実践主義! 高橋庄太郎の山道具コレクト

秋こそ山登りの始めどき! 最初に揃えるべきアイテムを山のプロが厳選セレクト!!

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実際に山道具を山で使うことをモットーとする当連載だが、今回は特別編。これから山登りをする人に、これだけは“最低限”揃えておくほうがいいアイテムを山岳ライター・高橋庄太郎がお教えする。

過ごしやすい気温で天気も安定した秋は、トレッキングを始めるのには適した季節だ。うっそうと茂っていた木々の葉は紅葉になって歩く人の目に飛び込み、さらに季節が進んで葉が落ち始めると周囲の見通しがよくなり、夏には視界をさえぎられて見えなかった周囲の景色が楽しめるようになる。夏の低山からトレッキングを始める人は多いが、日本の山は蒸し暑くて風通しが悪い。涼しいので体力の消費を抑えられ、視界が効いて道迷いしにくい秋のほうが、トレッキング入門にはむしろ適しているのである。

日帰りのトレッキングであれば、それほど多くの装備は必要ではない。だが、最低限のモノはそろえたほうがいいだろう。たとえば、「バックパック(ザック)」「ブーツ」「レインウェア」だ。これらは山歩きの三大アイテムといわれることも多く、現在、日常生活で使っているものでもこと足りる場合もあるが、トレッキング専用品のほうがなにかと便利で使いやすく、なにより安全性を向上させるのに役立つ。

日帰り登山にうってつけなバックパック

この三大アイテムのなかでも「バックパック」は、トレッキング中に必要な装備を持ち運ぶための基本中の基本ともいえる装備だ。アウトドア用は街中で使うタイプよりもウエストやショルダーのハーネスがしっかりしており、背中のパッドやパネルはクッション性が高く、長時間使っても体に負担を与えないデザインになっている。日帰りであれば、容量は20〜30L程度で十分だろう。荷物の出し入れのシステムやポケットの数などは、使う人の好みで選べばいい。

・モンベル「ディナリパック20」

ファスナー使いの出し入れ口が最上部にあり、荷物の取り出しが容易な軽量タイプ。ウエストのベルトは必要ない時には内部に収納できるので、シンプルなスタイルにすれば街中でも使いやすい。ポケットはサイドに加え、トップ部分にも付けられており、ボトル類や貴重品をしっかりとキープしてくれる。雨天時用のレインカバーもあらかじめ付属しながら、購入しやすい価格もうれしい。

容量は20Lで、重量は575g。ほかに25Lサイズも用意されている

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・グレゴリー「シトロ30」

非常にやわらかいショルダーハーネスと高い弾力性のある背面パッドが、荷物の重さを背中全体に分散。容量30Lの小型ながら、なんと14sもの荷物に対応している。また、ハーネス類はパッドが肉抜きされ、背面にもメッシュ素材が多用されているため、背負った時の通気性も高い。蒸し暑い時期にも適したモデルだ。

容量は30Lで、重量は1,110g。ほかに20L25Lサイズもラインアップ。ハーネスなどを女性の体形に合わせたモデルは「ジュノー」という名称になり、同様に20L25L30Lがある

・ドイター「フューチュラ22」

小型モデルとしてはめずらしく、上部だけではなく正面下部にもファスナーが付き、2か所から荷物を出し入れできるという、いわゆる二気室構造となっている。内部が2つのスペースに分かれているので、荷物を仕分けするのに便利だ。背面の通気性もすばらしく、少々汗ばんでも無用な水分は発散されやすい。

容量は22Lで、重量は1,140g。「フューチュラ」シリーズには多様なバリエーションがあり、女性用も含めると容量は20L〜50L+10Lまで展開している
※「50L+10L」とは、基本的には50Lだが、可変システムでプラス10Lまで入るということ

荒れた路面でも安全に歩くためのブーツ

アスファルトが敷かれた街に比べ、土や小石が広がる登山道は歩きにくい。そんな不整地とダイレクトに接する重要装備が、シューズだ。石畳が続く遊歩道のような場所であれば、一般的なスニーカーでも十分だが、アッパーが足首まで覆うハイカットタイプ、それよりも少しだけ丈が短いミッドカットタイプのほうがねんざや骨折の恐れを軽減してくれる。また、トレッキング用はソールにも滑りにくい素材やパターンのものが使われていて、転倒を防止する。足元こそ安全性を重視して選びたい。

・キーン「ターギーEXPミッド」

足先を守るのは、ソールと一体化し、丸みを帯びたつま先部分。蹴りだした時の設地面積も広くなるので歩行が安定し、疲れにくいのもポイントだ。足首まわりには少し硬めの素材のプロテクターが装備され、足首をひねったり、岩などにぶつけた際の怪我を防止してくれる。また、同社独自のキーンドライという防水透湿性素材が使われており、雨にも強い。シューズ内部の作りは比較的広めで、アメリカのメーカーの製品ながら、幅広の足を持つ人が多い日本人にも履きやすい。

・ローバー「バンテージGT WXL」

「WXL」と称する高さも幅もある足型を使い、ブーツ内部の足幅と甲の高さにかなりの余裕を持たせている。試着時に一般的なトレッキングブーツではきつすぎると感じる人は、一度試してみる価値があるだろう。アッパーやソールを含む全体はいくぶんやわらかめで、初めて登山用ブーツを履く人でも違和感が少ないはずだ。足首の前面は高めに、後部は低めに作られたアッパーは怪我の防止効果を向上させつつ、軽やかな歩きやすさもキープしている。防水透湿性素材のゴアテックスを使用。

・サロモン「Xウルトラミッド2 GORE-TEX」

ランニングシューズの設計を応用しながらも、滑りにくいソールや怪我をしにくいミッドカットのアッパーを採用し、山歩き用に洗練させたモデル。防水透湿素材のゴアテックスを使うことで、悪天候に強いのもひとつのメリットだ。アッパーのメイン素材に用いられた軽量な化学繊維はレザーほどの耐久性は期待できないが、そのいっぽうで足さばきが軽快になり、疲れが少なくなる。スニーカー感覚で履くことができ、ゴツくて重いイメージがある登山靴に抵抗がある人にもよさそうだ。

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雨も寒さも防いでくれるレインウェア

温暖な海に面した日本の国土は、1年中、雨が多い。突然の降雨もめずらしくなく、レインウェアはとても重要な装備だ。秋以降は雨が降っていない時にも冷気をさえぎるウインドジャケットとしても使えるので、必ず山には持っていきたい。とはいえ、基本的には悪天候の時に取り出して着るものであるため、好天時はバックパック内にしまい込んでいることが多い。ゆえに、レインウェアにはコンパクトに収納して持ち運べ、軽量であることが求められる。セレクト時は過不足ないサイズ感のものを選ぶこと。首筋や裾から雨水や冷気が入りにくく、着心地が損なわれないからだ。

・モンベル「レイントレッカー ジャケット/レイントレッカー パンツ」

ブリーズドライテックという防水透湿素材を使い、上下を別売りにしたレインウェア。この素材には通気性があり、非常に細かい孔から空気が出入りすることで蒸れを軽減させている。少々アクティブに動いてもウェア内部の汗はすみやかに乾燥し、快適な状態が長く続く。驚くべきはサイズ展開で、ジャケットは一般的なS〜XLの4種だが、パンツの丈はレギュラーのほかにショートとロングが用意されており、さまざまなサイズから選べる。どんな体形の人でも自分に合う大きさが見つかるはずだ。

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・コロンビア「ティートンタワーズレインスーツ」

ジャケットとパンツがセットになっているため、「レインスーツ」という名称に。肘や肩には立体裁断のパターンを取り入れ、生地にはストレッチ性もあるので体を動かしてもストレスが少なく、体力の消耗も抑えられる。雨水を防ぎ、蒸れを防いでいるのは、同社が独自開発した防水透湿テクノロジー「オムニテック」。たたんだ時にはコンパクトになり、持ち運びもラクだ。単色でデザインされたレインウェアが多い中、植物をモチーフにしたプリントパターンが用意されているのもおもしろい。

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・サロモン「ボナッティWPジャケット」

ポケットなどのディテールは最小限に抑え、アドバンスドスキンドライという薄手の防水透湿素材を採用して体の動きを妨げないパターンで使用素材も少なくし、超軽量なレインウェアを実現。背中には風を通すベンチレーターも装備されており、蒸れを排出する効果もバツグンだ。胸のポケットは本体を押し込んで収納できるパッカブル仕様になっており、携行性も高い。ただし、ジャケットのみの販売となるため、パンツは別途用意する必要がある。

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より快適性と安全性を向上させたいなら、このアイテムも!

バックパック、シューズ、レインウェア以外にも重要なアイテムはある。特に忘れてほしくないのはヘッドランプだ。秋は日照時間が短く、すぐに日没を迎える。予想以上に時間がかかり、下山が暗くなってしまったり、道迷いなどのトラブルによって山中で夜を迎えねばならなくなった時に備え、必ずライトは持参したい。自分の周囲を照らして安全を確保するだけではなく、捜索隊に発見してもらうためにも有用だからだ。また、防寒着も必携である。朝方や夕方以降だけではなく、秋以降は標高が高い山は日中でもかなり涼しい。風が吹いている時はなおさらだ。心地よい休憩のためにも、薄手のダウンジャケットなどを用意しておこう。また、肌に直接触れるベースレイヤーも保温力を大きく左右する。多少湿っていても暖かさを保つウールや速乾性にたける化学繊維など、厚みのあるタイプを選んでおきたい。

・マイルストーン「MS-B1+」

乾電池ではなく、内蔵された充電池をUSB経由で充電して使うモデル。約3.5時間の充電で、光量を抑えると約45時間、最大光量でも約4時間使用できる。80m先まで照らせるパワーと、多少の雨では浸水しない構造を持ち、安心して使えるようになっている。「MS-B1+」の光は、一般的な白色LEDの真っ白な光ではなく、黄色みを帯びたナチュラルカラー。温かみがあって目にやさしいと、人気を博している。

サイズは60(幅)×45(高さ)×38(奥行)mmで、重量は約96g(ベルト含む)。明るさは約250ルーメン

サイズは60(幅)×45(高さ)×38(奥行)mmで、重量は約96g(ベルト含む)。明るさは約250ルーメン

・マウンテンハードウェア「ニトラスダウンジャケット」

水に濡れると羽毛がつぶれてしまい、保温力がなくなってしまうのが一般的なダウンの特徴だが、「ニトラスダウンジャケット」に使われているダウンには撥水加工が施され、間違って水に濡らしてしまっても暖かさを保ってくれるのがありがたい。波を打つようなデザインのバッフル(ダウンが入った部分)は収納時にたたみやすいだけではなく、着用時にはたっぷりと空気をキープして温かさを向上する。胸のポケットに押し込んで持ち運ぶことができるパッカブル仕様だ。

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・モンベル「スーパーメリノウール L.W. ラウンドネックシャツ」

スーパーメリノウール92%にナイロン8%を混紡して作り上げたベースレイヤー。湿っていても暖かく、天然の防臭作用を持つウールの特性を維持しながら耐久性を高め、着心地のよい一着になっている。「スーパーメリノウール L.W. ラウンドネックシャツ」はL.W.(ライトウェイト)タイプだが、秋よりも寒い冬や標高が高い場所では、より厚手のM.W.(ミドルウェイト)、 EXP.(エクスペディション)もラインアップされているので、使い分けたり、重ね着するといいだろう。

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これから登山を始める方へ

正しい装備を使えば山中での安全性がアップし、体力までカバーしてくれるのが山の装備だ。以前に比べ、低価格でも高機能のモノを手に入れやすくなっているが、せっかく買うのなら無駄使いはしてほしくない。快適なトレッキングのために、自分に合った、しっかりしたモデルをぜひ探してみてほしい。

高橋庄太郎

高橋庄太郎

テント泊での登山を中心に1年の半分近くは野外で過ごす、山岳/アウトドアライター。好きな山域は北アルプス。「山道具 選び方、使い方」など、著書も多数。

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2017.11.17 更新
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