ライター・横沢鉄平の新連載がスタート!
【Profile】
バス歴40年、ライター歴22年のベテランライターにしてプロアングラー。「三匹が行く」(雑誌「ロッド&リール」で2002年まで連載)、「ドラマチックハンター」「3Gインプレッション」(雑誌「ルアーマガジン」で連載中)など、長期にわたって連載企画に出演。その割に腕は普通なので、それを逆手に取った素人目線が達人には持ちえない武器となっている
恥ずかしくて今さら人に聞けないテクニックや、人気ルアーのポテンシャルを最大限に引き出すテクニック、そしてこれから流行りそうなテクニック――。
本連載では、そんなバス釣りのテクニックと人気ルアーの魅力を、ライター・横沢鉄平がその道のエキスパートから教えてもらい、現場で実践レポートする。
情報源:「ボトムアップ」代表・川村光大郎さん
気鋭の新進ブランド「ボトムアップ」の代表を務める川村光大郎さんと言えば、岸釣りのスペシャリストとしてアングラーなら誰もが知る存在。その卓越したスキルで、さまざまな栄誉を手にしており、雑誌「ルアーマガジン」(内外出版社)主催の連載「陸王」では、現在ディフェンディングチャンピオンだ(2019年7月時点)。
そんな川村さんがライバルたちに差をつけてきた必殺技が「スピナべサイト」。一般的なサイトフィッシングは、ワームをネチネチと動かして魚との根比べをするイメージだが、「スピナべサイト」は異なる。この技は圧倒的に勝負が早く決まり、しかもワームを凌駕するほどの結果を出しているのだ。
「最初はリアクションで食っていると思っていたんです。でも、この釣り方を10年使ってきた僕の感想としては、エサだと思って食っている風にしか見えませんね」(川村さん)
「スピナべサイト」はまさしく、スピナーベイトの固定観念をひっくり返すテクニックなのだ。ちなみに、バスがスピナーベイトに吸い寄せられるように食ってくる様子はまるで磁石のようなので、「マグネットバイト」とも呼ばれている。
川村さんが「スピナベサイト」を編み出したのは約10年前。その割に、その詳しい方法は世間ではまだまだ知られていないのが現状だ。でも大丈夫。本稿を読めば、「スピナべサイト」のすべてがわかってしまうのだ。さあ、新たな扉を開こう!
最初に「スピナべサイト」のハウツーを紹介。
(1)スモーク系のスピナーベイトを選んでトレーラーフックを付ける。
(2)タックルは、右投げなら左ハンドルのベイトリールを使う。
(3)「見えバス」を見つけたら、すぐに投げる。
(4)着水と同時にカーブスローロール開始。
(5)バスの目の前を45°の角度で通す。
(6)逆算して着水点を決める。
では、それぞれ解説していこう。
「スピナベサイト」に使うスピナーベイトには、ブレード回転のレスポンスがいいものを選ぶ。そして、カラーは派手系ではなくリアル系、特にスモーク系のカラーが最適だ。
「このテクニックは、スピナーベイトをバスの目の前に持ってくるので、目立つ必要はないんです。バスはエサだと思って食ってますから、リアクション系のカラーはあんまりよくないですね。チャートのスカートとか金のブレードとかは明らかに釣果が落ちます」(川村さん)
川村さんが愛用しているスピナーベイトは、ボトムアップの新ハードルアー「ビーブル」。カラーは以下の写真のスモーキンシャッドなどがいいだろう。
ボトムアップ「ビーブル」。下の写真はパッケージ
「ビーブル」は、アーム前方にセットされたパーツ「スプリッター」によって、ヘッドが縦だけではなく横揺れもするスピナーベイト。通常のスピナーベイトはその構造上、ヘッドが縦方向に揺れる。しかし、実際の小魚は左右に身をくねらせて泳ぐので、横揺れ要素のある「ビーブル」は、アクション的にリアルだと言える。
「ブレードの回転もワイドだし、アピール力は強い。でも、動きの質はナチュラルなんですね。だから水質がマッディーでもバスを引っ張れるし、クリアな湖でも見切られない。どんな現場でもバスが釣れるんです」(川村さん)
また「ビーブル」は、ブレード回転のレスポンスも極めて優秀。だからゆっくりと引いてもしっかりと回る。この点は、「スピナべサイト」において、非常に高いアドバンテージとなっている。
これがスプリッター。リップのような役目を果たし、ヘッドに横揺れを生じさせる画期的なパーツだ。また、フラッシング効果やレンジキープにもひと役買っている
「スピナベサイト」に使うスピナーベイトには、トレーラーフックを装着すると圧倒的にフッキング率がアップする。川村さんイチオシは、ハヤブサ「T・Nトレーラーフック FF204」とダイワ「スティーズワームフックSS」の「TR(トレーラー)」。サイズは状況によるが、どちらも「#1」が無難だ。
「ロケで『スピナべサイト』でバスを10本釣ったとき、そのうち9本がトレーラ―フックにかかっていたことがありました」(川村さん)
ハヤブサ「T・Nトレーラーフック FF204 #1」
「スピナべサイト」は、着水と同時にリールを巻き始めるのが基本。しかし、着水してからタックルを右手から左手に持ち替えるスタイルだと、どうしてもタイムラグが生じてしまう。右投げの人が着水と同時にリールを巻くためには、左ハンドルのほうが圧倒的に有利だ。ちなみにロッドは、レギュラーテーパーでミディアムアクションの普通のロッドがいい。やわらかすぎると、アワセてもフックが貫通しないことがあるらしい。
筆者の場合は、左ハンドルを多く持っていないので、ベイトフィネス用に使ってきたダイワ「T3 SV 8.1R-TW」を使用。12ポンドを巻いた場合、ベイトフィネス専用リールだと糸巻量が足りないが、これはSVスプールなので80mまで巻ける。ちなみに川村さんがイチオシのラインはフロロの12〜14ポンドで、個人的には13ポンドがベストらしい
前編はここで終わり。後編は「スピナべサイト」の核心に迫る!
バス歴40年、ライター歴22年のベテランライターにしてプロアングラー。雑誌「ルアーマガジン」で連載企画「ドラマチックハンター」などに出演中。その割に腕は普通なので、それを逆手に取った“素人目線”のレビューに定評がある。