古い、暗い、女性ひとりで行くのはちょっと怖い。以前のコインランドリーのイメージはそんな感じ。しかし近年、清潔でおしゃれで安全な店舗の増加により、テレビなどでも頻繁に取り上げられるようになった。このトレンドを受け、日本でのコインランドリー機器の台数シェア約75%(2017年6月時点)をほこるアクアは、2017年12月から、クラウドIoTシステムにより、ユーザー・オーナー双方にとって利便性が高まる「AQUA次世代 Cloud IoT ランドリーシステム」を始動することを発表した。その詳細をレポートする。
2017年11月に発売予定のマルチ端末(左)と新型ランドリー機器(赤)。黄色のコイン式ガス衣類乾燥機は発売済み
アクアによると、コインランドリーの店舗数は2003年度から2015年の13年で約1.4倍に増加。共働き世帯増加による家事時短ニーズや清潔志向の高まり、比較的安価に布団やカーテンなどの大物や大量の洗濯ができることなどにより、コインランドリーのニーズが高まっているためだという。
2003年度に12,726店舗だった日本国内のコインランドリー店舗数は、2015年には約17,500店舗に。2020年には2万店舗になるのではと言われている
24時間営業の安全な店舗が地方・郊外を基点に全国に広がりつつあるという。また、カフェスペースや、なかにはペットサロンやボルダリング設備まで併設された店舗も登場
アクアのランドリー機器を採用したコインランドリーには、すでにスマートフォンによる店舗検索や機器の空き情況の確認ができるようなネットワークシステムを導入している店舗もあるが、「AQUA次世代 Cloud IoT ランドリーシステム」により、ユーザー、オーナー双方にとってより利便性が高まるという。
その第1段階として、IoTの導入に加え、マルチ端末とランドリー機器を刷新し、利便性を強化する。具体的には、コインランドリーで使用できるICカードの発行やチャージ、サービスクーポン発行などを一括管理するマルチ端末を導入する。また、価格設定をリアルタイムにセンター一括で管理できるようにすることで、オーナーの運用をサポート。さらに、洗濯終了後、予定の時間に回収ができない時などの機器ロック延長サービスや、機器エラー発生時のセンター遠隔ロック解除などのサービスも可能になるという。サービスや機能は、適宜追加・刷新される予定だ。
2017年11月発売予定のICカードシステム マルチ端末「HIC-MT10」。1台で機器の運転操作、カードの新規発行、チャージ、ポイント交換、支払い(現金・カード)、現金支払い時のおつり対応、領収書発行、クーポンの発行・使用が可能。希望小売価格は162万円(税別)となる
支払いには専用のICカードを使用することもできる。支払いが便利でお得になるほか、ポイントを貯めることもできるという
「HIC-MT10」1台で、店内のすべての洗濯機を操作できる
タッチパネル式で、コースの選択などもわかりやすい
領収書やクーポンの発行もできる
新型ランドリー機器では、従来のコインランドリーに設置されている機器よりも多様な洗濯・乾燥法に対応可能
大きなコース表示パネルと光るボタンで使いやすい、全自動洗濯乾燥機「HWD-7277GC」。「撥水加工コース」や「強力洗浄コース」、「毛布ふんわりコース」といったオリジナルコースも搭載している。2017年11月発売予定。希望小売価格は270万円(税別)となる
ガス乾燥機「HCD-6147CG」は、乾燥にかけるものの種類によって仕上がりを3種類から選ぶことができる。2017年11月発売予定。希望小売価格は145万円(税別)となる
オーナーは、利用料金などの管理をパソコンで遠隔操作できる。設定変更のたびに店舗におもむく必要がないため、「雨の日」割引や「空いている時間帯」割引などが、よりフレキシブルに行える
すでに実装している店舗検索や機器の空き状況の確認ができるシステムも、引き続き利用可能
なお、アクアは「AQUA次世代 Cloud IoT ランドリーシステム」の第2、第3段階へのバージョンアップも予定している。第2段階は、「IoTの活用による異業種間のシステム連携」。具体的には、異業種間でのポイントや会員サービスなどの共通化により、使う側はよりお得に、それぞれの業種のオーナーは売上の相乗効果が期待できるという。
第3段階は、「クラウド上に蓄積されるビッグデータの活用による新ビジネス創出」。たとえば、エリアごとの天気と稼動データから需要予測を通じた「洗濯予報」をアプリ配信するサービスや、ライフスタイルや季節によって頻繁に使われるコースや洗濯物を判定し、IoTを搭載する機器に配信するなど、ユーザーの暮らしに適したサービスの実現を想定しているという。
第2、第3段階のバージョンアップを経て、ますます便利に進化する予定