本企画「Daddy’s Sneaker」は、30〜40歳代のパパにとって本当に使えるスニーカーを模索する連載企画。ここで言う同世代の平均的なパパたちとは、以下にように定義づけています。
・平日はスーツ姿で出勤。休日は全身ファストブランドで無難な感じにまとめがち
・休日のお出かけは、家族や子供を連れて公園や地元のショッピングモールへ
・自由に使える1か月分のお小遣いは3〜5万円
そんなパパたちがスニーカー選びで押さえておくべきは以下の3点です。
・生活圏内でも浮かないデザイン
・公園でも子供と走り回れる機能性
・地方でも買えて、値段は10,000円台前半が理想
以上の条件から導き出されるのは「トレンドを超越したスタンダード」。履けば思わずテンションが上がり、とはいえ浮くことはない。ひと言で表すなら、“地に足のついたスニーカー”。ここでは、そのオススメモデルと、その履きこなし方を紹介します。
●第1回 やっぱり履きたいです、「エア マックス」! パパのスニーカーとしても最適なワケとは
●第2回 1万円切りのアディダス「スーパースター」! 夏の着こなしにもピタッとハマる
●第3回 夏はヴァンズ「エラ」が履きたくなる!? 合わせるハーフパンツ丈の最適解は?
リーボッククラシック「インスタポンプフューリー サンダル」と、その弟分「フューリーライト サンダルズ」をピックアップ
世の中は新型コロナでまだまだ予断を許さない状況とはいえ、梅雨も明けて気分はすっかり夏モード。そうなると、「足元はサンダル1択!」なんて人も多いのではないでしょうか。しかし、普通のビーチサンダルではつまらない。かといって、アウトドアブランドのサンダルでは本気過ぎる。そんなパパたちのために、街でもビーチサイドでも活躍するReebok CLASSIC(リーボッククラシック)の「INSTAPUMP FURY SANDAL(インスタポンプフューリー サンダル)」をピックアップ!
また本稿では、弟分的モデルの「FURYLITE SANDALS(フューリーライト サンダルズ)」にも注目。両モデルの相違点を検証しつつ、どんな履きこなし方が合うのかについても考えてみました。
1990年代後半に巻き起こった第1次ハイテクスニーカーブーム。その頃に、ちょうど青春期ど真ん中だったというパパ世代の脳裏にも、あの熱狂ぶりがしっかりと焼き付いていることでしょう。当時、「ナイキ エア マックス 95」とともにシーンを牽引していた2大巨頭と言えば、リーボックの「インスタポンプフューリー」でした。
デビューは1994年。アッパーに内蔵されたチャンバーに空気を注入することで、フィット感を調整する「ザ ポンプ テクノロジー」を搭載。そのユニークなギミックと前後独立型ソールユニットが生み出す未来的なルックスは、世界的アーティストが雑誌のカバーで着用したこともあり、ファッションシーンにおいても大きな話題となりました。
「インスタポンプフューリー」のアイコニックな名作モデルを、より気軽に履けるサンダル仕様にアレンジして誕生したのが、「インスタポンプフューリー サンダル」です。ここからは実物をご覧いただきながら、その魅力を掘り下げていきたいと思います。
リーボッククラシック「インスタポンプフューリー サンダル」の「ブラック/ホワイト/シルバーメタリック」(品番:DV9699)
まずはアッパー部分にフォーカス。一体型のシュータンに設置されたポンプは、チャンバー内に空気を注入するのに不可欠な存在であり、機能性とデザイン性を兼ね備えた、まさに様式美の最たるもの。アッパーのほかの部分は、チャンバーを残してライナーごとすっきりカットされています。これによって抜群の通気性を確保しながら、足をやさしく、そしてしっかりとホールドするスリッポンスタイルが形作られているのです。
シュータン中央のポンプを複数回プッシュすることで空気が注入されます。逆に横のボタンを押すことで空気が放出されます
甲部分のチャンバー(盛り上がったジグザグの部分)に空気が注入されることで、シューズと足の隙間が埋まります
また、独自のテクノロジーが凝縮されたフットベッドも、本モデルを語るうえでハズせないポイント。「インスタポンプフューリー」の特徴として知られる、下駄のような前後独立型のソールは今も健在です。さらに肉厚のミッドソール内には「ヘキサライト ヘキサゴナル クッショニング」を搭載し、アウトソールは耐久性とグリップ性を高めた耐摩耗性ラバーを採用しています。要は、履き心地に関してはスニーカーと遜色なし!ということです。そもそも、驚くほどの軽さから“まるでサンダルを履いているかのよう”と形容されていた「インスタポンプフューリー」を、さらに快適に進化させたのが本モデル。脱ぎ履きも今まで以上に楽チンですし、パパにオススメしない理由が見つかりません。次は、恒例の着用サンプルといきましょう。
衝撃吸収力にすぐれたクッショニング機構「ヘキサライト ヘキサゴナル クッショニング」を搭載したミッドソールは肉厚
中足部を「TPUシャンクプレート」で支えた下駄のような前後独立型のソールは、「インスタポンプフューリー サンダル」においても健在だ
実際に履いてみるとわかるのですが、肌の露出加減が絶妙! よくあるストラップタイプのスポーツサンダルと異なり、パパ世代の、毛が生えた足の肌が見えていても野暮ったくなく、むしろスマートな印象を周囲に与えます。これは、元々がウィメンズ規格のモデルだからということに関係していそう。そう考えると、ネイルを塗った指先や、抜け感を演出するくるぶしが露出している点にも納得。ゆえに、購入時に気をつけるべきはサイズ選びです。メンズモデルに比べて横幅が狭く作られているため、普段よりも1サイズ上げておくのがベターです。
今回はもう1足、「インスタポンプフューリー サンダル」とよく似た名前の「フューリーライト サンダルズ」も紹介します。ベースとなった「フューリーライト」は、「インスタポンプフューリー」のDNAを受け継ぐ、いわば弟分的存在。過去にも後継モデルが登場しましたが、その最新バージョンとなります。スリッポンタイプのフォルムは踏襲し、アッパーには通気性の高いメッシュ素材を、ソールにはミッドソールとアウトソールが一体型になった「3D ウルトラライトソール」を採用することで、すぐれた軽量性/クッション性/耐久性を実現させました。
「フューリーライト サンダルズ」は、兄貴分の「インスタポンプフューリー サンダル」と同様に、ベースデザインの特徴を残しながら、アッパーサイドを大きく開放するなどして、よりスポーティーに再構築されています。そのうえ、何より秀逸なのがデザインのアレンジ具合。アッパー部分を肌なじみのよいネオプレン素材に変更してメリハリを効かせ、より快適でファッションとも親和性の高いものに仕上げています。1万円札を出せば、余裕でお釣りが返ってくるコスパの高さも、パパたちにとっては朗報ですね。
リーボッククラシック「フューリーライト サンダルズ」の「ブラック」(品番:FY1603)
そして、兄貴分「インスタポンプフューリー サンダル」との1番の違いが、フィッティングの調整方法にあります。こちらはポンプで空気を注入するのではなく、足首と前足部に設置された面ファスナーのストラップクロージャーを使用。これはベースモデルにはなかった新意匠ですが、足に対するホールド力は抜群。何かと機動性が求められるパパの足元に適したディテールと言えます。微妙なフィット感の調整ができるという点においては、むしろこちらに軍配が上がるかもしれません。
前足部には、簡単にフィッティング調整できる面ファスナーのストラップクロージャーを設置
同じく足首にも、面ファスナーのストラップクロージャーを配置。アッパーのデザインは兄貴分と酷似
実はソールにもかなりの違いがあります。「フューリーライト サンダルズ」では、軽やかなクッショニングと安定性を発揮する「3Dウルトラライト EVAフォームミッドソール」と、グリップ力にすぐれた「ハイパフォーマンスシンセティックアウトソール」、この2つを一体化しています。兄貴分のように、ひと目でわかる軽快さやインパクトこそありませんが、たとえば子供と水遊びをしていても滑り知らずですし、しっかりとした接地感のある履き心地は、いろいろなアクティビティで有効に働きます。むしろ“生活圏内でも浮かないデザイン”という点では評価は高いのです。続いて、こちらも実際に着用してみましょう。
ヒールもネオプレン素材のアッパーで包まれているため、バックビューは「インスタポンプフューリー サンダル」と大きく異なる
グリップ力にすぐれた「ハイパフォーマンスシンセティックアウトソール」は、子供との水遊びにも打ってつけ!
いかがでしょうか? 肌の露出面積が拡大した分、アクティブなイメージが強まったように感じますし、よりアウトドアテイストの着こなしやシチュエーションにもよく似合いそう。履き心地という点では、確かにフットベッドの違いもあってか、かなり異なります。ただ、どちらを選ぶかは好みの問題かと。それくらいに両モデルとも履き心地は快適そのもの。ちなみにですが、「フューリーライト サンダルズ」はメンズ規格なので普段通りのサイズ選びでOKです。ご参考までに。
というわけで、今回はリーボッククラシック「インスタポンプフューリー サンダル」とその弟分「フューリーライト サンダルズ」をピックアップしました。
とにかく、夏本番の現在、機能的でスタイリッシュなサンダルは、家族でのショッピング、子供を連れての外遊びと、さまざまなシーンで活躍してくれるに違いありません。そして何よりも、パパ世代がかつて憧れた名作モデルが、サンダルという新たな形で復活しているのが実に感慨深く、うれしい限りじゃないですか。ならばこそ、プッシュしたくなるのも当然! そう、「ポンプ」だけに……。
メンズファッション誌を中心に、ファッションやアイドル、ホビーなどの記事を執筆するライター/編集者。プライベートでは漫画、アニメ、特撮、オカルト、ストリート&駄カルチャー全般を愛する41歳。