ニトリのコードレススティック掃除機「コードレススティッククリーナー MA201SC」(以下、「MA201SC」)は、サイクロン式ながら19,990円(税込)と他社モデルと比べて安いのが魅力のひとつです。2024年10月に発売されて以来、人気すぎて品薄になり、今春まで入荷待ちでしたが、やっと通常どおりに購入できるようになりました。そこで、そんな大注目モデルの実力を検証してみました。その結果がこちら!
以下では、さらに詳しく「コードレススティッククリーナー MA201SC」の実力に迫ります。
「お、ねだん以上。」でおなじみのニトリは近年、家具や生活雑貨だけではなく、家電の開発にも積極的に取り組んでいます。家電の一部は、家電量販店「エディオン」と共同開発しているんですが、そのエディオンも以前からプライベートブランドに注力。ユーザーの声を反映させてメーカーと共同開発する「e angleSelect(イーアングルセレクト)」シリーズでは、テレビやエアコン、炊飯器、空気清浄機など幅広いアイテムを取り扱っています。
そして今回、そんな両社は、パワーや軽さといったユーザーの声を反映させた掃除機「MA201SC」を共同開発したというわけです。
さて、まずは「MA201SC」のスペックから紹介。
・スティック時のサイズ:209(幅)×195(奥行)mm×970(高さ)mm
・重量:約1.1kg
・集じん方式:サイクロン式
・集じん容量:約0.25L
・連続使用時間:[標準]約30分、[強]約13分
・充電時間:約3時間
カラーは「ホワイト」と「ブラック」の2色で展開
スペックの特徴は、約1.1kgという軽さと、「強モード」でも13分動いてくれるスタミナ。そのあたりが実際の掃除にどう生かされているのでしょうか。以下では、掃除機選びで押さえておきたい7つのポイントをチェックしてみました。
まずは、微細なゴミとして重曹を、少し大きなゴミとして猫砂をフローリングにまき、吸い込んでみました。
「標準モード」で1往復。片道だけだとフローリングの溝に少し残りましたが、往復すると溝に入り込んだゴミも取れていました。結構な量の重曹をまいたんですが、しっかりと吸い取れており、これなら日常的な汚れをキレイにするのには十分なパワーだと感じました。
ただ、猫砂はヘッド部が押し出してしまったり、本体を持ち上げたときに吸い切れなかった数粒が落ちてきたりしたので、何度か掃除機を持ち上げて吸い込む必要がありました。
1往復で動かしたところ、行きだけだとフローリングの溝に汚れが少し残っていますが、戻ってきたときには細かい汚れも取り切れていました
次に、壁際にも重曹をまき、「標準モード」で吸ってみましたが、壁際の汚れもしっかりと取り切っていました。
ヘッドが小さくて小回りがきくので、そのまま前に動かすだけでなく、横から、斜めからといろいろな方向から当てられるので、部屋の角や椅子の脚周りの汚れもしっかりと吸い込めます。コンパクトで軽いヘッドだと、いろいろな方向から当てようとしたときに浮き上がってしまうこともありますが、本モデルはそんなこともなく、しっかりと床に張りついた状態で動いてくれます。
写真のように狭い場所でサッとひねっても、ヘッドが浮き上がることなく、小回りがきくのはとても快適
本モデルは、ヘッドに2種類のブラシを搭載。回転ブラシなのでじゅうたんの汚れはよく吸い込むのではないかと思ったのですが、我が家のじゅうたんの場合、「標準モード」の一往復だけでは奥に入り込んだ汚れが残ってしまいました。その後、何度か往復させると汚れが吸い込まれましたが、毛足が長めのじゅうたんを掃除する場合は時間が少しかかりそうです。ちなみに、「強モード」では一往復でほぼ吸い切れました。
硬さが異なる2種類の回転ブラシを搭載
先述したように、ヘッドは軽くてコンパクトで、小回りがききます。ハンドルを持った手の手首を左右にひねるだけで、ヘッドが浮き上がらずしっかり床をとらえたまま、左右に動いてくれるので、狭い場所の掃除もしやすかったです。
重量は1.1kgと軽量なので、棚の上などの高所を掃除するときに片手で楽に持ち上げられます。2階の部屋まで持って上がるときや階段を掃除するときもこれなら楽でしょう。
操作ボタンは、電源ボタンとモード切り替えボタンの2つとシンプル。充電の残量を示すインジケータは付いていませんが、充電に余裕があるときは「緑」、充電が切れそうなときには「赤」のランプが点滅します。
ボタンは2つ。充電ランプでおおまかなバッテリー残量が把握できます
ハンドル部は大きめの輪を描いているので、持つ場所が選べます。大人なら誰が持っても安定するでしょう。
ハンドルの開口部が広く、ユーザーの身長や掃除をする場所によって持つ位置が変わってもしっかりと握れそうです
近年発売されたコードレス掃除機は、手元やヘッド部にライトが付いているモデルが多いですが、本モデルにはなし。その分、軽くコンパクトに仕上がっています。
アタッチメントは「2Wayノズル」が付属。ブラシはスライド移動させられるので、ブラシ付き/なしで切り替えられます。高い棚の上や家具のすき間、車のシートの掃除に重宝しました。
「2Wayノズル」はすき間掃除に便利。中央のブラシは吸引口の先端までスライドできます
ハンディクリーナーとしても使えます
スタンドは付属しないので、充電のたびに毎回コネクタを本体に直接挿すことになります。本体が軽いので、使わないときはS字フックなどでクローゼット内にぶら下げて保管できるのはありがたかったです。
バッテリーは内蔵式。スタンドはなく、充電は毎回コネクタを本体に直接挿して行います
運転時の音の大きさは、一般的な掃除機の音の大きさといった印象。掃除機をかけながらでも会話はできる程度でした。掃除機のモーター音にありがちな高音の「キーン」という不快な音はしなかった点は好印象でした。
ちなみに、本モデルで何度か掃除していると、「カラカラ」という音がブラシから聞こえてきたんですが、そのときはブラシに巻き付いた髪の毛を取り除くと音が消えました。他メーカーの掃除機では、髪の毛がブラシにからみにくい工夫が施されているモデルが登場していますが、本モデルはその機能がないので、ダストカップのお手入れのついでに、ブラシの手入れもするといいかもしれません。
ダストカップは、開閉ボタンを押せば簡単に開いてゴミがサッと捨てられます。とはいえ紙パック式ではないので、ホコリの舞い上がりが気になるなら、ビニール袋やゴミ箱の中で捨てれば最小限に抑えられるでしょう。
ダストカップ、メッシュフィルター、プリーツフィルターは水洗いが可能。ダストカップとフィルター類は分解できるので、髪の毛などがからみついたときでも洗いやすかったです。説明書には、お手入れの目安として「細かい粉体を吸った後」「(掃除)3〜5回に1回程度」「ゴミを捨てても吸引力が弱いとき」をあげています。掃除機のお手入れとして3〜5回に1回は他社モデルと比較すると多め。実際、何度か使っていくなかで、ひんぱんにお手入れしないとゴミが吸いにくくなる印象を受けました。
ダストカップのボタンを押すと、底が開き、ゴミ捨てができます
指示アイコンがわかりやすく、フィルター部を迷わず分解できました
プリーツフィルター(左)、メッシュフィルター(中央)、ダストカップ(右)は水洗いできます
回転ブラシも取り外して水洗いできます。巻き付いた髪の毛などは溝にハサミを沿わせてカットしましょう
本体背面には滑り止めのゴムパーツを備えているので、掃除中、壁にちょっと立てかけたいというときに便利です。とはいえ、これは「オリジナリティー」とは言えないかも……。
壁に立てかけても、滑り止め用ゴムパーツのおかげで倒れにくいです
機能の面ではないですが、本体のパーツが少ないため、開梱と組み立てが楽でした。高機能な掃除機ほど付属パーツが多くなるため、開梱が大変だったり、パーツの組み立てや取り外しがわかりにくかったりすることがありますが、本モデルはシンプルな作りなので直感的に簡単に組み立てられました。付属の取扱説明書でもイラストでわかりやすく解説されていましたし、「ニトリネット」でも説明書を閲覧できるので便利です。
ニトリ×エディオンの掃除機としては、2025年2月、ワイドノズル型の「コードレススティッククリーナー EY101SC」が発売されています。「MA201SC」との違いは、「EY101SC」がフローリング掃除特化型だという点。横幅約26cmのブラシレスのワイドノズルを採用しており、一度に広い面積を掃除できます。
今回使った「MA201SC」はノズルの横幅が実測値で約21cmと「EY101SC」よりはやや小さめ。いっぽうで、回転ブラシでゴミをかき出しながら吸い込むため、フローリングはもちろん畳やじゅうたんの掃除にも対応します。
また、集じん容積と充電時間も異なります。「MA201SC」は0.25Lで3時間、「EY101SC」は0.15Lで6時間。「EY101SC」はUSB Type-Cポートを備えており、USBケーブルで給電できるのが特徴です。
簡単にまとめると、「柄付きモップ感覚で掃除機を使いたい」「フローリングしか掃除しない」という人は新製品の「EY101SC」を、いろいろな床を掃除したいという人は「MA201SC」を選びましょう。
「MA201SC」は以下の人におすすめです。
・とにかくコンパクトで軽い掃除機が欲しい人
・アタッチメントはあまり使わないのでシンプルな掃除機が欲しい人
・2〜3階建ての家に住み、複数のフロアを掃除したい人や、クルマの車内も掃除したい人
何度も言いますが、本モデルはスティッククリーナー時の重さが1.1kgと軽く、片手で操作しやすいのが魅力。ハンドル部が細く、小学生の子どもでもしっかりと持てていました。最初の組み立てや、お手入れするときのフィルターの分解も直感的にできるので、そういった面では本当に使いやすかったです。
いっぽうで、本モデルはヘッドの回転ブラシで床のゴミをかき出しますが、じゅうたんは毛足の長さによっては掃除に時間がかかることも……。逆に言えば、短く硬めの毛足のじゅうたんを敷いている人や、フローリングや畳の部屋を中心に掃除したい人には使いやすいモデルです。
また、ロボット掃除機やパワータイプのスティック掃除機を持っている人が本モデルを「サブ機」として使ったら重宝しそう。広くて開けた場所は前者に任せて、階段や脚付き家具が多い部屋の掃除には本モデルで、といった使い分けができそうです。