EcoFlow(エコフロー)は2024年8月29日、ポータブル電源の新製品として、容量1,024Whの「EcoFlow DELTA 3 Plus」と245Whの「EcoFlow RIVER 3」を発表した。いずれも9月1日に発売する。新製品発表会では、ポータブル電源のほかにも、モバイルバッテリーや自動車用オルタネーター、ソーラーパネル付きハットなど今後発売予定のユニークな製品もお披露目された。ポータブル電源の大手メーカーらしい一歩先行く充実の内容だったので、発表された製品をまとめて紹介 しよう。
発表会の冒頭では、企業の取り組みやスタンスのほかに、昨今の社会的な情勢として、防災意識の高まりとそれに対するポータブル電源の役割についてもプレゼンテーションがあった。
以前はキャンプなどのアウトドアで便利に活用できるイメージが強かったポータブル電源だが、防災意識が向上している昨今では、停電時の備えとしても注目度が高まっているという
メディアの報道などでは、地震災害や台風の被害予測も叫ばれており、防災に対する意識は急激に高まっている
政府が予測する首都直下型地震が発生した場合の大型停電の規模。大型停電時の備えとして、ポータブル電源の使用は重要と思われる。エコフローでは、能登半島地震において、76台の大容量ポータブル電源を被災地に送っており、実際の避難生活に使われた実績があるという
EcoFlow Technology Japanが展開するポータブル電源のなかでも25%前後の売り上げ構成比を占めるという、売れ筋の大容量シリーズ「DELTA」の最新モデル。「DELTA」シリーズは、世界累積販売台数 100 万台以上を販売したという。
「EcoFlow DELTA 3」の後継機種「EcoFlow 3 Plus」。容量は1,024Whで大容量モデルに分類されるが、最近は大容量なポータブル電源の需要が増しており、同社では主力製品となっている
ACコンセントからポータブル電源への充電時間は約56分で、「EcoFlow DELTA 3」の約80分よりさらに高速化し、業界トップクラスの高速充電を実現。「EcoFlow DELTA 3」では3kWhだった容量拡張が5kWhまでアップした。
また、バッテリーパックが新たにIP65に準拠し、耐水・防塵性能を付加。インバーターの冷却構造などを改良することで、30dB未満(出力約600Wのとき。同約1200Wのとき40dB未満)の静音動作も実現している。
「EcoFlow DELTA 3 Plus」のメーカー希望小売価格は149,600円(税込)で、発売後3か月間で1万台の販売を見込む。
最大3,000Whの電力があれば、一般家庭で使用されている家電のほとんどを稼働できるという。これだけあれば災害発生時の停電対策でも活躍してくれそうだ
AC出力をすべて使用した状態。実際にこれだけ接続して家電を使用しても、非常に静かな音で動作していた
スマートフォンアプリ「EcoFlowアプリ」と連動することで、消費電力をリアルタイムで把握できるのはこれまでどおりだが、「EcoFlow 3 Plus」には、台風や豪雨の予報にあわせて、蓄電の状況を知らせてくれる機能「台風警報モード」も搭載されている
【主要スペック】
バッテリー容量:1,024Wh
バッテリー:40135LFPバッテリー
AC出力:ACコンセント×6 (定格1,500W/瞬間最大3,000W/X-Boost 2,000W)
USB出力:USB Type-Aポート×2、USB Type-Cポート×2
DC出力:シガーソケット×1、DC5521×2
追加機能:X-Boost※1、X-Stream※2、X-Quiet※3、X-Core、Wi-Fi、Bluetooth、IP65準拠、UPS(切替時間:10ms)
本体サイズ・重量:約397(幅)×202(奥行)×283(高さ)mm・約12.5kg
※1特許取得済みの急速充電機能。
※2少ない電力でより多くの電力を供給する機能。
※3放熱性の向上やファン制御の工夫、気流設計の最適化により、静音動作を実現した機能。
アウトドアや防災対応、リモートワークなどに最適なエントリーシリーズ「RIVER」の最新モデル。エネルギー効率が高く、無負荷時のエネルギー損失が最小限におさえられる窒素ガリウム(GaN)をトランジスタ製造に採用することで、長時間の稼働を実現した。同社によると、同等の容量268Whの他社製品と比較すると、10Wの電球で1.5倍の長時間動作が可能という。
容量245Whとエントリークラスだが、高コスパな「EcoFlow RIVER 3」。こちらも人気モデルだ
また、窒素ガリウムを用いたことで、本体サイズの小型・軽量化も実現。本体サイズは255(幅)×207(奥行)×113(高さ)mm、重量は約3.4kgで、EcoFlow Technology Japanによれば、業界標準と比べて30%小さく、24%軽いという。
小型・軽量なため、クローゼットなどの小さなスペースにも収まりがよいほか、自動車に常時積載しておくような使い方にも適している。さらに、耐久性にすぐれており、IP54の防水規格に準拠したほか、500度の熱に耐え、1.5mから落下させても損傷しにくいという。
メーカー希望小売価格は32,890円(税込)。容量230Whでオンライン限定のモデルは30,900円(税込)とさらにお値打ち。同286Whの「EcoFlow RIVER 3 Plus」など、同シリーズの関連モデルも複数台ライアップする予定だ。
重量約3.4kgと軽いため、片手で軽々と持ち上げることができるとのこと
【主要スペック】
バッテリー容量:245Wh
バッテリー:リン酸鉄リチウムイオンバッテリー
AC出力:ACコンセント×2 (定格300W/瞬間最大600W・X-Boost 450W)
USB出力:USB Type-Aポート×2、USB Type-Cポート×1
DC出力:シガーソケット×1
追加機能:X-Boost、Wi-Fi、Bluetooth、IP54準拠
本体サイズ・重量:255(幅)×207(奥行)×113(高さ)mm・約3.4kg
ポータブル電源の急速充電技術「X-Steamテクノロジー」を搭載することで、大容量バッテリー搭載のスマートフォンでも急速充電を可能にした。「MagSafe Qi2 15W」に対応しており、内蔵のスタンドでスマートフォンを立てかけながら充電することもできる。
写真右側がスマートフォンの背面とマグネットで固着する前面、写真左側が、折りたたみ式スタンドを備えた背面となる
本体背面のスタンドを使用することで、スマートフォンを立てかけた状態で充電することが可能。縦置きにも横置きにも対応する
また、内蔵ケーブルを使えば、30W/65Wでの充電が可能。バッテリー容量が5,000mAhでPD 3.0 30W充電または、10,000mAhでPD 3.0 65W充電のとき、59分でフル充電にできるという。30分で「iPhone 15」を50%充電、40分で「iPhone 15 Pro Max」を70%充電できるという。
バッテリー容量は5,000mAhと10,000mAhの2種類で、ノートPCやタブレットの充電も可能。本体に白い表示が浮き上がるスマートな液晶画面を搭載しているのも特徴。発売日と価格は未定。
そのほか、自動車のメインバッテリーにつないでポータブル電源に蓄電する「オルタネーターチャージャー」や、日除け用の帽子にソーラーパネルを搭載した「ソーラーパネルハット」(いずれも仮称)も発表された。意外と便利に使えそうな製品だったので、こちらも紹介したい。
端部分にスマートフォンへの給電端子を備えた、コンパクトな折りたたみ式のソーラーパネルも発売予定
自動車のエンジンが発電したエネルギーを電気に変えて、ポータブル電源に蓄電するための「オルタネーターチャージャー」(写真上)。本体の価格は8万円程度で、自動車のメインバッテリーにつなぐだけで使用できるという
実際にトヨタのキャンピングカーを展示し、ポータブル電源に蓄電した電力を使って車内のエアコンなどを稼働させていた
今回の発表会で意表を突かれたのが、帽子にソーラーパネルを一体化させた「ソーラーパネルハット」。米国ではすでに発売しており、日本国内でも発売予定という
「ソーラーパネルハット」を被ってみるとこんな感じ。意外とおしゃれ
EcoFlow Technology Japanはヤマハの電動トライアルバイク「TY-E」のスポンサーとなっており、バイクのバッテリー充電用に使用されている。実際の競技での成績もよく、エンジンを搭載したライバル他社のトライアルバイクを破って1位を獲得したという