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ソフトウェアサポート6年の「Galaxy A36 5G」は屈指の高コスパ機

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2025年6月26日に発売が開始された、サムスンのミドルレンジスマートフォン「Galaxy A36 5G」。NTTドコモが取り扱うほか、サムスン直販のSIMフリーモデルも用意されている。価格はドコモ版が62,590円(「いつでもカエドキプログラム」を使用して最も好条件で下取りを行った場合の実質負担額は31,966円)、SIMフリーモデルが50,490円。この価格帯では珍しい最長6年のソフトウェアサポートが予定されている。
SIMフリーモデルを1週間ほど使ってみての感想をレポートしよう。

※本記事中の価格は税込で統一しています。

サムスン「Galaxy A36 5G」。NTTドコモ版は62,590円(「いつでもカエドキプログラム」適用時の実質負担額は31,966円)、SIMフリーモデルが50,490円となっている

サムスン「Galaxy A36 5G」。NTTドコモ版は62,590円(「いつでもカエドキプログラム」適用時の実質負担額は31,966円)、SIMフリーモデルが50,490円となっている

大画面有機ELディスプレイを搭載。上等なボディ質感

「Galaxy A36 5G」のディスプレイは約6.7インチのSuper AMOLED(有機EL) 。最近のスマホのなかでは大きめで、横幅は約78mm、重量は約195gとなっている 。筆者は「Galaxy S24」(約6.2インチ、重量約167g)を使っていることもあり、初めて「Galaxy A36 5G」を手にしたときには、ずっしりと重く感じられた 。しかし、大画面スマホとしては妥当なサイズ感だろう。

約6.7インチの有機ELディスプレイを搭載。解像度は1080×2340ドット。リフレッシュレートは最大120Hz

約6.7インチの有機ELディスプレイを搭載。解像度は1080×2340ドット。リフレッシュレートは最大120Hz

外見は、正面・背面ともにフラットで“硬質な板”といった趣。背面パネルもガラスで光沢が強めだ。ツルツルとした手触りで、ミドルレンジとは思えない高級感がある。サイドフレームは艶消しで、サラサラとした質感に仕上がっている。

背面パネルはガラスで、リッチな質感。おサイフケータイに対応しているが、FeliCaマークは付いていない

背面パネルはガラスで、リッチな質感。おサイフケータイに対応しているが、FeliCaマークは付いていない

厚さは約7.4mmと薄い。しかし、エッジを効かせた側面の形状のためだろうか感触としては、そんなに薄くは感じない。サイドフレームはマットでサラサラとした質感だ

厚さは約7.4mmと薄い。しかし、エッジを効かせた側面の形状のためだろうか感触としては、そんなに薄くは感じない。サイドフレームはマットでサラサラとした質感だ

カラーはオーサムラベンダー、オーサムブラック、オーサムホワイト、オーサムライムの4色 。筆者はオーサムブラックを借りた 。グレー寄りの黒で、ビジネスやフォーマルなシーンにも適している 。ほかの3色は明るい色なので、日常使いに向いているだろう。

右側面に音量ボタンと電源ボタンを搭載。上部にはマイクがあり、下部にSIMスロット、USB Type-Cポート、マイク、スピーカーを備える 。スピーカーはディスプレイの上にもあり、ステレオ音声を楽しめる。

右側面に音量ボタンと電源ボタン。なお、指紋センサーは画面内に搭載されている

右側面に音量ボタンと電源ボタン。なお、指紋センサーは画面内に搭載されている

上部にはマイクを搭載。ヘッドホン端子は搭載されない

上部にはマイクを搭載。ヘッドホン端子は搭載されない

下部にUSB Type-Cポート、SIMスロット、スピーカー、マイクを備える。SIMスロットにはnanoSIMを1枚のみ装着でき、microSDメモリーカードには対応していない

下部にUSB Type-Cポート、SIMスロット、スピーカー、マイクを備える。SIMスロットにはnanoSIMを1枚のみ装着でき、microSDメモリーカードには対応していない

トリプルカメラの画質は及第点

背面には広角(約5000万画素/F値1.8)+超広角(約800万画素/F値2.2)+マクロ(約500万画素/F値2.4)を組み合わせるトリプルカメラを搭載。広角カメラにはミドルレンジ向けとしては比較的大きい1/1.9インチのイメージセンサーを採用している。光学式と電子式の両方の手ブレ補正にも対応し、実売5万円台のスマホとしては上々の仕様だろう。

トリプルカメラは、上から超広角、広角、マクロの順に並ぶ

トリプルカメラは、上から超広角、広角、マクロの順に並ぶ

フロントカメラはパンチホールに収まる。有効画素数は約1200万画素、F値は2.2。顔にユニークなエフェクトをかけられる「ファン」モードも楽しめる

フロントカメラはパンチホールに収まる。有効画素数は約1200万画素、F値は2.2。顔にユニークなエフェクトをかけられる「ファン」モードも楽しめる

広角カメラの画質は明るさも色合いもバランスがよい。いっぽう超広角カメラは色の表現域が狭いようで、色がやや浅く感じられた。トータルでは、ミドルレンジとしてまずまずの印象を受けた。

なお、広角カメラの有効画素数は約5000万画素だが、デフォルトでは4個の画素センサーを仮想的にひとつにまとめる“ピクセルビニング”によって、約1250万画素で記録される。そして、2倍ズームではピクセルビニングを解除しつつ、センサー中央部をトリミングするデジタルズームで、劣化のない光学ズーム相当の画質で撮影が行える。なお、デジタルズームは最大10倍だが、画質にこだわるなら4〜5倍くらいに止めるのがよさそうだ。

超広角(0.5倍)で撮影

明るく写るが、ハイライトになる磯の岩肌や暗部の木陰の濃淡が少し弱くなる

明るく写るが、ハイライトになる磯の岩肌や暗部の木陰の濃淡が少し弱くなる

広角カメラ(1倍)で撮影

実際に見えるよりも鮮やかな色調で写った。上の超広角カメラと比べると色乗りが良好でよりクッキリ写る

実際に見えるよりも鮮やかな色調で写った。上の超広角カメラと比べると色乗りが良好でよりクッキリ写る

広角(2倍)で撮影

ワンタッチで2倍に設定でき、画質もクッキリしている。積極的に使いたい画質だ

ワンタッチで2倍に設定でき、画質もクッキリしている。積極的に使いたい画質だ

広角(デジタルズーム10倍)で撮影

10倍の最大倍率で撮ると、かなり粗い画質になる。“きれいな映像を残す”視点で見ると、性能の限界を感じる

10倍の最大倍率で撮ると、かなり粗い画質になる。“きれいな映像を残す”視点で見ると、性能の限界を感じる

広角カメラ(1倍)で撮影

室内で料理を撮影。実際より明るめで、自然な色味で写った

室内で料理を撮影。実際より明るめで、自然な色味で写った

広角カメラ(1倍)で撮影

ポートレートモードで撮影。背景と被写体の境界もナチュラルな背景ボケが得られた

ポートレートモードで撮影。背景と被写体の境界もナチュラルな背景ボケが得られた

夜景の撮影画質にも満足できた。適切な色合いで、シャープな画質で写った。細部を拡大してみると、若干粗さが気になったが、スマホやパソコンの画面で楽しむには支障はない。

広角カメラ(1倍)で撮影

ナイトモードで撮影。実際に見えるよりもキレイに写るのがうれしい

ナイトモードで撮影。実際に見えるよりもキレイに写るのがうれしい

最近は超広角カメラでマクロ撮影ができる機種が増えているが、「Galaxy A36 5G」にはマクロ専用のカメラが搭載されている。広角/超広角カメラと比べてスペックが低いので、画質には期待していなかったが、予想よりもきれいに写った。被写体から1〜2cmの距離まで近づくことができ、オートフォーカスはないが、ピントは合わせやすい。フリマアプリに出品する物の細部を撮りたい場合などに活用できそうだ。

マクロモードで撮影。ミドルレンジのマクロカメラの画質は期待できないがことが多いが、「Galaxy A36 5G」では予想以上の画質だった

マクロモードで撮影。ミドルレンジのマクロカメラの画質は期待できないがことが多いが、「Galaxy A36 5G」では予想以上の画質だった

簡易版生成AI「Awesome Intelligence」はライトユーザーには必要十分

サムスンは昨年来、AI機能に注力しており、フラッグシップの「Sシリーズ」と折りたたみの「Zシリーズ」に独自開発の「Galaxy AI」を搭載している。ミドルレンジの「Aシリーズ」は「Galaxy AI」を採用していないものの、まったくAIが利用できないわけではなく、「Galaxy A36 5G」には、「Aシリーズ」で初めて「Awesome Intelligence」というサムスン独自のAI機能が搭載されている。

「Awesome Intelligence」の機能は「設定」→「便利な機能」→「インテリジェント機能」で確認できる

「Awesome Intelligence」の機能は「設定」→「便利な機能」→「インテリジェント機能」で確認できる

「Awesome Intelligence」は、「Galaxy AI」に比べるとできることが少ない。Galaxy独自の機能としては、選択した項目から連携する操作を素早く行える「AIセレクト」と、撮影した画像から不要なものを消す「AI消しゴム」などがある。

サイドメニューを表示させて「AIセレクト」をタップすると、画面上にある画像やテキストを指定して、そこから行える作業に進める

サイドメニューを表示させて「AIセレクト」をタップすると、画面上にある画像やテキストを指定して、そこから行える作業に進める

「ギャラリー」に保存した画像は「AI消しゴム」で不要な物などを消すことができる。ただし、消した後の背景の生成は今ひとつな印象がある

「ギャラリー」に保存した画像は「AI消しゴム」で不要な物などを消すことができる。ただし、消した後の背景の生成は今ひとつな印象がある

加えて、Googleの「Gemini」や「かこって検索」も利用できる。日常的な検索や、ちょっとした文章作成などは「Gemini」で事足りるはずだ。しかし、通話音声のリアルタイム翻訳や、録音した音声の文字起こし、要約などを利用したいのであれば、フル機能版の「Galaxy AI」に対応する上位機種を選ぶのが得策だろう。

電源ボタンの長押しで「Gemini」が起動。対話型の「Gemini Live」で知りたいことを調べることもできる。画面を共有して質問することも可能

電源ボタンの長押しで「Gemini」が起動。対話型の「Gemini Live」で知りたいことを調べることもできる。画面を共有して質問することも可能

ディスプレイに表示されている物を指でなぞって囲って調べられる「かこって検索」もスムーズに利用できた

ディスプレイに表示されている物を指でなぞって囲って調べられる「かこって検索」もスムーズに利用できた

ストレスなく使えて、電池持ちにも満足

SoCはクアルコムの「Snapdragon 6 Gen 3」。クロック周波数が最大2.4GHzのミドルレンジ向けのチップだ。前世代モデルと比べると、時流に合わせてAIの処理性能を強化している。この性能を使い、「Awesome Intelligence」や「Gemini」を支えている。

ベンチマークアプリ「Geekbench 6」で処理性能を測定したところ、結果はシングルコアが1001、マルチコアが2607だった。現状で最高クラスの性能を備えたハイエンドスマートフォンであるASUS「Zenfone 12 Ultra」のスコアは、シングルコアが3008、マルチコアが9675(※価格comマガジンで行ったベンチマークテストの結果)だったので、これと比べると、おおむね1/3という結果になる。よくも悪くもなく、“まさにミドルレンジ” と思えるスコアだろう。

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2025/06/05 11:00
「Geekbench 6」アプリでのベンチマークスコアは、他メーカーのミドルレンジモデルと同等だった

「Geekbench 6」アプリでのベンチマークスコアは、他メーカーのミドルレンジモデルと同等だった

RAMは6GB。最近のミドルレンジとしては少なく感じた。だが、実際に使ってみて、反応が鈍くなったり、不便を感じたりすることはない。プリインストールされている基本アプリはストレスなく使えるだろう。

バッテリー容量は5000mAh。5Gスマホとして十分な容量で、サムスンは「動画視聴は最長で約29時間」としている。実際、外出先でWebを見たり、カメラを使ったり、標準的と思える使い方を試したところ、電池は1日どころか2日以上持続しうるペースだった。電池のむだ使いを抑える「省電力モード」も用意されているので、多少ヘビーに使うことがあっても心配ないだろう。充電器は同梱されていないが、45Wの急速充電にも対応している。

電池持ちは良好。さらに電池を長持ちさせる「省電力モード」も備えている

電池持ちは良好。さらに電池を長持ちさせる「省電力モード」も備えている

【まとめ】欠点がないミドルレンジの優等生。6年サポートのトータルコストも魅力

「Galaxy A36 5G」は、飛び抜けた高性能ではないが、これといった欠点がない端末と評価することができそうだ。情報が見やすい大画面ディスプレイを搭載し、日常使いには困らない機能が揃っている。おサイフケータイや水没に耐えるIP68の防水・防塵にも対応。eSIMに対応し、nanoSIMカードとeSIMの組み合わせのほか、2種類のeSIMを併用もできる。さらに、最大6世代のOSバージョンアップと、発売後6年のセキュリティアップデートに対応しているので、長期的に使う場合のコストは相当低く抑えられるだろう。

筆者はIIJmioのドコモ回線のeSIMをインストールして使ったが、さらにもう1枚にeSIMを追加して使うこともできる

筆者はIIJmioのドコモ回線のeSIMをインストールして使ったが、さらにもう1枚にeSIMを追加して使うこともできる

目立つ新機能はないものの、大きな画面で使いやすく、「Galaxy」シリーズの洗練された操作性やAndroidスマートフォンでは世界トップシェアの安心感が魅力だ。高性能のカメラや、最新の生成AI機能を必要とせず、凝ったグラフィックのゲームをしないのであれば、十分満足できるだろう。

価格だけを見ると、さらに安いミドルレンジ機は存在する。しかし、長期のソフトウェアサポートを考慮すると、屈指の高コスパ機となるだろう。

村元正剛
Writer
村元正剛
iモードが始まった1999年からモバイル業界を取材し、雑誌やWebメディアに記事を寄稿。2005年に編集プロダクション「ゴーズ」を設立。スマホ関連の書籍・ムックの企画・編集などにも携わっている。
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田中 巧(編集部)
Editor
田中 巧(編集部)
通信を中心にしたIT系を主に担当。Androidを中心にしたスマートデバイスおよび、モバイルバッテリーを含む周辺機器には特に注力している。
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