2024年5月15日、IoTスマートホームデバイスの企画や製造、販売を行うSWITCHBOT(スイッチボット)は、画期的な水道直結の全自動給排水システムと、リアルタイムモップ洗浄機能を備えた新しいハイエンドロボット掃除機「SwitchBot お掃除ロボットS10」(以下、「S10」)を発売した。
全自動給排水でメンテナンスの手間を圧倒的に省いた「SwitchBot お掃除ロボットS10」【SPEC】●本体サイズ:365(幅)×365(奥行)×115(高さ)mm●「ゴミ収集ステーション」サイズ:260(幅)×207(奥行)×412(高さ)●「水交換ステーション」サイズ:400(幅)×165(奥行)×100(高さ)mm●外付け水タンクのサイズ:421(幅)×200(奥行)×244(高さ)mm
価格は119,820円(税込)。だが、同年6月3日までの購入に限り、割引および「一年分アクセサリー消耗品セット」もしくは「外付け水タンク」が無料で入手できるキャンペーンを展開している。
2024年5月15日時点で判明している価格は以下のとおり。
●公式サイト:100,960円(カートに入れると割引される)
●「Amazon公式ストア」:実質100,649円(119,820円だが19,171ポイント獲得)
●「ビックカメラ.com」:実質104,436円(116,040円だが11,604ポイント獲得)
「ヨドバシカメラ」「ヤマダ電機」などでも販売される予定だ。なお、「一年分アクセサリー消耗品セット」もしくは「外付け水タンク」の無料プレゼントを受け取る場合は、レシートなどの購入履歴をSwitchBotサポートチームへ提出する必要がある。
本機は、これまで人間の手でいちいち行っていた浄水タンク補充と排水タンク清掃が一切不要になったということで、現在ロボット掃除機を利用中のユーザーからも注目を集めているようだ。とはいえ、はたして本当に運用の手間が大きく解消されるのか? は気になるところ。今回はそのあたりを中心に詳細を確認していきたい。
「S10」最大のポイントは、従来であれば1台のクリーンステーションが充電+ゴミ収集+給排水を担っていたところを、「充電+ゴミ収集のステーション」と「水交換ステーション」という2台に分離させた世界初のデュアルステーション設計だろう。
まず「水交換ステーション」は、ロボット掃除機本体が接続されると、浄水を水道管から直接給水し、さらに水拭き後の汚水はそのまま下水管へと排水することが可能。つまり、ユーザーの手で水タンクに水を汲んだり、汚水タンクを洗ったり、という手間が完全に解消されるというわけだ。もちろん、専用洗剤の自動投入機能も備えている。
左から「水交換ステーション」「S10本体」「ゴミ収集ステーション」
給排水を完全自動化するには水道管の接続が必要となるが、これに対してSWITCHBOTが提案しているのが、洗濯機周りへの設置だ。
「水交換ステーション」を洗濯機に設置した例
給水ホースは洗濯機用の給水アダプターから分岐接続し、排水ホースは防水パン内の排水口へ接続させればよいので、設置作業は意外と簡単に済みそう。もちろん状況にもよるが、一般的な洗濯機であれば、10分程度で特別な工具も使わずに作業できるとのこと。「水交換ステーション」自体は、高さが防水パンの縁とほぼ同じサイズなので、設置したときの違和感はかなり少ないだろう。
浄水は、洗濯機の給水アダプターに分岐水栓を追加して、ここから給水。設置作業は、いったん水栓を閉めてから間にねじ込むだけなので簡単だという
排水も洗濯機の排水ホースに合流させればOK
洗濯機前に配置したイメージ
「水交換ステーション」に掃除機本体が接続中。このとき、浄水の補給/汚水の排出/本体から「水交換ステーション」への給電の3つが行われている
また、洗濯機周りには「水交換ステーション」が置きづらいという場合も、洗面台や食洗機周りといった設置プランは複数用意されており、さらにそれぞれに対応した分岐水栓などもオプションとして付属している。
ちなみに、「水交換ステーション」の電源に関しては、給排水の接続時に掃除機本体のバッテリーから給電される仕組みなので、近くにコンセントがある必要はない。それでも水周りに設置が難しいのであれば、本機自体の導入メリットはやや薄れるが、「水交換ステーション」にドッキングさせる「外付け水タンク」も別売りで用意されている。
オプションの「外付け水タンク」。「水交換ステーション」に浄水・汚水タンクを接続することで、水道管への直結は不要になる
さらに、ロボット掃除機本体の機能で目新しいのが、床の汚れを水拭きすると同時にモップ自体もきれいに洗う「リアルタイムモップ洗浄」だ。
たとえば、キッチンの床に跳ねた油や調味料の汚れを掃除する場合、これまでのロボット掃除機のモップ水拭きだと、拭き取った汚れをそのままきれいな床に塗り広げていた、というケースが考えられた。この汚れはステーションに戻ってモップ洗浄するまでは付着したままとなる。
対して「S10」の水拭きシステムは、筒状のローラーモップを回転させて水拭きし、同時に本体内部で浄水によるモップの水洗いとワイパーによる汚水の水切りを行う、というもの。つまり、床に触れるモップ面は常に水洗い済みでリフレッシュされた状態、という非常に清潔感の高い機構に設計されているわけだ。
床を水拭きしつつ、付着した汚れを洗い落とせるローラーモップ。他社製品にはない独特な形状だ
床にこぼした飲み物を拭き取って汚れたモップ。これを本体に戻して稼働させると……
本体内でモップが回転することで、モップの洗浄と汚水の回収が行われる
再びモップを取り出してみると、飲み物のシミと汚れが取れてきれいになっていた
水拭き自体の手順は、以下のとおりだ。
(1)8つの噴射口から浄水を噴射
(2)最大10N(約1kgf)加圧したローラーモップによる300回転/分の水拭き
(3)本体内でモップを浄水洗浄
(4)ワイパーで汚水を水切り
(5)汚水タンクへ回収
基本的なモップ洗浄はこのとおり常時行われているが、加えて「水交換ステーション」に接続中に改めてモップへ運転中洗浄の10倍の量の水を使ったディープクリーニングを行い、最終的に「ゴミ収集ステーション」へ帰着した際には、ゴミ回収・充電と合わせてモップの温風乾燥(約50度)が行われる。
本機は、IoTデバイスのトップブランド、SWITCHBOTの製品というだけあって、同社のスマートホーム共通規格「Matter」にも対応。「SwitchBot ハブ2」または「ハブミニ(Matter)」につなぐことで、ホームアプリから「Matterデバイス」として管理できる。
さらにユニークなのが、同社から2024年7月発売予定の加湿器「SwitchBot 気化式加湿器Plus」との連携機能だ。「SwitchBot 気化式加湿器Plus」と相互にやり取りし、加湿器の水タンクが足りない場合は、「S10」が本体内の浄水タンクに貯めたきれいな水を運び、接続することで加湿器タンクへと水を補給するのである。
つまり、本機は掃除だけでなく、加湿器への水汲みまで全自動でこなしてくれるわけで、もはや掃除ロボットを超えて“家事ロボット”へと進化しつつあるようだ。
新製品「SwitchBot 気化式加湿器Plus」と接続中。「S10」の浄水タンクから加湿器へと水が補充されている
もちろん、掃除機としての機能にも不満はない。
毛絡みの少ないラバーブラシ(シングル)を搭載し、吸引力は同社最強クラスとなる6,500Pa。昨今の各社ハイエンドモデルと比較すると数字的にはややパワー不足に感じるかもしれないが、実機による清掃デモを見た印象としては、特に不満を感じるようなことはなかった。
加えて、現在のハイエンドモデルにはほぼ必須となった、前面カメラとAIアルゴリズムによる障害物回避や、高精度レーダーナビによる室内マッピングも備え、10万円ちょっとという価格帯としては十分すぎる性能と言えるだろう。
吸引力は他社機より若干低めとはいえ、6,500Paは2023年のハイエンドモデルクラス。性能的にヒケを感じることはそこまでないはずだ
毛絡みが少ないゴム製ブラシ。これもメンテナンスフリーでありがたい
「ゴミ収集ステーション」と「水交換ステーション」に機能を分けたことでそれぞれがコンパクトになり、設置のしやすさが向上しているのも大きなポイント。単身者向けの1DKほどの生活スペースでも、導入を考えやすいだろう。
何より、忙しい中で家事労働の手間を省くためにロボット掃除機を導入するわけだから、代わりに浄水の補充や汚水タンクの清掃といった手間がかかったのでは本末転倒。そのあたりまでクリアできる掃除機のほうが、導入メリットが大きいのは言うまでもないだろう。
冒頭でも述べたとおり、2024年6月3日までに購入すれば、価格が15%オフになるほか、「外付け水タンク」(通常9,980円)または「一年分アクセサリー消耗品セット」(通常11,580円。ゴミパック/フィルター/ローラーモップなどが同梱)が無料で付いてくるキャンペーンを展開中なので、この機会にぜひ検討したい。