空気は見えないから空気清浄機の効果を実感しにくいというユーザーの声を受け、空気環境を粒子数で表示する業界初の機能を搭載した加湿空気清浄機をシャープが発表。従来モデルよりも空気清浄の基準を高め、食品工場などで求められるクリーンルーム規格Class8レベルを目指して制御する自動運転や、加湿フィルターの自動洗浄機能も新たに採用しています。
風量などが異なる2機種をラインアップ。本体サイズは、最大風量10㎥/分の「KI-TX100」が427(幅)×305(奧行)×700(高さ)mmで、最大風量7.5㎥/分の「KI-TX75」が395(幅)×265(奧行)×650(高さ)mm。市場想定価格は「KI-TX100」が148,000円前後(税込)、「KI-TX75」が98,000円前後(税込)で、どちらも2024年9月12日発売予定です
シャープの空気清浄機はこれまでも、ホコリセンサーで検知した汚れに独自のアルゴリズムを掛け合わせてPM2.5(粒子径2.5μm)の濃度を表示したり、ニオイや空気の汚れを総合してLEDライトの色で伝えたりする機能を搭載していましたが、新モデルは粒子の数を表示する仕様に変更。新しいアルゴリズムを採用することで1Lあたりの1μmの粒子数を算出し、その数をモニターに表示します。
従来モデルはニオイや花粉、ホコリなどを総合的に算出して空気の汚れを色の変化で見える化するとともに、室内のPM2.5の濃度を表示していました
新モデルは1Lあたりの1μmの粒子数を算出して「AIモニター」に表示。粒子の数に合わせて色が変わるので直感的にもわかりやすいでしょう。過去30分の粒子数の変化も棒グラフで表示されます
花粉やホコリ、飛沫、PM2.5などより小さい1μmサイズの粒子には、細菌やタバコの煙などが該当します。微小な粒子は非常に軽く、床に落下するスピードが遅いため、日常的に数千個レベルで室内に漂っているそう。そうした粒子の増減をほぼリアルタイムで確認できるのは、空気清浄機の集じん効果が実感しやすいでしょう。
1Lあたりの1μmの粒子数を算出できるようになったことで、清浄性能も向上しました。国際的に定められたクリーンルームの規格も1Lあたりの1μmの粒子数を基準にしていることから、自動運転をこの規格に沿った制御に変更。5段階だった風量制御を11段階に増やして細かく制御するとともに、空気がきれいになったと判定する基準を引き上げ、食品工場などと同じクリーンルーム規格Class8レベルの空気環境を目指して運転します。
自動運転は、空気中の粒子数がきれいと判定する基準より多ければ風量をアップし、基準以下になれば風量を弱めに切り替えます。その判定基準が、従来モデルは8,000個/Lだったのに対し、新モデルは832個/Lと、より厳しい設定にしたことで、自動運転での清浄性能が向上
自動運転の風量は従来モデルと同じ2.0〜6.0㎥/分ですが、新モデルは粒子数に合わせて風量を11段階に細かく制御しながらClass8レベルのきれいな空気を目指します
従来モデル(写真左)と新モデル(写真右)をケースに入れ、空気中の汚れの変化による自動運転の動きを比較したもの。新モデルのモニターには「5149個/L」と粒子数が表示されており、まだ“きれい”の判定基準ではないので風量を上げて浄化を続けていますが、従来モデルではすでにきれいの判定基準に到達しているため、LEDランプの色はきれいな空気であることを示す青色に変わり、風量も弱めの運転に切り替わっています
このほか、付着ニオイ原因菌の除菌や付着ウイルスの作用を抑える、イオン濃度50,000個/㎤以上の「プラズマクラスターNEXT」も搭載しています。
加湿空気清浄機は、加湿機能のない空気清浄機よりも加湿フィルター・トレー、タンクなどお手入れが必要なパーツが多くあります。なかでも、加湿フィルターのお手入れは面倒という声が多いもの。手入れを怠るとフィルターに残った水道水に含まれたミネラル成分などが固体化し、そこに菌などが繁殖してニオイやカビなどが発生するため、1か月に1回の水洗いのほか、クエン酸などを使った浸け置きが必要です。
加湿が必要なシーズンが終わった時期にだけクエン酸を使った浸け置きをするという人は多いですが、2か月くらいで加湿フィルターにはミネラル成分などが凝固した汚れが! 菌などが繁殖してニオイやカビなどが発生し、湿った風にのって室内に不快なニオイが漂うので、2か月に1回程度は浸け置きしたほうがよさそう
シャープの既存モデルでは、約1か月に1回の水洗いと、ニオイや汚れが気になったときにはクエン酸や重曹を使った浸け置きが推奨されています。その手間を軽減するため、新モデルは「加湿内部洗浄」機能を搭載。加湿トレーにクエン酸と水を入れてボタンを押すと、加湿フィルターが回転してクエン酸洗浄がスタートします(下の動画参照)。
自動洗浄を行うときは、加湿トレーから加湿フィルターなどをいったん取り外し、クエン酸ときれいな水を入れ、加湿フィルターなどを元通りに戻したら準備完了。本体にセットし、自動洗浄を始めます
「加湿内部洗浄」ボタンを押すと加湿フィルターの自動洗浄が始まります。室内の粒子数を表示する「AIモニター」に手順が表示されるので、操作に迷うことはないでしょう。このほか「AIモニター」にはお手入れ時期や給水のメッセージなども表示されます
浸け置きではないため洗浄時間は約6時間かかりますし、手動の浸け置き洗いと同じように、洗浄後、加湿フィルターやトレーの水洗いは必要ですが、バケツやゴム手袋の準備が不要で、使用するクエン酸の量が少なくて済むのがメリット。この自動洗浄を約2か月に1回行えば、既存モデルで推奨されている約1か月に1回の水洗いはしなくてOKです。
約2か月で加湿フィルターに発生した汚れは、加湿フィルターの自動洗浄でこんなにきれいに落ちるそう
「加湿内部洗浄」に必要なクエン酸の量は1回約3.5g。手動で行う浸け置きの場合、水1Lあたり約6gのクエン酸を使うため、クエン酸の使用量が抑えられます
さらにお手入れを楽にするため、加湿トレーを凹凸の少ないフラットな形状に改良。従来モデルにも同梱されている「AG+イオンカートリッジ」が付属するので、タンクや加湿トレーのぬめりやニオイの原因となる水中の菌の発生が抑制されます。
新しい加湿トレーのほうが洗いやすそうな形状です
「AG+イオンカートリッジ」はタンクのキャップに装着して使用。これだけで、タンクや加湿トレー内の水に繁殖する菌が抑えられます