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2グレードのラインアップで、価格は275万円から!

出力を向上させた“e-POWER”を搭載! 日産「キックス」徹底解説

2020年6月24日、日産は新型コンパクトSUV「キックス(Kicks)」を発表した。6月30日から発売が開始される。

(※当記事の新型キックスの画像は、すべてタイ仕様になります)

日産は、2010年にコンパクトSUVの「ジューク」を投入した。ジュークは、斬新なエクステリアなどによって高い人気を得ていたが、2019年に海外でフルモデルチェンジされたときには日本では発売されなかった。だが、そのジュークの実質的な後継車種として今回、新型キックスが日本市場へと投入されたのだ。

なぜ、これまで販売されていたジュークの新型モデルではなく、新型キックスが日本で発売されたのだろうか。新型ジュークのパワートレインは、1L直3ターボエンジンに2組のクラッチを使った7速AT、もしくは6速MTのトランスミッションが採用されている。だが、これらのメカニズムは日本国内の市場には合わないと判断されたからだ。

キックスは、北米や中国、タイなど世界各国で販売されているグローバルモデルだ。日本で販売される新型キックスは、ハイブリッドの「e-POWER」モデルのみであることが特徴のひとつとなっている。海外では発売されているNAエンジンは、日本向けには用意されていない。なお、日本で販売される新型キックスは、タイで生産されている輸入車になる。

新型キックスのプラットフォームは、現行「マーチ」から採用が始まった「Vプラットフォーム」で、「ノート」も同じベースのものを採用している。そのため、新型キックスの基本設計は「ノート e-POWER」に近いのだが、サイズは少し大きい。

新型キックスの外観を見ると、フロントマスクには「セレナハイウェイスター」などに採用されている「ダブルVモーショングリル」が採用されている。グリルは縦方向にかなり厚みがあって、そのインパクトの強さはかなりのものだ。リアは、テールランプなどを含めて「エクストレイル」に似ており、フロント、リアともに精悍でスポーティーさを漂わせている。ちなみに、海外ではエクストレイルのような「Vモーショングリル」のフロントマスクを採用した新型キックスも発売されているが、日本仕様ではダブルVモーショングリルの新型キックスのみになる。

新型キックスのボディサイズは、4,290(全長)×1,760(全幅)×1,610(全高)mm。全幅は、日本で発売されていたジュークと同等だが、全長は約150mm長い。ライバル車と比較すると、マツダ「CX-3」と同等で、ホンダ「ヴェゼル」よりは短い。ホイールベースは2,620mmと、全長の割に長めだ。

新型キックスは3ナンバーサイズだが、1,800mmに収まる全幅や小回りのきく5.1mの最小回転半径、さらに視界のいい車内と相まって運転はしやすい。さらに、長めのホイールベースによって後席の足元空間は広く、ファミリーカーとしても使いやすいだろう。

エンジンは、1.2L直3エンジンをベースにしたシリーズ式ハイブリッドの「e-POWER」のみだ。e-POWERでは、エンジンは発電機の役割を果たし、駆動はモーターが担当する。その加速感は電気自動車に近く、アクセルを踏めばリニアに反応し、鋭い加速を得られる。

駆動用モーターの最高出力は129ps、最大トルクは26.5kgf-mと、ノートe-POWERの109ps・25.9kgf-mと比べて約20%ものパワーアップが図られており、中高速域での加速性能が向上している。ちなみに、セレナe-POWERの136ps、32.6kgf-mよりは低いものの、新型キックスの1,350kgという車重を考えれば十分な性能だろう。駆動方式はFFのみで、クロスオーバーSUVでありながら4WDモデルがラインアップされていないのが、少々残念なところではある。

新型キックスのWLTCモード燃費は21.6km/L、JC08モード燃費は30km/Lになる。ノートe-POWER(Xグレード)のJC08モード燃費は34km/Lなので、新型キックスはノートよりは少し下回るものの、ホンダ「ヴェゼルハイブリッド」のJC08モード燃費(2WD)は、23.4km/L〜27km/Lなので、ライバル車との比較ではすぐれていると言える。

グレード構成は、輸入車ということもあってシンプルで、「X」(2,759,900円)と、「Xツートーンインテリアエディション」(2,869,900円)の2グレードのみだ。

Xツートーンインテリアエディションは、Xよりも11万円高いが、内装は合成皮革が多く使用されて質感が高められており、「ステアリングヒーター」や「前席シートヒーター」、「寒冷地仕様(ヒーター付ドアミラー、リヤヒーターダクト、PTC素子ヒーター、高濃度不凍液)」などが標準装備されている(Xではメーカーオプション)。これらを考慮すれば、Xツートーンインテリアエディションは、決して割高ではない。

ちなみに、販売店では「キックスは輸入車なので輸送にも時間がかかり、基本的に在庫販売になる。発売当初はXツートーンインテリアエディションを重点的に生産するため、ベーシックなXを選ぶと、納期が伸びる可能性もある」と言う。

新型キックスの安全装備は、かなり充実している。「衝突被害軽減ブレーキ」や、緊急時にオペレーターに救援などを依頼できる「SOSコール」、車間距離を自動制御できる運転支援機能を備えた「プロパイロット」、サイドエアバッグやカーテンエアバッグ、ニーエアバッグ、17インチアルミホイールなどが全車に標準装備されている。

これらを備えたうえで、「キックス X」(2,759,900円)の価格は、ライバル車のホンダ「ヴェゼルハイブリッド Z HondaSENSING」(FF・2,760,186円)よりも若干安く抑えられている。両車ともに、装備水準は同等レベルだ。他のライバル車は、新型キックスやヴェゼルハイブリッドに比べると、機能や装備の割に価格が高めだ。ハイブリッドを搭載していて、価格が割安なSUVが欲しいときには、新型キックスとヴェゼルの2車種を試乗して好みに合う車種を選ぶのがいいだろう。

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎

「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けるモータージャーナリスト

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