小学生になると多くの人が用意するランドセル。2020年に新1年生になるお子さんやお孫さんのランドセルはすでに購入済みでしょうが、2021年に入学を控えている方もそろそろランドセルを検討し始めてもいいかもしれません。というのも、ランドセル選びの時期は年々早くなっているからです。この特集では、近年白熱している「ラン活」事情や、理想的なランドセルを見つけるための基本的な選び方のポイントを紹介します。
最近、耳にすることも増えてきた「ラン活」という言葉をご存じでしょうか。ラン活とは、ランドセルを購入するために情報を集めたり、展示会に足を運んだりする調査活動のこと。予約製品や受注生産品、人気のあるモデルなどが早々に売り切れてしまうことから、ラン活を始める時期が年々早まっているのです。価格.comが行ったアンケート調査によると、2019年春に新1年生となる子どものためにラン活をスタートした人がもっとも多かったのは2018年4月で、同年5、6月には約33%の人がランドセルを購入していることがわかりました。大手ランドセルメーカー「セイバン」の調査でも、7、8月には37%の人が購入済みという結果に。数年前までは8〜9月頃がランドセル市場のピークだったことを考えると、1〜2か月は購入する時期が早くなっており、それに合わせてランドセルを選ぶ時期も前倒しになっているようです。ひとりのお子さんのためにランドセルを購入するタイミングは1回ですが、お子さんにとっては6年間使用するもの。焦って購入し、あとで後悔しないように早めに検討を始めるほうがいいかもしれません。
なかには、2年前から活動を始めていたという人もいるほど、ラン活は白熱しているよう
ラン活のやり方は人それぞれですが、「カタログを取り寄せる」「インターネットで調べる」「展示会やお店に足を運ぶ」という方法が主流。カタログやインターネットではいろいろなメーカーのランドセルを比較しやすく、展示会や店頭では実物を触って確認できるほか、実際に子どもに背負わせてフィット感を確認できるなど、それぞれにメリットがあります。複数の方法をミックスして探すのが効率的でしょう。
たとえば、価格.comなら、メーカーや素材、形状、デザイン、価格といった項目をかけ合わせて絞り込み、複数の製品を比較することもできます
ラン活を始めると、まず、ランドセルにもさまざまな種類があることに目がいきますが、次に、価格に大きな幅があることに気付かれるでしょう。理由はいろいろありますが、主に「素材」「機能」「ブランド」で価格は大きく違ってきます。いいものを選んであげたいのが親心ですが、1番に考えるべきは子どもが使いやすいかどうか。使い勝手やメンテナンスの手間などを総合的に考えて選びましょう。
ランドセルの価格に大きな影響を与えるのが、素材。ランドセルに使用されている素材は主に「人工皮革」「牛革」「コードバン(馬の革)」の3種類で、人工皮革→牛革→コードバンの順に価格が高くなります。もっとも安いのは人工皮革ですが、丈夫で軽く、水に強い素材なため、コストパフォーマンスはバツグン。クラレ製「クラリーノ」という人工皮革を採用しているものが多く、天然皮革のような手触りはありませんが、牛革に近い質感となっており、手入れもラクなことから人工皮革のランドセルがランドセル市場の約7割を占めています。残る2つの牛革やコードバンは天然皮革であるため、使えば使うほどに味わいが出てくるのが魅力。小学校に通う6年間、愛着を持って使えることから根強い人気があります。少し前まで、天然皮革は⽔に弱いといわれていましたが、最近は撥水加工技術が進化したことにより、濡れてもサッと拭けば問題なくなりました。そして、農耕馬のおしりの皮の深層部という希少な部位を使用した最高級素材「コードバン」を使ったランドセルは、10万円以上するのが当たり前。独特ななめらかな質感やツヤがあり、耐久性も高いため、品質にこだわるならベストな素材ですが、重量が重くなるため、使用する子どもの負担にならないか確認する必要があります。
手触りがやさしく、使うほどになじんでくる牛革タイプ。最近は撥水加工などにより、耐久性も高まっています
ランドセルは6年間使い続けられるように丈夫に作られているのはもちろんですが、荷物をたくさん入れても体に負担がかかりにくい工夫が数多く施されています。背当て部分の通気性とフィット感、肩ベルトと本体をつなぐ背かんがいかにスムーズに動くかなど、快適に使い続けるための機能は各メーカーが技巧を凝らしているところ。たとえば、大手ランドセルメーカー「セイバン」の「天使のはね」シリーズの場合、背負った時に軽く感じるように肩ベルトを立たせて重心が上がるように設計されています。このほか、安全面に配慮したパーツや、デザインへのこだわりなど、搭載される機能に高い技術と手間がかかっているものほど価格は高くなる傾向。使いやすさは重視したほうがいいですが、デザイン性など、子どもの体に影響がないものは取捨選択することも大切でしょう。
背当ての素材や形状、肩ベルトと本体をつなぐ背カンの性能など、パーツ1つひとつが背負いやすさや疲れにくさ、快適性につながってきます
ランドセルはランドセル専門メーカーだけでなく、専門工房や量販店、百貨店などで販売されています。工房のものはハンドメイドで作られることが多く、その分価格が高くなりますが、細部までていねいに仕上げられた品質は人気で、価格は高めでも早々に売り切れてしまうことも。また、アパレルブランドとコラボしたランドセルもデザインにこだわる人には人気。もちろん、一般的なブランド品同様に価格は高めです。いっぽう、量販店が製造から独自に行っているランドセルは、比較的手ごろな価格帯のものが多め。ただ、ブランドによって使い勝手や快適性といった機能面でも差が出てきますが、ブランド名だけで選ぶのは注意しましょう。なお、価格.comの調査によると、2019年度にランドセルを購入した人が選んだ価格帯がもっとも多かったのは50,000〜60,000円。次いで、60,000〜70,000円、40,000〜50,000円となっています。
写真は、若者に人気のファッションブランド「ビームス」が手がける子ども向けブランド「こどもビームス」のランドセル。最近は、自社ブランドのコンセプトでデザインしたランドセルを取り扱うファッションブランドも増えています
上で紹介したブランドや価格帯などは、家族で相談し、適したものを選んでください。おおよその価格帯が決まったら、モデル選びに移りますが、必ず行ってほしいのは実物を手に取り細部を確かめること。できれば、実際に子どもに背負わせ確認することも大切です。そして、次にあげる4つの項目を主にチェックしましょう。
ランドセルは6年間使うものなので、丈夫でないと徐々に型崩れしてしまいます。ランドセルの大マチをぐっと押しても形がほとんど変わらない、または、すぐにもとに戻れば問題なし。逆に、形が大きく変わったり、戻りが悪いものは、早々にへたってくる可能性があります。
上からグッと押してみましょう。マチ部分がつぶれたり、手を離しても形がすぐに戻らなかったら、耐久性に問題があるかもしれません
教科書やノートを詰め込むランドセルは、かなり重くなります。そのため、重量が軽いランドセルを選びたくなりますが、軽すぎるものは安定感が悪く、型崩れするおそれも。あくまでも丈夫さを確認したうえで、できれば中に重りを入れた状態で子どもに背負ってもらい、重すぎないかどうかを確認するといいでしょう。
6時間目まで授業がある日などは、ランドセルの中も教科書やノートでいっぱいになります。ランドセルは、実際の数字上の重量より、「背負った時に重く感じるかどうか」が重要です
ランドセル自体の重さより、軽く感じるかどうかという「体感重量」が大切です。背負った時に肩とランドセルが離れていないか、うしろに引っ張られていないかをチェックしましょう。背中にぴったりフィットしていれば、動いても左右にずれにくいので安定し、重さを感じにくくなります。
背中全体にフィットするとランドセルは軽く感じます。また、左右にぶれにくいと重さも感じにくいので、本当にフィットしているか、体を左右に軽く振って確かめてみてください
ひと昔前は「A4クリアファイルが入るかどうか」が目安になることもありましたが、今はほとんどのランドセルが、さらに大きいA4フラットファイルに対応しています。最近はポケットが大きく広がり、折りたたみ傘や上履きが入れられるタイプも登場。手荷物が減らせると両手が空いて安全に通学できるので、このような機構も要チェックです。
最近は多くの学校でA4フラットファイルを使っているので、対応するタイプを選ぶと安心。ほかに何を入れられると便利か、同じ小学校に通う先輩ママに聞きながら事前にシミュレーションするといいでしょう
昔は、男の子は黒、女の子が赤というのがランドセルの定番色でしたが、最近は色とりどりのモデルが用意されています。となると、「人気は何色なのだろう?」という興味がわきませんか? ということで、価格.comが調査したところ、女の子の40%以上がピンク系、または赤系でしたが、水色やパープル、ブラウン系を選ぶ人も多く、人気カラーは分散しているよう。いっぽう、男の子は67.4%が黒系、約24%が紺やネイビー、青系などとなっており、ほぼダークカラーに集中。落ち着きのあるカラーを選び、ステッチの色で遊んだり、刺しゅうやワッペンで個性を出すなどしている人も多いようです。いずれにしてもランドセルは6年間使い続けるものなので、小学6年生になった際のことを考えながら、カラーやデザインも慎重に選びましょう。
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毎日をより楽しく、より便利にしてくれるモノ・コトを中心に執筆するフリーライター。特にアラフォー&ママならではの視点に定評あり。得意ジャンルは育児用品と家電製品。