていました。これにより、画面に穴が開いていない、より没入感の高い映像体験が可能だったのです。
アンダーディスプレイカメラの没入感に魅力を感じていたユーザーにとっては、デザイン面・体験面での後退と感じるかもしれません。
「Fold7」はインカメラを高画素化するため、パンチホール仕様となりました
「Fold7」は、折りたたみスマホ最大のメリットであるディスプレイが大型化。開いた状態のメインディスプレイは7.6インチから8インチに、閉じた状態のサブディスプレイも6.2インチから6.5インチに拡大しています。
メインディスプレイは7.6インチから8インチに拡大。タブレットのような画面サイズです
サブディスプレイは6.2インチから6.5インチに大型化。ストレート型のメインディスプレイとほぼ同じサイズです
どちらの画面も大きくなったことで、動画視聴やゲームの没入感が向上するのはもちろん、複数のアプリを同時に開くマルチタスク作業もより快適になりました。耐久性も向上しており、メインディスプレイには、チタンプレート層と従来比50%厚の「Ultra-Thin Glass」を採用。サブディスプレイには、「Corning Gorilla Glass Ceramic 2」などの新素材が使われています。
また、最新のGalaxyシリーズは独自AI「Galaxy AI」に特に力を入れていますが、本機なら、「文字起こしアシスト」「ウェブアシスト」「入力アシスト」などの実用的なAI機能を8インチの大画面で活用できます。これもこの端末ならではのアドバンテージと言えるでしょう。
「Fold7」は、クアルコム製の最新SoC「Snapdragon 8 Elite for Galaxy」を搭載しており、処理性能が着実に向上しています。今回、3DアクションRPG「原神」をインストールしてみたところ、画質設定は自動的に「高(デフォルト)」が設定され、大画面でスムーズにプレイできました。
「原神」をインストールすると、画質設定は自動的に「高(デフォルト)」が設定されました
もちろんアプリの起動や切り替えなどはサクサクで、高負荷な動画編集、書き出しも快適にこなせます。本機のようなフォルダブルスマートフォンは、折りたたみ構造のため、ボディ内の空間が狭く、通常のストレート型と比べて、冷却が難しく一時的に処理性能を引き下げる「サーマルスロットリング」が起こりやすい条件です。そのため、冷却性能を高めたゲーミングスマートフォンと比べると、ベンチマークスコアでは多少不利になります。ただし、大作ゲームを行わない普段使いではその差を体感することはまずありません。
Sペン非対応、アンダーディスプレイカメラ非搭載という大胆な割り切りがされていますが、「Fold7」は、驚異的な薄型化・軽量化を実現した最新の折りたたみスマートフォンです。大画面をコンパクトに持ち歩くというコンセプトを、極限まで追求するための決断は納得できます。
薄さ・軽さ、携帯性を最優先に考える人、そして大画面で写真や動画を思う存分楽しみたい人には、国内では唯一の存在です。本機は、これまでの折りたたみスマートフォンの「厚さ」と「重さ」を理由に敬遠していた人にこそ、ぜひ一度手に取ってほしい端末です。
8インチの大画面を普通のスマートフォンと同じ感覚で携帯できます