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世界最速・高密度AF、高速ライブビュー連写、Super 35mmの4K動画記録に注目

新開発センサーで実現! ソニーのAPS-Cミラーレス最上位「α6300」の3大進化点

2016年2月18日、ソニーからAPS-Cセンサーを搭載するミラーレス一眼の新モデル「α6300」が発表になった。海外ではすでに発表されていた製品だが、2014年3月発売のロングセラーモデル「α6000」の上位機種で、APS-Cミラーレスのフラッグシップとして3月11日に発売になる。

下位モデルとなるα6000は、コストパフォーマンスにすぐれた中級機として今もなお人気を集めているが、α6300は、新開発の撮像素子と映像処理エンジン「BIONZ X」を組み合わせることで、その性能を大きく上回るハイスペックなミラーレスとなっている。ここでは、メーカー取材で得た情報をもとに、新しいイメージセンサーの搭載によって実現した3つの大きな進化点を紹介しよう。

α6300は、ボディのトップカバー、フロントカバー、内部フレーム、リアカバーすべてにマグネシウム合金を採用。マウント部も再設計されており、ツメを含めて高剛性化が図られている。防塵・防滴に配慮した設計も採用。ボディサイズは約120.0(幅)×66.9(高さ)×48.8(奥行)mmで重量は約404g(バッテリーとメモリースティックPROデュオを含む)

チルト可動式の液晶モニター(3.0型ワイド、約92.1万ドット)を採用。Wi-Fi機能なども搭載する。対応するメディアはSD/SDHC/SDXCメモリーカード(UHS-I対応)、メモリースティックPRO/PRO-HGデュオなど。対応バッテリーはα6000と同じNP-FW50で、撮影可能枚数はファインダー使用時で約350枚、液晶モニター使用時で約400枚。α6000の約310枚(ファインダー使用時)/約360枚(モニター使用時)からバッテリー持ちがよくなっている

左がα6300で、右がα6000。同じようなデザインでボタンレイアウトもほぼ変わらないが、α6300にはAF/MFとAELの切り替えレバーが新設されている

銅配線を採用し、読み出しの高速化を実現した新センサー

α6300は、α6000の特徴であった「高速オートフォーカス」「高速連写」を継承しつつ、さらにレスポンスを高め、機能を強化したモデルだ。そのポイントとなるのが、新開発の有効約2420万画素Exmor CMOSセンサーだ。このイメージセンサーが、α6300の進化のキーポイントとなっている。

まず、新しいセンサーの特徴を紹介しておこう。新センサーは、フラッグシップモデル「α7R II」と同様、配線層の素材を、従来のアルミニウムから銅に変更。伝送速度が高い銅配線にすることで、読み出しの高速化を実現している。画質面も向上しており、銅配線の採用に加えて、回路プロセスの微細化によって、配線層の低層化とフォトダイオードの受光面積の拡大を実現。これによって集光効率が向上し、さらにノイズの少ない画質が得られるようになったという。画像処理エンジン「BIONZ X」のアルゴリズムをセンサーに最適化することでノイズ耐性も向上しており、感度はISO100〜ISO25600に対応(拡張の上限はISO51200。動画撮影時は最高ISO25600となる)。ソニーのAPS-Cミラーレスとしては初めて14bit RAW出力にも対応している。

本レポートで押さえておきたいのは、センサーの読み出し速度の高速化だ。これによって、オートフォーカス、連写撮影、動画撮影で大幅な性能アップを実現している。

有効約2420万画素の新開発センサーを搭載

有効約2420万画素の新開発センサーを搭載

新開発センサーは、銅配線を採用することで読み出し速度が向上。配線層の低層化とフォトダイオードの受光面積の拡大も実現している

425点像面位相差AF&高密度AF追従でオートフォーカス性能が向上

下位モデルのα6000は、画面のほぼ全域に配置した像面位相差AFセンサーと、コントラストAFを組み合わせた「ファストハイブリッドAF」を採用し、速度と追従性にすぐれるオートフォーカスで定評があった。3次元的な捕捉に加えて時間軸での予測も加味した「4D FOCUS」と銘打ち、その性能はユーザーからも高い評価を得ているが、上位モデルのα6300は、それを大きく上回る「4D FOCUS」システムに進化している。

ハードウェア面では、デジタルカメラとして世界最多となる425点の像面位相差AFを実装したのがトピック。α6000の179点から大幅に測距点数が増え、位相差AFセンサーの密度がさらに高まった。コントラストAFは「α7S II」と同じスペックで、全体を25点で分割し、そのうち中央の9点を細分化した計169点の測距点を持つようになっている。

さらに注目なのが、「高密度AF追従テクノロジー」という、被写体追従性を向上する新開発技術が搭載されたこと。この技術は、α6000の約7.5倍の密度となる200点の以上の微細なAF枠を被写体位置に集中配置するというもの。被写体の動きにあわせて、高密度なAF枠を動的に動かすことで高い追従性を発揮するという。オートフォーカスの能力を被写体位置に集中させるイメージの技術で、より効率的な処理が可能となる。

高密度AF追従テクノロジーの利用イメージ。被写体位置に200点の以上のAF枠を集中配置して動的に動かすという新しいアルゴリズムを採用する。なお、高密度AF枠は画面に表示されるわけではない

α6300は、BION Xの処理を最適化したことで合焦速度も向上しており、世界最速の0.05秒を実現。α6000も発表当時は世界最速の0.06秒AFをうたっていたが、それを0.01秒上回るスペックとなっている。

加えて、α6000ではコントラストAFのみであったが、「トランスルーセントミラーテクノロジー」を搭載しないマウントアダプター「LA-EA3」「LA-EA1」を介してAマウントレンズ(SSMレンズもしくはSAMレンズに限る)をボディに装着時した際に、像面位相差AFの利用が可能になった。像面位相差AFとコントラストAFのどちらかを利用できる(※動画撮影時に像面位相差AFの利用は不可)。どちらを使うかはメニューで選択が可能だ。像面位相差AFとコントラストAFを組み合わせる「ファストハイブリッドAF」には非対応なものの、広いAFカバーエリアで高密度な位相差AFを使えるのがメリットだ。なお、トランスルーセントミラーテクノロジー搭載の「LA-EA4」「LA-EA2」については、従来と同様、カメラ側のオートフォーカスは利用できない。

このほか、動画撮影時のファストハイブリッドAFの速度がα6000の最大2倍に向上。動画撮影では、後述するハイフレームレートでの撮影中もオートフォーカスを利用できる。Aマウントのマルチセレクターのように、十字キーでのフレキシブルスポットのダイレクト移動が可能になったほか、選択したフォーカスポイントから被写体が外れた場合に周辺のポイントを使ってピントを合わせ直す「拡張フレキシブルスポット」にも対応する。ピント拡大中のオートフォーカス動作にも対応。AF-C時にも「瞳AF」の利用も可能だ。

連写時のライブビュー表示を刷新し、タイムラグを抑制

レスポンスの部分では、連写時の表示タイムラグにもメスが入った。従来は、連写時に、実際の被写体の動きと電子ビューファインダー/液晶モニターの表示でずれが生じていたが、α6300では新開発センサーと新しいアルゴリズムの搭載により、それが改善されている。

従来は、アフタービュー方式と呼ばれる方式で、レリーズをすると露光、センサー読み出しの順に処理が行われ、1コマ目のレリーズを切ると、センサー読み出しが終わるまでEVF/モニターの画面はブラックアウトする。2コマ目のレリーズのタイミングで、1コマ目で生成した撮影画像が表示され、次のレリーズが始まるまでそれが継続して表示される。この方式では、現実とはずれた映像(1つ前のレリーズの撮影画像)が表示され続けるため、どうしてもタイムラグを感じることとなる。

α6300は、高速ライブビュー方式という新しい仕組みを搭載。レリーズしてから露光がスタートするまでのわずかな間に、ライブビュー表示用のサムネイルを生成する読み出し処理が追加され、それを画面に即時表示するようになった。1コマ目を切るとEVF/モニターにすぐにサムネイルが表示される。アフタービュー方式とは異なり、サムネイルは継続表示されるわけではなく、すぐに消え、次のレリーズまで画面はブラックアウトする。連写時は、1コマ目からレリーズ→即時サムネイル表示→ブラックアウトの順に処理が行われ、その後もレリーズ→即時サムネイル表示→ブラックアウトという同じ処理が続く。間にブラックアウトを挟むのがポイントで、この仕組みの採用により、連写時でも、光学ファインダーのようにブラックアウトしながら、表示タイムラグを抑えたライブビュー表示が可能になったとしている。

α6300は、この新しい表示方式を使った連写モード時に、AF・AE追従で最高約8コマ/秒の高速連写が可能。従来のアフタービュー方式の選択も可能で、この場合は最高約11コマ/秒にコマ速が向上する。

なお、α6300の高速ライブビュー方式は、コマ速によってサムネイル生成の読み出し時間が変わるとのこと。コマ速が上がると読み出し時間が短く、下がると長くなる。連続撮影速度が「Hi」だと最高約8コマ/秒の連写が可能だが、「Mid」の最高約6コマ/秒に落とすと、特に動体を追尾しながら撮影している場合に、「Hi」での連写時よりもEVF/モニターがなめらかな表示になるという。

最高約8コマ/秒の「Hi」で高速ライブビュー連写が可能。最高約6コマ/秒の「Mid」、最高約3コマ/秒の「Lo」でも高速ライブビュー対応する。「Hi+」を選択すると、従来の表示方法での最高約11コマ/秒が行える。なお、いずれのモードもAF・AE追従での連写となる

また、α6300は、サイレント撮影(サイレントシャッター)に対応しており、AF・AE追従で約3コマ/秒の連写が可能。電子ビューファインダーは、約235万ドット表示の高精細な「XGA OLED Tru-Finder」にアップグレードされ、120fpsの高フレームレートでの表示モードも新たに搭載された。

サイレント撮影に対応。AF・AE追従で約3コマ/秒の連写が行える

サイレント撮影に対応。AF・AE追従で約3コマ/秒の連写が行える

約235万ドット表示の「XGA OLED Tru-Finder」ファインダー

約235万ドット表示の「XGA OLED Tru-Finder」ファインダー

120fpsの高速ファインダーフレームレートに対応

120fpsの高速ファインダーフレームレートに対応

Super 35mmで全画素読み出しの4K動画記録に対応

センサーの読み出し速度の向上により、動画撮影機能も大きく強化されている。

最大のポイントは、Super 35mmフォーマット(APS-Cサイズ相当16:9)での、画素加算のない全画素読み出しによる4K/24p記録に対応すること。4K/24p記録時は4K映像に必要な画素数(約8MP)の約2.4倍(6000×3376=約20MP、6K相当)の情報量を使ってオーバーサンプリングを行い、非常に精細感の高い映像を生成する。4K/30p記録にも対応しており、24p記録時と同様に全画素読み出しが行われるが、Super 35mmではなく1.8倍クロップ(APS-Cサイズからは約1.2倍クロップ)となり、約13MPの情報量を使って約1.6倍のオーバーサンプリングが行われる。

また、4K記録はXAVC S方式で、24p/30p記録の両方で最大約100Mbpsの高ビットレートに対応。フルHD 60p/30p/24p記録時は最大50Mbpsとなる。さらに、フルHDでの120fpsのハイフレームレート撮影(最高ビットレート100Mbps)にも対応。30p/24p記録を選択すれば、4倍/5倍のスローモーション動画として記録される。

Super 35mmフォーマットでの全画素読み出しによる4K/24p記録が可能。6K相当からのオーバーサンプリングによって高精細な映像記録を実現する

4Kは24p/30p記録時ともに最大約100Mbpsの高ビットレートに対応

4Kは24p/30p記録時ともに最大約100Mbpsの高ビットレートに対応

このほか、HDMIクリア出力やピクチャープロファイル、タイムコード/ユーザービット、ゼブラ機能、ガンマ表示アシストといったプロフェッショナル映像制作をサポートする機能も搭載。ガンマカーブはS-Log2/S-Log3に、カラーモードはS-Gamut3/S-Gamut3.cineに対応する。マイク端子を搭載し、XLRアダプターキットの利用も可能だ。

まとめ

以上、α6300の進化点であるオートフォーカス、連写撮影、動画撮影の特徴を紹介した。

下位モデルのα6000は、APS-Cミラーレスとしてすぐれた性能・機能を搭載し、コストパフォーマンスの高さで人気を集めているが、α6300は、α6000の基本的な特徴をベースに、新しいイメージセンサーの搭載によって大幅に機能が強化されたモデルだ。

オートフォーカスも連写撮影も他のミラーレス一眼の1歩上をいく性能を実現しているが、特に、動画撮影のレベルが高い。Super 35mmでの全画素読み出しによる4K/24p記録を実現しており、一眼レフを含めた中上級者向けのレンズ交換式デジタルカメラの中では、最高レベルのスペックを実現。約2.4倍のオーバーサンプリングによって、非常に精細感の高い4K映像を記録できる。

ソニーは、撮像素子を自社開発しており、最新のイメージセンサーを搭載できるという強みを持っているが、α6300はその強みを生かして開発されたミラーレス一眼と言っていいだろう。市場想定価格はボディ単体が13万円前後、「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」が付属するズームレンズキットが15万円前後(いずれも税別)で、下位モデルα6000の市場想定価格と比べると倍に近い価格設定となっているが、性能を考慮するとこの価格も納得がいく。コンパクトなシステムで、飛行機や鉄道などの動く被写体をスチールでもムービーでも快適に撮影したいのであれば、α6300を選択肢に入れておいて損はないはずだ。

真柄利行(編集部)

真柄利行(編集部)

体力勝負ならそこそこ強い編集部デスク。カメラやAV家電を中心に製品のレビュー記事を担当しています。撮られるのは苦手ですが撮るのは好きです。

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