ニュース
Airよりもスリムなボディに12型のRetinaディスプレイを搭載

今回はやりすぎ? USB-Cポートだけのアップル「MacBook」レビュー

新しい「MacBook」は、アップルらしさが凝縮されたノートパソコンだ。高精細な12型の「Retinaディスプレイ」、大胆に割り切った外部インターフェイス、「Core Mプロセッサー」の採用とファンレス構造、ストロークの浅いキーボードと圧力の強さを感知するタッチパッドなど、見どころが多い。その半面、USB-Cポートだけで困らないのか、Core Mプロセッサーでストレスなく使えるのか、興味は尽きない。今回は、動作周波数が1.1GHzのCore Mプロセッサーと256GBのSSDを搭載したモデルを試用して、MacBookの実力に迫っていきたい。

アップルが2015年4月10日に発売したMacBook(ゴールドモデル)。MacBook Airの11インチモデルよりもスリムなボディに、12型のRetinaディスプレイを搭載する。今回は1.1GHzのCore Mプロセッサーと256GBのSSDを搭載するモデルを試用した。価格.com最安価格は160,700円(2015年4月16日時点)

スリムで軽量! iPhoneと同じ3色のカラーを用意

Macのノートパソコンとしては久しぶりの新シリーズとなるMacBook。過去にポリカーボネートボディやアルミボディの同名モデルが存在していたが、デザインも一新され、まったく新しいモデルとして登場した。最初に外箱と内容物をチェックしよう。MacBook自体が非常にコンパクトでスリムなため、外箱も小さくて薄い。今回はゴールドモデルを試したが、外箱に印刷されたMacBookの文字とロゴマークも金色だった。内容物は、ほかのアップル製品と同じくシンプル。電源アダプター、2メートルのUSB-C充電ケーブル、それに簡易マニュアルとロゴマークのシール(ボディカラーと同じ金色)が付属する。

MacBookの外箱と内容物。リンゴマークのシールもボディと同じ金色だった。確認はしていないが、ほかのカラーでもボディと同じ色のシールが付属するのかもしれない

MacBookは12型ワイドの液晶ディスプレイを搭載する。本体サイズは280.5(幅)×196.5(奥行)×3.5〜13.1(高さ)mm、重量は920g。当然だが、「MacBook Air」の13インチモデルや「MacBook Pro 13インチ Retinaディスプレイモデル」よりもコンパクトだ。MacBook Airの11インチモデルと比べると、ベゼル(額縁)が細いので横幅はMacBookのほうが短い。重量もMacBookのほうが160gほど軽い。「iPhone 6 Plus」の重量が172gなので、スマートフォン1台分軽いと言える。四辺のエッジは、MacBook Airのように滑らかにカーブしており、スペック上の数値以上に薄く見える。ただ、見た目がコンパクトでスリムであるがゆえに、持ったときはずしりと手ごたえを感じる。

これだけ薄いと心配なのが強度だが、アルミニウムのボディは持っただけで、その強度が伝わってくる。閉じた状態で、天板の中央を押してもたわむことがなく、ディスプレイの端を持っても、不安になるようなねじれもほとんどない。キーボード側のボトムも頑丈だ。デザインはMacBook Airとよく似ているが、天板のリンゴマークは光らず、「iPad」のような鏡面仕上げとなっている。カラーは、今回試したゴールドのほかに、シルバーとスペースグレイの3色が用意されている。Macでカラーバリエーションが用意されるのは、現行モデルではMacBookだけだ。

今回試したゴールドモデルは、iPhoneのゴールドと同じように落ち着いた金色だ。iPhoneユーザーなら、同じ色のモデルを選びたくなるかもしれない。見た目はスマートで美しい

MacBook Pro 13インチ Retinaディスプレイモデル(Late2013)と重ねると、MacBookの薄さは一目瞭然。横から見ると、MacBook Airと同じくさび形だ

重量は実測で915g。カタログスペックの920gよりも軽かった

重量は実測で915g。カタログスペックの920gよりも軽かった

iPhone/iPadユーザーも満足のRetinaディスプレイを搭載

MacBookは、アップル製品の代名詞である、高精細なRetinaディスプレイを搭載する。解像度は2304×1440(226ppi)。アスペクト比は16:10だ。液晶を高解像度にすると、明るさを維持するために、バックライトの輝度を上げる必要がある。輝度を上げれば消費電力が増えるため、ノートパソコンの場合はバッテリー駆動時間が短くなってしまう。そこでMacBookでは、ピクセル内の開口部を広げて、光の透過率を高めることで、ほかのMacのディスプレイより30%エネルギー効率の高いLEDバックライトを使えるようにしている。要は高精細化と低消費電力化を両立しているのだ。

筆者が普段利用しているMacBook Pro 13インチ Retinaディスプレイモデル(Late 2013)と比べると、明るさは同等だが、コントラストはMacBookのほうがすぐれているように見えた。視野角は178度の広さが確保されており、映り込みも抑えられている。文字はシャープで読みやすく、写真や動画も高画質で楽しめる。ディスプレイ部分は非常に薄いが、表示品質に不満を感じる人はいないはずだ。Retinaディスプレイを見慣れているiPhone/iPadユーザーでも満足できるクオリティに仕上がっている。

バッテリー駆動時間は、公称で最大9時間。JEITAなどの測定方法ではなく、ディスプレイの輝度を75%(最低輝度から12回クリックした状態)に設定した状態で、25の一般的なWebページを閲覧して測定したものだという。実際に、輝度を75%にして「Pages」でテキストの入力、「写真」(新しい写真閲覧・編集アプリ)で写真の閲覧と編集、「Safari」でWebページの閲覧をしてみた。満充電から2時間ほど使ったところ、バッテリーは22%しか減っていなかった。限られた作業なので、一概には言えないが、一般的な使い方なら7、8時間は使えそうだ。

12型のRetinaディスプレイの解像度は2304×1440(226ppi)。表示品質は非常に高く、文字はシャープで読みやすい。写真も動画も高画質で楽しめる

MacBook Pro 13インチ Retinaディスプレイモデル(Late2013)との比較。壁紙の雲のところ(左上)を見ると、MacBookのほうが、コントラストが高く見える

底面もすっきりしている。よく見ると、ボディカラーと同じ金色のネジが使われているのがわかる。MacBook AirやMacBook Proでは黒色の樹脂が使われているヒンジ部分も、天板や底面と同じ金色のアルミニウムが使われている

新しいキーボードとタッチパッドは見た目と感触にだまされる?

3.5〜13.1mmという薄さを実現するために、キーボードも改良している。薄くてもぐらつかないバタフライ構造の新しいキーボードだが、見た目通り、ストロークが非常に浅い。強めにタイピングする人は、底に当る感じがして慣れるのに苦労しそうだ。それでも、価格.comスタッフ数名に試してもらったところ、「見た目以上に打ちやすい」という意見の人がほとんどだった。MacBook AirやMacBook Proと比べると、1つひとつのキーが大きくなっているのもポイントだ。キーとキーの間が狭くなっているが、キーが湾曲しているので、指の収まりがよく、自然にタイピングできる。キーボードの好き嫌いは人それぞれなので、実際に店頭で試してみてもらいたいが、「これでは無理」と思っている人でも、試してみると「意外にイケル」と感じる人が多いのではないだろうか。

バックライトも改良されている。それぞれのキーの下に個別のLEDを設置し、光の漏れを最低限に抑えることで、文字がくっきりと表示されるようになった。エネルギー効率に配慮しながら、見た目の美しさにこだわったバックライトと言える。スピーカーはキーボードの上部にステレオスピーカーを内蔵する。さすがに音楽鑑賞にはヘッドホンやスピーカーがほしいところだが、「YouTube」や「ニコニコ動画」などを見るには問題ないレベルだ。

キーの面積が17%大きくなっているので、キーとキーの間が狭くなっているほか、左右のすき間もほとんどない。フォントや文字の位置(「英数」が左から右に移動)も微妙に変更されている

見た目通り、ストロークは非常に浅い。慣れは必要だが、「使いものにならない」というレベルではない

見た目通り、ストロークは非常に浅い。慣れは必要だが、「使いものにならない」というレベルではない

好みの分かれるところなので、実際に試してから判断するといいだろう

好みの分かれるところなので、実際に試してから判断するといいだろう

1つひとつのキーの下に個別のLEDを設置して、バックライト点灯時にくっきりと文字が表示されるようになった

1つひとつのキーの下に個別のLEDを設置して、バックライト点灯時にくっきりと文字が表示されるようになった

タッチパッドには、感圧センサーを搭載した「感圧タッチトラックパッド」を採用する。従来の「トラックパッド」は、クリックすると物理的に下に沈むが、この感圧タッチトラックパッドは下方向に押し込めない、ただのガラス板だ。それでも、実際に操作すると、クリックしている感覚がはっきりと指に伝わってくる。クリックしたときの音もちゃんとする。同社が4月24日に発売する腕時計型のウェアラブル端末「Apple Watch」に使われている「Taptic Engine」により、疑似的にクリックしている感覚を指に伝えているのだ。これは説明されなければ分からないほどリアルだ。疑似的なものであることは、電源をオフにするとよくわかる。電源をオフにしてトラックパッドをクリックしても、クリックした感覚も音も一切しないのだ。

感圧タッチトラックパッドのメリットは、トラックパッド表面のどこをクリックしても感知してくれることと、強めのクリックを認識できること。メールの文章中の住所を強めにクリックすると、マップでその場所を確認できるなど、いろいろなシーンで活用できる。そのほか、スクロールやスワイプ、ピンチといった、Macではおなじみのマルチタッチジェスチャーもサポートする。

感圧タッチトラックパッドは、ガラス板の下にある4つの感圧センサーがクリックを感知し、Taptic Engineがクリックの感覚をユーザーに伝える仕組み。クリックの感覚と音は疑似的なものではあるが、説明されないと分からないほどリアルだ

メールの本文中の住所を選択して、強くクリックする(実際には少し強めにクリックして押し続ける)と地図が表示される。強めのクリックで、「クイックルック」や「調べる」といった機能が使えるのだ

「システム環境設定」の「トラックパッド」(ポインタとクリック)の画面で、「強いクリックと触覚機能のフィードバック」にチェックを入れると、強めのクリックや加速操作が可能になる

USB-Cポートだけではもちろん不便だが……

発表直後から話題になっているが、MacBookの外部インターフェイスはUSB-Cポートとヘッドホン出力だけだ。データのやりとり、機器との接続、映像出力、電源供給を、このUSB-Cポート1つで賄う。2010年にデビューした初代MacBook Airでは、当時は当たり前だった、LANポートやモデム、光学ドライブをなくし、USBポートも1つだけ、という大胆な割り切りを見せたが、MacBookではさらに思い切った仕様となっているのだ。USB-Cポート(USB Type-C)は、昨年2014年に仕様策定が完了した最新の規格だ。上下関係なく接続できるリバーシブル形状が特徴で、一般的なUSB Type-Aよりもコンパクトなため、本体の薄型化にも貢献している。USBのバージョンは、「USB 3.1 Gen1」とされるが、最大データ転送速度は5GbpsでUSB 3.0に準ずる(USB 3.1の最大データ転送速度はThunderboltと同じ10Gbps)。USB 3.1で新たに策定された給電に関する仕様「USB PD(Power Delivery)」を実装しているため、USB 3.1 Gen1というバージョンになっていると考えられる。USB PDは、5V、12V、20Vの電圧を必要とするデバイスに対応でき、最大100Wの供給が可能だ。

ではUSB-Cポートだけでいいのかというと、対応機器がほとんどない現時点では不便なシーンのほうが多い。USB Type-Aで接続する機器は手元にたくさんある。デジカメから写真を取り込むのもアダプターを使うか、無線LAN搭載のカードを使うか、何かしら一工夫しなければならない。データのバックアップも、「AirMac TimeCapsule」などを使っていればいいが、USB接続の外付けHDDでは難しい。MacBookユーザーは、USBなど使わなくていいという割り切りが必要だ。

USB-Cのコネクター。上下関係なく接続できるリバーシブル形状で、コンパクトなのが特徴だ

USB-Cのコネクター。上下関係なく接続できるリバーシブル形状で、コンパクトなのが特徴だ

左側面にUSB-Cポートを搭載。データのやりとり、機器との接続、映像出力、電源供給をUSB-Cポート1つでこなす

右側面にヘッドホン出力を備える。左にあるのはデュアルマイクだ

右側面にヘッドホン出力を備える。左にあるのはデュアルマイクだ

電源コネクターが、磁石を使った「MagSafe 2」でない点にも注意したい。USB-Cのコネクターは、しっかりと固定されるので、片手で簡単に取り外せない。上下関係なく接続できるとはいえ、ポートにコネクターを挿し込む動作が必要となる。MagSafe 2のように、コネクターをポートに近付けるとピタッと、くっつくのがどれほど便利なのか、MacBookを使って改めて思い知らされた。また、充電中を知らせるLEDもないので、コンセントに電源アダプターを挿し忘れて充電されていないというケースも起こりそうだ。いっぽう、独自のMagSafe 2を廃止したことのメリットは、USB-Cは標準規格なのでサードパーティからモバイルバッテリーやドッキングステーションなど、面白いアクセサリーが登場する可能があることだ。

USB機器を使うには、別売りのアダプターが欠かせない。アップルでは、「USB-C-USBアダプター」(USB)、「USB-C Digital AV Multiportアダプター」(HDMI、USB、USB-C)、「USB-C VGA Multiportアダプター」(アナログRGB、USB、USB-C)の3つのアダプターを用意している。

29W USB-C電源アダプターとUSB-C充電ケーブル。ウォールマウントタイプで、延長ケーブルは同梱されない

29W USB-C電源アダプターとUSB-C充電ケーブル。ウォールマウントタイプで、延長ケーブルは同梱されない

別売りのアダプター。左からUSB-C-USBアダプター(2,200円、アップルストアでの価格、税抜。以下同)、USB-C Digital AV Multiportアダプター(9,500円)、USB-C VGA Multiportアダプター(9,500円)

Core Mプロセッサーでもパフォーマンスに不満なし

MacBookは、昨年9月にインテルが発表した2in1デバイスに適した低消費電力のCore Mプロセッサーを採用する。今回試したモデルは、動作周波数が1.1GHz(最大2.4GHz)のモデルで、メモリーは8GBだ。SSDの容量は256GBで、PCI Express接続の高速なSSDを採用している。気になるパフォーマンスだが、結論から言うとWebページの閲覧、テキストの執筆、音楽再生、写真のチェックなど、通常の使用でもたつきを感じる場面はなかった。普段使っているMacBook Pro 13インチ Retinaディスプレイモデル(Late2013)と比べても大きな差は感じられない。もちろん、まっさらなMacBookと使い込んだMacBook Proであることは差し引いて考える必要はあるが、Core Mプロセッサーだからといって、我慢を強いられることはない。

それでも、「iMovie」や写真での編集作業は、ストレスを感じるほどではないが、少々待たされる場面もあった。また、今回はテストのために、ベンチマークソフトや「GarageBand」など、複数のアプリケーションを同時に起動して使っていると、動作が遅くなるシーンも見られた。動画編集のような負荷の高い作業には向いていないが、日常使いには必要十分な性能と感じた。

ファンを搭載しないファンレス構造なので、動作音は静かだ。気になる発熱は、ベンチマークテストを実行すると、底面やキーボードの上部(マザーボードが配置されている場所)は温かくなる。もちろん不快になるほどではなく、多く人が許容できるレベルだ。

「Disk Speed Test」の結果、ライトが461.7MB/秒、リードが737.9MB/秒とSATAを超える数値を記録した。ちなみに、MacBook Pro 13インチ Retinaディスプレイモデル(Late2013)はライトが647.0MB/秒、リードが654.3MB/秒だった

「CINEBENCH R15」の結果。CPU(Single Core)のスコアは、MacBook Pro 13インチ Retinaディスプレイモデル(Late2013)の半分だった。それでも、実利用ではスコアほどの差を感じることはないだろう

まとめ

2010年に初代MacBook Airが登場したときに、「万人向けではない」と記事で書いた記憶があるが、今となってはMacで一番売れている人気モデルとなっている。モデルチェンジを何度も繰り返し、細かな改良が加えられた結果ではあるが、MacBookも同じように多くの人が手にするMacになっていく可能性は大いにあると感じた。初代MacBook Airが登場したときよりも、現在は多くの機器がワイヤレスでつながるようになり、クラウドサービスも充実している。外部インターフェイスがUSB-Cポートだけなのは、現時点で不便に感じるシーンが多いものの、何とかなる環境が整ってきているのも確かだ。外部インターフェイスのないiPhoneやiPadをメインに使っている人なら、何の抵抗もなくMacBookを手にして、当たり前のように使うのかもしれない。

アップルストアでの価格は148,800円(税抜)と、MacBook Airよりも高い(MacBook Airは、11インチモデルが102,800円から、13インチモデルが112,800円から。いずれも税抜。2015年4月16日時点)。MacBookとMacBook Airのどちらを選ぶかは正直悩ましいところだが、個人的にはRetinaディスプレイを搭載するMacBookを選んだほうが、満足度は高いと感じる。MacBook Airにはない512GBモデルが選べるのも、人によっては魅力に感じるはずだ。

三浦善弘(編集部)

三浦善弘(編集部)

パソコン関連を担当する双子の兄。守備範囲の広さ(浅いけど)が長所。最近、鉄道の魅力にハマりつつあります。

記事で紹介した製品・サービスなどの詳細をチェック
関連記事
価格.comマガジン プレゼントマンデー
パソコン本体のその他のカテゴリー
ページトップへ戻る