レビュー
9つのセンサーで空気を可視化するスマート家電

スマート空気センサーデバイス「uHoo」を2,800km離れた香港に置いて空気を可視化してみた

「空気を可視化」するスマート家電

いまどきの家電、特に「スマート」や「IoT」をうたう家電にはセンサーが欠かせない。室内の温度が一定範囲を超えたとき動作するためには「気温センサー」、子どもやペットの様子を知るためには熱を発する物体の動きを検知する「人感センサー」といった具合に、用途に応じたセンサーを搭載する。センサーが情報を検知しネットワークで伝える機能が、スマート/IoT家電を名乗る条件と言ってもいいだろう。

ここに紹介する「uHoo(ユーフー)」は、空気を測定し可視化するスマート家電。水筒状ボディに内蔵されたセンサーにより、気温と二酸化炭素、微小粒子状物質(PM2.5)、一酸化炭素、気圧、湿度、総揮発性有機化合物(TVOC)、二酸化窒素、そしてオゾンを検知する。結果はただちにクラウドへ転送され、スマートフォンアプリへの通知などに利用される仕組みだ。異なるクラウドサービスを連結する「IFTTT」を利用すれば、他の空調機器・スマート家電との連携も可能というから、空気の汚れに敏感な自分としては試さないわけにはいかない。

スマート空気センサーデバイス「uHoo(ユーフー)」。中央がシェイプされた水筒を思わせるボディだ

スマート空気センサーデバイス「uHoo(ユーフー)」。中央がシェイプされた水筒を思わせるボディだ

高さは約16cm。片手で軽々持ち上げられる

高さは約16cm。片手で軽々持ち上げられる

下部には空気を吸い込むためのスリットが

下部には空気を吸い込むためのスリットが

上部には空気排出用の穴が空いている

上部には空気排出用の穴が空いている

日本でuHooのクラウドファンディングが始まったと聞き、すぐに貸し出し依頼をかけたところ、問題が発生。2019年9月現在、uHooは技適(技術基準適合証明)やPSE(電気用品安全法の適合性検査)を取得していないため、日本国内では利用できないらしい。さて困った...というとき、uHoo社から嬉しい申し出が。uHooにはデータ共有機能があるので、香港オフィスに既設のデバイスで測定したデータを参照できるよう取り計らってくれるというのだ。

確かに、そうすれば技適とPSEの問題はクリアできる。いろいろ実験したいので筆者専用機を追加手配してほしいというリクエストも快諾いただき、香港にあるデバイスを日本から監視・操作するという少々アクロバティックなレビューを進めることとなった。

測定に利用したuHooを設置したのは、日本から2,800km離れた香港のオフィスの様子

測定に利用したuHooを設置したのは、日本から2,800km離れた香港のオフィスの様子

遠く離れた場所の「空気」がわかる

専用スマートフォンアプリでユーザ登録を済ませ、香港にuHooを設置した人物からの招待に従い登録作業を行うと、いよいよセンサー情報を参照できるようになる。といっても難しいものではなく、アプリを起動するだけで概要情報が表示される。複数のuHooを登録している場合は、画面を左右へフリックすれば表示が瞬時に切り替わり、タップすれば詳細情報を確認できる。本体は2,800kmも離れた異国にあるが、隣の部屋に置かれた感覚だ。

スマートフォンアプリでセンサーの値を概観できる

スマートフォンアプリでセンサーの値を概観できる

測定されたデータは、uHooを停止するかネットワークを切断しないかぎりクラウドに蓄積されていく。データは1分間隔で取得されるため、どの時点で「空気」が変化したか調査できるところが、このデバイスの大きな強みだ。

なにか検知したらLEDが明滅するような視覚に訴える機構は搭載されず、すべての情報はネットワーク経由で通知されるため、電源さえ確保できれば設置は自由。システムがダウンして制御不能に陥る可能性も考えたが、通信不能状態(オフライン)になるとクラウドから通知が届く仕組みも用意されているため、不安はない。

ネットワーク経由で通知を送る機能。通知を送る値の範囲を細かく調整できる

ネットワーク経由で通知を送る機能。通知を送る値の範囲を細かく調整できる

項目ごとに通知を送るかどうかを選択することも可能だ

項目ごとに通知を送るかどうかを選択することも可能だ

肝心のセンサー性能だが、周囲の空気を意図的に変化させて測るしかない。試しに、uHoo本体を開け放った窓際へ移動するよう香港サイドに依頼したところ、数分後にはここ日本から値の変化を確認できた。普段は空調が効いているため、24〜25度前後で一定している気温は30度まで急上昇。空気の清浄さを示すPM2.5も、建物内ではふだん10μg/m3以下のところが20μg/m3を超える水準に上昇した。元の場所へ戻すとたちまち移動前の水準に落ち着いたため、確かに機能している。

香港オフィスの外気に触れさせる実験を実施

香港オフィスの外気に触れさせる実験を実施

「空気」の変動を知らせる通知が日本にあるスマートフォンにもしっかりと届いた

「空気」の変動を知らせる通知が日本にあるスマートフォンにもしっかりと届いた

香港オフィスの窓を開ける実験を行った際の値の変動もグラフで確認できた

香港オフィスの窓を開ける実験を行った際の値の変動もグラフで確認できた

オフィス内に置いたままの筆者専用機を対象に、息を吹きかけてみるとどうなるかも依頼してみた。uHooでは下部の細長い切れ込みから外気を取り入れる煙突効果を利用して測定を行うため、思惑どおりに進めばCO2の濃度が急上昇するはずだが...息を吹きかけた旨のチャットメッセージが香港から届いたその直後、アプリにもCO2濃度が高いから換気したほうがいいという趣旨の通知が届いた。センサーの精度は確かなようだ。

このスマートフォンを利用した通知機能は、uHooというデバイスの肝といえる。あらかじめ設定しておいた数値範囲を超えると、ただちに通知が発信されるしくみのため、世界中どこにいても1分前後のタイムラグで異常を知ることができる。PM2.5が上昇すれば「部屋が埃っぽい」、湿度が上昇すれば「湿度が高いとカビが増えやすい」、二酸化炭素が上昇すれば「息苦しい環境だ」といった言葉を添えて知らせてくれるので、わかりやすい。なお、代理店のフォーカルポイントに確認したところ、アプリでは通知も含め日本語をサポートする予定という。

IFTTT経由で他のスマート家電と連携

IFTTTを利用した他のスマート家電との連携もユニークだ。本稿執筆時点では、スマート電球「Philips Hue」(空気の質が悪化したとき点灯)、電源リモートスイッチ「Belkin WeMo」(空気の質が悪化したとき電源オン)、空気清浄機「Blueair Classic」(室内の空気が汚れたとき電源オン)など10種のアプレットが用意されており、アカウントを連携させれば自由に利用できる。

IFTTTを利用した他のスマート家電との連携をサポート、GoogleアシスタントやAmazon Alexaとも連携できる

IFTTTを利用した他のスマート家電との連携をサポート、GoogleアシスタントやAmazon Alexaとも連携できる

試しに、指定したセンサーが所定の範囲を超えたときGoogleスプレッドシートへ値を書き出すアプレットを利用し、もう一度息を吹きかける実験を実施したところ、期待どおり自分のGoogle Drive上にCO2の値が書き出されたスプレッドシートが作成された。

実際にIFTTTを試してみると、uHooというデバイスの可能性を実感する。Googleスプレッドシートへの書き出し実験では、CO2の増加に反応するようアプレットを設定したが、気温が25度を超えると書き込むようにもできるし、PM2.5の値に反応するようにもできる。留守のとき愛犬・愛猫がどのような空気で過ごしているか気になる、自分がアレルギー体質だから自宅の空気の汚れ具合が気になる、という向きには格好のツールになるはず。積雪・寒冷地で多発する一酸化炭素関連の事故も、このアプレットを使えば原因究明に役立つかもしれない。

延べ10日間、香港に設置した機体を日本で管理するという特殊な形態で利用したが、訪ねた経験がないオフィスを自宅に置き換えて考えると、離れた場所の「空気」をリアルタイムに知ることの価値がよく理解できた。小さい子どもやペットを離れた場所から見守るにしても、カメラでは検知できない領域も「空気」ならカバーできる。もし火災が発生したら二酸化炭素やPM2.5の急増で気づくだろうし、一酸化炭素による恐ろしい事故にも早めに手が打てる。このような形の“見守り”は、カメラでは難しい。

気になる点があるとすれば、連携できるスマート家電の選択肢が多くないことか。空気清浄機にしてもエアコンにしても、IFTTTに対応した製品はまだまだ少数派。他社製品ありきの話なので止むを得ない部分はあるが、「空気を測定したあと」に何が可能かをイメージできる環境づくりはぜひお願いしたい。とりあえず、ここ日本で急速に普及しつつあるスマート家電リモコン -- 赤外線でエアコンなどの家電を制御できるデバイス、IFTTT対応のものが多い -- と連携できるIFTTTアプレットを提供してくれればと思うが、いかがだろう?

【関連リンク】
uHooクラウドファンディングサイト

海上 忍

海上 忍

IT/AVコラムニスト、AV機器アワード「VGP」審査員。macOSやLinuxなどUNIX系OSに精通し、執筆やアプリ開発で四半世紀以上の経験を持つ。最近はAI/IoT/クラウド方面にも興味津々。

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