イベントレポート
最新マウンテンバイクとトレイルランニングシューズを実戦テスト

トライアスロンのオフロード版「エクステラ」に挑戦したら打ちのめされた!

「エクステラ」に必須のギアは、マウンテンバイク、トレイルランニングシューズ、ウェア、ヘルメット、ウェットスーツ

「エクステラ」というスポーツをご存じだろうか? 簡単に言えば、オフロード版トライアスロンだ。今回は、トライアスロンを趣味にしている筆者が、3年ぶりに日本で開催された「XTERRA JAPAN Championship Marunuma(エクステラ ジャパン チャンピオンシップ 丸沼)」に出場。最新のマウンテンバイク(以下、MTB)とトレイルランニング(以下、トレラン)シューズとともにチャレンジしたレース模様をリポートする。

地球の素晴らしさを楽しむスポーツ

「エクステラ(XTERRA)」は、1998年にハワイのマウイ島で生まれた比較的新しいスポーツ。しかし、すでに世界中で、年間40以上もの大会が開催されるほどの人気のエンデュランス(耐久)スポーツである。「テラ(TERRA:地球)とクロスする(交わる)」という名前の通り、アスファルトの上ではなく、オフロードの中で行い、それを楽しむのが基本。「自然っていいよね」「地球って素晴らしい!」と感じながら遊ぶスポーツなのである。

群馬県にある丸沼のような湖のほか、川や海でも「エクステラ」は行われる

群馬県にある丸沼のような湖のほか、川や海でも「エクステラ」は行われる

トライアスロンは、スイム、バイク、ランを連続して行うスポーツ。いっぽう、オフロード版の「エクステラ」は、スイムを海や湖で行う点はトライアスロンと同様だが、自転車にはロードバイクではなくMTBを使用し、ランニングは山道で行われる。そのため、コース次第ではあるが、泥だらけになることがほとんどで、「大人の泥遊び」と表現されることも。距離に関してはいろいろな種類があるが、以下のような距離で行われることが多い。

・「チャンピオンシップ」……スイム/1.2km→MTB/25km→トレイルラン/10km
・「ライト」……スイム/0.6km、MTB/15km、トレイルラン/5km

トライアスロンのひとつ、アイアンマンレースがスイム/3.8km、バイク/180km、ラン/42kmで行われることを考えれば、距離は短め。だからといって楽ということではなく、アップダウンが連続したり、岩場を駆け上ったり、短くてもキツくて満足感はたっぷりだった。

今回出場した「エクステラ・ジャパン2019 丸沼」のコースは、バイク、ランともに平らなルートがほとんどなく、海外レースを多く体験したトップレベルの選手も「ハード」ともらしてしまうほど。「エクステラ」初心者の筆者は、迷うことなく「ライト」を選択した。

なるべく自然の地形を利用してコースを作るのが「エクステラ」の特徴

なるべく自然の地形を利用してコースを作るのが「エクステラ」の特徴

また、本大会は実は、日本の代表を決める予選も兼ねていた。「チャンピオンシップ」に出場し、年代別のカテゴリーで優勝することができれば、ハワイのマウイ島で行われる世界選手権に出場できる権利が得られるのだ(世界選手権大会への参加費用や渡航費用は各選手が負担)。そのため、海外から挑戦する選手も多く、2年ぶりに日本で開催された今回も、アジア地域はもちろん、オセアニア地区からの参加者もいて、国際レース的な雰囲気も感じられた。

海外のエリート選手も出場。同じコースで走るため、そのスピードやレベルの違いを実感できる

海外のエリート選手も出場。同じコースで走るため、そのスピードやレベルの違いを実感できる

走破性が高いKONAのMTBをセレクト!

先述したが、「エクステラ」はトライアスロンのオフロード版ということで、オフロード走行に対応した機材が必要になる。具体的には、ぬかるみや木の根っこ、岩の上でもしっかりとグリップして走行できるMTBになるが、アスファルトの上で使うロードバイクとは異なる耐久性も求められる。

今回使用したMTBは、カナダのブランドKONA(コナ)の「KAHUNA(カフナ)」。フロントのみにサスペンションが付いたハードテールタイプを選んだ

MTBは、フロントのみにサスペンションが付いたハードテールタイプと、前後にサスペンションが付いたフルサスタイプがある。ハードテールタイプは、リアにサスペンションがついていない分軽い。今回のコースは、乗って登れないほどの急坂が多いと聞いていたのでハードテールを選択した。実際、レース中にバイクを押して登ることが多かったので、軽量な「KAHUNA」は最適だった。

フロントのギアをシングル(1速)仕様にして、シフトチェンジのトラブルを回避。近頃のMTBに増えてきているトレンドのスタイルだ

フロントが1速でも、リアには12速のギアを採用しているので、さまざまなコースレイアウトに対応できる

フロントが1速でも、リアには12速のギアを採用しているので、さまざまなコースレイアウトに対応できる

ブレーキは、前後に油圧式のSHIMANO製ディスクブレーキを採用。ホイールは、巡航速度が維持しやすく、走破力が高い29インチを使用している

フレームは素材に柔軟性が高い「6061アルミ」を採用。MTBにもカーボン製フレームが増えているが、アルミフレームは耐久性が高く、転んで多少ぶつけてもトラブルが少ない

今回のレースでは、上り/下りともにコースが厳しく、平らなところはほとんどなかった。硬いと言われがちなアルミフレームだが、「6061アルミ」は柔軟性があり、さらにロックショック製のフロントサスもあいまって乗り心地は快適。荒れた路面でもスムーズに走ることができた。また2.25サイズという太いタイヤは幅広でエアボリュームが十分。あらゆるシーンで安定感抜群だった。あとは自分のテクニックが備わっていれば、もっと楽しめたかも……といった感じ。

クッション性とグリップ力にすぐれたトレランシューズ

MERRELL(メレル)の「MOMENTOUS(モーメンタス)」は、アウトドアシューズで培った技術を投入したトレイルランニングシューズ

メレルといえば、トレッキングシューズのイメージが強いブランドだが、トレランやロードランニングのシューズもリリースしている。今回使用した「モーメンタス」は、安定性と軽量性、そしてあらゆる路面にも対応するグリップ力を持ち合わせるモデル。その中でも、アウトソールのグリップ力にはレース中にかなり助けてもらった。トレランのコースは、濡れた岩場や木の根、泥、乾いた土、アスファルトが順番を変えて繰り返し出てくるタフなもの。通常、ソールに泥がこびりついた状態でアスファルトを走ると、泥がなかなかソールから離れてくれず、しばらく「泥って意外と重いな〜」と感じながら走ることもあるが、このシューズの場合は素早く泥が排除され、スムーズに走ることができた。

アウトソールに配置されたリブが、路面状況に応じて形を変えて路面をグリップする。リブは決して高くないのに、泥道でもしっかりとグリップするのには驚いた

岩や石も滑りやすいポイントだが、ビブラムの「メガグリップソール」により、路面をつかむように走ることができた

ミッドソールには、クッション性と路面からの突き上げを緩和するパッドを使用し、不整地に着地した際のダメージを軽減してくれる

アッパーは、やさしく足をつつむメッシュ素材を中心に採用。重くなりがちなクッション性の高いモデルにも関わらず、326gの軽さを実現している

オフロードではトレランシューズとして、アスファルトの上ではロード用のランニングシューズとして使える「モーメンタス」。クッション性も高いので、上り下りを繰り返しながら1時間弱走ったが、脚に変なダメージを感じることはなかった(疲労のダメージは大いに残ったが……)。

3時間ちょっとの過酷なレース

使用したギアを紹介しつつも、ある程度レースのことは書いてしまったのだが、「エクステラ」らしいレースシーンについても紹介しておこう。

スイムの際には、トライアスロンと同じようにウェットスーツの着用は義務づけられている。防寒という意味もあるが、トライアスロン用のウェットスーツには浮力があるため、安全のために着用する意味もある。

スタート方法にはいろいろあるが、今回は岸から参加者が一斉にスタートする方法が採用された。

「チャンピオンシップ」は、三角形に配置された1周600mのブイを2周回

「チャンピオンシップ」は、三角形に配置された1周600mのブイを2周回

丸沼の水質は素晴らしく、透明度も高かった。水深3mくらいの湖底も目視できるほど

丸沼の水質は素晴らしく、透明度も高かった。水深3mくらいの湖底も目視できるほど

スイムを終えたら、「トランジションエリア」という着替えエリアでウェットスーツを脱ぎ、バイクを準備して走り出す

バイクコースには、ところどころに青色のリボンがセットしてあり、それを目印に走る。見逃すとミスコースになるので、集中を切らせない

景色を楽しみたいところだが、次から次へと障害が現れて、楽しんでいるヒマがない……

景色を楽しみたいところだが、次から次へと障害が現れて、楽しんでいるヒマがない……

ロードバイクなら、15kmの距離は30分かからないくらいだが、このレースでは約4倍の2時間もかかってしまった

ロードバイクなら、15kmの距離は30分かからないくらいだが、このレースでは約4倍の2時間もかかってしまった

自転車をトランジションエリアに置いて、最後のランニングへ。コースとは言えないほど自然のままのコースを走り出す

ランニングの目印は赤いリボン。疲れのあまり下を向いていると、見逃すことに。気を抜くヒマも与えてくれない、それが「エクステラ」

立木をくぐったり、湖の中をザブザブ走ったり。まさに「非日常」という言葉がぴったりのランコース

立木をくぐったり、湖の中をザブザブ走ったり。まさに「非日常」という言葉がぴったりのランコース

湖畔のエリアをクリアすると、一転山の中へ。ヒザくらいまで浸かる水量の多い沢を上って下って。オフロードというよりも冒険に近い感じ。ヘトヘトになりながらようやくフィニッシュへ。普通の道なら30分はかからない5kmの距離を、45分ほどで走り終えた

レース後は、ビールを片手に表彰式も兼ねた「エクステラナイト」で盛り上がるのがこのレースのしきたり

レース後は、ビールを片手に表彰式も兼ねた「エクステラナイト」で盛り上がるのがこのレースのしきたり

選手はフリーフード。レースの武勇伝とおいしい食事が、疲れた身体を癒してくれる

選手はフリーフード。レースの武勇伝とおいしい食事が、疲れた身体を癒してくれる

走り終えての感想は、「キツかった」のひと言。世界中の「エクステラ」の中でも有名だという丸沼のタフなMTBコースは、前半は狭いシングルトラックが続き、後半はひたすら6kmほどの上り。MTB初心者の私にとっては「自転車に乗ることさえあまりできなかった」のが実際のところ。さらにランコースも同様にタフ。足場が不安定なうえに、アップダウンが多く、走っているのか走っていないのかわからないスピードで進むのがやっとだった。

トライアスロンの経験があるので体力的には問題はなかったが、それよりもMTBとトレランのテクニックが必要だと思い知らされた。トライアスロンのようにアスファルトの上だったら1時間くらいで終えられそうな距離にも関わらず、「エクステラ」でかかった時間はトータル3時間ほど。打ちのめされた感覚はあるものの、また出てみたいと思えるところが不思議なところ。トライアスロン以上に非日常で、しかも自然を近くに感じるスポーツだった。

今 雄飛

今 雄飛

ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。

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