今年10月に新色のブラックモデルが登場し、話題となった日本マイクロソフトの「Surface」シリーズ。今回は、そのブラックモデルではなく、今年8月に発売された小型モデルの「Surface Go」を紹介したい。携帯性抜群のコンパクトボディと手ごろな価格が魅力だが、使い勝手やパフォーマンスはどうなのか? 詳しくチェックした。
Surface Goは、10型液晶を搭載するコンパクトなWindowsタブレット。価格.com最安価格は、メモリー8GB/ストレージ128GBモデルが74,799円、メモリー4GB/ストレージ64GBが57,699円(2018年10月19日時点)。カバー兼キーボードは別売
Surface Goの一番の魅力はなんと言っても機動力だ。本体サイズは約245(幅)×175 (高さ)×8.3(厚さ)mm、重量は約522g(カタログスペック)。コンパクトかつ軽量なので、持ち運びに苦労することはない。別売のカバー兼キーボード「Surface Go Signature Type Cover」(約245g)と合わせても約767gと、余裕で1kgを切っている。
フットプリント(設置面積)が小さいのも、外出先で使う場合に助かる。テーブルが狭いお店で使う場合でも、飲み物を置く場所に困ることはなかった。バッテリー駆動時間は「最大約9時間のビデオ再生が可能」というスペック。実際に取材や休みの日に外出先で使ってみた印象では、作業内容にもよるが6〜7時間は使えそうだ。付属のACアダプターも本体と同様、コンパクトなので、大きめのカバンを使っているという人なら、常に持ち歩いてもいいだろう。
スタミナの点では、モバイルバッテリーで充電できるのも見逃せない。付属のACアダプターだけでなく、USB Type-C経由でも充電できるので、長時間、電源を確保できなさそうな場合は大容量のモバイルバッテリーがあると安心だ。
カフェやファストフード店の狭いテーブルに置いてもじゃまにならないサイズ感
重量は実測で521g。カタログスペックより1g軽かった
本体、カバー兼キーボード(別売)、「Surfaceペン」(別売)、ACアダプターを合わせた重量は実測で925g
Surface Proと同様、キックスタンドでディスプレイの角度を無段階調整できる
外観は写真の通り、「Surface Pro」や最新の「Surface Pro 6」を、そのまま小さくしたと言っていい。キックスタンドで自立するのも同じだ。マグネシウム素材の手触りがよく、デザインは洗練されている。価格を考えるとボディの質感は高い。
本体はアルミニウム素材を使っており、チープな感じはしない。カメラはリアカメラが800万画素、フロントカメラが500万画素。メモ程度には十分な画質で、撮影した写真をWordやPowerPointにすぐに使えるのが便利。フロントカメラもSkype用には不満のないクオリティ
Surface Goのラインアップは2機種。CPUは2機種とも「Pentium Gold 4415Y」で、メモリー容量とストレージ容量(種類)が異なる。下位機種はメモリーが4GB、ストレージが64GBのeMMCだ。上位モデルはメモリーが8GB、ストレージが128GBのSSDとなる。
Surface Go発表時に気になったのが、Pentium Gold 4415Yという国内では聞き慣れないCPU。動作クロックが1.6GHzのデュアルコアCPUだ。TDP(熱設計電力)は6Wで、Surface Goはファンレス設計となっている。ポジショニングとしては、CoreプロセッサーとCeleronプロセッサーの間であり、Windowsタブレットに採用されることが多い「Atom」よりは上といったところ。
今回は上位モデルを試したが、Officeソフトなどを使うのには十分な性能だと感じた。動画編集や最新の3Dゲームなどヘビーな用途には向いていないが、外出先でプレゼンテーションの資料や報告書を作成するといった用途には十分な性能と言えるだろう。
定番のベンチマークプログラムソフト「PCMark 10 Professional Edition」のスコアは1691。さすがに「Digital Content Creation」のスコアは低いが、日常使いやOfficeソフトの快適さを示す「Productivity」は2662とまずまずのスコア
ストレージの速度を測定する定番ソフト「CrystalDiskMark 6.0.1 x64」の結果。最新のNVMe PCIe接続のSSDに及ばないものの、読み込み、書き込みともに高速だ
4GBのメモリーと64GBのeMMCを搭載する下位モデルは、5万円台から購入できる安さは魅力だが、少しでも快適に使いたいのであれば、8GBのメモリーと128GBのSSDを搭載した上位モデルを選びたいところ。
コンパクトなSurface Goは持ち運ぶのには便利だが、小型ゆえの弱点もある。10型のディスプレイ(1800×1200)は、ほかのSurfaceシリーズと同じく、アスペクト比が3:2で縦向けでも横向きでも使いやすく表示品質も高いが、複数のウィンドウを開いて作業するのには不向きだ。作業効率を考えると、12.3型ディスプレイを搭載するSurface Pro 6などを選んだほうがいいだろう。
左が10型のSurface Go、右が12.3型の「Surface Pro 4」
小型ゆえの一番の注意点は、Surface Go Signature Type Coverだろう。小さい割にはよくできているが、キーピッチは実測で17mmと少し窮屈で、手の大きい人は慣れるまで時間がかかるだろう。タッチパッドは広めで、複数の指を使ったジェスチャー操作が快適にできる。個体の問題かもしれないが、タイプすると「ポンポン」と高い音がするのが気になった。
Surface Go Signature Type Coverのキーピッチは実測で17mm。窮屈な感じはあるが、キーレイアウトは標準的で慣れで解消できそうな印象
Surface Pro 4のタイプカバーのキーピッチは実測で約19mm。比べてみると、キーの小ささも気になる
外部インターフェイスは、USB Type-Cポート、ヘッドホン出力、Surface Connectポート、Surfaceタイプカバーポート、microSDメモリーカードスロット。USB Type-Aポートはないので、手持ちの周辺機器がUSB Type-Aが多いという人は対応のアダプターやケーブルが必要になる。
外部インターフェイスは右側面に配置されている
最後にアップルの「iPad」とも比べてみた。比べたのは毎日使っている第6世代のiPad。サイズ感はほとんど同じだが、Surface Goのほうが少しだけ厚い。携帯性にそれほど差はないが、バッテリーの持ちはiPadのほうが上だ。アプリもiPadのほうが充実しているが、Surface GoはWindows用のアプリがそのまま使えるというのがメリット(Windows 10 HomeのSモードをオフにする必要はある)。
Surface Goのすぐれている点は、別売のキーボードが使いやすいこと。キーボードを使っての作業が多いなら、iPadよりもSurface Goのほうが便利だと感じた。当然と言えば当然だが、仕事で使う割合が多いならSurface Goを選んだほうがいいだろう。逆にプライベートで音楽や動画、ゲームなどを楽しむならタッチ操作に適したユーザーインターフェイスを備えるiPadだ。
左が第6世代のiPad、右がSurface Go。画面サイズが9.7型と10型ということで、サイズ感はほとんどいっしょ
Surface Goは、価格.comの「タブレットPC」カテゴリーの人気ランキングで上位モデルが4位、下位モデルが8位に入っている(2018年10月19日時点)。国内発表時はOfficeが標準でバンドルされており、米国よりも価格が高いことが話題となったが、発売から約2か月が経ち、価格が下がってきたこともあり、人気モデルとなっている。携帯性抜群のコンパクトなボディと、Surfaceらしい高品位なボディ、サブマシンとしては十分な性能、そして手ごろな価格と人気になるのもよくわかる。外出先で使うサブマシンを探しているなら、Surface Goは最有力候補になるはずだ。欲を言えば、Officeなしでもう少し安いモデルか、OfficeなしでSurface Go Signature Type Coverが標準で付属するモデル(もちろん価格据え置きで)があると、さらに人気が出るのではないかと思った。
ガジェットとインターネットが好きでこの世界に入り、はやいもので20年。特技は言い間違いで、歯ブラシをお風呂、運動会を学芸会、スプーンを箸と言ってしまいます。お風呂とサウナが好きです!