大手携帯キャリアのメインブランドと比べて毎月のスマホ料金が安い、オンラインプランやMVNOの格安SIM。料金が安いのはうれしいが、通信速度も気になるところ。実際はどうなのかを探るべく実施している人気回線の通信速度調査。2025年12月10日・12日に実施した今回は、スピードテスト下り平均速度とアプリダウンロード速度が若干スピードダウンしたいっぽうで、スピードテスト上り平均速度は直近1年間で最も速い結果となった。
スマートフォンの通信速度は時間帯や場所によって変化する。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所では、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。
本調査では、人口密度の高い地域と低い地域にて、通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、各回線の通信速度を調査している。
2025年7月からは、人口密度の高い地域を東京都千代田区の東京駅周辺から、東京都渋谷区の渋谷駅周辺に変更。対照となる低い地域は、引き続き長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定した。調査対象の回線も追加・入れ替えを行い、2025年8月からは合計14回線とした。
今回の調査日は渋谷駅周辺が2025年12月10日(水)、佐久平駅周辺が12月12日(金)。測定にはモトローラの「moto g50 5G」を用いた。
調査方法は以下のように「Googleのインターネット速度テスト」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。
【調査方法1】
端末のブラウザー(Chrome)でGoogleが提供しているインターネット速度テストを使用し、各地点・各時間帯で3回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。
【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移を「moto g50 5G」の動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。
調査対象の回線は以下のとおりだ。本調査はこれまでメインキャリアのサブブランドとオンラインプラン、およびMVNOの格安SIMを対象に実施してきたが、前述の通り今回から対象回線を刷新し、メインキャリアのドコモ・au・ソフトバンクから格安SIMまで、合計14回線を選択した。すべて5Gネットワークを利用できる状態で調査を行っている。
(1)ドコモ
(2)au
(3)ソフトバンク
(4)ahamo
(5)povo2.0
(6)LINEMO
(7)楽天モバイル
(8)ワイモバイル
(9)UQ mobile
(10)IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
(11)mineo(Aプラン・マイピタ)
(12)イオンモバイル(タイプ1(NTTドコモ回線))
(13)NUROモバイル(NTTドコモ回線・バリュープラス)
(14)HISモバイル(NTTドコモ回線・自由自在2.0プラン)
調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台の結果からだ。
12時台の測定結果の平均値(渋谷駅周辺:2025年12月10日、佐久平駅周辺:2025年12月12日実施。単位はMbps、以下同様)
12時台の地点別の測定結果(左:渋谷駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが44.73Mbps(前回は51.00Mbps)、上りが15.82Mbps(同17.29Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルが112.78Mbpsで最も速く、UQ mobileが88.67Mpbs、LINEMOが88.40Mbpsと続いた。上り通信速度もワイモバイルが21.37Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が35.22Mbps(同40.19Mbps)だ。回線別に見てみると、ソフトバンクが65.56Mbpsで最も速く、LINEMOが65.08Mbps、ワイモバイルが64.09Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(12時台)
1位 ワイモバイル:112.78Mbps
2位 UQ mobile:88.67Mpbs
3位 LINEMO:88.40Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台)
1位 ソフトバンク:65.56Mbps
2位 LINEMO:65.08Mbps
3位 ワイモバイル:64.09Mbps
次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を見てみよう。
14時台の測定結果の平均(渋谷駅周辺:2025年12月10日、佐久平駅周辺:2025年12月12日実施)
14時台の地点別の測定結果(左:渋谷駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は、下りが72.64Mbps(前回は81.08Mbps)、上りが18.08Mbps(同15.21Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はUQ mobileが125.53Mbpsで最も速く、ワイモバイルが123.40Mbps、povoが98.50Mbpsと続いた。上り通信速度はワイモバイルが28.82Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が50.85Mbps(同55.89Mbps)だ。回線別に見てみると、mineo(Aプラン)が70.96Mbpsで最も速く、ソフトバンクが70.71Mbps、LINEMOが68.53Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(14時台)
1位 UQ mobile:125.53Mbps
2位 ワイモバイル:123.40Mbps
3位 povo:98.50Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台)
1位 mineo(Aプラン):70.96Mbps
2位 ソフトバンク:70.71Mbps
3位 LINEMO:68.53Mbps
最後は、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。
18時台の測定結果の平均(渋谷駅周辺:2025年12月10日、佐久平駅周辺:2025年12月12日実施)
18時台の地点別の測定結果(左:渋谷駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが58.16Mbps(前回は65.99Mbps)、上りが15.13Mbps(同13.71Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はソフトバンクが116.97Mbpsで最も速く、ワイモバイルが114.40Mbps、LINEMOが99.47Mbpsと続いた。上り通信速度もソフトバンクが21.42Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が48.00Mbps(同46.49Mbps)だ。回線別に見てみると、LINEMOが73.77Mbpsで最も速く、auが71.89Mbps、UQ mobileが66.00Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(18時台)
1位 ソフトバンク:116.97Mbps
2位 ワイモバイル:114.40Mbps
3位 LINEMO:99.47Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台)
1位 LINEMO:73.77Mbps
2位 au:71.89Mbps
3位 UQ mobile:66.00Mbps
それでは、すべての時間帯における平均速度を基にランキングを求めてみよう。参考として前回(2025年11月)と前々回(2025年10月)の調査結果も併記する。まずはスピードテストの下り通信速度からだ。
スピードテストの下り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで116.86Mbps(前回は133.41Mbps)、2位はUQ mobileで95.90Mbps(前回は100.78Mbps)、3位はソフトバンクで92.70Mbps(前回は88.22Mbps)だ。14回線全体の平均速度は58.51Mbps(前回は66.02Mbps)だった。
次は、スピードテストの上り通信速度の結果だ。
スピードテストの上り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで20.75Mbps(前回は17.38Mbps)、2位はソフトバンクで20.31Mbps(前回は21.16Mbps)、3位はahamoで20.03Mbps(前回は14.35Mbps)だ。14回線全体の平均速度は16.35Mbps(前回は15.40Mbps)だった。
最後は、Playストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。
アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング
今回の1位はLINEMOで69.13Mbps(前回は78.21Mbps)、2位はソフトバンクで66.60Mbps(前回は60.36Mbps)、3位はUQ mobileで61.43Mbps(前回は60.02Mbps)だ。14回線全体の平均速度は44.69Mbps(前回は47.52Mbps)だった。
今回2025年12月の調査では、前回11月と比べてスピードテスト上り平均速度がわずかにスピードアップしたいっぽうで、スピードテスト下り平均速度とアプリダウンロード平均速度はスピードダウンする結果となった。
詳しく見てみると、スピードテスト下り平均速度は11%、アプリダウンロード平均速度は6%のダウン。スピードテスト上り平均速度は6%アップしている。
直近1年間を振り返ってみると、2025年7月〜8月にかけて調査対象回線の入れ替えや追加を行ってはいるものの、スピードテスト下り平均速度とアプリダウンロード平均速度は横ばい〜わずかな減速傾向がみられる。
そのいっぽうで、スピードテスト上り平均速度にはわずかな増速傾向がみられる。SNSに動画や画像をアップロードするような場面で、以前よりもスムーズになったことを実感している人もいるかもしれない。
全体の平均速度推移(2024年12月〜2025年12月。2025年4月は欠測、2025年7月から調査地点と対象回線を変更している点に注意)
次回の調査は2026年1月上旬〜中旬の実施を予定している。新たな1年を迎える各社の通信速度がどのように変化していくか、引き続き注目したい。