おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望

ドコモ口座、不正利用の被害が拡大。連携銀行のユーザーは口座履歴のチェックを

クレジットカード、電子マネー、QRコード決済……。めまぐるしく変化を続けるキャッシュレス決済の動向をコンパクトに伝える連載企画「おトクの真相! 月刊キャッシュレス展望」。過去1か月のキャッシュレス関連のニュースの中から、マネー編集部員が気になったニュースをピックアップしてお届けします。

記事の最後には、記事公開時点で参加可能なキャッシュレス関連のキャンペーン情報も掲載していますので、おトク情報の取りこぼしがないようこちらもぜひチェックを。この連載は、毎月月初の公開予定です!

今月は、いまも世間を騒がせているドコモ口座の不正利用問題をはじめ、スマホを使ったフードロス削減に対する実証実験や、新たに始まった「Ponta」のポイント投資についてお伝えします。

ドコモ口座の不正利用、件数、被害額ともに増加

2020年9月、NTTドコモの電子マネー決済サービス「ドコモ口座」での不正利用が明らかになりました。

ドコモ口座は、スマホを使って買い物や送金ができる電子決済サービスのこと。利用するには、ドコモ口座に銀行口座をひもづけ、ひもづけた銀行口座からドコモ口座への現金のチャージが必要となります。今回の不正利用者は、何らかの方法で、被害者の氏名や銀行の口座番号、暗証番号を入手したとされています。その後、被害者名義でドコモ口座を開設したうえで、情報を入手した銀行口座をドコモ口座にひもづけ、本人になりすまして銀行口座からドコモ口座にお金をチャージ。チャージしたお金は、スマホ決済サービス「d払い」で、商品購入などに利用されたようです。

記事を執筆している2020年9月27日時点で、被害件数は全国11の銀行で合計219件、被害額は2,848万円に拡大。被害件数、被害額ともに増え続けており、NTTドコモは各金融機関と連携し、被害額を全額補償する方針です。ドコモ口座とのひもづけに対応していた銀行は、みずほ銀行、三井住友銀行、ゆうちょ銀行をはじめ、大垣共立銀行やスルガ銀行といった地方銀行など、合計35行(下記参照)。NTTドコモは2020年9月10日からドコモ口座の新規登録を当面停止。各行も新規の口座登録・入金(一部)を取りやめています。

ドコモ口座と連携できる35行


三井住友銀行 / ゆうちょ銀行 / みずほ銀行 / イオン銀行 / ソニー銀行 / 池田泉州銀行
伊予銀行 / 愛媛銀行 / 大分銀行 / 大垣共立銀行 / 紀陽銀行 / 京都銀行
滋賀銀行 / 鈴岡銀行 / 七十七銀行 / 十六銀行 / スルガ銀行 / 仙台銀行
第三銀行 / 但馬銀行 / 千葉銀行 / 千葉興業銀行 / 中国銀行 / 東邦銀行
鳥取銀行 / 南都銀行 / 西日本シティ銀行 / 八十二銀行 / 肥後銀行 / 百十四銀行
広島銀行 / 福岡銀行 / 北洋銀行 / みちのく銀行 / 琉球銀行

ドコモ口座を利用した不正利用についての問い合わせ窓口
0120−885−360 (9時〜20時)

本人確認の甘さが原因に

なぜこのような事態になったのでしょうか。まずドコモ口座側の問題があります。ドコモ口座には「ドコモ回線の契約者」が開設した口座と、「ドコモ回線を契約していない人」が開設した口座の2通りがあります。「ドコモ回線の契約者」の場合は、ドコモ口座の開設時に「回線認証」と「ネットワーク暗証番号」による強固な本人認証を行っていることもあり、今回の不正の被害は報告されていません。今回被害にあっているのは、メールアドレスの認証だけでドコモ口座を開設することのできた「ドコモ回線を契約していない人」たち。メールアドレスさえあれば、ドコモ口座は誰にでも開設できてしまったため、悪意のある第3者によって安易になりすましが行えてしまったのです。NTTドコモの丸山誠治社長は2020年9月10日の会見で、「サービスをすべてのお客に開放し、会員基盤を広げる主旨のなかで、簡易な手段を取っていた。本人確認が十分でなかったと反省している」と謝罪しています。

また、ひもづける銀行口座の側の問題も指摘されています。ドコモ口座と各銀行とをひもづける際の本人確認については、各銀行に対応が任されていましたが、今回被害にあった11の銀行では、「なりすまし」を防ぐ2段階認証を実施していなかったことが明かになっています。なかでも被害が大きいのはゆうちょ銀行です。「ドコモ口座」を含むキャッシュレス決済サービスなどとの「即時振替サービス」で、同行の口座に関わる不正利用による被害が約380件あり、被害額は約6,000万円にのぼると発表しています(いずれも、2020年9月22日時点。ドコモ口座以外のキャッシュレス決済サービスの被害分も含む)。

NTTドコモは今後の対策として、ドコモ口座に銀行口座を登録する際は、これまでのようにメールアドレスによる認証だけではなく、認証に必要な番号を携帯番号のSMS(ショートメッセージサービス)に送る認証と、アプリの指示に従い、顔、本人の確認書類を撮影してサーバにアップする「eKYC(Electronic Know Your Customer)」と呼ばれる本人確認の仕組みを導入すると発表。セキュリティ対策を図ったうえで、新規登録の再開時期を検討するとのことです。また、銀行側でも、認証を強化していくことが発表されています。

銀行口座やネット証券の口座の利用履歴を定期的にチェックしておいたほうがよさそうです

ご自身の口座の確認を

問題はこれだけにとどまりません。ドコモ口座の不正利用に端を発する形で、キャッシュレスやオンラインでの決済にからむ不正利用被害が明らかになっています。

2020年9月16日、ネット証券の「SBI証券」は、不正アクセスにより利用者の資産が流出したことを発表しています。これは、悪意のある第3者が何らかの方法で利用者の情報を入手し、不正にSBI証券にログイン。利用者が保有する株式などを勝手に売却し、売却で得た資金を銀行口座に出金したというもの。SBI証券では、利用者本人の名義の銀行口座にしか出金ができない仕組みですが、使われた銀行口座自体が、不正に開設されたものだったそうです。被害は6つの口座で、合計9,864万円に及んでいます。

また、2020年9月23日には、ゆうちょ銀行が、同行のVisaデビット・プリペイドカード「mijica(ミヂカ)」の送金機能が悪用されたと発表。2020年8月から9月にかけて、54人のmijicaカードから、不正利用者3名のmijicaカードへ送金され、その被害額は合計で332万2,000円にのぼるといいます。

近年、急速に普及してきたキャッシュレス決済サービスですが、今回の一連の不正利用で、セキュリティ面での課題が明らかになる形に。決済サービス事業者、金融機関双方の急速なセキュリティ対策の強化が求められるのと同時に、しばらくは、使う側にも自衛の意識が求められそうです。キャッシュレスやオンラインでの決済サービスを利用している人は、一度、各サービスや銀行口座の利用履歴をチェックすることをおすすめします。

「見切り品をスマホに通知」ローソンとKDDIが食品ロスの取り組みで実証実験開始

ローソンとKDDIは、消費期限が迫った値引き商品の情報をスマホに向けて通知する実証実験を、2020年10月2日から始めました。まずは埼玉県内の10店舗で実証実験を始め、2021年度中に約1万4,500の国内すべての店舗に広げる方針です。もともとローソンとKDDIは、2019年12月に資本業務提携を締結し、両者の顧客基盤を生かしたデータマーケティングの推進や、先端テクノロジーの活用による新たな消費体験の創出を目指しており、今回の取り組もはその一環になります。

顧客の位置情報を活用して見切り品情報を通知

このサービスを使うには、KDDIのスマホ決済アプリである「au PAY」と共通ポイントの「Ponta」両方の利用と、ユーザーの位置情報や商品購入履歴のデータ提供が条件となります。ローソンがユーザーの過去1か月の履歴などを分析し、消費行動を予測。来店や購入の可能性が高いと判断すると、見切り品情報がスマホに届く仕組みです。たとえば、夕方や夜間など、仕事や学校帰りのタイミングに、消費期限が近付いた弁当、おにぎり、調理パン、デザートなどの値引き情報が、対象のユーザーのau PAY アプリにプッシュ配信されるイメージです。これにより、加盟店が負担する廃棄費用を抑えるとともに、来店客数を増やす狙いがあるといいます。

サービスのイメージ(画像はリリースより)

食品ロス(フードロス)削減は喫緊の課題

農林水産省によると、現在日本では、年間2,550万トンの食品廃棄物が出ています。このうち、まだ食べられるのにもかかわらず廃棄される「食品ロス」(フードロス)は612万トンを占めます。これは、飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量(2018年で年間390万トン)の約1.6倍に該当する大きな数字です。食品ロスの612万トンのうち、事業系が328万トンを占め、主に規格外品、返品、売れ残り、食べ残しが原因となっています。

出典:「食品ロスとは」農林水産省

コンビニ業界にとっても、加盟店のコスト負担など、食料ロスは無視できない問題です。セブン-イレブンは消費期限の迫った商品を購入した客にポイントを還元する施策を実施しており、ファミリーマートも恵方巻やクリスマスケーキなどの季節商品を完全予約販売とするなど、業界全体で取り組みが進んでいます。今回のローソンとKDDIの取り組みにも、食品ロス削減への期待が高まります。

Pontaを使ったポイント投資サービスがスタート

KDDIとauカブコム証券は、2020年9月26日から、共通ポイントの「Ponta」で投資信託を購入できる「ポイント投資」のサービスを始めました。

auカブコム証券が取り扱う投資信託が対象

これは、Pontaポイントを1P=1円として、投資信託の買い付け代金に充てられるサービスのこと。利用できるのは、auカブコム証券の口座を持っている人で、かつau IDを登録している人になります。購入できるのはauカブコム証券が取り扱う投資信託で、外貨建MMF、公社債投資信託、ETF、ETNは対象外となります。購入代金の一部、またはすべてに、Pontaポイントを使うことができます。

au PAYアプリ上でもPontaを使った投資信託が購入可能に(画像はリリースより)

先行するサービスとしては、楽天証券が手がける「楽天ポイント投資」(楽天スーパーポイントで国内株式や投資信託に投資可能)や、LINE証券が手がける「LINEポイント投資」(LINEポイントをLINE Pay残高に交換後、国内株式や国内ETFに投資可能)などがあります。2020年5月に、auが連携するポイントがPontaに変更になるなど、Pontaは共通ポイントとしての存在感を高めつつあります。今回のポイント投資サービスも注目を集めそうです。

なお、本サービスのスタートを記念して、「ポイント投資デビュー応援キャンペーン」も始まっており、新規でauカブコム証券に口座を開設し、au IDを登録すると200Pontaポイントがプレゼントされます。また、KDDI、またはauじぶん銀行を経由してauカブコム証券に口座を開設し、au IDを登録すると最大で400Pontaポイントがもらえます。さらに、上記キャンペーンに加え、期間中にポイント投資を始めると、取引額に応じて最大で1万5,000Pontaポイントがもらえるキャンペーンも同時開催中です。

キャンペーンの対象となる「新規口座開設期間」は2020年11月30日まで。同じく、キャンペーンの対象となる、「au ID登録」および「取引対象期間」は2020年12月30日(約定日基準)までとなっています。

まだ間に合う! 今月のキャッシュレス関連キャンペーンまとめ

▼Visa LINE Payクレジットカード:新規入会&5,000円以上の利用でLINEポイント1,000ポイントをプレゼント(12月31日まで)

期間中に、Visa LINE Payクレジットカードに新規入会。そのうえで期間中に合計5,000円以上利用すると(チャージ&ペイでの利用含む)、LINEポイント1,000ポイントをプレゼント。LINE Payアカウントへの登録も必要です。

キャンペーン期間:開催中〜2020年12月31日
公式サイト:https://linepay.line.me/promotion/line-creditcard.html#10/1-12/31

▼JCB カード W / JCB カード W plus L:新規入会でApple PAY/Google Pay利用料金の20%を還元(12月31日まで)

期間中に、「JCB カード W」または「JCB カード W plus L」に新規入会のうえ、「My JCBアプリからMy JCBにログイン」、「入会した対象のカードをApple PayまたはGoogle Payに設定して利用」の条件を満たすと、利用金額の20%がもれなくキャッシュバックされます(上限5,000円)。

キャンペーン期間:開催中〜2020年12月31日(入会期間)/2021年2月15日(利用期間)
公式サイト:https://www.jcb.co.jp/promotion/pop_nyukai/w20cb/index.html

▼Yahoo!トラベル:PayPay残高の利用でおトクになる「PayPayで旅行がおトクキャンペーン」実施(11月15日まで)

期間中にエントリーをしたうえで、Yahoo!トラベルで国内旅行(Yahoo!プラン/2021年1月31日チェックアウトまで)、もしくはヤフーパック(国内宿泊+航空券/2021年1月31日帰着まで)を予約する際に「PayPay残高」を利用すると、利用額に対して3%分のPayPayボーナスライトが還元されます。2020年11月14〜15日には還元率が5%にアップします。

キャンペーン期間:開催中〜2020年11月15日
公式サイト:https://paypay.ne.jp/notice/20200917/03/

(執筆協力:大正谷成晴)

※▼主要なQRコード決済のキャンペーンについては、当サイトの下記の記事にまとめてあります。
ポイント2重取りも可能! 主要QRコード決済の使い方&開催中キャンペーンまとめ【9月版】
https://kakakumag.com/money/?id=13577

価格.comマネー編集部

価格.comマネー編集部

投資・資産運用・保険・クレジットカード・ローン・節約に至るまで、マネーに関する情報を毎日収集。「知らないで損するなんてもったいない」をモットーに、読者のためになる記事を制作します!

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