大手携帯キャリアのメインブランドと比べて毎月のスマホ料金が安い、オンラインプランやMVNOの格安SIM。料金が安いのはうれしいが、通信速度も気になるところ。実際はどうなのかを探るべく実施している人気回線の通信速度調査。2025年9月9日・11日に実施した今回は、前回8月と比べてスピードテストとアプリダウンロード速度が1〜2割ほどスピードアップする結果となった。
スマートフォンの通信速度は時間帯や場所によって変化する。たとえば、休憩時間にあたる平日昼の12時台や、プライベートでの通信が増える夕方から深夜、都市部のターミナル駅周辺のように人口が極端に集中する場所では、通信が混雑して回線速度が低下しやすい。ただ、その度合いは通信会社ごとに異なっており、重要な比較要素のひとつと言える。
本調査では、人口密度の高い地域と低い地域にて、通信が集中する12時台と18時台、そして比較的通信が少ない14時台において、各回線の通信速度を調査している。
2025年7月から、人口密度の高い地域を東京都渋谷区の渋谷駅周辺に、対照となる低い地域は、引き続き長野県佐久市の佐久平駅周辺を選定した。調査対象の回線も追加・入れ替えを行い、2025年8月からは合計14回線とした。
今回の調査日は渋谷駅周辺が2025年9月9日(火)、佐久平駅周辺が9月11日(木)。測定にはモトローラの「moto g50 5G」を用いた。
調査方法は以下のように「Googleのインターネット速度テスト」と「Playストアからのアプリダウンロード」の2通りを実施した。
【調査方法1】
端末のブラウザー(Chrome)でGoogleが提供しているインターネット速度テストを使用し、各地点・各時間帯で3回測定した上り/下り通信速度の平均値を算出した。
【調査方法2】
実際の体感速度に近い状況として、アプリのダウンロード時における通信速度を測定。「通信速度モニター」(Lufesu Inc.)による通信速度を表示した状態でPlayストアからアプリをダウンロードし、その間の速度推移を「moto g50 5G」の動画スクリーンショット機能で記録。測定終了後に動画を確認し、ダウンロード中の下り平均速度を算出した。限られた時間内で測定を行うために、開始から1分が経過した時点でもアプリのダウンロードが終わらない場合はインストールを中断し、その時点までの平均速度を求めている。
調査対象の回線は以下のとおりだ。本調査はこれまでメインキャリアのサブブランドとオンラインプラン、およびMVNOの格安SIMを対象に実施してきたが、前述の通り今回から対象回線を刷新し、メインキャリアのドコモ・au・ソフトバンクから格安SIMまで、合計14回線を選択した。すべて5Gネットワークを利用できる状態で調査を行っている。
(1)ドコモ
(2)au
(3)ソフトバンク
(4)ahamo
(5)povo2.0
(6)LINEMO
(7)楽天モバイル
(8)ワイモバイル
(9)UQ mobile
(10)IIJmio(みおふぉん)モバイルサービス(タイプD)
(11)mineo(Aプラン・マイピタ)
(12)イオンモバイル(タイプ1(NTTドコモ回線))
(13)NUROモバイル(NTTドコモ回線・バリュープラス)
(14)HISモバイル(NTTドコモ回線・自由自在2.0プラン)
調査結果を詳しく見ていこう。まずは休憩中のユーザーが利用することで混雑しやすい12時台の結果からだ。
12時台の測定結果の平均値(渋谷駅周辺:2025年9月9日、佐久平駅周辺:2025年9月11日実施。単位はMbps、以下同様)
12時台の地点別の測定結果(左:渋谷駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが57.20Mbps(前回は55.96Mbps)、上りが15.35Mbps(同13.90Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はワイモバイルが181.53Mbpsで最も速く、auが130.40Mbps、LINEMOが123.20Mbpsと続いた。上り通信速度はahamoが20.94Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が42.80Mbps(同33.72Mbps)だ。回線別に見てみると、ワイモバイルが102.12Mbpsで最も速く、LINEMOが87.32Mbps、UQ mobileが85.39Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(12時台)
1位 ワイモバイル:181.53Mbps
2位 au:130.40Mbps
3位 LINEMO:123.20Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(12時台)
1位 ワイモバイル:102.12Mbps
2位 LINEMO:87.32Mbps
3位 UQ mobile:85.39Mbps
次は休憩時間が明けてスマートフォンの利用も落ち着き、速度も回復してくる14時台の結果を見てみよう。
14時台の測定結果の平均(渋谷駅周辺:2025年9月9日、佐久平駅周辺:2025年9月11日実施)
14時台の地点別の測定結果(左:渋谷駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は、下りが82.20Mbps(前回は66.13Mbps)、上りが16.55Mbps(同14.45Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はpovoが155.35Mbpsで最も速く、ソフトバンクが146.25Mbps、ワイモバイルが145.80Mbpsと続いた。上り通信速度はauの23.23Mbpsが最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が55.68Mbps(同42.34Mbps)だ。回線別に見てみると、mineo(Aプラン)が95.11Mbpsで最も速く、ソフトバンクが94.87Mbps、auが86.61Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(14時台)
1位 povo:155.35Mbps
2位 ソフトバンク:146.25Mbps
3位 ワイモバイル:145.80Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(14時台)
1位 mineo(Aプラン):95.11Mbps
2位 ソフトバンク:94.87Mbps
3位 au:86.61Mbps
最後は、会社や学校が終わり再び通信が混雑し始める18時台の結果だ。
18時台の測定結果の平均(渋谷駅周辺:2025年9月9日、佐久平駅周辺:2025年9月11日実施)
18時台の地点別の測定結果(左:渋谷駅周辺、右:佐久平駅周辺)
スピードテストの全体の平均は下りが65.51Mbps(前回は66.61Mbps)、上りが16.22Mbps(同14.80Mbps)だ。回線別に見てみると、下り通信速度はLINEMOが144.95Mbpsで最も速く、ワイモバイルが124.75Mbps、ドコモが96.92Mbpsと続いた。上り通信速度はワイモバイルが23.62Mbpsで最も速かった。
アプリのダウンロード速度は全体の平均が43.79Mbps(同37.73Mbps)だ。回線別に見てみると、LINEMOが102.54Mbpsで最も速く、auが72.26Mbps、povoが67.63Mbpsと続いた。
●スピードテスト下り平均速度のトップ3(18時台)
1位 LINEMO:144.95Mbps
2位 ワイモバイル:124.75Mbps
3位 ドコモ:96.92Mbps
●アプリのダウンロード速度のトップ3(18時台)
1位 LINEMOが102.54Mbps
2位 auが72.26Mbps
3位 povoが67.63Mbps
それでは、すべての時間帯における平均速度をもとにランキングを求めてみよう。参考として前回(2025年8月)と前々回(2025年7月)の調査結果も併記する。まずはスピードテストの下り通信速度からだ。
スピードテストの下り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで150.69Mbps(前回は139.47Mbps)、2位はLINEMOで125.15Mbps(前回は104.82Mbps)、3位はソフトバンクで103.96Mbps(前回は117.95Mbps)だ。14回線全体の平均速度は68.30Mbps(前回は62.90Mbps)だった。
次は、スピードテストの上り通信速度の結果だ。
スピードテストの上り通信速度ランキング
今回の1位はワイモバイルで21.77Mbps(前回は13.26Mbps)、2位はHISモバイルで19.05Mbps(前回は9.55Mbps)、3位はドコモ18.72Mbps(前回は18.32Mbps)だ。14回線全体の平均速度は16.04Mbps(前回は14.38Mbps)だった。
最後は、Playストアからのアプリダウンロード速度の結果だ。
アプリダウンロード時の下り通信速度ランキング
今回の1位はLINEMOで78.85Mbps(前回は51.70Mbps)、2位はauで75.12Mbps(前回は52.55Mbps)、3位はUQ mobileで74.21Mbps(53.38Mbps)だ。14回線全体の平均速度は47.43Mbps(前回は37.93Mbps)だった。
人口密度の高い地域を東京駅周辺から渋谷駅周辺に変更して3回目となる今回2025年9月の調査では、前回8月と比べてスピードテストの上り・下り平均速度とPlayストアからのアプリダウンロード平均速度がすべてスピードアップした。
結果を詳しく見てみると、実際の利用環境の一例としているアプリダウンロード速度が9回線でスピードアップしていて、平均速度は25%アップ。前回が遅かったahamoやNUROモバイルのように、3〜4倍も速くなった回線もみられた。
全体の平均速度推移(2024年9月〜2025年9月、2025年4月は欠測。2025年7月から調査地点と対象回線を変更している点に注意)
次回の調査は2025年10月上旬〜中旬の実施を予定している。各社の通信速度がどのように変化していくか、引き続き注目したい。