独自のポイント制度を持つ大手家電量販店では、クレジットカードで支払いをすると、現金払い時に比べてポイント還元率が下がるのが一般的。しかし、各量販店が発行または提携しているクレジットカードを用いた場合は、現金払いと同等、場合によってはそれ以上の還元を受けられるケースもある。前回は、ヤマダ電機、ビックカメラ、ヨドバシカメラを取り上げたが、今回はエディオン、ジョーシン、ノジマの3社について解説する。
参考記事:家電量販店でお得なクレジットカード! 「ヤマダ電機」「ビックカメラ」「ヨドバシカメラ」編
3社ともに提携のクレジットカードが発行されている。エディオンとジョーシンで発行されているカードは、長期修理保証が付帯しているのが特徴だが、電子マネーやバーコード決済を併用・利用したほうが、より高還元になる場合がある。ノジマについても、自社の名前を冠したカード以外にも候補となるカードがあるので、そうした点も含めて解説していく。
エディオンではエディオンポイント、Tポイント、dポイントの3種類のポイント還元に対応している。エディオンポイントを貯めたい場合は「エディオンカード」「IDカード」「あんしん保証カード」のいずれか、Tポイントを貯めたければTカード、dポイントを貯めたければdポイントカードの提示をすることになる。
なお、エディオンポイントは提示するカードの種類、および購入する商品によってポイント還元率が異なる。
「エディオンカード」
オリコとセディナの2社から発行されているクレジットカード。100種類以上の対象商品(5,500円以上)について、5年または10年間の長期修理保証が受けられ、年会費は1,078円。エディオンで年間15万円(税別)以上利用すると、次年度年会費は無料となる
「IDカード」
100種類以上の対象商品(5,500円以上)で長期修理保証が受けられるカード。年会費は2,200円で、クレジット機能は付帯していない
「あんしん保証カード」
21種類の対象商品で長期修理保証が受けられるカード。年会費無料で、クレジット機能は付帯していない
それぞれのポイント還元率を文章で説明すると、かなりややこしくなるので、以下の表を参照してほしい。「エディオンカード」と「IDカード」の還元ルールは同じなので、表では「IDカード」については省略する。
※金額は税別
エディオンポイント、Tポイント、dポイントは、いずれも1P=1円相当。エディオンポイントはエディオンで、Tポイントとdポイントはエディオンを含めた全国の加盟店で1Pから支払いに充当できる。
表を見ても、なかなかわかりづらいと思うが、「エディオンカード」のみを提示した場合が、最も還元条件がいい。「エディオンカード」のみを提示した場合と、「エディオンカード」とTカードまたはdポイントカードの2枚を提示した場合は、合計の還元率としては同じだが、「エディオンカード」のみを提示した場合は100円(税別)単位でポイントがつくからだ。
上記のポイントは「エディオンカード」はもちろん、現金、電子マネー、バーコード決済、エディオンギフトカードで支払った場合も同じ条件で付与される。ただし、「エディオンカード」以外の一般のクレジットカードで支払った場合は、エディオンポイントは付与対象外になる。いっぽう、Tポイントまたはdポイントについては、「エディオンカード」以外の一般のクレジットカードで支払った場合でも付与対象となる。
ここでもうひとつ注目したいのは、「エディオンカード」は提示のみにとどめ、決済自体には電子マネーやバーコード決済(スマホ決済)を使えば、上記の表のポイントに加えて、電子マネーやバーコード決済で貯まるポイントを上乗せできるということだ。エディオン店舗で使える電子マネーは、楽天Edy、WAON、iD、QUICPayの4種類。このうち楽天EdyとWAONは、クレジットカードによってはチャージの際にもポイントを貯められる。
「エディオンカード」は通常100円利用につきエディオンポイントが1P貯まる。WAONへのチャージには対応していないが、楽天Edyへのチャージには利用可能で、その際にエディオンポイントも貯まる。楽天Edyはポイントを貯める設定をすれば、200円利用につき1Pが貯められる。貯まるポイントの種類は、利用する楽天Edyによって異なるが、おサイフケータイの楽天Edyであれば、エディオンポイントを含む11種類のポイントから選択可能だ。
一例をあげると、エディオンで1万1,000円分のテレビゲームソフト(新品)・映像・音楽ソフトを購入する場合、「エディオンカード」を提示し、「エディオンカード」からチャージした楽天Edyで決済したときに還元されるポイント数は以下のとおりになる。
・「エディオンカード」の提示(税別1万円×5%):500P
・「エディオンカード」で楽天Edyにチャージ(税込1万1,000円分×1%):110P
・チャージした楽天Edyで決済(税込1万1,000円分×0.5%):55P
と合計で665Pが貯まる。ちなみに楽天Edyへのチャージで1%以上の還元率を得られるクレジットカードであれば、必ずしも「エディオンカード」でチャージする必要はない。
「エディオンカード」を提示、「エディオンカード」で決済すると、貯まるエディオンポイントは500Pなので、165P多く貯められる計算になる。
バーコード決済に関しても、PayPay、LINE Pay、楽天ペイ、d払い、au PAYなどが利用可能。このうち楽天ペイ、d払い、au PAYは、クレジットカードを紐付けることで、各決済で貯まる0.5%のポイントと同時に、クレジットカードのポイントも貯められ(一部対象外のクレジットカードあり)、ポイントの二重取りができる。0.5%分は楽天ペイであれば楽天ポイント、d払いであればdポイント、au PAYであればPontaポイントになる。
PayPayは利用状況に応じて0.5〜1.5%のPayPay残高が還元されるが、支払い元をクレジットカードに設定した場合は二重取りができない。LINE Payは「Visa LINE Payクレジットカード」を紐付けたチャージ&ペイの機能を使って支払った場合は、LINEポイントクラブのランクに応じて1〜3%のLINEポイントが還元される。さらにLINEポイントクラブのクーポンを利用すると、月に1回まで5%オフの優待も受けられる(2020年6月時点)。
「エディオンカード」は前述したように、エディオンでの利用額が年間15万円(税別)未満だと、1,078円の年会費が発生する。「エディオンカード」がなくても、Tカードまたはdポイントカードを提示すれば、ポイントを貯めることができるため、利用額、あるいは購入アイテムによって保有するかどうかの判断をしたほうがよいだろう。
ただし、「エディオンカード」を保有していると、5年または10年間の長期修理保証が受けられ、対象商品はテレビや洗濯機に加え、デジカメやプリンターなど100種類以上にのぼる(5,500円以上の商品)。また、インターネット サービス プロバイダー「エディオンネット」の月額利用料で割引を受けられる優待もある。こうした部分にメリットを感じるのであれば、年会費を負担してでも「エディオンカード」を保有したほうがいいだろう。
なお、「エディオンカード」はオリコとセディナの2社から発行されている。オリコ発行は国際ブランドがMastercardまたはJCB、セディナ発行はVisaまたはJCBから選択可能。オリコ発行はETCカードが無料、セディナ発行は毎月抽選で海外旅行が当たるチャンスがあるなどの違いがあり、発行会社によってポイント優待を受けられる企業も異なる。
※1 年会費はエディオンで年間15万円(税別)以上利用すると、次年度無料
※2 国際ブランドは、オリコ発行のカードはMastercardまたはJCB、セディナ発行のカードはVisaまたはJCBから選択可能
ジョーシンでは「ジョーシンクレジットカード」が発行されており、このカードで支払いをすると、現金払い時と同率のジョーシンポイントが貯まる。さらに通常のクレジット利用分として、0.5%のジョーシンポイントも貯まるため、たとえば現金払い時に10%還元の商品を購入する場合は、10.5%還元になる。
「ジョーシンクレジットカード」以外のクレジットカードで支払う場合は、現金払い時に比べて還元率が2%下がる。そのため現金払い時に10%還元の商品を購入する場合は、8%のジョーシンポイント+利用額に応じたクレジットカードのポイントが貯まることになる。
ただしジョーシンは商品によって還元率がまちまちで、現金払いでも1%還元などに設定されていることが多いため、実際に2%ダウンになるケースは少ない。また、ジョーシンでは楽天ポイントまたはdポイントも貯めることも可能で、これはどちらも200円(税別)につき1P。ただし、ジョーシンカードとの併用が必須で、ジョーシンポイントは楽天ポイントまたはdポイント付与分を差し引いて付与される(ジョーシンクレジットカードでの支払いで10.5%還元の場合、楽天ポイントカードを提示すると、ジョーシンクレジットカード分の還元が10%、楽天カード分の還元が0.5%になる)。
電子マネーは楽天Edy、nanaco、WAON、iD、QUICPay、およびSuicaなどの交通系ICが利用可能。バーコード決済はPayPay、LINE Pay、楽天ペイ、d払い、au PAYなどが利用可能。
その中でもLINE Payは、LINEポイントクラブのクーポンを利用すると、月に1回まで5%オフの優待を受けられる(2020年6月時点)。さらに、「Visa LINE Payクレジットカード」をひも付けたチャージ&ペイの機能を使ってLINE Payで支払った場合は、LINEポイントクラブのランクに応じて1〜3%のLINEポイントも還元される。
そのため、必ずしも「ジョーシンクレジットカード」で支払うことが高還元になるとは言い切れないが、「ジョーシンクレジットカード」で支払いをすると、テレビやエアコン、電子レンジなど22品目の対象商品で5年または10年の長期修理保証が無料になる特典がある。22品目以外の長期修理保証についても、通常は商品購入金額の3〜6%になる加入料が、2%引きになる。長期修理保証をつけたい商品は、「ジョーシンクレジットカード」で買ったほうがいいだろう。
「ジョーシンクレジットカード」の年会費は無料。ジャックスとオリコの2社から発行されており、ジャックスは国際ブランドがVisa、Mastercard、JCB、オリコはMastercardまたはJCBから選択可能。どちらもジョーシンにおけるサービスは同一で、それぞれ発行会社が提供されるサービスは異なるものの、あまり大きな違いはない。
※国際ブランドは、ジャックス発行のカードはVisa、Mastercard、JCBから、オリコ発行のカードはMastercardまたはJCBから選択可能
ノジマでは、マルイなどを運営する丸井グループの子会社、エポスカードと提携した「ノジマエポスカード」(年会費無料)、ジャックスと提携した「ノジマ・ジャックス・JCBカード」(年会費無料)が発行されている。しかし、クレジットカードで支払う場合は、この2枚も含め、現金払い時に比べてノジマスーパーポイントの還元率は2%下がる。これは電子マネーやバーコード決済で支払った場合も同様だ。ただし「ノジマエポスカード」は、優待店であるノジマで利用すると、クレジット利用に対して貯まるエポスポイントが5倍になる。通常は200円につき1P(=1円相当)なので、ノジマでは2.5%還元になる計算だ。
たとえば現金払い時に10%のノジマスーパーポイントが貯まる商品を購入する場合は、8%のノジマスーパーポイント+2.5%のエポスポイントが貯まる。さらにノジマモバイル会員は、dポイントカードを提示すると、ノジマスーパーポイントとは別に、1%のdポイントも貯まる(一部店舗は対象外)。
つまり、
・ノジマスーパーポイント:8%
・エポスポイント:2.5%
・dポイント:1%
となり、合計で11.5%還元になる。
なお、ノジマも商品によってノジマスーパーポイントの還元率は異なり、10%還元に設定されている商品は一部のみ。特に高額商品は還元率が低い傾向にある。たとえば、現金払いで1%還元の商品を購入する場合は、ダウンする還元率も1%分となる。
エポスポイントは500P単位でノジマスーパーポイントに、1,000Pから500P単位でdポイントに等価交換が可能。別途無料で発行できる「エポスVisaプリペイドカード」に1P単位でチャージすることもでき、「エポスVisaプリペイドカード」は利用時に0.5%のエポスポイントも貯まる。ノジマでノジマスーパーポイントやdポイントを使って支払いをした分に関してはポイントは貯まらないため、「エポスVisaプリペイドカード」にチャージして、支払ったほうがメリットが大きい。
なお、ノジマで利用するとエポスポイント5倍の特典は「ノジマエポスカード」に限らず、エポスカードから発行されている全クレジットカードで適用される。その中でも「エポスゴールドカード」は、「選べるポイントアップショップ」サービスにノジマを登録すると、2倍分(1%分)が上乗せされて3.5%還元になる。さらに年間利用額に応じたボーナスポイントもある。「エポスゴールドカード」の年会費は通常5,000円だが、1度でも年間50万円以上利用すると、次年度以降は無料。インビテーションによる入会であれば、初年度から年会費無料になる。
「ノジマエポスカード」以上に高い還元率で利用できるのが「dカード」(年会費無料)だ。NTTドコモから発行されているが、ドコモユーザー以外でも入会できる。
通常は100円利用につき1Pのdポイントが貯まる1%還元だが、ノジマで利用した場合は3%オフのサービスを受けられる(一部店舗は対象外)、割引後の金額に対して1%のdポイントも貯まる。
たとえば現金払い時に10%のノジマスーパーポイントが貯まる商品を購入する場合、
・ノジマスーパーポイント:8%
・dポイント:1%(利用分)
・dポイント:1%(カード提示分)
・3%オフ
を受けられ、合計で約13%還元になる。
以上、紹介した3枚のクレジットカードの特徴を下表にまとめた。
ノジマでの還元率を見ると「dカード」が最も高くなる。ただし、ノジマオンラインも利用する場合は、「dカード」は3%割引対象外となるが、「ノジマエポスカード」および「エポスゴールドカード」は店舗同様にエポスポイントが5倍となる。ノジマ以外での使い勝手もそれぞれ異なるので、そうした点も比較しながら、選ぶとよいだろう。
※1 「エポスゴールドカード」の年会費は通常5,000円だが、1度でも年間50万円以上利用すると、次年度以降無料
今回紹介した3つの家電量販店は、必ずしも自社の名前を冠したカードで支払うことが、最も得になるとは限らない。ただしエディオンとジョーシンは、自社のクレジットカードを持っていたほうが、保証の面で有利になる場合がある。購入する商品によって使い分けることも考えよう。
また、自社のクレジットカード会員限定のキャンペーンが実施されることもある。特にジョーシンとノジマのクレジットカードは年会費もかからないので、定期的に店を利用する機会があるなら、保有しておいても損はないだろう。
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普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、2008年に当時勤めていた会社の都合でクレジットカード本を制作。以降、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなり、各種媒体で編集・執筆を手がける。