2017年9月12日、ドイツで開催された「フランクフルトモーターショー2017」において、スズキ 新型「スイフトスポーツ」が世界初公開となった。
スズキ 新型「スイフトスポーツ」フロントイメージ
スズキ 新型「スイフトスポーツ」リアイメージ
日本で3代目(海外では4代目)となる新型スイフトスポーツは、走行性能のさらなる追求のため、ドイツ・アウトバーンや1周12kmを超える高速テストコースなど、欧州各国において評価ドライバー達と走行テストを積み重ねて鍛え上げられてきた。
これにより、1.4L直噴ターボと1トンを切る軽量ボディが生み出すホットハッチならではの動力性能や、高速域における操縦安定性など、高次元の走行性能を実現させているという。当記事では、これまで判明している新型スイフトスポーツについての情報をお届けする。
まず、新型スイフトスポーツのグレードについては、これまでと同様に1グレードのみ。トランスミッションは、先代は6MTとCVTであったが、新型では6MTと6ATがラインアップされる。価格は、6MTモデルが「1,836,000円」、6ATモデルが「1,906,200円」(※いずれも税込)。9月20日より販売が開始される。
新型スイフトスポーツに搭載されるエンジンは、先代では1.6L NA(自然吸気)エンジンであったが、新型スイフトスポーツでは初のターボエンジンとなる「1.4L直噴ターボ ブースタージェットエンジン(K14C型)」が搭載されている。
スズキ 新型スイフトスポーツの「1.4L直噴ターボ ブースタージェットエンジン(K14C型)」
この1.4L直噴ターボエンジンは、同社の「エスクード」に搭載されている1.4Lターボと同型のエンジンで、点火タイミングや過給圧制御のチューニングによって、エスクードよりも出力やトルクの向上が図られているほか、過給レスポンスのアップによってアクセル操作のレスポンスが高められており、より鋭い加速が得られるようになっているという。
新型と先代スイフトスポーツの出力、トルク、燃費などを以下へ記載した。比較してみると、排気量は先代よりも小さくなったが、最高出力、最大トルク、燃費はいずれも先代より向上している。
■エンジン諸元比較
※(左)新型スイフトスポーツ|(右)先代スイフトスポーツ
総排気量:1,371cc|1,586cc
圧縮比:9.9|11.0
最高出力:103kW(140PS)5,500rpm|100kW(136PS)6,900rpm
最大トルク:230N・m/2,500〜3,500rpm|160N・m/4,400rpm
ボア×ストローク(mm):73.0×81.9|78.0×83.0
JC08モード燃費:16.4km/L(6MT)16.2km/L(6AT)|14.8km/L(6MT)15.6km/L(CVT)
新型スイフトスポーツのフロントイメージ
スズキによると、新型と先代スイフトスポーツを加速性能で比較した場合、6MTでは0〜100km/hの発進加速で約「20%」、40〜80km/hの追い抜き加速で約「50%」、それぞれ加速性能が向上しているという。また、新型の6ATと先代のCVTとの比較では、0〜100km/hの発進加速で約「25%」、40〜80km/hの追い抜き加速で約「15%」の向上が図られた。
新型スイフトスポーツのリアイメージ
ひとつ気になるのは、最高出力と最大トルクの「発生回転数」についてだ。先代スイフトスポーツに搭載されているNAエンジンは高回転型であったが、ターボエンジンを採用する新型スイフトスポーツは、出力、トルクともに発生回転数が下がっており、これまでのスイフトスポーツよりもパワフルではあるものの、高回転まで回すタイプではないことがスペック上からも読み取れる。
新型スイフトスポーツの6ATシフトノブ
また、トランスミッションについては前述の通り、新型スイフトスポーツでは先代の「CVT」に代わり、新たに「6AT」が搭載されている。この6ATは、エスクード 1.4ターボのトランスミッションをベースとして、ギヤ比とトルクコンバータの特性をよりダイレクトな加速感、変速感を味わえるように変更することで、スポーティーな走りを実現したものだという。
新型スイフトスポーツの6MTシフトノブ
6MTのほうは、先代スイフトスポーツとギヤ比やクロスレシオを採用している点などは同様だが、シフトレバーがショートストローク化されているほか、シフト操作系のチューニングが行われていたことなどによって、よりダイレクト感のあるシフトフィーリングへと改良されている。また、高トルクなターボエンジンの搭載にともなって、クラッチは高容量化タイプへと変更されている。
新型スイフトスポーツのフロントイメージ
新型スイフトスポーツでは、新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」の採用や、軽量で強度の高い「超高張力鋼版」を、先代と比較して3倍となるボディの17%に採用。さらに、内外装部品にも軽量化を施した結果、車重は先代の1,040kgに対して970kg(6MT比、6ATは990kg)と1トンを切り、70kgの軽量化を実現している。
サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式、リアがトーションビーム式と、ノーマルの「スイフト」と同じサスペンション方式ではあるが、スイフトと比較して各部の支持剛性やロール剛性が強化された専用のサスペンションが採用されている。これにより、ステアリングの車両応答性が高まり、旋回性が向上しているという。
ストラットとショックアブソーバーについては、歴代スイフトスポーツで使われていたモンロー製が、引き続き採用されている。
新型スイフトスポーツのフロントエクステリア
新型スイフトスポーツのリアエクステリア
先代スイフトスポーツ(新型とのエクステリア比較として掲載)
スイフトは5ナンバーだが、新型スイフトスポーツでは走行安定性を向上させるために前後トレッドを先代スイフトスポーツ比で40mm、スイフト比で30mm拡大した。これにより、新型スイフトスポーツは3ナンバーとなり、旋回性能が大きく向上している。
トレッドの拡大に伴い、全幅も先代スイフトスポーツ、スイフト比で40mm拡大したほか、全高は先代スイフトスポーツよりも10mm低くなり(スイフトと全高は同じ)、ワイド&ローなフォルムとなった。
新型スイフトスポーツのフロントフェイス
新型スイフトスポーツの17インチアルミホイール
エクステリアデザインは、ノーマルのスイフトよりもノーズを前方にせり出したフロントマスクを採用。アルミホイールは、専用デザインの17インチアルミホイールが採用されている。
ボディカラーは、初代スイフトスポーツから受け継がれるチャンピオンイエローのほか、全6色がラインアップされる。
新型スイフトスポーツのボディーカラー・ラインアップ
チャンピオンイエロー4(スイフトスポーツ専用色)
バーニングレッドパールメタリック
スピーディーブルーメタリック
ピュアホワイトパール
プレミアムシルバーメタリック
スーパーブラックパール
新型スイフトスポーツのインテリア
新型スイフトスポーツのメーター
インテリアでは、ノーマルのスイフトと異なり、レッド盤面のタコメーターとダークシルバーのスピードメーターが組み合わされる専用メーターを採用。メーター中央のマルチインフォメーションディスプレイには、スポーツモデルらしくブースト計や油温計が採用されている。
また、インパネ、センターコンソール、ドアアームレストにはレッドとブラックのグラデーション柄が採用されることでスポーティーな走りを髣髴とさせるインテリアとなっている。
新型スイフトスポーツのヘッドレスト一体型セミバケットシート
シートは、これまでのヘッドレストが分離するタイプから、ヘッドレスト一体型のセミバケットタイプのフロントシートに変わった。先代よりもホールド性が向上しているほか、先代よりも7.6kg/台の軽量化にも貢献している。
新型スイフトスポーツには、デュアルブレーキセンサーサポートなど衝突被害軽減ブレーキシステムが搭載されているが、新たに「車線逸脱抑制機能」をスズキ車として初採用している。
これは、自車が車線を逸脱しそうな際にステアリングをアシスト制御。車両を車線の内側中央付近に戻すようドライバーを支援する機能だ。
新型スイフトスポーツ フロントイメージ
これまでも走行性能において定評のあったスイフトスポーツが、さらなる動力性能とハンドリング性能を引っさげて登場した。これまでのNAエンジンに代わり、ターボエンジンを搭載するということで、その乗り味が気になる方も多いと思う。
スズキの開発者によると、「ターボといえども、これまでのスイフトスポーツと同様に、どこまでも伸びていくような気持ちいいエンジンに仕上がっている」という。
気になる新型の乗り味などについては、以下の試乗会のレポートにて。
【試乗】新型「スイフトスポーツ」“速”試乗&実燃費テスト/この乗り味はまさしくターボ!>