家電選びでは、性能や機能だけでなくデザインも重要なポイント。性能や機能がすぐれていても、外観はもちろん、細かい部分のデザインにピンとこないと購入する気にならない筆者が、「これは!」と思った家電を紹介します。
今回目に留まったのは、ブルーエアの空気清浄機「Blue Max」です。
北欧を起点に展開しているブルーエアの空気清浄機は、余計な装飾のない“スカンジナビアデザイン”が特徴。機能的でありながらすっきりとしたたたずまいと、温かみや高級感のある風合いは、2010年の上陸以来、日本でも高く評価されています。
そんなブルーエアの空気清浄機といえば、「Classic」シリーズに代表される直線的な箱形をイメージされる人は多いと思いますが、円筒形モデルや多彩なカラーバリエーションを揃えたモデル、脚やテーブル、ファブリック素材を配置した家具のようなモデルなど、時代のニーズに合わせてさまざまなモデルを展開しています。なかでも2017年に登場した「Blue Pure 411」は筐体の素材に樹脂を使ったカジュアルな路線と、インテリアに合わせて着せ替えられる布素材のプレフィルターが注目を集めました。
2017年に発売された「Blue Pure 411」。ポップなカラーを使用しているのも北欧らしいデザイン
もともとブルーエアの空気清浄機は、筐体にスチールを使った重厚感あるデザインが特徴。2016年に本体上部に樹脂素材を採用したモデルも発売されていますが、「Blue Pure 411」は筐体すべてが樹脂で作られています。着せ替えられる楽しさと、軽量でリーズナブルな価格帯のカジュアルラインとして、その後も「Blue」シリーズはブラッシュアップしながら進化。そして2024年に、その系譜を引き継ぎながら大きくグレードアップした「Blue Max」シリーズが登場しました。
ホコリセンサーを搭載した適用床面積〜48畳の「Blue Max 3450i」、〜42畳の「Blue Max 3350i」、〜22畳「Blue Max 3250i」と、センサー非搭載の〜22畳「Blue Max 3250」、〜12畳「Blue Mini Max」をラインアップ。本体重量は、いちばんサイズの大きい「Blue Max 3450i」で約3.6kg
「Blue Max」シリーズは、360度から吸い込む構造はそのままに上部に向かってスリムになっていく「テーパリング」の手法を使い、スラリとしたルックスに仕上げられています。また、下部の径を大きくすることで安定感を向上。筐体が樹脂素材になったことによる華奢なイメージを軽減し、堅牢な印象を打ち出しています。
布製のプレフィルターには最近のトレンドであるアースカラーを採用し、より暖かみのあるやさしい印象に仕上げています。購入時に装着されているプレフィルターはグレー色。どんな部屋にも合わせやすいニュートラルなカラーですが、グレーと言っても、青みを帯びたグレーや淡いグレー、黒に近いグレーなど、トーンの異なる色味があります。そのなかから「Blue Max」シリーズは、霧に包まれたストックホルム街をイメージした「Stockholm Fog Grey」を採用。霧は空気のようにごく身近に存在するものなので、それを再現した「Stockholm Fog Grey」は部屋に調和しやすいでしょう。
そのほかの着せ替え用のプレフィルターにも、スウェーデンの大地や海を想像させるような淡色系のカラーを採用しています。細かく砕けた赤い珊瑚とピンクの貝が真っ白な砂に混じったピンクビーチを思わせる「Sand Pink」、石灰石の島「ゴッドランド」からインスパイアした「Limestone Beige」、北欧の森林に広がる苔からヒントを得た「Moss Green」、スカンディナビア半島に囲まれたバルト海の海底をイメージした「Seabed Blue」の4色をラインアップ。空間にほのかな彩を与えながらも自己主張し過ぎず、調和する絶妙な色選びに加えて、各カラーのネーミングセンスにも惹かれます。
「Stockholm Fog Grey」を含む5色のプレフィルターが別売りされています。公式オンラインストア価格は3,520円(税込)。「Blue Mini Max」の別売りプレフィルターは「Stockholm Fog Grey」と「Limestone Beige」のみ
筐体に使われている樹脂素材は一歩間違えるとチープな印象になりますが、光沢を抑えたマットで上品な質感に仕上げられており、布製のプレフィルターとも違和感なくシームレスに溶け込みます。この絶妙なバランスも秀逸。
着せ替えられるプレフィルターは、インテリアに合わせたカラーを選べるだけでなく、模様替えのように交換することで気分を変えられるのも楽しいところです。交換するには、本体上部を取り外してフィルターが付いている部分を少し持ち上げる必要はありますが、「Blue Max」シリーズは樹脂製なうえ、加湿機能を搭載していないシンプルな構造なので重さは苦にならないはず。伸縮性のある素材で、差し込んで固定する機構もないため、靴下を脱ぎ着するような感じで簡単に着脱可能。この所作が、結構、製品に愛着を感じさせてくれたりします。
いちばんサイズが大きい「Blue Max 3450i」でも、本体上部を取り外した重量は約1.5kg(筆者計測)。軽量なので、本体を持ち上げながらプレフィルターを着脱するのは容易です。プレフィルターは水洗い可能
ここまで装飾要素の部分をフォーカスしましたが、清浄性能についても計算されています。スポーツウェアで最も一般的な「パフォーマンスニット生地」を使用し、高い通気性を確保。通気性が高いということは空気に含まれる汚れが通過してしまうのでは? と心配されるかもしれませんが、ホコリなどの大きな汚れはプレフィルターでしっかりキャッチします。
ブランドロゴを印字した合成皮革のタグがさりげなく施されているのも秘かなお気に入り
細かい汚れはプレフィルターを通過しますが、これはどの空気清浄機でも同じ。その先にあるメインフィルターで微細な粒子を捕集します。本体内に吸い込んだ空気に含まれる汚れをイオナイザーでマイナスに帯電させ、プラスに帯電しているメインフィルターに吸着させるブルーエア独自の「HEPASilentテクノロジー」も搭載しているので、0.1μm以上の微粒子を99.97%捕集※1するそう。
メインフィルターは目の粗さが異なる多層構造を採用しているため、目詰まりが起きにくいのも特徴。ココナッツカーボンを練り込んだカーボンシートも一体化しているので、除臭効果も得られます
しかも、「Blue Max」シリーズのメインフィルターは、従来モデル「Blue 3000」シリーズと比べて厚みが最大2.3倍になり、フィルターの面積が拡大。より効率よく捕集できるようになったうえ、ファンも大型化したことで吸引力が高まり、清浄性能が向上しています。
「Blue Max 3250i/3250」と「Blue 3210」を比較すると、花粉除去スピードが最大2倍に向上
そして、静音性※2を高めたのも注目したいポイント。空気清浄機の浄化スピードを上げるには、素早く吸い込み、部屋の空気を循環させることが重要です。そうしたことから大きなファンを搭載したことは理にかなっていますが、その半面、運転音は大きくなりやすいもの。そこで「Blue Max」シリーズは、ファンの周りを囲うように「ノイズシールド」という樹脂パーツを配置することで低騒音を実現しました。
運転音は、適用床面積が大きい「Blue Max 3450i」で23〜50dB。最大風量時はある程度音がしますが、最大風量で使い続けることはないので運転音を気にせず使えるでしょう。
就寝時は、ファンの回転速度を低速にして運転音を最小限に抑える「ナイトモード」を使うと快適でしょう。「Blue Max 3450i」の場合、運転音はわずか18dB。自動的に、操作部のライトの輝度が下がり、空気の状態をLEDの色で伝えるランプが消灯するように設定されています
樹脂の本体の大半をファブリックで覆うことで家電っぽさを打ち消し、静音性も高い「Blue Max」シリーズは、部屋に溶け込む空気清浄機と言えるでしょう。それでいて、優雅さのあるたたずまいは、ブルーエアならではの美的センスを感じます。
※1 【試験機関】RISE Research Institute of Sweden AB(ボロース、スウェーデン)【試験方法】欧州フィルター規格EN 1822-5:2009に基づくフィルター粒子捕集率試験【試験粒子】塩化カリウム【試験結果】0.1〜1μmまでの微粒子を99.97%以上除去 *フィルターの除去性能です。部屋全体への除去性能とは異なります。
※2 Blue max 3450i「ナイトモード」運転時、23dB(A)