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「VR=仮想現実」って何? 何が見えるの? どんな体験ができるの?

“2016年はVR元年”“VR関連で生み出される市場規模は世界で約8兆円”など、大々的に報じられる事もある最近話題の「VR」。一度は耳にしたことがあるのではないだろうか? 今回は、我々の生活を大きく変える可能性を秘めたこの「VR」を解説。今すぐ体験できる機器やサービスも紹介しよう。

そもそも「VR」とは?

VRとはVirtual Realityの略で、一般的に「仮想現実」と訳される。主にコンピューターや電子技術を用いて、人間の視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚といった五感を刺激し、あたかも現実かのように体感させる概念や技術を指す。広義にはテレビ、映画、シミュレーションタイプのゲームも、自宅に居ながら世界の風景や創造上の物語に没入感を得られれば、VRと言える。

今話題の「VR」ってどんなモノ?

今話題になっているVRの最小要件は、主に頭部にゴーグルのように装着するヘッドマウントディスプレイ(Head Mount Display・HMD)を用い、360度全天球の映像から、ユーザーが見たい方向を見られるシステムという解釈でよいだろう。直近の切っ掛けは、ゴーグル型で視野を覆うコンピューター映像を立体視できる「オキュラス・リフト」の登場で、ユーザーや開発者を刺激し、現在のVRブームに至っている。

東京ゲームショー2014、オキュラスブースにて。「オキュラス・リフト」で、360型の全天球CG映像をデモ。頭の動きに合わせてスムースに変化する映像に、VR時代の到来を確信した

VR製品あれこれ

今話題になっているVR関連製品を具体的に紹介しよう。

オキュラス「Oculus Rift(オキュラス・リフト)」
VRを身近にした元祖とも言えるオキュラス社の「オキュラス・リフト」。ゴーグルのように装着するヘッドマウントディスプレイで、PCとの組み合わせを前提としている。同社サイト(https://www.oculus.com/)から購入可能。PCは非常なハイスペックが要求され、一般ユーザーには敷居が高いだろう(開発デモ、商用サービスでの利用が多い)。

Oculus Rift (画像は公式サイトより)「オキュラス・リフト」
推奨PCスペック−ビデオカード:NVIDIA GTX 970 / AMD R9 290 同等以上、CPU:Intel i5-4590同等以上、メモリー:8GB+ RAM、ビデオ出力:HDMI 1.3、USBポート:USB 3.0×3、USB 2.0×1、OS:Windows7 SP1 64 bit 以降

HTC「VIVE」
コンテンツ、インターフェイス、操作の全方位に渡って完成度が高く、民生用製品としていち早く製品化されて注目を集めた「VIVE」。オキュラス・リフトと同様、使用はPCとの組み合わせを前提としていて、PCの要求スペックも高い。

「HTC Vive(バイヴ)」
「VIVE」推奨PCスペック−GPU: NVIDIA GeForce® GTX 1060 / AMD Radeon™ RX 480同等以上、CPU: Intel® i5-4590 / AMD FX 8350同等以上 、RAM: 4GB以上、ビデオ出力: HDMI 1.4またはDisplayPort 1.2以上、USBポート: USB 2.0以上、OS: Windows 7 SP1以降

SIE(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)「PSVR」
「2016年はVR元年」を決定づけたのが、「PlayStation VR」(通称PSVR)。2016年10月13日発売。家庭用ゲーム機「PlayStation4」(通称PS4)との組み合わせが前提で、PS4とPSVRの両方を購入しても10万円以内に収まる手軽な価格も魅力だ。

「PlayStation VR(CUHJ-16000)」 価格は48,578円(税込)

「PlayStation VR(CUHJ-16000)」 価格は48,578円(税込)

また、「PlayStation4」をベースとしているため、PCを利用する「オキュラス・リフト」や「VIVE」よりも扱いやすく、ユーザーを選ばない点で敷居が低い。家庭でみんなが利用できるVRの登場と言える。

手軽に体験できる! 簡易型VRあれこれ

費用をかけずにVRを体験できる製品やサービスも増えている。最も手軽なのは、スマホとアプリの利用。無料で体験できるものもあるので、まずは試してみよう。VRの魅力を体感できるはずだ。

スマホだけで簡単VR体験 「VR動画視聴」
例1 「360Channel」(無料 https://www.360ch.tv/)
iOS/Androidアプリをインストールすると、無料で360度撮影されたアイドルライブ、ANA機体工場見学、動物映像などが視聴可能。スマホを上下左右に動かせば、見たい方向の映像が映し出され、VRの魅力の一端を体感できる。
例2 「YouTube」
「360度動画」や「360°」といったキーワードで検索すると、360度撮影された多数の動画が見つかる。

スマホに段ボール製のゴーグルをプラス。立体VR体験
スマホで360度映像を、視野を覆う大画面で、あるいは立体化してくれるゴーグル製品も多数登場している。その中でも特にお手軽なのが、段ボール製の「ハコスコ」だ。

⇒価格.comで「ハコスコ」製品をチェックする

エンターテインメントとしてのVR

VRは家庭用としてだけでなく、商用のエンターテインメントとしても広がってきた。テーマパークのアトラクションから、映画、ゲームまで、振動や風など、体感要素を増やすことで、究極のVR体験が可能になる。

富士急ハイランドのアトラクション「富士飛行社」
「富士飛行社」は、視野を覆う富士山周辺の飛行映像に、可動型のシートと風やミストで五感を刺激する、VRフライトシュミレーターとして注目されている(以下は富士急ハイランド「富士飛行社」公式紹介映像)。

アーケードゲームもVRを採り入れて進化するだろう。飛行機、自動車、バイクなどの運転シミュレーション系ゲームならリアルな座席やハンドルを備えて、家庭用ゲームよりも、より臨場感の高い体験を提供してくれるはずだ。

コンテンツ東京2016「先端コンテンツ技術展」で、プロトタイプが展示していた「GOODSPEED VR」。本物のバイクに跨って操作を行い、映像に応じて風を感じさせるファンも搭載。究極のVRゲームとして、また、危険を伴わないバーチャルトレーニングなど、応用が期待できる

さいごに

こうしたVR体験がゲームや映画など、家庭用エンターテイメントとして利用できるようになるのは、ユーザーにとって新しい楽しみと言える。当面、VRコンテンツは、ゲームが主体と考えられるが、映画もVR化が進みそうだ。3Dデータを元にレンダリングされるCGアニメ作品なら、直ぐにでも対応が可能だろう。実写中心の作品のVR化もそう遠くない将来、当たり前になるかもしれない。既にアメリカではスティーブン・スピルバーグ監督が関わるVRコンテンツ制作会社「The Virtual Reality Company」が注目されるなど、具体的な動きも見えて来た。

また、さらにその先にはVRが生活に溶け込み、SFさながら、効率的で快適な社会が実現するかもしれなない。例えば仕事なら、会社や取引先とのミーディングも、電話会議ならぬVR会議で実在感を増すことで、出社や出張を減らせる可能性がある。移動のエネルギーや時間が節約できそうだ。全てがサイバー空間の中で完結すると、人々は一日中自宅でヘッドマウントディスプレイを装着して過ごし、現実の世界が空虚なものになる日がやってくるかもしれない。

鴻池賢三

鴻池賢三

オーディオ・ビジュアル評論家として活躍する傍ら、スマート家電グランプリ(KGP)審査員、家電製品総合アドバイザーの肩書きを持ち、家電の賢い選び方&使いこなし術を発信中。

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