頭にヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着し、360度デジタルの世界を楽しめる「VR(Virtual Reality)」。国民的ゲーム機プレイステーションのVRシステム「PlayStation VR」の発売も10月に決定し、今年はVR関連の話題が大盛り上がり。そんななか、リクルートテクノロジーズが2日間限定で「未来アミューズメントパーク」というVRイベントを開催しました(終了)。「とにかく、いろんな種類のVRが楽しめるから!」と誘われたこのイベント。一体「いろんな種類のVR」とはどういう意味なのか、実際に体験してみました。
最初に体験したのは「TOKYOスカイラン -Urban Coaster-」。これは、ブランコ型のジェットコースターに乗り、東京風の街上空を疾走するというアトラクションです。ブースにはシンプルなブランコと、巨大な扇風機、そして扇風機の上には霧吹きが設置されています……何となく内容がわかってきましたね。
ブランコと巨大扇風機、モニターがセットになった「TOKYOスカイラン」のブース。意外に簡素な作り
ブランコ横にはモニターが設置されており、ここにHMDで見ている光景を再生。周りの人にも体験者の状況がわかるようになっています。体験者が上を向けば空の映像、横を向くと流れるように動くビル群がモニターに映し出されるのです。ちなみに、筆者がモニターを見たときの感想は「解像度を高くした初期のプレイステーションみたい」というもの。最近のリアルなCGに慣れているので、オモチャのようなCGに「これなら怖くないかも」などと軽く考えていました。しかし、実際に体験してみるとムチャクチャ怖い!
映画なら目の前のスクリーンの画面だけが動きますが、これは360度全部の景色が動く。もちろんVRなのであたり前ですが、実際に体験するとそのリアル感に改めて驚きます。自分が体験する前に、別の人の体験中CGを見ていたので「こんなもんかー」と安心していたのですが、自分がVRとして体験するとまったくの別物です。
HMDを装着してブランコに乗ったら、スカイランスタート!
視覚だけでなく、ジェットコースターの動きにあわせて前面から吹き付ける風で疾走感が格段にアップ、さらにCG内でコースターが曲がると、身体が勝手にバランスを取ろうと斜めに傾いてしまい、この「グラグラする感覚」がコースターが曲がるときの感覚を再現してくれるのです。じつは、絶叫マシンが大好きな筆者、怖いとは思いながらも、爽快感もあるこのアトラクションはかなりお気に入り。
東京風の街の空を急上昇したり、曲がったり……CGは決してリアルではないのですが、とにかく怖い!
コースターが曲がるたびに、自分では身体が30度くらい傾いている感覚があったのですが、実際はほとんど動いていないそう。「自分の感覚」と「身体の動き」はかなり違うようです
ちなみに、霧吹きはコースの途中では発生する「噴水の水の中を突き抜ける」イベントに使用。ほとんど濡れないにもかかわらず、これもなかなかリアル!
もうひとつの王道VRアトラクションが「美瑛の丘レース -Hashilus-」。4人対戦の乗馬ゲームで、乗馬マシンに乗って誰が一番最初にゴールするか競います。ちなみに、乗馬マシンにはパナソニックのフィットネス機器「JOBA」が使用されていました。フィットネス器具だけあり動きはかなり激しい! 本当に乗馬をしている気分を味わえました。
4人対戦の乗馬ゲーム「美瑛の丘レース」のブース。なんと、乗馬マシンにはパナソニックのJOBAを利用!
騎乗するとこのようなスタイルに。手に持った手綱部分を前方に叩きつけることで、馬が加速します
壁にかけられたモニターで、レース観戦が可能。乗馬体験者だけでなく、見ている人も歓声をあげて楽しんでいました
ここまでは、視覚以外の「体感」要素を追加した、ひたすら楽しい「王道VR体験アトラクション」ですが、会場には意外にビジネスに応用できそうなVR体験コーナーもありました。そのひとつが「観光」要素を取り入れたVRアトラクション。観光をテーマにしたアトラクションは2種類あり、1つが「四季の世界遺産 ドライブ」です。これは、冬の白川郷や白神山地、熊野古道、そして春の姫路城など、日本国内の世界遺産をバイクに乗って疾走するという、「観光」と「アトラクションの楽しさ」を融合させた内容です。
座面があるので、スクーターのような試乗感のアトラクション。こちらも前面に巨大扇風機があり、風を切る疾走感を味わえます
座面がガタガタと揺れてバイクのエンジンの振動を再現。さらに、座席の後ろでは、なんとスタッフが座席を前後にスライドさせて微妙な加速感を演出します! 加速する場面は、座席横のモニターで確認していました(笑)
世界遺産である熊野古道や姫路城を疑似観光しながら、バイクの疾走感も楽しめるという一粒で二度おいしいアトラクション♪
観光要素を取り入れたVRアトラクションには、沖縄の慶良間諸島座間味島周辺を飛ぶ「座間味島ロケットジャンプ」もありました。ここまでのアトラクションがすべてCGだったのに対し、こちらはドローンを使って撮影した実写の現地映像を使用しています。
アトラクションの内容は「ジェットパックを背負い、座間味諸島の島から島へとジャンプで移動する」というもの。どの島に移動するか選択するとジャンプ開始。ジャンプ中は移動先の島の説明ナレーションが流れ、着地すると終了。シンプルではありますが、ジャンプ時の浮遊感と実写ならではの映像の美しさはなかなかのものです。
専用のジャンプスーツを着用し、まずはジャンプの練習。後ろのスタッフが、ジャンプのタイミングとともに紐を引っ張って釣り上げてくれます。VRイベントなのに、意外に原始的?
練習が終わったらバックパックを背負い、コントローラーを握りしめます。コントローラーはジャンプ先を決定するためのボタンで、バックパックはジャンプともに風を吹き出しジェット噴射の感覚を味わいます
あとは、ひたすら飛びたい先を選択してジャンプ&ジャンプ! ぐーんと空をジャンプするのですが、美しい景色に「高くて怖い」と思う暇もありませんでした