「JCBカードS」は、ひと味違う特徴を持つクレジットカードです。多くの人が気にするポイント還元率は標準レベルながら、 “ポイント以外”の優待特典が充実。飲食、衣料、家電などの販売店をはじめ、レジャー、スポーツクラブなど、国内外のさまざまな施設やサービスで割引などの優待が受けられます。
対象施設の数は20万か所以上! 本記事では、筆者が実際に使ってみて感じた、「JCBカードS」のおトク感をレポートします。
最初に軽く結論に触れると、「街で買い物や食事を楽しむ機会が多い」、「家族や友人と出かけることが多い」といった人におすすめできる1枚です。詳しく見ていきましょう。
まずは、「JCBカードS」の概要をQ&Aで紹介します。
「JCBカードS」は、「JCBオリジナルシリーズ」(JCBのプロパーカード)の一種。18歳以上の人が申し込め、支払額に応じて「OkiDokiポイント」が貯まります。
「JCBオリジナルシリーズ」の中で年会費が永年無料なのは、「JCBカードS」と「JCBカードW」、「JCB CARD W plus L」の3枚のみ。
「JCBオリジナルシリーズ」の基準となるカードであることを想起させる狙いがあるそうです。
昨今のクレジットカードの中では標準レベルです。ただし、パートナー店(優待店)では最大10%(ポイント20倍)まで上がります。
※本記事掲載の還元率はすべて1,000円で1P貯まる「OkiDokiポイント」を、1P=5円相当の商品と交換した場合で計算
「JCBカードS」を含む、「JCBオリジナルシリーズ」のパートナー店(優待店)の例
・Amazon……ポイント3倍
・スターバックス……ポイント最大20倍(スターバックス カードへのオンライン入金・オートチャージ、Starbucks eGiftが対象)
・セブン-イレブン……ポイント3倍
など
※いずれも事前のポイントアップ登録が必要
「JCBカードS 優待 クラブオフ」は、国内外20万か所以上の飲食店、ホテル、旅館、映画館、遊園地などで利用できる優待割引サービスです。価格.comに寄せられたレビューを見ると、この特典目当てに「JCBカードS」に申し込んだという声が目立ちます。
最大の目玉は「クラブオフ」が付帯していること。さまざまな施設やサービスがちょっと安くなるなどおトクに利用できます。年会費無料のカードで「クラブオフ」が付帯しているものは非常に少ないため、これ目的で発行しても良いと思います。
クラブオフが無料で付帯しているのは大きい! よく使うお店が優待割引で使えるのであれば、年会費無料なので、優待目当てでの入会もアリ。
※「JCBカードS 優待 クラブオフ」とは?
福利厚生のアウトソーシングサービスを提供する株式会社リロクラブが運営。「クラブオフ」は、企業の福利厚生や、上位ランクのクレジットカードへの付帯、保険や大学の校友会などの優待サービスとして提供されるのが一般的で、クレジットカードに詳しい人の間では、「年会費のかからないクレジットカードに付帯するのは珍しい」と話題に。なお、筆者はJCBの上位カードを持っていないため未検証ですが、JCB上位カード付帯の「クラブオフ」と比較すると、「JCBカードS 優待 クラブオフ」は一部サービスが簡略化されているとの声が多くあります。
かくいう筆者も、「JCBカードS 優待 クラブオフ」(以下、「クラブオフ」)を目当てに「JCBカードS」を申し込んだひとりです。カード入手後、さっそく、「クラブオフ」を利用してみました。この章では、3つの活用例を紹介します。
※筆者注:本記事に掲載している優待は、いずれも2025年1〜3月の検証時に有効だったものです。一部、本記事公開時に優待内容が変わっているものがあり、本文内でその旨を記載しています。また、本記事公開後、クーポンの提供終了や優待内容の変更などが生じる可能性もあります
「クラブオフ」を利用するには、カード入手後に会員登録が必要。JCBカード公式アプリ「My JCB」の場合、「JCBカードS」のカード画面をタップし(画像左)、「JCBカード S 優待 クラブオフ」をタップすると(画像右)、「クラブオフ」の会員専用サイトに遷移します
「クラブオフ」公式サイトで近所の対象店を探すと、「ちよだ鮨」(東日本を中心に展開している持ち帰り寿司チェーン)の「10%OFFクーポン」を発見! 折しも節分間近ということで、クーポンを使って恵方巻などを購入することにしました。
恵方巻など4点を購入(鬼のお面は別売り)。さて、筆者はいくらトクしたのか……?
まずはクーポンの利用条件をチェック。「ちよだ鮨」のクーポンは、「クラブオフ」公式サイトから入手後、「紙に印刷」もしくは「スマホに表示」して会計時に店舗スタッフに提示すればOKとのこと。つまり、必ずしも「JCBカードS」で決済する必要はないようです。
そのほか、「セール商品などは割引対象外」、「ほかの割引券との併用不可」、「クーポン対象外の店舗もある」などの注意事項もクーポン画面に記載されています。このあたりは利用前に確認しておいたほうがいいでしょう。
筆者が利用したのは、2025年2月の節分当日の昼。客数が多く、「クーポンを提示して会計時に手間取ったらどうしよう」との不安もありましたが、スマホにクーポンを表示させて提示するとすぐに「クラブオフ」だと伝わり、スムーズに会計は終了。よく見ると、レジ横に「リロクラブ(クラブオフの運営企業)」の優待店であることを示す緑色のステッカーも貼られていました。
結果、4点合計2,387円(税別)から、10%分の238円が割り引かれ、税込2,320円で購入できました。この店舗は普段からよく利用しているので、このクーポンはこれからも重宝しそうです。
赤枠内が、「クラブオフ」の割引分。おトクさもあいまって家族でおいしくいただきました
グルメ関連のクーポン例(2025年4月時点)
・PIZZA-LA……ピザを含む4,000円以上の注文で500円引き
・鎌倉パスタ……店内飲食の会掲示5%OFF
・グランドハイアット東京……鉄板焼き特別ランチコースが、通常1万1,362円のところ8,000円(1日組数限定)
など多数
「クラブオフ」は、「OWNDAYS(オンデーズ)」(10%OFF・2025年4月時点)、「Zoff(ゾフ)」(5%OFF・2025年4月時点)などのメガネ店、「スーツセレクト」、「スーツスクエア(ザ・スーツカンパニー)」といったツープライススーツ店(いずれも10%OFF・2025年4月時点)、「アディダスオンラインショップ」、「アンダーアーマーオンラインショップ」(いずれも10%OFF・2025年4月時点)といったスポーツ用品店など、衣料品関連のクーポンも豊富です。
その中で筆者の目に留まったのが、「靴下屋・タビオ・タビオメン」で使える「15%OFF」クーポンです(※)。時々使う店舗でもあり、また、ちょうど気温が上がり始めたタイミングでもあったので、クーポンを使って春物の靴下を買うことにしました。
※割引率は2025年2月時点のもの。同4月時点では「10%OFF」
この2点を購入! クーポンのおかげで安く手に入りました
このクーポンも、「紙に印刷」もしくは「スマホに表示」し、店舗で提示して使用します。「セール品は割引適用外」などいくつかの利用条件に加え、クーポンと一緒に「Tabioアプリを提示すること」も利用条件に含まれていました。筆者はすでにアプリを利用していたので問題ありませんでしたが、アプリの利用には会員登録が必要なので、利用する場合は事前に準備しておいたほうがいいかもしれません。
スタッフの方は慣れた印象で、スマホでクーポンを見せるとすぐに割引が適用され、2点合計1,900円(税別)に対して、15%分の285円が割り引かれ、合計、税込1,776円で購入しました。
赤枠内がクーポンでの割引額。セールでもないのに15%OFF(筆者のクーポン利用時)! このご時世、使わない手はないでしょう
ショッピング関連のクーポン例(2025年4月時点)
《衣料品》
・OWNDAYS(オンデーズ)、JINS(ジンズ)……10%OFF
・Zoff(ゾフ)、眼鏡市場……5%OFF
・スーツセレクト、スーツスクエア(ザ・スーツカンパニー)……10%OFF
・アディダスオンラインショップ、アンダーアーマーオンラインショップ……10%OFF
《家電》
・ビックカメラ コジマ……3%OFF
・Joshin(ジョーシン)……3%OFF
《家具》
・アクタス(直営店)……5%OFF
など多数
ここ数年で映画の鑑賞料金はついに2,000円(一般)となり、気軽に楽しみづらいエンタメになりつつあります。もちろん、サービスデーやレイトショーなら少し安く鑑賞できますが、曜日や時間に制限があります。その点で、「クラブオフ」は選択肢になるかもしれません。
「クラブオフ」には「TOHOシネマズ」(2,000円→1,500円)、「MOVIX」(2,000円→1,500円)、「ローソン・ユナイテッドシネマ」(2,000円→1,300円)など、複数の映画館の「映画鑑賞チケット」があります。筆者宅からは「MOVIX」が近いので、これを使って、妻、2歳の娘と「ドラえもん」を観にいくことにしました。
※鑑賞チケットの料金は2025年4月時点のもの
自宅に、「クラブオフ」から「映画鑑賞チケット」が郵送される仕組み。事前に手順を頭に入れておいたほうがいいかも
映画鑑賞チケットは、前出のクーポンとは異なる仕組みで、まず、希望の映画館を選び、鑑賞チケットを申し込みます。筆者が「MOVIX」で申し込んだ2025年2月時点では、「2,000円→1,400円」の鑑賞チケットが申し込めました。ちなみに、1回あたり6枚まで申し込み可能です。支払い方法も、特に指定のなかった前出のクーポンと異なり、「JCBカードS」での決済がルールです。
鑑賞チケットは自宅に郵送される仕組みで、申込画面上では、利用日の10日前までの申し込みが推奨されていました。期日に余裕を持って申し込んだほうが良さそうです。
鑑賞チケットでは入場できず、映画館の窓口で、希望の作品の座席指定券に交換する必要もあります。最近は「オンラインで座席予約し、時間ギリギリに映画館に入る」という人も多いと思いますが、少し注意が必要かもしれません。
このように、利用するまでに時間と手間はかかりますが、大人1人あたり1,400円(筆者利用時)で鑑賞でき、夫婦合わせて1,200円の節約になりました(子は3歳未満で無料)。値上げがきつい昨今、ありがたい限りです。
映画鑑賞チケットを窓口に提示して、座席指定券と交換。座席指定券には「クラブオフ」の割引の証である「福利厚生券1,400円」の印字あり(赤枠内)
レジャー関連のクーポン例(2025年4月時点)
《映画館》
・TOHOシネマズ……映画鑑賞チケットが2,000円→1,500円
《水族館》
・横浜・八景島シーパラダイス……アクアリゾーツパス(水族館4施設パス)大人・高校生以上が3,500円→3,000円など
《カラオケ》
・ビッグエコー……カラオケ室料一般料金30%OFF、ドリンクバー付、飲み放題コース総額から10%OFF
《ホテル・旅館》
・ハイアットリージェンシー瀬良垣アイランド沖縄……大人1名1泊朝食付 2名1室、14,100円〜
《日帰り温泉》
・スパリゾートハワイアンズ……入場券(通常期間、特定期間)中学生以上:3,570〜4,120円→3,220円
《レンタカー》
・ニッポンレンタカー……基本料金から17〜41%OFF(24時間料金比較)
など多数
最後に、実際に使ってみて感じた「JCBカードS」のメリットとデメリットをまとめます。皆さんの生活スタイルでメリットのあるクレジットカードかどうか、ぜひ、検討してみてください!
本記事で紹介した3つの活用例で筆者がトクした金額は下記のとおりです。
トクした金額は1,800円ほどですが、割引率で表すと20%を超えています。「MOVIX」込みなので多少上振れしている感もありますが、たとえば、これと同じレベルの割引をクレジットカードのポイントで受けるのは、期間や支払い対象限定のキャンペーンやSPUをフル活用した「楽天カード」などわずかな例外を除きほぼ不可能でしょう。
優待対象や内容が永続的ではない点には留意が必要ですが、使い道さえあれば、かなりトクなのは間違いありません。
「クラブオフ」のサイトで、使い道を探すのもなかなか楽しい作業です。なにしろ20万か所以上の対象があるので、筆者にも全貌はいまだ不明。探求心がくすぐられます。
施設から対象施設は地図上の位置情報から探せるので、「外出先でランチできる場所を探す」といったときにも使えそうです。また、「ショッピング」、「グルメ・レストラン」、「映画」、「レンタカー」、「エンターテイメント」などのカテゴリーからも使い道を探せます。買い物や食事などの外出、家族や友人との遠出などの出発前のタイミングに、じっくり探してみるのもいいでしょう。
ただし、正直に言うと、サイト自体のUIはあまりよくありません。心と時間に余裕のあるタイミングでないと、楽しめない可能性がある点は付け加えておきます。
前出のとおり、「クラブオフ」はかなりトクするのは確かですが、ポイントのように目に見える形でおトクが表されないため、「トクしている手ごたえ」はややもの足りないかもしれません(おトクを実感したい人は筆者のようにレシートチェックがおすすめ)。
また、前出のとおりポイント還元率は標準レベルなので、メインカードには適してはいません。ポイント重視の人は、39歳以下の人が申し込める「JCBカードW」などのほうが合っています。
前出のとおり使い道を探す際のサイトのUIをはじめ、優待ごとに異なる手順や利用条件、時期によって優待対象や優待の内容が変わるなど、「クラブオフ」は慣れるまでやや使いづらさを感じます。「早く手間なく決済したい」といった効率重視の人には合わないかもしれません。
*
メリット、デメリットともありますが、「JCBカードS」がなかなか魅力的なクレジットカードであるのは間違いありません。皆さんの財布にも1枚備えてみては?