その道の専門家に聞く! 介護に必要なモノとコト
家族の介護が必要になった時にあわてないための基本ガイド

介護用品を購入する前に! 介護保険が使えるかを知っておこう

高齢化した日本では介護は決して他人事ではなく、すべての人にかかわってくる問題となりました。政府の調査によると、介護のきっかけとなる原因は認知症、脳卒中、加齢による心身の低下という順なのだそう。これらの病気の多くは、幸い、すぐに死に至ることはありませんが、長期間の介護を必要とする状態になりやすいもの。家族や親族にとっては、介護負担が徐々に増えるケースであっても、入院して退院後に介護が始まる場合であっても、生活の中に突然介護がやってくるイメージになるでしょう。


少しでも快適な介護生活を送るためには、介護保険の使い方や介護サービスの知識など知っておきたいことはいろいろありますが、この連載では「介護に必要なモノ=介護用品」に焦点をあてて紹介していきます。実は、筆者も介護経験者。その経験から得た知識をもとに、当事者だからわかる本当にあって助かったアイテムなどをお伝えできればと思っています。

その前段階として、まず第1回は、介護が必要になった時に知っておいたほうがいい介護保険と介護用品の関係を見ていきましょう。
※介護保険では介護用品のことを「福祉用具」と呼びますが、この連載では「介護用品」とします

介護用品にはどんなものがある?

介護を必要とする人の多くは、「できれば元気な頃と同じように住み慣れた自宅で暮らし続けたい」と思っています。その思いを実現するための用具や用品が介護用品です。

起き上がりを助ける介護ベッド、着脱しやすい衣類、やわらかな食感の介護食、歯と口の中を保つ口腔ケア用品、力がなくても使える家電や生活用品、杖や車いすなどの歩行を補助する用品、歩きやすい靴、座面の高い浴室チェアなどの入浴補助用品、ポータブルトイレや紙おむつというように、介護用品は生活のあらゆる場面で使われています。また、本人が使用する目的のものだけでなく、介護者をサポートするための介護者お助け用品も数多くあります。今や利用者が用品を比較して選べるほど介護用品の種類は多岐にわたっているのです。

介護保険が適用される介護用品はレンタルが中心

そんな介護用品をすべて揃えるとなると、とてもお金がかかります。病状によって必要なものはどんどん変わっていきますし、1度購入したらずっと使えるというワケでもありません。でも、安心してください。介護用品の中には介護保険が適用されるものがあり、保険が適用されれば、安価な月額でレンタルできるほか、自己負担1〜3割の価格で購入できるものもあります。ただし、介護保険が適用される用品は主に、要介護者が「可能な限り自宅で自立した日常生活を送るために必要」とみなされる「福祉用具」であることとされているため、以下の図にある用品のみが該当。日常的に使用して消耗する紙おむつや介護食、デザインや様式に人それぞれの好みや使い勝手が反映される1本杖やシルバーカーなどは、介護保険の適用外となります。

レンタル対象用品は図の13種目

レンタル対象用品は図の13種目
出典:厚生労働省ホームページ

割引で購入できる用品は図の5種目

割引で購入できる用品は図の5種目
出典:厚生労働省ホームページ

これらの介護用品を購入やレンタルするためには、市区町村から要介護(要支援)認定を受け、必ず、ケアマネジャーに相談してケアプランを作成しなければなりません。この連載の主目的から外れるため今回は軽く触れる程度に留めますが、介護保険を利用すると、介護用品の専門知識を持った「福祉用具専門相談員」の有資格者が、利用者の状態や住宅環境に合わせた用品を選んでくれます。使用中も不具合があればすぐに用品を交換してくれ、定期的にメンテナンスすることも法律で義務付けられているうえに、このようなアフターケアに関して利用者に別途費用はかかりません。ケアマネジャーと福祉用具の専門相談員が要介護者の状態の変化にずっと寄り添って対応してくれるので、介護保険が適用される介護用品の種目については介護保険を利用したほうが得策と言えます。

なお、介護施設に入居する時には介護保険で介護用品の購入やレンタルができない可能性があります。とはいえ、施設と言ってもさまざまな形態があり少々複雑なので、施設に入居する際には施設側によく確認するようにしましょう。このような介護保険については、市区町村のホームページにくわしく書かれているので、ご自身が住んでいる地域のホームページを参照してください。

介護保険でまかなえない介護用品は意外と多い

介護保険が適用される介護用品については、その制度を利用したほうがいいのは間違いありませんが、前述のように適用されるものはレンタル用品13種目と購入用品5種目に限られます。介護に必要なものは、このほかにも介護食、口腔ケア商品、1本杖、シルバーカーなど、介護を必要とする人が日常的に使うものだけでもさまざま。見守りカメラや呼び出し機器、GPS機器のような介護者の安心をサポートするグッズを用意したいという人もいるでしょう。介護保険適用外の介護用品については、実質、自己負担となりますが、なかには紙おむつのように自治体が助成サービスを行っているものもあります。とはいえ、実際のところ、助成サービスを利用しても上限があるので、必要な紙おむつをすべてまかなうことは難しいのが実情。というのも、紙おむつとひとことで言っても、外側のパンツや中に装着する尿取りパッドも必要で、かつ、日中用と夜間睡眠中で揃えなければならないなど、実際には複数種類を何十枚も用意しなければならないからです。

自治体の助成サービスは自治体によって現物支給か金銭支給かが異なるので、市区町村のホームページをチェックしましょう

要介護者の状態によって必要な量は変わってきますが、たとえば筆者の経験した家族の在宅介護で必要になった紙おむつの量を紹介すると、もっとも介護度が高い要介護5になった頃は、毎月、外側のテープ式パンツは90枚、中に装着する尿取りパッドは日中用2種類を各90枚、さらに尿取りパッドの夜間用を30枚確保していました。つまり、1か月でおむつの総計は300枚。もちろん、使い切れずに翌月に持ち越すこともありましたが、基本的にこの量を確保していました。そして、この内、自治体の助成サービスでまかなえたのは30〜40%程度。筆者の住む自治体は現物支給で、意外と選べるおむつの種類が多くで助かりましたが、それでもすべてを助成サービスでまかなうことはできませんでした。

このように、おむつひとつでも自費購入は必至。また、筆者のケースで紹介したように、ひと月に用意すべき量もかなりのものになります。そんな時に役立ったのがネット通販。筆者の場合、少しでも安いおむつを手に入れるため、必要な4種類の紙おむつをネットでよく検索したものです。ネットであれば、配達もしてもらえるので、そういった点でも大変助かりました。

次回からは介護用品を賢く買うためのノウハウをお教えします!

介護用品は、要介護者に合うものを見つける作業がとても大事。たとえば紙おむつの場合、要介護者の心身の変化にともなって尿もれしないタイプを使い分けできると、要介護者が快適に過ごしやすくなります。とはいえ、各メーカー、同じようなうたい文句で、ざっと見る限り機能も似通っているため、正直、利用者側では違いがわかりにくく、何を選べばいいのか迷うもの。また、そういったことを相談できる場がほとんどありません。これは、筆者が介護をしていた頃に感じていたことでもあります。そこで、家族の介護をすることになった人、すでに介護している人に役立つ介護用品選びの情報をお伝えしたいというのが、この連載の大きなコンセプトとなっています。

筆者は現在、介護を終え、介護や福祉に関する情報を発信しながら地域の高齢者支援を行っています。このような経験から得た知識に、介護職や福祉用具専門員からのアドバイスと介護の基本情報を織り交ぜながら、なかなか人には聞けない介護用品の選び方や上手な使い方、そして時には要介護者の快適さを向上させてあげられるかもしれないノウハウをお伝えできればと思っています。

浅井郁子

浅井郁子

介護、福祉、高齢者支援をテーマに執筆活動するかたわら、地域の高齢者支援にも励む毎日。在宅介護の経験をもとに「ケアダイアリー介護する人のための手帳」を発売。

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