NECパーソナルコンピュータは2023年8月1日、個人向けPCの2023年夏モデル5シリーズを発表した。そのなかでも特に注目したいのが、16型ノートPC「LAVIE NEXTREME Infinity」。「PC-9801」発売40周年を記念した4000台限定のスペシャルモデルで、随所にNECらしいこだわりが詰まったハイスペック機だ。詳細をお伝えしよう。
「PC-9801」発売40周年記念で商品化された16型ノートPC「LAVIE NEXTREME Infinity」
発表会の会場では初代「PC-9801」と並んで展示されていた
「LAVIE NEXTREME Infinity」は、初代「PC-9801」の発売(1982年)から40周年を記念して商品化された16型ノートPC。NECが考える「現時点での最高のノートPC」を追求したフラッグシップモデルで、「LAVIE」シリーズのノートPCとして史上最速のパフォーマンスを実現しているうえ、史上最上のディスプレイと史上最高のキーボードも搭載している。
パフォーマンス面では、CPUに「Core Hシリーズ」の第13世代「Core i7-13700H」(最大5.00GHz)を採用。ディスクリートGPUとして「Arc A570M」を搭載している。メモリーは16GB DDR5で、ストレージは1TB SSD(PCIe 4.0)だ(※直販モデルでは「Core i9-13900H」や64GBメモリー、2TB SSDなどを選択できる)。
これらの基本スペックだけを見ればミドルハイクラスといったところだが、後述する有機ELディスプレイ、新機能の「バイオレットライトLED」、エルゴノミクスキーボードなどを考慮すると、非常に完成度の高いハイスペックマシンであることがわかるはずだ。
CPUとGPUを複数のヒートパイプとファンで効率よく冷却するデュアルファンシステムを採用。側面と背面に計4か所の通気口を設け、空気が通りやすい構造も採用している
搭載するディスプレイは、縦に少し広い16:10比の16型ワイドスーパーシャインビュー有機ELディスプレイで、WQUXGA(3840×2400)の高解像度表示に対応。DCI-P3のカバー率は100%で、コントラスト比は100000:1だ。HDR認証規格「Display HDR 500 True Black」にも対応している。
発表会会場では本モデル(左)と液晶ディスプレイモデル(右)の比較デモが用意されていた。本モデルのほうがコントラストが高く、かつ鮮やかな表示だ
さらに、本モデルは、PCとして初めて、バイオレットライトを照射する「バイオレットライトLED」を搭載するのもトピック。バイオレットライトとは、近視の進行を抑える効果などがあるとされている波長360〜400ナノメートルの可視光のこと。基本的に屋外にしか存在しない光だが、本モデルはディスプレイ上部に「バイオレットライトLED」が備わっており、屋内でPCを使用しながらバイオレットライトを効果的に浴びることができるという。
「バイオレットライトLED」はディスプレイ上部に設けられている
「LAVIEシリーズのノートPCとして史上最高」をうたうキーボードは、キーが階段状の段差を持ち、手前から奥にかけて傾斜が強くなるチルト&ステップスカルプチャー機構と、キートップの中央が凹んでいるシリンドリカルキートップを採用するという、非常に凝った作りだ。
実際にタイピングしてみたが、ノートPCのキーボードとしてはとても快適な入力が可能だった。入力時の静音性が高いのも印象に残った点である。ファンクションロック機能やバックライトなども搭載している。
手前から奥にかけて傾斜が強くなるチルト&ステップスカルプチャーを採用
キー配列は日本語103(テンキー付き)。キーピッチは19mm、キーストロークは1.7mmで、バックライトも搭載している
こちらも「LAVIE」シリーズ初になるが、いわゆるバ美肉(バーチャル美少女受肉)での配信をサポートするアプリ群が付属するのもユニークだ。
VTuberになってゲーム実況動画を投稿できる「ゼロからはじめる、VTuberゲーム実況はじめてガイド」、オリジナルキャラ「ルヴィ」を搭載するアバターアプリ「3teneFREE」、ボイスチェンジャーアプリ「Voidol2」を利用できる。ハイスペックマシンながら、こうした遊び心を忘れないのはNECらしいところだ。
オリジナルキャラ「ルヴィ」を搭載するアバターアプリ「3teneFREE」などが付属
USB Type-A(USB 3.2 Gen 2)×2、USB Type-C(Thunderbolt 4/USB4 Gen 3×2)、HDMI出力、LANコネクタ、SDメモリーカードスロットなど充実したインターフェイスを搭載
背面には大きな通気口が2か所設けられている
しっかりとした作りのアルミボディを採用。天板と底面はアルマイト処理によるコーティングが施されている。本体サイズは約359.8(幅)×19.9〜30.9(高さ)×254.1(奥行)mmで、重量は約2.5kg
「PC-9801」発売40周年の記念モデルということで「PC-9801っぽい部分」に期待したかもしれないが、「LAVIE NEXTREME Infinity」は、「PC-9801」をオマージュしたわけではなく、記事中でも触れたようにNECが考える「現時点での最高のノートPC」を追求した製品だ。
何をもって最高とするかは難しいところがあるが、本モデルでは、ディスクリートGPUを採用するハイスペックなノートPCでメインとなるゲーム用途やクリエイティブ用途だけでなく、普段使いでの使いやすさを重視しているのがポイント。それは、新機能「バイオレットライトLED」やエルゴノミクスキーボードを搭載することからも伝わってくる。
店頭販売モデルの市場想定価格は274,780円前後(税込)。高品位な「LAVIE」シリーズとして、このスペックでこの価格はかなり頑張っていると思う。発売は、直販モデルが本日2023年8月1日、店頭販売モデルが2023年8月3日。4000台限定のスペシャルモデルなので、気になるなら早めの購入を検討してほしい。
発表会ではアバター(ドクター98とラビィちゃん)によるプレゼンテーションが行われた
フィルム一眼レフから始まったカメラ歴は、はや約30年。価格.comのスタッフとして300製品以上のカメラ・レンズをレビューしてきたカメラ専門家で、特にデジタル一眼カメラに深い造詣を持つ。フォトグラファーとしても活動中。