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思わず欲しくなってしまうほどに、魅力的なカスタマイズカー!

ダイハツが手がけた、強烈な個性を放つカスタマイズカーたち

世界最大級のカスタムカーの祭典、「東京オートサロン」。2021年は、新型コロナウイルスの影響によって開催中止となったが、その代わりオンラインの「バーチャルオートサロン2021」が、2021年1月15日(金)9時からオープンしている(クローズは、2021年11月30日(火)を予定)。

ダイハツは、そのバーチャルオートサロン2021へカスタマイズカーを出展しているのだが、今回、その実車を取材することができたのでご紹介したい。ダイハツらしい、ユーザーの視点に立って新たなライフスタイルを提案したカスタマイズカーたちである。

タフト クロスフィールドVer.

今回のダイハツのカスタマイズカーは、大きく2つに分かれている。ひとつはアウトドア向けのクルマ、もうひとつはドライビングプレジャーを追求したクルマだ。

ダイハツの軽クロスオーバーSUV「タフト」をベースとして、いかついカスタマイズが施された「タフト クロスフィールドVer.」

ダイハツの軽クロスオーバーSUV「タフト」をベースとして、いかついカスタマイズが施された「タフト クロスフィールドVer.」

まず、「タフト クロスフィールドVer.」は、軽クロスオーバーの「タフト」をベースに、オフロードなどが楽しめるカスタマイズが施されている。「このようなアクティブなクルマに乗って、幹線道路だけでなく悪路も走り、そこに行かないと出会えない景色やスポット、匂いを発見して思い出を作ってほしい」という願いがこもっていると、ダイハツ コーポレート本部 先行企画グループ主任の工藤真輔さんは言う。

また、同車の企画やデザインを担当した、ダイハツデザイン部 第一デザイン室 先行開発スタジオ主任の米山知良さんによると、「タフトは、アウトドアを思いっきり楽しむというイメージですので、グラスルーフなどが標準装備されています。タフト クロスフィールドVer.は、そういったライフスタイルを望むユーザーを見据え、『こんなことができたら、もっと楽しい生活になる』ということを、さらに強調しました」と話す。そして、「確かに演出は過度ですが、(タフトクロスフィールドVer.に乗ることで)もっと冒険ができる、そんな世界観を持ってもらえたらという思いです」と語る。

外観上の特徴としては、フロントバンパーやリアバンパーが、タフトに比べて大幅に変更されている。「フロントバンパーは、クロカンのイメージを強調するために、グリルガードや電動ウインチ、けん引フックなど装備しています。また、フロントタイヤの前を切り欠いてデパーチャーアングルを稼ぐような演出をしています」。さらに、リア周りもスペアタイヤなどのスペースを切り欠き、マフラーは新たに製作している。

車高は、大径タイヤなどを履くことで、およそ10cm上げられている。タイヤの銘柄は、16インチの横浜ゴムのRVタイヤ「GEOLANDAR」で、RAYSの「デイトナホイール」が組み込まれている。

サイドのデカールは特注で、カブトムシやイワナなど、さまざまな絵が光の反射によって浮き上がってくる演出が施されている。「もし、東京オートサロンの会場に展示することができれば、子供たちがそれを見てよろこんでくれるかなと思いました」と米山さん。

「今回は、思いきって楽しみました。これまでなら、『これ以上は、やめとこう』と思ったでしょう。フロントガードも、クルマからはみ出してしまっています。今回は、『ここまでやったら、やり過ぎだろう』ということを、あえてやりきっています」と、会心の1台であることを述べた。

ハイゼットジャンボ キャンパーVer.

もう1台、アウトドア向けに作られたのが、「ハイゼットジャンボ キャンパーVer.」だ。

軽商用車の「ハイゼット」をベースに、2代目の「ハイゼットキャブ」をオマージュした「ハイゼットジャンボ キャンパーVer.」

軽商用車の「ハイゼット」をベースに、2代目の「ハイゼットキャブ」をオマージュした「ハイゼットジャンボ キャンパーVer.」

「ハイゼット」の60周年を記念して、フロントマスクは2代目「ハイゼットキャブ」をモチーフとし、ヘッドライトやフロントエンブレムなどにLEDを組み込むことによって近未来感が演出されている。

シートは、3代目のハイゼットを意識するとともに、60周年=還暦を表す赤色が採用されている。また、インパネなど内装の各所にボディ色が配されており、内外装の統一感が図られている。ちなみに、初代をモチーフにしなかったのは、初代はキャブオーバーではなくボンネットトラックタイプだったためだ。

そして、注目は荷台だ。荷台部分はテントになっているのだが、これは「初代『ミゼット』の幌を作っていた会社にお願いして、製作してもらいました」とのこと。このテントは、「インスタントにできており、骨組みを全部ばらして、すぐにノーマルの軽トラに戻せます。より手軽に、誰もが楽しめる仕様になっています」と説明する。

車高は、大径タイヤなどによって約5cmアップされている。「『タフト クロスフィールドVer.』ほどではありませんが、ラフロードを走れるようなイメージを持たせています」と語る。

工藤さんは、「キャンプ場にクルマを持ち込むなら、まずは『キャンピングカーを買おう』と思いがちですが、なかなか買える人は少ないですよね。それであれば、こういうクルマから始めてみてはという提案です」と話す。「ハイゼットジャンボ キャンパーVer.で、即席の基地を作り、またささっとたたんで、モンゴルのゲルのような感じで移動する機動性をこのクルマに付与させたかったのです」と言う。

さらに、「このクルマは、キャンプ専用車にはしたくありませんでした」とのこと。その理由として、「軽自動車を改造したキャンピングカーはありますが、そうなるとキャンプでしか使えなくなります。ですが、ハイゼットジャンボ キャンパーVer.であれば、畑作業や普段のゴミ出しなども、テントをたたむことで使うことができます。軽トラの持つ利便性を、専用車のような形で固めたくはなかったのです」と話す。

少し、個人的な思いを述べるならば、このハイゼットジャンボキャンパーVer.は、みずから購入するのではなく、行った先でレンタルして使うような形がふさわしいようにも思える。地方の道の駅や役場、ディーラーなどでレンタルできるようにして、そこまではふだん乗っている自家用車で向かい、そこで乗り換えて、その地域を楽しむのがいいのではと思う。

なお、このハイゼットジャンボキャンパーVer.は、インスタグラマーのYURIE(@yuriexx67)さんとタイアップしており、YURIEさんのインスタグラムなどでも実際の使用シーンを見ることができる。

ハイゼットジャンボ スポルツァVer.

さて、ハイゼットジャンボのカスタマイズカーは、キャンパーVer.に加えてもう1台出品されている。それが、「ハイゼットジャンボ スポルツァVer.」だ。

軽商用車「ハイゼット」をベースに、レース仕様にカスタマイズされた「ハイゼットジャンボ スポルツァVer.」

軽商用車「ハイゼット」をベースに、レース仕様にカスタマイズされた「ハイゼットジャンボ スポルツァVer.」

このクルマの特徴は、ルーフをカットするともに、徹底的なレース仕様としてカスタマイズされていることだ。ダイハツコーポレート本部 先行企画グループ グループリーダー主査の久保真吾さんは、このカスタマイズカーはハイゼット本来の姿が表現されていると言う。「ハイゼットは、農業でも多く使われています。なかでも、果樹園などでは実際にルーフを切ったオープンの状態を見ることができます。また、近年人気が出てきている軽トラレースとかけ合わせて、何かできないかと思いました。ハイゼットは、今年生誕60周年ですから、クルマを楽しく表現できないかと考えたのです。ハイゼットジャンボ スポルツァVer.の仕上がりは、まさにライトウェイトスポーツです。そういったところを、感じていただければ幸いです」とコメントする。

工藤さんは、「デザイナーによると、果樹園で平日に仕事をして、週末になったらこれでレースに行くという設定です。実際に屋根を切って、風を直接浴びると、運転した人は楽しいと言ってくれていました。そんな、運転の楽しさを伝えることが大事だと思っています」と述べる。そして、「ダイハツは普段、運転の楽しさなどよりも、便利さや使いやすさなどをアピールしています。そんなダイハツでも、こんなに楽しいクルマを作れるんだ、ということをアピールしました」と語る。

それらのこだわりは、細かなディテールにまで及ぶ。米山さんによると、「リアバンパーはハーフスポイラーになっており、マフラーも3気筒なので3本出しです(3本とも機能しているのだそう)。さらに、シート上部にはロールバーも入っています。スペースのある、ジャンボならではの装備です」と言う。

フロントウィンドウスクリーンは、3分の1ほどカットされている。さらに、足回りは軽トラレース用の車高調が組み込まれており、ブレーキはベンチレーテッドディスクを採用。タイヤは、ヨコハマ「ADVAN」のセミスリックを履かせている。ミラーはビタローニで、軽量のフルバケットシートやクイックリリース式のステアリングを搭載するなど、ちょっとしたレースカー顔負けの仕様になっている。

ちなみに、ドアに描かれている「60」と「ラグナ青果」は、ハイゼット60周年であることと、アメリカのサーキット「ラグナセカ」と青果店をかけ合わせたシャレである。

コペン スパイダーVer.

最後にご紹介するのは、「コペン」をベースにした「コペン スパイダーVer.」だ。こちらも、フロントウィンドウスクリーンが3分の1ほどカットされており、風を感じるライトウエイトスポーツカーへと仕上げられている。

「コペン スパイダーVer.のコンセプトは、『走りに振ったピュアスポーツ』。コペンよりも、さらに走りに特化したものにしたかったのです」と語る米山さん。

モチーフは、イタリア語で小舟を意味する“バルケッタ”だ。1950年代、フィアットなどの大衆車をベースに、2座の軽量オープンを作成した小さな自動車メーカーが数多くあった。それらは当時、多くのレースに出場し、大メーカーを相手に優勝を飾るなど大活躍した。バルケッタは、いまもヒストリックカーレースなどで注目を集め、“イタリアの宝石”などとも呼ばれている。

コペンスパイダーVer.は、風を受けながら運転を楽しむことができるバルケッタを再解釈し、電動ルーフを廃するなどで約100kg軽量化。そこへ、フェアリングが取り付けられている。

米山さんは、「バルケッタを手に入れるには、とてもハードルが高いでしょう(レーシングカーであり、台数が少なく希少性も高いので)。それであれば、もっと手軽に同じような楽しみを得られないかというのがコンセプトです」と言う。

その一番のこだわりは、フェアリングだという米山さん。「バルケッタを現代流に解釈し、より走りに特化、純化した表れです」とのこと。そのほか、フロント周りも4灯風から2灯にし、フロントグリルも逆台形からあえてオーバル形状のメッシュグリルへと変更。さらに、リア周りをスッキリとさせることで「軽量ピュアスポーツカーへと、仕上げていきました」。また、ホイールはRAYSの鍛造アルミが装着され、シートやマフラーは走りを楽しむためにD-SPORTが採用されている。

「景色のいいところで、匂いや風を感じて、FUN to DRIVEや走りを純粋に楽しんでもらいたいという思いです。コペンは、電動オープンに注目が集まりますが、実際に走らせるとスポーツカーとしてのよさがあります。そういったところを、フォーカスして作りました。ガチガチのサーキット仕様ではなく、快適に気持ちよく、という方向性です」と米山さん。

工藤さんも、「コペンはもともと初代、現行型ともに、特にスポーツカーが好きなわけではないような女性が、ひと目ぼれで購入しているようなケースが見受けられます。コペンが、そういったクルマを所有する楽しみや、どこかにクルマで出かける楽しみの入り口になるのであれば、それをもとにもっと風を感じて、もっとドライビングプレジャーを感じてもらえるのでは、と考えています」と語る。

最後に、コペンスパイダーVer.について「すごく玄人な、クルマ好きの人にもいいね!と思ってもらえるでしょうし、クルマにあまり詳しくない人でも直感的にすてきだと思うでしょう。本来、クルマはそういうものであると思うのです」と語ってくれた。

ショーカーの役割は、そのまま発売されるものよりも、それぞれのコンセプトやデザインを問うものが多い。今回出展されたダイハツのカスタマイズカーは、極端ではあるけれど、その役割は十分に果たしているように思える。多くの反響があれば、そのまま発売されることは無いとしても、一部が生産モデルのどこかに生かされるかもしれないし、エンジニアの刺激になることで、ますますダイハツのクルマが楽しくなっていくに違いないだろう。

内田俊一

内田俊一

日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かし試乗記のほか、デザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。

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