インテルは2024年10月11日、新型CPU「Core Ultraプロセッサー 200Sシリーズ」(以下、「Core Ultra 200Sシリーズ」)を発表した。NPU(Neural Processing Unit:AI処理に特化したエンジン)を搭載する最新「Core Ultra シリーズ2」のデスクトップ向けCPUだ。その特徴を紹介しよう。
デスクトップ向けの新型CPU「Core Ultra 200Sシリーズ」が登場
「Core Ultra 200Sシリーズ」のラインアップ
Core Ultra 9 285K
24コア(Pコア×8、Eコア×16)、最大5.7GHz、4GPUコア
Core Ultra 7 265K
20コア(Pコア×8、Eコア×12)、最大5.5GHz、4GPUコア
Core Ultra 7 265KF
20コア(Pコア×8、Eコア×12)、最大5.5GHz
Core Ultra 5 245K
14コア(Pコア×6、Eコア×8)、最大5.2GHz、4GPUコア
Core Ultra 5 245KF
14コア(Pコア×6、Eコア×8)、最大5.2GHz
「Core Ultra 200Sシリーズ」の性能面で特に注目したいのは、消費電力を大幅に抑えていることだ。
インテルによると、「Core Ultra 200Sシリーズ」の最上位「Core Ultra 9 285K」と、前世代(第14世代)の最上位「Core i9 14900K」を比べると、「Core Ultra 9 285K」は、「Core i9 14900K」が消費電力250Wで発揮する性能を半分の125Wで達成している。結果、システム全体の消費電力は、日常的なアプリ利用時で最大58%、ゲームプレイ時は最大165W削減できるとのことだ。
「Core Ultra 9 285K」は、「Core i9 14900K」と比べておよそ半分の消費電力で同等のパフォーマンスを発揮するとのこと
「Core Ultra 9 285K」は、最新のPコア×8個、Eコア×16の24コア/24スレッド構成を採用し、クロック周波数は最大5.7GHz。「Core i9 14900K」は最大6.0GHzだったので、前世代よりも抑え気味だ。それでも、前世代と比較してシングルスレッド性能は最大6%、マルチスレッド性能は最大14%の高速化を達成しているという。
これは、Pコア/Eコアともアーキテクチャーを見直し、性能が向上していることが大きい。IPC(Instructions Per Cycle:サイクルあたりの命令実行数)はPコアで約9%アップ、Eコアで約32%アップを実現している。 なお、1つのコアで複数のスレッドを実行する「ハイパースレッディング」は廃止されている。
主要ベンチマークの結果。「Core i9 14900K」を基準にして「Ryzen 9 9950X」(赤)、「Core Ultra 9 285K」(青)の結果が示されている。こちらはシングルコアの結果だ
マルチコアの結果
IPCはPコアで約9%、Eコアで約32%向上している
Pコアは2次キャッシュの容量が前世代の2MBから3MBに増加
ゲーミング性能も向上。「Core Ultra 9 285K」と「Core i9 14900K」で14タイトルのパフォーマンスを比較すると、消費電力を抑えながらほぼ同等か上回る結果になったとのこと
「Core Ultra 200Sシリーズ」は、「Coreシリーズ」のデスクトップPC向けとして初めて、AI処理に特化したNPUを搭載しているのも特徴だ。
インテルは2023年12月に、NPUを搭載し、AI PC向けをうたうCPU「Core Ultra」を発表したが、前世代の「Core Ultra シリーズ1」はノートパソコン向けのみで、デスクトップ向けは用意されなかった。「Core Ultra 200Sシリーズ」は満を持してのNPU搭載と言えるだろう。
ただし、NPUの処理能力はそれほど高くない。「Core Ultra 200Sシリーズ」のNPUの性能は13TOPS。GPUは8TOPSで、CPUが15TOPSの最上位「Core Ultra 9 285K」の場合、プロセッサー全体で36TOPSとなる。ノートパソコン向けの「Core Ultra 200Vシリーズ」はNPU単体で48TOPSの性能を持つので、比較すると見劣りする。
これは「Core Ultra 200Sシリーズ」が前世代「Core Ultra シリーズ1」の「NPU 3」を搭載しているため。求める処理性能にもよるが、AI PCとしてフル活用したいのなら外部GPUを追加する必要があると思われる。
NPUには13TOPSの性能を発揮する「NPU 3」を搭載。プロセッサー全体では最大36TOPSに達する
「Core Ultra 200Sシリーズ」は、対応のソケットおよびチップセットが変更されている。ソケットは新型のLGA1851で、チップセットも新しい「Intel 800シリーズ」だ。従来のソケットLGA1700を採用する「Intel 700/600シリーズ」とは互換性がないので注意したい。
「Intel 800シリーズ」は、最大20レーンのPCI Express 5.0バス、最大10基のUSB 3.2ポートを搭載できるほか、標準でThunderbolt 4、Wi-Fi 6E 、Bluetooth 5.3に対応。オプションでThunderbolt 5やWi-Fi 7、Bluetooth 5.4などへのアップデートに対応する。
「Intel 800シリーズ」は最大20レーンのPCI Express 5.0に対応する
標準でThunderbolt 4、Wi-Fi 6E 、Bluetooth 5.3に対応
「Core Ultra 200Sシリーズ」のラインアップは以下のとおり。ハイエンドの「Core Ultra 7 265K」とミドルクラスの「Core Ultra 5 245K」には、統合GPUを搭載しないモデル(型番末尾がKF)も用意される。
「Core Ultra 200Sシリーズ」のラインアップ
Core Ultra 9 285K
24コア(Pコア×8、Eコア×16)、最大5.7GHz、4GPUコア
Core Ultra 7 265K
20コア(Pコア×8、Eコア×12)、最大5.5GHz、4GPUコア
Core Ultra 7 265KF
20コア(Pコア×8、Eコア×12)、最大5.5GHz
Core Ultra 5 245K
14コア(Pコア×6、Eコア×8)、最大5.2GHz、4GPUコア
Core Ultra 5 245KF
14コア(Pコア×6、Eコア×8)、最大5.2GHz