コードレススティック掃除機市場における今のトレンドは、掃除機で集めたゴミを毎回捨てる必要がなくなる自動ゴミ収集ステーション付きのモデルです。そのひとつにあげられるのが、東芝ライフスタイルから登場した自動ゴミ収集&充電ステーション(以下、「ダストステーション」)付きモデル「VC-SL130DS」。価格.com最安価格(2024年10月7日時点)は43,800円です。
東芝ライフスタイル「VC-SL130DS」の「シフォンベージュ」。インテリアに合わせて選べるマットな2色展開で、もう1色は「アッシュブラック」
本モデルは、コードレススティック掃除機としての基本的な機能に加え、シートモップで掃除できるワイパーを付属するユニークな一台。今回は実際に使ってみて、掃除時の取り回しやお手入れ、掃除性能などをチェックしました。
コードレススティック掃除機は近年、さまざまなタイプが登場しており、メーカー1社の中でも、パワーを重視するタイプ、軽さを重視するタイプ、バランスタイプなど、機能や性能が異なるラインアップを幅広く取り揃えています。
東芝ライフスタイルの主要モデルでは、
「VC-CLX73」=パワー重視タイプ
「VC-CLW33」(2024年11月発売予定)=軽量重視タイプ
「VC-CLS13」(2024年11月発売予定)=バランスタイプ
などがラインアップ。どの機種も掃除機本体にダストカップを備えており、掃除が終わった後は、ダストカップからゴミを捨てる必要があります。
こちらは東芝ライフスタイルの2023年モデル。大きなダストカップを備えています
いっぽう、「VC-SL130DS」は、ゴミを溜めておける「ダストステーション」を用意。掃除後に掃除機本体を「ダストステーション」に戻して充電すると、本体内のゴミは自動的に「ダストステーション」に移動し、その中の紙パックに溜まります。紙パックは約70日間交換不要のため、ゴミ捨て頻度を減らせる点が魅力です。掃除機本体も大きなダストカップが省かれたことで、スリムでスマートなデザインを実現しています。
本体サイズは、258(幅)×118(奥行)×1092(高さ)mm、本体重量は1.4kg。集じん方式はサイクロン式です。「ダストステーション」のサイズは228(幅)×265(奥行)×769(高さ)mm
ここからは、「VC-SL130DS」を実際に使用して、コードレススティック掃除機の良し悪しを左右する9つのポイントをチェックします。
本モデルは、床の状況に合わせてブラシの回転スピードと吸引力を調節する機能「床見極めセンサー plus」を装備。実際に動かしてみると、フローリングよりもゴミが入り込みやすいラグの上では動作音が大きくなり、パワーがアップしていることがわかります。
低反発のラグに重曹をまき、本モデルを1往復させて吸い込ませてみました。多めにまいた部分は少し残りましたが、全体的によく吸い込んでいます
ヘッドは自走式で進みますが、パワーがアップする分、少し抵抗感があり、フローリングほどスイスイは進みません。ネコ砂のような少し大きめのゴミも吸い込みますが、量によっては持ち上げた後、少量パラリと落ちることもありました。ただ、数回動かせばキレイに。
少し大きめのゴミとして、ネコ砂をラグの上にまいて1往復したシーン(下の写真)。何粒か残りましたが、この後、何往復かしたところキレイに取りきれました
いっぽう、フローリングを掃除してみると、すき間に入り込んだ微細なゴミ(ここも重曹を使用)をしっかりと吸い込んでいました。自走式でスイスイ進むので軽い使い心地です。特に新開発の「なめらか自走ヘッド」には2つの旋回輪が装備されており、前後だけでなく横方向にも動かせます。壁際は、ヘッドをスライドさせられるので掃除がラクでした。
前後方向の掃除。フローリングの溝のゴミもよく取れています。
横方向に動かしてもヘッドがもたつかずに進みます。
縦と横両方に動かせるヘッドにより、ダイニングテーブルまわりなど、家具の脚で混み合っている場所も、いろいろな方向からアプローチできてゴミを取りやすかったです。
斜めの形状を採用した「フィットグリップ」は、滑り止めになる突起を複数配置しているので、どの部分でも持ちやすいのが魅力。床掃除をするときはハンドルの後ろのほうを、棚の上など高い場所を掃除するときは根元のほうを持ってみましたが、どちらも手にフィットしました。
上からしっかりと握ります
滑り止めが複数配置されているので、どこで持っても手にフィットします
ただ、グリップを持つ位置によっては操作ボタンが遠く感じられ、片手での操作がやや難しいと感じました。また、そのグリップ部分にバッテリーが内蔵されているため、たとえば「ダストステーション」から本体を持ち上げる際に、そこそこの重さを感じました。掃除中は自走ヘッドのおかげで使い心地が軽いため、余計にその重さが少し気になりました。
操作ボタンは2つ。グリップの後方を持つと、距離が出てしまうので片手での操作は厳しそう
バッテリーは着脱可能で、2個目も買い足せます
本モデルは、パワー重視タイプ「VC-CLX73」や軽量重視タイプ「VC-CLW33」のように、ゴミを照らすライトは備えていません。
アタッチメントは「2WAY ノズル」と「ワイパー」の2つ。「2WAY ノズル」は毛ブラシを回転させて使うほか、ノズルだけでも使えます。ブラシが付いているので幅木(はばき)など、細かい場所の掃除がはかどります。
アタッチメントは「ワイパー」(写真左)と「2WAY ノズル」(写真右)が付属。場所や目的によって付け替えます
「2WAY ノズル」は幅木や高い場所、サッシの掃除などに便利
「ワイパー」は、広げたお掃除シートに軽く押しつけるだけでセットが可能。床のベタつきなどが気になる場所は、吸い込みながら同時に拭き掃除ができます。特に、汚れやすいキッチンの床を掃除するときや、玄関まわりを掃除するときに重宝しました。長めの髪の毛などもシートを使うと取り残しなくキレイに掃除できます。
広げたシートに「ワイパー」を載せるだけ
特殊なブラシの毛(赤色)がシートを押さえます。ちなみにヘッドの上部(写真では下部)に吸引口を備えています
「ワイパー」のサイドの切り込みにシートを挟めば、よりしっかりと装着できます
切り込みにシートを挟んだもの。ただ、シートに「ワイパー」を載せるだけでもしっかりとひっつくので、ここまでする必要はなかったです
掃除が終わったら、シートをはがして捨てるだけでOK。これなら、シート用のワイパーを別に用意しなくていいので手軽に掃除できるうえ、掃除時間の短縮にもつながります。来客前にサッと掃除するときに頼もしいでしょう。
アタッチメントは、使わないときは「ダストステーション」にセットしておけます
掃除後、本体を「ダストステーション」に戻した際、集めたゴミを吸い込むときは、(仕方ないのですが)大きな音がします。「ダストステーション」へのゴミの吸い込みは、オン/オフで切り替えられるので、音を出したくないときに便利です。
上の動画で「ダストステーション」が本体内のゴミを収集するときの音が聞けます。
夜間など音が気になるときは、「ダストステーション」のボタンでゴミの収集をオフに
掃除時、本体の運転音はモーターの高音が響いて聞こえました。2023年発売の最上位機種「VC-CLX72」はそれほど高音が響かなかったので、コンパクト&スリム化したことが運転音に影響しているのかなと推測されます。長時間掃除をする場合は気になるかもしれませんが、本モデルのコンセプト「気がついたときのサッと掃除」なら短時間なので、許容できる範囲の運転音なのではないでしょうか。
本体にゴミを収集するダストカップのモデルの場合、本体からダストカップを外し、フタを開けてゴミを破棄しますが、その際、ゴミの舞い上がりが気になります。本モデルの場合は、紙パックを約70日間に1回捨てるだけと、手間をだいぶ省略できると感じました。
購入時には紙パックが1枚付属
ゴミの処理は、「ダストステーション」内の紙パックを捨てるだけなので、ゴミの舞い上がりが気になりません
また、本体内の集じん部にはフィルターに付着した細かいゴミをエアーでリフレッシュする「オートエアー洗浄」を備えています。ホコリや髪の毛などは、このエアー洗浄でだいぶキレイになりますが、テスト用に使っていた重曹は落としきれずにフィルター部に残っていたため、すべて取り除けるというわけではなさそうです。
さらに、「ダストステーション」にゴミを移動する際、長い髪の毛などは吸い込みきれずにちょっと本体に残ることがあるので、時々本体の集じん部をチェックするとよさそうです。あくまで、エアー洗浄はフィルターの掃除の頻度を下げてくれるというイメージのほうがよいでしょう。フィルター掃除のタイミングはランプで知らせてくれます。集じん部のパーツを外して水洗いするだけのうえ、パーツの点数は少なく、取り外しも迷わない形状なので、扱いやすかったです。
本体の集じん部
レビュー用に掃除した後のフィルター部分。重曹が少し残っていますが、綿ボコリなどは「ダストステーション」に移動したようです
集じん部のパーツはこれだけで、水洗い可能
いっぽう、ヘッドのブラシは、横糸を編み込むことで奥まで髪の毛がからみにくい構造を採用。髪の毛がまったくからまないわけではありませんが、従来モデルのように毛でブラシがきつくしまってしまうことはなく、毛は引っ張ればスルッと外せました。何度か使用した後でもハサミでカットするほどの毛のからみはなかったので、従来モデルよりはブラシのメンテナンスは簡単になったと感じました。なお、ブラシも外して水洗い可能です。
ヘッドのブラシ部は、横糸が編み込まれており、髪の毛が奥に入り込むのを防いでいます
髪の毛は多少からまりますが、引っ張れば簡単に取れました
本モデルのオリジナリティーは、「ダストステーション」と「ワイパー」が付属するという点。ゴミ捨ての頻度を減らせるほか、吸引掃除と拭き掃除を同時に行えるので、毎日のすき間時間でも効率よく掃除ができるのではないでしょうか。特に、フローリングが多い部屋だとワイパーをよく使うことになるため、本モデルは活躍しそうです。
筆者のお気に入りポイントは、【6】でもあげましたが、「ダストステーション」でゴミ捨ての頻度を減らせる点と、「ワイパー」が使える点の2つです。
スティック掃除機はリビングに出しっぱなしにしていることが多いため、本モデルのスリムなデザインは省スペースで置きやすいと感じました。また、ダストカップタイプの掃除機をリビングに置いておくと、透明のダストカップに残った微細な汚れがどうしても気になってしまいますが、「ダストステーション」付きの本モデルだと、カップの汚れを気にせずに出しっぱなしにできます。
「ワイパー」は掃除の時間を短縮できて気に入っています。
ダストカップの容量を比較すると、パワー重視のダストカップモデル「VC-CLX73」は0.13Lであるいっぽう、本モデルは本体が0.03L、「ダストステーション」が0.8Lです。
広い部屋を時間をかけて掃除したい人や、毛足の長いじゅうたんを使っている人などは、パワーがある「VC-CLX73」のほうがおすすめです。
本モデルは、掃除の手間を省きたい人、気がついたときにチョコチョコ掃除したいという人に向いています。このほか、吸引掃除メインのロボット掃除機と組み合わせて使う場合も活躍しそうです。広い部分はロボット掃除機に任せて、細かい部分や拭き掃除を「VC-SL130DS」で行うといった使い分けもできそうです。
なお、アタッチメントの種類は「VC-CLX73」のほうが多く、掃除ニーズに幅広く応えられそう。
本モデル指定の紙パック「VPF-11」は10枚入りで1,650円(税込)。本体からすき間なくゴミを「ダストステーション」に移動させるためにも、この純正パックを使うのがおすすめです。後は、「ワイパー」用のシートが拭き掃除時に必要。
東芝ライフスタイル「VC-SL130DS」は、家中を一度にまとめて掃除するよりも、「気づいたときに気になる部分をサッと掃除する」使い方に適したスティック掃除機です。特に、パンくずや髪の毛、ホコリなど、日常の軽い汚れにすぐ対応できる点が便利。ロボット掃除機と併用して使いたい方にもおすすめです。また、コンパクトな間取りや部屋に住んでいる方にも使いやすいでしょう。
シートで床を拭けるアタッチメントは、フローリングやクッションフロアの掃除に非常に効果的です。手軽さと使いやすさが際立つ一台だと言えます。なお、厚めのじゅうたんをしっかり掃除したいなどパワーを重視する人は「VC-CLX73」などを選んだほうがよいでしょう。
●「VC-SL130DS」はこういう人におすすめ!
・ちょっとした汚れを見つけたら、サッと掃除がしたい人
・家事にかける時間を少しでも減らしたい人
・フローリング床が多い部屋に住んでいる人