スポーツやアウトドアアクティビティを楽しむ人からアスリートやプロフェッショナルまで、幅広いユーザーをサポートする製品を多数手がけるガーミンから、最新のGPSランニングウォッチ「Forerunner 255」(フォアランナー)シリーズが登場しました。ランニングをサポートする機能に加えて、健康管理に関する機能がアップデートされ、ランナーはもちろん、健康的な日々を過ごしたい人にもピッタリなモデルになっています。
ランナー向けGPSランニングウォッチ「Forerunner 255」レビュー
ガーミンが手がけていたGPSランニングウォッチには、元々初級者や中級者向けなど多彩なモデルを揃えた「ForeAthlete」(フォアアスリート)シリーズというものがあり、価格.comの「ウェアラブル端末・スマートウォッチ」の注目・人気ランキングでも上位に入るなど、高い評価を得ていました。
しかし、ガーミンは、このシリーズで長らく使用してきた名称を「Forerunner」に変更。心機一転、名称が新しくなった本シリーズは、初心者からベテランランナー、ロードランニングやトレイルランニングなど、ランナーのトレーニングをサポートすることに特化した機能を搭載。ラインアップには、標準モデルに加えて女性ランナーにも使いやすいコンパクトで軽量の「Sサイズモデル」、音楽再生機能を搭載した「Musicモデル」が揃えられています。
基本機能に関しては、どのモデルにも差異がないものの、Sサイズモデルはバッテリーの駆動時間が少し短くなっています。今回レビューしたのは、音楽再生機能を搭載する「Forerunner 255 Music」です。
「ForeAthlete」はガーミンのスポーツモデルに長らく使用されてきた名称ですが、2022年6月から「Forerunner」に統一されることになりました
音楽再生機能を搭載する「Forerunner 255 Music」は、約49gという扱いやすい軽さで、1.3インチの液晶ディスプレイを搭載。スポーツシーンで使う場合、数値の視認性はかなり大切な要素です。ディスプレイサイズが小さくなると必然的に表示される数値が小さくなりますが、このモデルはディスプレイのサイズ的に数値などの視認性が高く、しかも軽量というバランスのよさが特徴です。
1.3インチの液晶ディスプレイは、数値やデータが見やすいサイズ。それでいて軽量ボディを実現
また、重量とトレードオフの関係にあるのがバッテリーの駆動時間です。このモデルは50gを切る重量を実現しながら、長時間駆動を実現します。「スマートウォッチモード」で約14日間、心拍数計測とGPSを常時駆動させる「GPSモード」では約30時間駆動可能。実際に24時間ほど使用し、その間に「GPSモード」で1時間トレーニングを行ったところ、バッテリー消費量は6%ほどでした。
GPS機器を手がけるガーミンのスマートウォッチは、位置情報の精度の高さにも定評があります。本機は、複数の衛星信号を捕捉する「GNSSマルチバンド」を搭載し、これまでのシリーズ以上に正確な位置情報を提供してくれるようになっています。
高いビルの間を走る時にも、トレイルランニングなどで谷間を走る際にも正確なペース、走行距離を計測可能。ただし、バッテリーの駆動時間が通常の「GPSモード」では約30時間ですが、これより正確な位置情報を計測する「マルチGNSSモード」では25時間と少し短くなります。しかし、25時間駆動できれば、ウルトラマラソンや長距離のトライアスロンなど、市民アスリートが挑戦できる大体のレースにも十分対応可能です。
心拍数や血中酸素濃度、睡眠トラッキング、呼吸数など、運動や健康管理に関する基本的な機能はもちろんのこと、ユーザーをバッテリーに見立て、どれくらいのバッテリー量が体内に残っているかを数値化する「ボディバッテリー機能」など、今までのガーミン製スマートウォッチには、多彩な機能が搭載されており、これらは本機にも継承されています。
こういった機能に加えて、本機には「モーニングレポート」という新機能が搭載されました。この機能は、昨夜の睡眠の質、今日行うべきおすすめのワークアウト、ボディバッテリー、週間運動量など、健康とトレーニングに関するデータを起床時にお知らせしてくれる機能です。自分からデータを確認することなく、必要な情報を毎日の起床時にモーニングレポートとして届けてくれるというわけです。
新搭載のモーニングレポート機能
モーニングレポートの内容はユーザーが選択可能で、ボディバッテリーや昨夜の睡眠の質、天気、HRV(心拍変動)ステータスなど多彩な項目が用意されています。この画像は、睡眠中にボディバッテリーがどれくらい回復したかを表示しています
これは「睡眠の質」に関するレポートです。これまでのスマートウォッチでも計測はされていましたが、わざわざ本体やスマートフォンを操作して確認しなければいけなかったので、毎朝リポートとして届けてくれるのは便利です
面白いのが、ボディバッテリーの回復具合や睡眠の質の状況から、スマートウォッチがユーザーの体の状態を判断し、その日にユーザーが行うのに適したトレーニングメニューを「今日のおすすめ」として提示してくれるところです
「今日のおすすめ」を実際に試してみると、かなり自分の感覚と近い部分がありました。しっかり休めたな、と感じた時には少しキツめのメニューを提示してくれますし、睡眠時間が短かった時や、前日しっかりとトレーニングを行った時には、軽めのメニューや休息をおすすめしてくれます。
1週間ほど使い続けていると、「Forerunner 255」が徐々に自分の生活スタイルを学習し、「モーニングレポート」の精度が高まっていきます。このレポートが朝のルーティーンになり、1日の行動指針になっていく感覚になっていきました
本機は、ランニングに特化したスマートウォッチということで、実際にランニングで使用してみました。走行中でも数値の視認性が高く、心拍数、ペース、走行距離など、表示される数値の設定の自由度など、ランニングを行ううえでの機能性については申し分なし。これは、さすがガーミンといったところです。
使用していて最も驚いた点は、「ランニングモード」を起動した時のGPSの捕捉の早さです。従来機でも特に捕捉スピードに不満はなかったのですが、感覚的には数秒で位置が捕捉でき、すぐにランニングが行えるという印象です。
「推定の発汗量」も夏のトレーニングでは必要な項目です。当日の気温などから、推定量を予測してくれますが、推定値とはいえ発汗量を把握することで、水分補給を行うなど脱水症状の予防をしつつ、安全にトレーニングを行うことができます
「GNSSマルチバンド」を搭載しているため、GPSの捕捉スピードは高速。すぐにランニングが行えるのは快適な使い勝手です
VO2Maxや5km、10qの予測タイムなど、走り終わった後のデータ解析はランナーが指標とするポイントをしっかりと押さえており、次に走る際のモチベーションになります
また、完全回復までの時間が表示されるところも秀逸。トレーニングしっぱなしではなく、身体をいたわりながら安全に練習が続けられる機能も搭載されています
あらゆるトレーニングや身体的なデータを正確に計測できるところが評価されてきたガーミンですが、正直なところ、収集したデータを活用しないで眠らせてきたユーザーは多かったと思います。ランニングや自転車、トライアスロンに取り組む筆者自身も、割と活用していたほうだとは思いますが、それでもすべてを使いこなすことができていた、とは思えません。
しかし、「Forerunner 255」は、ユーザーの健康やスポーツに関するデータを「モーニングレポート」という形でしっかりユーザーに届ける機能が搭載されており、データを管理、分析するだけではなく、これらのデータからユーザーが何を得られるのか、何をするべきなのか、データの活用方法までをユーザーに提供するようになったのが大きな進化だと思います。
今回レビューした機能以外にも、本機には音楽再生機能やモバイルSuicaの対応など、日常的な使い勝手の高い機能がそろっています。
こういった点を鑑みると、「悩んだらガーミンを使っておけば間違いない」。改めてそんな気持ちにさせてくれるスマートウォッチでした。
ミラソル デポルテ代表。自転車、トライアスロン、アウトドア関連のライターとしても活動中。趣味はロングディスタンスのトライアスロン。