ここ1か月間程度のキャッシュレス関連ニュースのなかから、編集部員やライターが気になったものをピックアップしてお伝えする当連載。今月のトップニュースは、ネット銀行2行の、普通預金金利引き上げの話題です。
主なネット銀行の普通預金金利ランキング ※2025年4月1日時点
2025年3月17日、PayPay銀行は、新しい普通預金の仕組みとなる「ステップアップ円預金」をスタートしました(新金利は2025年3月1日までさかのぼって適用)。預金額が増えるほど金利が上がる仕組みで、29歳以下の若年層が優遇されるのも特徴です。
また、4月1日には、あおぞら銀行が、同行のネット専用支店(以下、あおぞら銀行BANK)の普通預金において、100万円までの預金額に対して年0.5%の金利適用を始め、こちらも話題です。2行の普通預金の仕組みを、そのほかのネット銀行の普通預金金利の動向とともにお伝えします。
このほか、この1か月の間に登場した新しいクレジットカード3券種や、現在開催中のキャッシュレス関連キャンペーン(計3本)についてもお伝えします。
〇ネット銀行で、普通預金の金利を引き上げる動きが活発化
〇PayPay銀行は預金額や年齢に応じて最大年0.4%の金利を適用
〇あおぞら銀行BANKは100万円までの預金残高に対し年0.5%を適用
2024年3月に日銀がマイナス金利政策を解除してから約1年が経ち、ここのところ普通預金の金利を引き上げる銀行が相次いでいます。2025年3月、メガバンクやゆうちょ銀行は、普通預金の金利を年0.1%から年0.2%に引き上げました。2025年4月時点では、年0.2%が普通預金の金利の主流となっています。
いっぽう、これ以上に高い金利が適用される可能性があるのが、ネット銀行の普通預金です。2025年2月ごろから、複数のネット銀行で普通預金の金利を引き上げる動きが活発化。現在までそれが継続しています。直近では、2025年3月17日に、PayPay銀行が普通預金の金利を最大年0.4%に引き上げました(新金利は2025年3月1日までさかのぼって適用)。
PayPay銀行とあおぞら銀行Bankが普通預金金利を引き上げ!
PayPay銀行の普通預金(ステップアップ円預金)がユニークなのは、預金残高や預金者の年齢で金利が変わる点です。たとえば、預金者が30歳以上の場合、
・普通預金の残高が50万円未満で年0.2%
・同50万円以上〜200万円未満で年0.3%
・同200万円以上で年0.4%
と、預金残高が増えるごとに金利が上がります(最高で年0.4%)。
預金者が29歳以下の場合はさらに有利です。
・普通預金の残高が10万円未満で年0.2%
・同10万円以上〜100万円未満で年0.3%
・同100万円以上で年0.4%
と、金利を上げるハードルが下がります。若年層を取り込み、長期的な顧客に育成する狙いがあると考えられます。
なお、ステップアップ円預金の開始に合わせて、「PayPay銀行アプリ」や、「PayPayアプリ」内の「PayPay銀行」ミニアプリの画面上で、ステップアップ預金で受け取った利息がワンタップですぐに確認できるようになったほか、金利の適用状況や利息付与スケジュールなどもわかりやすく表示されるようになりました(下記画像参照)。
「普通預金に預けても増えない時代」から、「それなりに利息がつく時代」に変わったことで、「いつ、どれくらい利息が受け取れるか」を気にする人が増えることが予想されます。その意味で、これらはタイムリーな機能追加と感じられます。
受け取れる利息や適用金利がひと目でわかって便利そうです。画像はPayPay銀行のプレスリリースより
あおぞら銀行BANK(あおぞら銀行のネット専用支店)は、2025年4月1日より、普通預金の金利を最大年0.5%に引き上げました。預金残高が増えるほど金利が上がるPayPay銀行とは逆に、同行で年0.5%が適用されるのは、100万円までの預金残高です。100万円を超えた部分には年0.35%が適用されます。これらの金利には、特に条件があるわけではなく、すべての預金者に適用されます。
画像はあおぞら銀行BANKの公式サイトより
ここでもう一度、PayPay銀行、あおぞら銀行BANKを含む主なネット銀行の普通預金の金利をチェックしてみましょう。
主なネット銀行の普通預金金利ランキング ※2025年4月1日時点
この表を見るとわかるとおり、PayPay銀行、あおぞら銀行BANKとも、まずまず高めの金利を適用しています。そして、金利と合わせて注目したいのが、「高い金利の狙いやすさ」です。
多くのネット銀行において、普通預金の金利には幅があります。下限の金利は「利用条件なし」で適用される金利で、さまざまな利用条件をクリアすると、適用される金利が有利になる仕組みが一般的です。たとえば、東京スター銀行の「スターワン円普通預金」の場合、「利用条件なし」の状態の金利は年0.2%のところ、「給与・年金の受取口座として指定」すると年0.6%にアップします。
これは比較的クリアが容易な条件ですが、ほかのネット銀行の金利アップ条件を見ると、系列のネット証券やクレジットカードとの連動が必要になるなど、やや難度が高い条件が含まれていることがあります(下記関連記事で、各ネット銀行における、普通預金の金利アップの条件を詳しく解説しています)。
その点、PayPay銀行は、金利アップの条件が「預金残高」のみとシンプルです。また、あおぞら銀行BANKは、「条件なし」で年0.35%〜年0.5%の金利が適用されます。「高い金利の狙いやすさ」において、両行の普通預金に魅力を感じる人も多そうです。
〇この春、新しいクレジットカードが複数登場
〇メルペイからは「メルカード」の上位カード「メルカード ゴールド」が登場
〇「エムアイカード ベーシック」、「ANA JCB CARD Precious」も話題
この1か月、新しいクレジットカードの発行が相次ぎました。本記事では、クレカファンの注目を集めている3券種を紹介します。
「メルカリ」の決済サービス「メルペイ」などを運営する株式会社メルペイは、2025年3月17日より、「メルカード ゴールド」の発行を始めました。
画像はメルペイ公式サイトより
同社は、2022年11月より、メルカリの利用実績などで限度額やポイント還元率が変動する特徴を持つクレジットカード「メルカード」を発行。2024年11月時点で発行枚数が400万枚を超えるなど、メルカリユーザーを中心に幅広い層から支持されています。
メルペイによると、「メルカード」の利用者より、「利用限度枠が足りない」、「還元率の高いカードが欲しい」といった声が寄せられていたといい、それに応える形で「メルカード ゴールド」の発行にいたったようです。
「メルカード ゴールド」に付帯する国際ブランドは、「メルカード」と同じくJCBです。年会費は5,000円かかりますが、「メルカリ」での売買や、「メルペイ」での利用額が年間50万円を超えた場合、翌年度の年会費は無料になります。利用限度額は、「メルカード」の最大90万円に対して、最大300万円までと拡大されています。なお、「メルカード」と同じく、過去の「メルカリ」の利用実績などによって利用限度額は変わります。
券面には上品なシャンパンカラーが採用されています。画像はメルペイ公式サイトより
ポイント還元率は「メルカード」と変わらず、「メルカリ」や「メルカリShops」での利用に対して1.0%〜4.0%(「メルカリ」の利用実績などで変動)、一般加盟店での利用に対しては1.0%(固定)が適用されます。
これに加えて、「メルカード ゴールド」独自の特典として、年間50万円以上の利用で2,500P、100万円以上の利用でプラス7,500P(累計1万P)、200万円以上の利用でプラス1万P(累計2万P)のボーナスポイントが付与されます。
また、「メルカード」にはなかった、ショッピング保険、スマホ保険、国内線の空港ラウンジ利用特典・空港宅配サービス、国内・海外旅行保険といったサービスも付帯しています。
三越伊勢丹グループの株式会社エムアイカード(以下、エムアイカード)は、2025年3月19日より「エムアイカード ベーシック」の発行を始めました。
画像はエムアイカードのプレスリリースより
「エムアイカード ベーシック」は、エムアイカードが発行するクレジットカードとしては唯一の、年会費永年無料のクレジットカードです。家族カードも、1枚まで年会費永年無料で発行できます。付帯する国際ブランドはVisaで、三越伊勢丹グループ百貨店や、同オンラインストアで利用すると、2%の「エムアイポイント」が付与されます。一般加盟店でのポイント還元率は0.5%です。
エムアイカードが発行する「エムアイカード プラス ゴールド」(年会費1万1,000円)や「エムアイカード プラス」(年会費2,200円・初年度無料)の最大10%還元(三越伊勢丹での利用時)と比べると、おトク感の面では見劣りしますが、年会費永年無料の気軽さから、ビギナー向けカードとして注目されそうです。
JCBとANAは、2025年3月5日より、完全招待制クレジットカード「ANA JCB CARD Precious」への招待を始めました。
画像はJCB公式サイトより
「ANA JCB CARD Precious」の年会費は3万9,600円で、一般的に「プラチナカード」と呼ばれるカードと同レベルです。家族カードは、年会費4,400円で発行できます。
1,000円の利用につきOkiDokiポイントが1P付与され、1P=10マイルで、ANAマイルに移行できます。また、年間のカード利用金額が300万円以上の場合、利用金額1,000円に対して2マイル付与される「ご利用ボーナスマイル」が適用されます。「ご利用ボーナスマイル」を含めると、マイル還元率は1.2%と高水準です。このほか、カードの入会・継続のボーナスマイルとして、年間5,000マイルが付与される「入会・継続ボーナスマイル」特典もあります。
プライオリティパスやプラチナコンシェルジュデスクといった、「プラチナカード」では定番のサービスが付帯するほか、国内外旅行傷害保険が最大1億円、国内外でのショッピングガード保険が年間最高500万円など補償も充実しています。
なお、JCBの公式サイトで公開されている「ANA JCB CARD Precious」への招待の条件は下記のとおりです。
・2025年1月末時点で「ANA JCBワイドゴールドカード」(年会費1万5,400円)の本会員であること
・2023年12月16日〜2024年12月15日のショッピング利用金額が300万円以上
これらの条件を満たしている人に、JCBから案内が送られているようです。来年度以降の招待条件について、現時点では公式サイトに記載はありませんが、おそらく、同様の条件が設定されることと思われます。
最後に、編集部がチョイスした3つのキャッシュレス関連キャンペーンをご紹介します。
あらかじめVisaのキャンペーン専用登録ページ(Visa割)での、メールアドレスとカード番号の登録が必要。そのうえで、期間中に1回1,000円以上、登録済のVisaカードを使ってApple PayでVisaのタッチ決済を利用するとルーレットに参加できます。1回につき最大500円のキャッシュバックが受けられます。
期間:開催中〜2025年5月31日まで (早期終了の可能性あり)
2025年3月25日よりふるさと納税サービスを開始したファミリーマート。専用サイト「ファミマふるさと納税」で、期間中に合計5,000円以上の寄附を申し込むと、もれなく、ファミリーマートの人気商品の無料クーポンが5枚進呈されます。
期間:開催中〜2025年4月30日まで
※獲得したクーポンの利用期間は 2025年6月3日〜16日
期間中、キャンペーンサイトからエントリーのうえ、対象店舗で「dポイントカード」を提示し、「dポイント」を1P以上獲得すると「1口」として扱われます。貯めた口数に応じて、総額5,000万Pの「dポイント」が山分け(頭割り)されて付与されます。口数の上限は1ユーザーあたり50口で、付与上限は1口あたり20P。付与されるのは期間・用途限定の「dポイント」です。
期間:開催中〜2025年5月11日まで(エントリー期間、キャンペーン期間とも)