ASUSがPC夏秋モデルの新製品発表会を開催し、ノートPCやデスクトップ、ゲーミングPCなど多数の新モデルを発表しました。その中でも異彩を放っていたのが、タッチパッドに液晶を搭載するハイエンドノートPC「ZenBook Pro 15」です。会場で展示されていた試作機から、その魅力に迫ってみました。
多数発表された新製品の中でも群を抜いて注目度が高かった「ZenBook Pro 15」
タッチパッドに液晶を搭載すると聞いて、往年のPCユーザーはシャープの「Mebius」シリーズを思い出したのではないでしょうか。タッチパッドとしての機能を備えつつも、辞書ソフトやゲームといったソフトウェアを液晶上で使用できるというのが売りでしたが、時代を先取りしすぎたのか、ユーザーからの評価はいまいちでした。
もはや誰も挑戦しないであろうと思われていた、液晶タッチパッドの戦場に果敢にも全力投球で攻めてきたのがASUSです。同社が発表した「ZenBook Pro 15」は、タッチパッド部にフルHD(1920×1080)の5.5型液晶、その名も「ScreenPad」を搭載します。「ScreenPad」では、頻繁に使用するアプリを起動しやすくするランチャーとしての機能を備えるほか、音楽プレイヤー、電卓、カレンダー、テンキーなどのサブアプリを使えます。たとえば、「Excelをメイン画面に表示させて、『ScreenPad』のテンキーで数字を入力する」「カレンダーで予定を確認しながら、メイン画面でGoogleマップを開いて打ち合わせ場所を決める」など、日常のちょっとした作業の効率をアップさせる使い方が可能です。
液晶上部には「音楽プレイヤー」「カレンダー」「ランチャー」「テンキー」「電卓」のアイコンが並び、タッチすると起動する
よく使うアプリを登録してアクセスしやすくするランチャー
「電卓」は入力した計算式が、そのまま「メモ帳」などにテキストとして反映される
「テンキー」は、「Excel」などと合わせて使うと便利そうだ
そもそも、なぜタッチパッドを液晶にしたのかというと、ASUSのユーザー調査では、画面に複数のウィンドウを開いてマルチタスクを行うという人が圧倒的に多いことがわかっており、その作業効率を向上するには、作業エリアを増やす、つまり画面を増やしてしまうという結論にたどり着いたから。わざわざメイン画面からアプリを起動しなくても、タッチパッドから簡単に起動できたり、操作できたりすれば作業効率が改善されるのでは、というわけです。
ただし、アプリなら何でも使えるというわけではなく、発売時は上述の音楽プレイヤー、計算機、カレンダーなど簡易なものに限るとのこと。しかし、ASUSは「ScreenPad」のSDKを公開予定で、サードパーティーから便利なアプリが今後登場するかもしれません。
「ScreenPad」は、実は3つのモードを備えており、「F6」キーを押すことで切り替えられます。先に述べたのは「ScreenPad」モードで、「拡張ディスプレイ」と「タッチパッド」というモードも用意されています。「タッチパッド」は普通のタッチパッドとして使うモードですが、「拡張ディスプレイ」は名前の通り、「ScreenPad」をセカンドディスプレイとして使用できるもの(日本での提供は発売後)です。マルチディスプレイと同じようにして、メイン画面からアプリを画面の下に移動させれば、「ScreenPad」にアプリを表示させられるというわけです。
「ScreenPad」で動画を再生してみた
さすがにブラウザーを表示すると、文字やアイコンが小さすぎて使いやすいとは言えません
フルHDの高い解像度を備えるので、ブラウジングや動画再生なども問題なし。ただし、5.5インチはめちゃくちゃ小さいので、「ScreenPad」上で資料を作るなどの作業は行えないでしょう。あくまでも、確認するなどのサブ的なディスプレイとして使用する感じです。
「ScreenPad」の使い方はユーザー次第で大きく変わってきそう。特に、マルチ作業を行うクリエイター用途だったら、今まで面倒だった作業を改善できる使い方ができるかもしれません。
斬新な「ScreenPad」に目が行きがちですが、「ZenBook Pro 15」が備える高いスペックにも注目です。インテル「Core i9-8950HK」と「Core i7-8750」の2モデルが展開され、「Core i7-8750」のみ「ScreenPad」の搭載、非搭載が選べます。
Core i9-8950HKモデルは、メモリーが16GB、ストレージ容量がSSD 1TB(PCIe)、GPUがNVIDIA「GeForce GTX1050 Ti(VRAM 4GB)」を搭載。いっぽうの、Core i7-8750モデルは、メモリーが16GB、ストレージ容量がSSD 512GB(液晶搭載モデルのみPCIeとなる)、GPUが「GeForce GTX1050 Ti(VRAM 4GB)」という基本構成です。どちらのモデルも、ゲーミングPCに匹敵する高い処理性能とグラフィック性能を誇ります。
メイン液晶は15.6型4K(3840x2160)ディスプレイを備えます。インターフェイスは、HDMI×1、USB Type-C(Thunderbolt 3)×2、USB 3.1×1、イヤホン・マイクコンボジャック、microSDカードスロット。重量は2.01kgです。バッテリー駆動時間は4.7時間と短く、モバイル用途には不向きでしょう(「ScreenPad」非搭載モデルは7.4時間)。
ディスプレイは4Kで非常にきれいな発色だ。写真や動画視聴のほか、「ScreenPad」と合わせてクリエイティブな作業にも適しています
ASUSおなじみの同心円デザインの天板
気になる価格は、Core i9モデルが349,800円(希望小売価格、税別、以下同)、Core i7モデルが249,800円、「ScreenPad」非搭載モデルが199,800円です。自信満々の値段設定ですが、一般的な用途からゲーミングまでこなすハイスペックに加えて、「ScreenPad」という先進的な機能を搭載しているので、少々お高いのは妥当なところでしょう。気になる人は一度チェックしてみてください。
また、ASUSはZenBookシリーズの新モデル「ZenBook S」「ZenBook 14」「ZenBook Flip S」「ZenBook Flip 14」、VivoBookシリーズの新モデル「VivoBook 15」「VivoBook Flip 12」、ゲーミングのROGシリーズの新モデル「ROG」「ROG ZEPHYRUS」「ROG ZEPHYRUS M」「ROG STRIX」など、多数の新製品を発表しています。ノートPCやゲーミングPCの購入を検討している人は、最新モデルをチェックしてはいかがでしょうか。