ニュース
フロントフェイスを大幅に刷新!先進機能も搭載して進化を遂げた

日本初の「ジェスチャーコントロール」採用。ホンダ 新型「オデッセイ」解説

ホンダは、ミニバンの「オデッセイ」をマイナーチェンジし、2020年11月6日より発売を開始すると発表した。

マイナーチェンジが施されたホンダ「オデッセイ」。フロントフェイスが大きく変わったほか、インパネの刷新、手の動作でスライドドアを開閉することができる「ジェスチャーコントロール」、「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」などが採用されている

マイナーチェンジが施されたホンダ「オデッセイ」。フロントフェイスが大きく変わったほか、インパネの刷新、手の動作でスライドドアを開閉することができる「ジェスチャーコントロール」、「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」などが採用されている

5代目の現行オデッセイは、2013年にデビュー。その後、2017年にマイナーチェンジが施されたあと、今回の2度目のマイナーチェンジによって、さらなる商品力の向上が図られた。その詳細をご紹介しよう。

5代目のよさはそのままに、正常進化を遂げる「オデッセイ」

2013年に発売された、5代目のホンダ「オデッセイ」。画像は、「アブソルート」グレード

2013年に発売された、5代目のホンダ「オデッセイ」。画像は、「アブソルート」グレード

2013年に発売された5代目オデッセイが目指したのは、ユーティリティー性能と乗用性能の両立だ。その理由として、「お客様の、家族みんなが運転しやすいクルマであるとともに、室内は広いほうがいいという“わがままな”思いをかなえたいというものでした」と話すのは、本田技研工業 商品ブランド部 商品企画課の岸本賢治さん。そこで、ホンダ独自の超低床プラットフォームによって、ユーティリティー性能と乗用性能の両立を実現させることで、「他社にはない、独自のポジショニングを築くことができました」と言う。

実は、その「お客様の想いに応える」という方向性は、1994年の初代オデッセイが誕生してから変わっていない。「時代にあった、家族みんなが使いやすいクルマの理想を求め続け、新価値を提供してきました」と振り返る。

現在のユーザーの価値観の変化について、岸本さんは「いまは仕事だけ、プライベートだけではなく、生き方そのものを豊かにしていく時代へと変わりつつあります。お客様がクルマに求めるものも、自分の幸せだけではなく、家族や子供の幸せまで考えてクルマ選びをするという価値観に変わってきています」と言う。

そんなユーザーの気持ちに応えるために、今回のマイナーチェンジでは、超低床プラットフォームによるユーティリティー価値と乗用価値の両立はそのままに、フラッグシップとしての上質さの進化、大きく変わったデザインによる鮮度アップ、静粛性や乗り心地の向上、そしてミニバンの本質の進化としての使い勝手の向上やおもてなしの装備を追加することで、「家族みんなを幸せにしていきたい、という思いが詰まったクルマになっています」と、開発にかけるこだわりを語った。

「オラオラ系」にはならないように

今回のマイナーチェンジの方向性について、本田技研工業 四輪事業本部 ものづくりセンター開発責任者の長 毅さんは「正常進化ですが、進化幅をいままでのマイナーチェンジに対して、もっとぐんと引き上げています」と言う。

新型「オデッセイ」のフロントエクステリアとリアエクステリア

新型「オデッセイ」のフロントエクステリアとリアエクステリア

まず目につく要素として、エクステリアデザインが変更された。「お客様に見てもらって、『どこが変わったの?』というレベルではなく、はっきりと『変わったね、新しくなったね』と、だれもが理解してもらえるようなデザインにしました」と説明する。これには、前回のマイナーチェンジで、営業サイドからあまり変わっていないという声があったことも、今回の大幅なデザイン変更に結びついていると言う。

エクステリアデザインを担当した、本田技術研究所 デザインセンター オートモビルデザイン開発室 デザインエクステリア担当の森岡圭介さんによると、新デザインのコンセプトは「スタイリッシュプレミアム。フロント周りやリア周りを、大幅に変更しました」とのこと。

エクステリアでもっとも大きな変更が施された、新型「オデッセイ」のフロントフェイス

エクステリアでもっとも大きな変更が施された、新型「オデッセイ」のフロントフェイス

フロントフェイスは、グリルやフェンダー、バンパー、ヘッドライト、ボンネットフードなどに変更がほどこされている。森岡さんは、「フード位置を7cm高くすることで、フロント周りの厚みや強さを表現しました。その結果、このクルマの車格を1段階上げているのです」と説明する。

だが、あくまでもディテールは、大人の表情を残したいということで、「ワイド&シャープとしてメッキをあしらいながらも、“ゴリッ”とした太いものではなく、ディテールまでデザインしたものを採用しています」と言う。

これらをデザインするにあたり、モチーフとして、中国で販売されている同社のミニバン「エリシオン」をあげる。エリシオンについては、「オデッセイのお兄さん的な存在です」と森岡さん。「エリシオンが持っている塊感を、オデッセイにも用いることで、弟分から双子になるくらいにしました」と話す。

新型「オデッセイ」で新たに採用された「DRL(デイタイムランニングライト)」

新型「オデッセイ」で新たに採用された「DRL(デイタイムランニングライト)」

また、ヘッドライトやフォグライトには、車格を考えて薄型のLEDが採用されている。さらに、フロントウインカーも薄型のものをヘッドライト上部に配置し、シーケンシャル化している。「薄型にすることでできたスペースをめいっぱい使って、特徴的なDRL(デイタイムライニングライト)を採用しました。技術的にはもっと薄くできるのですが、オデッセイの車格を考えると、細くしすぎてしまうのは似合わないと考えました」と森岡さん。

威圧感を出さないようにデザインされた、新型「オデッセイ」のフロントフェイス

威圧感を出さないようにデザインされた、新型「オデッセイ」のフロントフェイス

そして、フロントフェイスの印象について、「ちょっと怖い、“オラオラ系”の顔をしたクルマたちが増えています。それらから、最低限防御ができるぐらいのデザインにはしたいという思いがありました。ですから、このフロントの塊で、強さですとか家族を守るような印象にしています。逆に言うと、威張ったりオラオラしたりというイメージは、このクルマには入れたくない。そこで、ディテールの処理はおとなしく、上品にデザインしているのです」と説明してくれた。

新型「オデッセイ」で形状が変更されたリアコンビランプ

新型「オデッセイ」で形状が変更されたリアコンビランプ

リアに関しても、フロントと同じ考えでデザインされた。「厚みや強さを表しながら、洗練されたディテールで表現しています」と言う。特に変わった部分として、森岡さんは「マイナーチェンジ前のオデッセイは横につながったコンビランプでしたが、セパレートタイプに変更しました。さらに、水平基調にすることで、大人のしっとりした感じも表現しています」と話す。さらに、リアガラスも、「中央部分を後ろに出すことによって全体的に立体的なデザイン表現をしています」と述べる。

フルLED化されたリアコンビランプは、上部にストップランプ、メッキ下にシーケンシャルランプ、内側の部分にバックランプを採用。LEDを使って薄型化しながらも、「夜間に、特徴的に見えることを念頭においてデザインしています」と話す。

コンビメーターやナビなどの電装系の装備も強化

新型「オデッセイ」のインテリアは、インパネ上部の加飾パネルや下部のソフトパッドなどの素材に変更が施されているほか、カーナビゲーションやメーターも刷新されている

新型「オデッセイ」のインテリアは、インパネ上部の加飾パネルや下部のソフトパッドなどの素材に変更が施されているほか、カーナビゲーションやメーターも刷新されている

インテリアに関しては、インパネ周りが一新された。前出の開発責任者、長さんによると、「クルマを運転しているときに、ガチャガチャした情報が目に入ってくると疲れに繋がりますので、横基調でシンプルなデザインを大切に考えました。さらに、シフターやエアコンのパネル類など、手を触れるようなところにはソフトパッドのような素材を使うなど、ちょっとしたところでの上質さを演出できるようにしています」。

新型「オデッセイ」で刷新された、メーターとカーナビゲーション

新型「オデッセイ」で刷新された、メーターとカーナビゲーション

また、インターフェイスに関しては、コンビメーターとカーナビゲーションが変更された。特に、コンビメーターは、2014年当時のものをそのまま使い続けてきたので、「さすがに、古さ感が否めませんでした。そこで、見た目で新しくなったことを表現したかったので、7インチのTFTを採用しました」と長さん。当然ながら運転のしやすさにも注力し、「メーターと人の位置、角度といったところは、細かくトライアンドエラーをしながらベストのところを狙っています」とのことだ。
ナビについても、販社装着ナビは10インチの販社装着ナビになった(これまでは7インチと9インチ)。また、「マルチビューカメラなどの画像が見づらいという意見もあったことから、サイズアップにより見やすさも含めて対応しました」。その位置も、大型化したナビであることから、「存在感を持たせながら、運転にはじゃまにならないようなことも考えて搭載しています」と述べた。

収納系も見直しを

助手席前に設置された小物入れは、ふたを閉めれば目立たない仕様になっている

助手席前に設置された小物入れは、ふたを閉めれば目立たない仕様になっている

さらに、オデッセイの不満点として、インパネ周りでは収納能力が足りないことと、カップホルダーが使いにくいことがあげられていたという。そこで、インパネを新しくするにあたり、助手席前側に「しっかりとものが入れられる小物入れや、カップホルダーを運転席から手の届きやすい場所に追加しました」と長さん。いっぽうで、デザインが煩雑になってしまうことは避けたいので、「シンプルで見やすいきれいなインパネは守りながら、こういった機能を入れることをがんばりました」と言う。

さらにシート表皮についても、「小さい子供などが、食べ物をこぼしたりした時に、簡単に拭き取りができるような、表面加工した素材を使っています。地味なところですが、必ず使い勝手ではいいアイテムになるでしょう」と、ここでもエクステリアと同様に、家族みんなが幸せになれるミニバンとして開発されていることをうかがわせた。

手のジェスチャーだけでスライドドアを開閉できるように

電装系の強化だが、今回のマイナーチェンジで、ある意味最大のポイントかもしれない。それは、日本で初採用の「ジェスチャーコントロールパワースライドドア」と呼ばれる新しい装備を搭載したことだ。「これは、使い勝手を向上させるアイテムではなく、『こんなこともできるんだ、すごいね』という“ファン”の領域です。驚いてもらえるような、“価値観”の装備なのです」と長さんは説明する。

本田技研工業 四輪事業本部 ものづくりセンターボディ/エクステリア開発担当の賀川賢一郎さんによると、「光の演出と、ジェスチャーによるパワースライドドアの操作で、操作する楽しさを実現するシステムです。LEDの光でジェスチャー操作をガイドしたり、静電センサーを使ってジェスチャーを検知する、世界で初めてのシステムを開発しました」と説明。ちなみにこれは、2019年に中国で発売した車種には、すでに搭載されているシステムだ。

スライドドアに手をかざし、スライドさせることでドアを開閉させることができる

スライドドアに手をかざし、スライドさせることでドアを開閉させることができる

その操作方法は、

1.スマートキーを持った状態でクルマに近づくと、LEDが点灯。
2.光っているところに手をかざすと、光が流れる。
3.光が流れたことを確認し手を振ると、パワースライドを起動し、開閉できるようになる。

また、両手がふさがっているときには、スマートキーを携帯さえしていれば、ひじなどで操作することも可能と言う。

また、ホンダとして初の「予約ドアロック」機能も採用された。スマートキーを携帯していて、スライドドアが開いている状態でロックボタンを押すことで施錠予約が完了。その後、スライドドアを閉めれば、自動的にロックされる。本田技研工業 四輪事業本部ものづくりセンター 車体設計開発責任者の河野英治さんによると、「各フェーズにおいて予約ロックの作動状態がわかるように、音と視覚によるアンサーバック機能も持たせています」とのことなので、安心感がある。「市場調査を重ねた結果、スライドドアが閉まりきるまでロックを待つという煩わしさがあり、たとえばお父さんだけが取り残されて、家族だけ先にどんどん歩いて行ってしまうようなシチュエーションもあるかもしれません。そういったときも含めて、積極的に使ってもらえればと思っています」とコメントする。

新型「オデッセイ」で新たに採用された、電動式の「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」

新型「オデッセイ」で新たに採用された、電動式の「ハンズフリーアクセスパワーテールゲート」

さらに、ユーザーからの要望が強かったという「パワーテールゲート」機能に関しても、リアデザインを一新する今回のタイミングで採用に踏み切った。これは、テールゲートを支えるステーなどを変更し、取付位置も変える必要があったため、これまでは採用が見送られていたとのことだ。今回の採用にあたっては、開口部の高さ設定も可能で、駐車場の天井が低いユーザーも任意に高さが設定できる。また、キックセンサーを搭載しているので、荷物で両手がふさがっている状態でも、キック動作で開閉できるという便利な仕様だ。

当然、マイナーチェンジとはいえ新型車なので、安全運転支援システムの「HondaSENSING」も全車に標準装備されている。今回は、「後方誤発進抑制機能」が追加され、後退時の急発進を防止できるようになった。

タイヤとホイール、ウィンドウガラス変更による静粛性の向上

新型オデッセイのパワートレインのラインアップは、ガソリンエンジンとハイブリッドの2種類。ガソリンエンジンは、2.4リッターDOHCポート噴射エンジンとCVTの組み合わせだ。なお、これまであった直噴エンジンにCVTを組み合わせた仕様は廃止されている。

また、新型オデッセイは、静粛性に関しても向上している。本田技研四輪事業本部 ものづくりセンター 車体研究開発責任者の田中賢治さんは、「5代目以降、静粛性を語るうえで、音の発生原因から対策を行うことを念頭に開発を進めてきています」と、取り組みを語る。

新型「オデッセイ」に採用されているタイヤは、扁平率がアップしている。さらに、ホイールには静粛性を向上させるため、レゾネーター機能が設けられている

新型「オデッセイ」に採用されているタイヤは、扁平率がアップしている。さらに、ホイールには静粛性を向上させるため、レゾネーター機能が設けられている

今回のマイナーチェンジでは、「タイヤの変更(扁平率アップ)と、レゾネーター機能を設けたホイールを適用して、路面の継ぎ目などで発生する音を低減させました。さらに、乗員の耳に近いフロントのドアガラスやスライドドアガラスに遮音ガラスを用いて、高周波音の対策を行っています」と述べる。これにより、「風切り音や、クルマを追い越すときなどのノイズを低減しているのです」と説明する。また、テールゲートのガラスも、板厚を上げて対策を行うことで「乗員すべてに、静粛性を高める対策を施しています」と述べる。田中さんは、「今回は、後席に重点を置いて対策を施すことによって、家族、特にリア席などに座る奥様や子供達にも、安心してもらえるような空間になっています」と語った。

また、タイヤの変更にともない、EPS(電動パワーステアリング)のセッティングを見直している。「お客様から『ハンドルの操作が重い』という声もあったので、そのあたりの改善に取り組んでいます」(長さん)。

新型オデッセイは、マイナーチェンジということもあり、これまでのよさは生かしながら、気になるポイントや変更すべき点を真摯に取り組んだものと言える。特に、「乗員全員が、幸せになるように」という視点はミニバンにとって必要なことで、そのためにマイナーチェンジであろうと、ガラスの板厚を上げることをはじめ、タイヤの変更に至るまで、可能な限り、改良に取り組んでいることは評価できるだろう。

自動車のモデルチェンジでは、どうしてもエクステリアやインテリアなどの大きな変更に目が行きがちだ。しかし、今回のマイナーチェンジではパワートレイン系に手が入れられなかったという事情もあるのだろうが、より細かい点にまで目を向け、家族みんなを幸せにしたいという思いが詰まったものになったと思える。決して安易ではないさまざまな改良に、しっかりと取り組んでいるホンダの姿勢に好感が持てた。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
ページトップへ戻る