Sony Interactive Entertainment (SIE)は、2024年9月11日に「PlayStation 5」(PS5)の強化版となる「PlayStation 5 Pro」(PS5 Pro)を発表しました。高いフレームレートを保ったまま美しい映像描写が可能なり、ゲーミングPCクラスのゲーム体験が期待できそうです。ただし、希望小売価格119,980円(税込)と、家庭用ゲーム機としては類を見ない高価な価格になっています。
「PS5 Pro」、希望小売価格119,980円(税込)、2024年11月7日発売
「PS5 Pro」が「PS5」から強化されたのは、主に以下の3つのポイントです。
・GPU
・レイトレーシング
・AI
GPUは「PS5」と比較してコンピュートユニットの数が67%増加。さらに、GPUメモリも28%の高速化が実現されています。これによりレンダリング速度が45%上昇。グラフィック性能が大きく強化されたことで、高いフレームレートと、高解像度の映像描写が可能になったわけです。
「PS5」には、画質を高くしリフレッシュレートを30FPS程度に抑える「画質優先」モードと、画質を抑えてリフレッシュレートを60FPS程度に上げる「パフォーマンス優先」モードという2つのグラフィックモードが用意されており、ユーザーは自分の好みに応じてグラフィックモードを選択できました。
「PS5 Pro」では、グラフィック性能が向上したことにより、「PS5」の「画質優先」モードと同等の画質を保ったまま、「パフォーマンス優先」モードと同等のリフレッシュレートでの描写が可能になったとのこと。「PS5 Pro」の発表が行われた動画では、「PS5」との比較映像が映されましたが、「PS5 Pro」は映像がキレイなまま非常に滑らかな画面描写で動作していました。
「PS5」の「画質優先」モード(左)、「PS5 Pro」(右)。画質は両者とも変わりませんが、「PS5 Pro」のほうが映像は滑らかでした
レイトレーシングについては、「PS5」から強化され、光の描写がよりダイナミックになっています。「PS5」と比較して、2倍、ときには3倍の速度で光線を投射できるとのことです。
レイトレーシングの強化により、光の表現がよりリアルに
ゲーミングPCのGPUでは当たり前になっていた、AIの活用も「PS5 Pro」で導入されます。「PlayStationスペクトルスーパーレゾリューション」(PSSR)というAIによるアップスケーリング技術により、映像のディテールが大幅に強化。特に、遠くにある被写体の鮮明さが大幅に向上しています。
「PS5 Pro」(右)のほうが遠くにある被写体のディテールが細かく、シャープに
加えて、「PS5 Pro」はゲームブースト機能を搭載。これは、対応している「PS5」および「PS4」のゲームのパフォーマンスを向上させたり、安定させたりする機能です。
SIEは、「PS5 Pro」に対応するゲームに対して無償のアップデートを提供予定。これらのゲームは「PS5 Pro Enhanced」と表記され、具体的な数こそ明らかにされませんでしたが、以下のゲームが含まれます。
・Alan Wake 2
・アサシン クリード シャドウズ
・Demon’s Souls
・ドラゴンズドグマ2
・FINAL FANTASY VII REBIRTH
・グランツーリスモ7
・ホグワーツ・レガシー
・Horizon Forbidden West
・Marvel’s Spider-Man 2
・ラチェット&クランク パラレル・トラブル
・ザ クルー:モーターフェス
・THE FIRST DESCENDANT
・The Last of Us Part II Remastered
そのほかの「PS5 Pro」のスペックは、ストレージ容量が2TB、Wi-Fi 7対応など。現行モデルとは異なり、ディスクドライブを搭載しないデジタル・エディションの1モデルのみの展開です。本体には「DualSense ワイヤレスコントローラー」が同梱されますが、「縦置きスタンド」は同梱されません。また、別売りの「Ultra HD Blu-rayディスクドライブ」を取り付ければ、Ultra HD Blu-rayの再生にも対応できます。
公開された画像を見る限り、「PS5」よりも大きく見えますが、SIEによれば高さ、幅ともに「PS5」と同等とのこと。デザインは若干変更されていますが、基本的には「PS5」を踏襲しています。
「PS5 Pro」(左)、「PS5」(右)
「PS5」は2024年9月2日に価格が改定され、デジタル・エディションが72,980円、ディスクドライブを搭載する通常版が79,980円で販売中。「PS5 Pro」との価格差は約4万円です。手軽にゲームが遊べる家庭用ゲーム機というよりは、高価でもよりリッチなゲーム体験を提供するデバイスへと昇華した印象を受けます。