アップルは2017年9月12日(米国時間)、米カリフォルニア州にある新社屋スティーブ・ジョブズ・シアターで新製品発表会を開催し、スマートフォンの新モデル「iPhone X」と「iPhone 8/8 Plus」を発表した。iPhone Xを11月3日、iPhone 8/8 Plusを9月22日に発売する。アップルオンラインでの価格はiPhone 8が78,800円から、iPhone 8 Plusが89,800円から、iPhone Xが112,800円(いずれも税別)から。
狭額縁デザインのiPhone X。5.8型の有機ELディスプレイを備えるiPhoneの最上位モデルだ
今回発表されたiPhoneは、従来モデルのデザインを踏襲したiPhone 8/8 Plusと、まったく新しいデザインのiPhone Xの合計3モデル。iPhone 8/8 Plusを新世代とすると、iPhone Xは次世代のiPhoneと言えるほど、新しい機能が多数盛り込まれている。iPhone誕生10年の節目にふさわしいモデルだ。
iPhone Xは、5.8型の「Super Retinaディスプレイ」を搭載した、狭額縁設計のまったく新しいiPhone。本体前面は左右だけでなく、ホームボタンを廃止して上下まで、ディスプレイで覆われている。ディスプレイは100万:1の高コントラスト比の有機ELで、解像度は2436×1125(458ppi)、輝度は最大625cd/m2。ハイダイナミックレンジ(HDR)ディスプレイなので、HDRコンテンツを高画質で楽しめる。
5.8型の「Super Retinaディスプレイ」
前面はほぼディスプレイで覆われている
ホームボタンの廃止により指紋センサーもなくなったので、その代わりに「Face ID」という顔認証機能を搭載。ロック解除、認証、「Apple Pay」の支払いなどに利用できる。顔をカメラにかざすだけなので、Touch IDよりも直感的に使えそうだ。Face IDは、700万画素の「TrueDepthカメラ」により、顔を立体的に読み取ることで高い精度と安全性を確保している。メガネをかけても、帽子をかぶっても問題はないとしているが、その精度や使い勝手が気になるところだ。また、TrueDepthカメラを使って、50以上の筋肉の動きを解析し、12種類ある「アニ文字」に表情を反映することも可能。
本体の素材は、ガラスとステンレススチール。耐水・防塵性能(IP67等級)を備えるほか、iPhoneとしてははじめてワイヤレス充電機能もサポートする。Qi規格に対応しており、純正の「AirPower」(2018年発売予定)や、他社の充電器で充電できる。なお、AirPowerは、ワイヤレス充電対応の「Apple Watch」や「AirPods」など最大3台まで同時に充電できる。
操作面では、画面の一番下からスワイプするとホームに戻れる。ホームボタンを2度押すことで呼び出せたマルチタスキングは、スワイプして止めるというジェスチャー。音声アシスタントの「Siri」はサイドボタンを長押しすると呼び出せる。これまでホームボタンに割り当てられていた操作は、ジェスチャーやサイドボタンを活用することになる。
耐水・防塵性能(IP67等級)を備える
ワイヤレス充電機能をサポート
左右だけでなく、上下まで広がるディスプレイ。ホームボタンはなくなり、使い勝手もこれまでのiPhoneとは大きく変わる
カメラは広角カメラと望遠カメラのデュアルカメラ。どちらも1200万画素で、レンズの明るさは広角がF1.8、望遠がF2.4。どちらも光学式手ぶれ補正を備える。新機能としては、スタジオ照明のようなエフェクトを生み出せる「ポートレートライティング」(ベータ版)を用意。この機能を利用することで、より印象的なポートレートを撮影できるという。動画は最大60fpsの4K動画の撮影をサポート。最大240fpsのスローモーション(1080p)やタイムラプスなども撮れる。「iOS 11」がサポートするHEVC(High Efficiency Video Codec)により、これまでと同じ画質の動画を半分のファイルサイズで撮れるのもうれしい。
縦に並んだデュアルカメラ
頭脳であるCPUには6つのコアと43億個のトランジスタからなる「A11 Bionic」を搭載。4つの効率コアは、前世代の「A10 Fusion」チップより最大70%、2つの性能コアは最大25%高速となっている。人、場所、物を認識する機械学習のための専用ハードウェア「ニュートラルエンジン」も備えており、これがFace IDやアニ文字など新しい機能の処理を担っている。A11 Bionicは、効率面にすぐれており、バッテリー駆動時間は、iPhone 7より最大2時間長くなっている。グラフィック面では自社設計の「Metal 2」により、臨場感あふれる3DゲームやAR体験を楽しめるという。
ストレージ容量は64GBと256GBの2種類。カラーはスペースグレイとシルバーの2色。本体サイズは70.9(幅)×143.6(高さ)×7.7(厚さ)mm、重量が174g。外部インターフェイスはLightningコネクタのみ(ヘッドホン出力はなし)。バッテリー駆動時間は連続通話時間が最大21時間、インターネット利用が最大12時間。30分で最大50%充電できる高速充電に対応する。アップルストア価格は64GBモデルが112,800円、256GBモデルが129,800円(いずれも税別)。予約と発売は少し先で、予約は10月27日午後4時01分から、発売は11月3日の予定だ。
iPhone 8/8 Plusは、iPhone 7からのメジャーバージョンアップモデル。iPhone 7sではなく、モデルナンバーが変わったのも納得できるほど大幅に進化している。本体の前面だけでなく背面にもガラス素材を使用し、フレームにアルミニウム素材を使用。耐水・防塵性能(IP67等級)を備える。ガラス素材を使うことで、ワイヤレス充電をサポート。カラーはスペースグレイ、シルバー、ゴールドの3色を用意する。
背面にガラス素材を使ったiPhone 8/8 Plus
画面サイズはiPhone 8が4.7型(1334×750、326ppi)、iPhone 8 Plusが5.5型(1920×1080、401ppi)。環境光センサーにより、周囲の色温度に合うようにホワイトバランスを微調整する「True Toneテクノロジー」を備える。どこでも自然に見えて、目の疲れを軽減してくれる。
カメラはiPhone 8がF1.8の1200万画素カメラ。iPhone 8 PlusはF1.8の広角カメラとF2.8の望遠カメラからなるデュアルカメラ。画素数はどちらも1200万画素。iPhone 8/8 Plusともに光学式の手ぶれ補正を備える。デュアルカメラを備えるiPhone 8 Plusは、iPhone Xと同じポートレートライティングが利用可能。サウンド面では最大25%音量が大きくなったステレオスピーカーを搭載。CPUには、iPhone Xと同じA11 Bionicを採用する。
ストレージ容量は64GBと256GBの2種類。本体サイズはiPhone 8が67.3(幅)×138.4(高さ)×7.3(厚さ)mm、重量が148g、iPhone 8 Plusが78.1(幅)×158.4(高さ)×7.5(厚さ)mm、重量が202g。アップルストア価格はiPhone 8の64GBモデルが78,800円、256GBモデルが95,800円、iPhone 8 Plusの64GBモデルが89,800円、256GBモデルが106,800円(いずれも税別)。発売は9月22日、予約は9月15日午後4時01分から受け付ける。
カラーはスペースグレイ、シルバー、ゴールドの3色。価格は全色同じ
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