ゴミが溜まった紙パックに手を触れずに捨てられる業界初の「パックinカップ」構造を採用した、紙パック式コードレススティック掃除機「RACTIVE Air(ラクティブ エア) EC-KR1」(以下、「EC-KR1」)が登場。コードレススティック掃除機はサイクロン式が主流なため、高性能な紙パック式のモデルは少ないですが、「EC-KR1」は吸引力が落ちにくい構造や低騒音化技術などを採用しており、使い勝手とゴミ取れ性能も上々です。
紙パック式掃除機はサイクロン式に比べ、ゴミが溜まっていっぱいになった紙パックを捨てる際にホコリが舞い散りにくいというメリットがありますが、紙パックを本体から取り出すには、紙パックを直接手で触らなければなりません。また、長期間使い続けると、本体内の紙パック収納部にもホコリなどの汚れが溜まりますが、この部分は取り外せないので、布などを使って拭き取るしかきれいにする方法はありませんでした。このように紙パック式掃除機は、紙パックがいっぱいになったら新しい紙パックに交換するだけと作業自体は簡単なものの、細かく見ていくと清潔性で気になる部分が意外とあります。
スティック型、キャニスター型ともに本体内に紙パックの収納部があるため、紙パックを捨てる際は手で持って取り出します。本体から取り出す際に紙パックの口が閉じないタイプは、中のゴミが出ないように気をつけなければならないことも。さらに、長年使用すると紙パック収納部に写真右のように汚れが溜まります
そんな課題を解消するため、シャープは「パックinカップ」構造を開発。着脱式のダストカップの中に紙パックを装着する構造とし、ダストカップを取り外してボタンを押すだけで中の紙パックが捨てられるようにしたのです。さらに、ダストカップは着脱できるため、丸洗い可能。紙パックを捨てる際に手が汚れる心配がなく、紙パック収納部も清潔に保てます。
モーターなどを搭載した本体部の下にダストカップがあります。本体部とダストカップが黒色なので重そうな印象ですが、紙パック式なのでスティック時の重量は1.3kgと軽量。スティック時のサイズは209(幅)×251(奧行)×957(高さ)mmです。市場想定価格は77,000円前後(税込)で、2023年9月7日発売予定
ダストカップは、ボタンを親指で押しながら手前に引くだけで簡単に取り外せます。ダストカップを本体に戻す際のかみ合わせもよく、操作にストレスがないのも評価できるポイント
ダストカップにある「ゴミ捨て」ボタンを押すと下の動画のように紙パックが出てくるので、紙パックに手を触れずに捨てられます
紙パックを捨てた後のダストカップ。シンプルな構造なので、水洗いできます
新しい紙パックの取り付けも簡単です。ダストカップ内にある黄色いラインに紙パックの台紙を合わせ、セットすればOK。なお、紙パックがセットされていない状態ではふたが閉まらない安心設計となっています
交換用の紙パック「EC-330PN」(集じん容量0.37L)は5枚セットで販売されます。メーカー希望小売価格は1,210円(税込)
紙パック式掃除機はゴミ捨ての回数が少ないこともメリットですが、特別な機構を設けていない場合、紙パックにゴミが溜まっていくと吸引力が低下します。これは紙パックが膨らみ、空気の通り道がふさがれやすくなるのが原因。「EC-KR1」は紙パックにゴミが溜まっていっぱいになった状態でも、紙パックの上下左右に空気が流れる流路を確保し、吸引力の低下を抑制しました。
紙パックにゴミがいっぱい入った状態でも、紙パック内だけでなく、上下左右にも隙間があるので吸引力の低下が抑えられます
流路が確保されていれば吸引力が落ちにくいことを証明する実演が行われました。下の動画の左側が紙パックにゴミが入っていない状態で、中央が紙パックに目一杯ゴミが入った状態。そして、右側は中央と同じくパンパンにゴミが入った紙パックを装着し、さらに紙パックの周囲に空気が流れる流路がない状態です。パイプを取り外した「EC-KR1」の本体に特殊なパーツを装着し、3.8kgのボウリングのボールを吸引力で持ち上げるというテスト方法ですが、左側と中央の動画を比べると、紙パックにゴミがたくさん溜まると吸引力は若干落ちるのか、ボウリングのボールが持ち上がるスピードがダウン。しかし、右側の流路がないものは上までボールが持ち上がらなかったので、「EC-KR1」はパワフルな吸引力が維持できると言えそう。
パワフルな吸引に加え、壁際などの掃除をサポートする「端までブラシ」も搭載。ブラシの前面を何度も壁や家具の際に当てて掃除しなくても、壁などにヘッド側面を沿わして動かすだけで簡単にゴミが吸い取れます。
回転ブラシを片側に寄せ、いっぽうを端までブラシがある構造としたのが「端までブラシ」。なお、ブラシには密度が高く縮れた毛を使っているので髪の毛などが入り込みにくく、毛がらみを防ぎます
ヘッドに記された三角形のマークが、端までブラシが配置された側。このマークがあるほうを壁や家具などに沿わせて動かすと、下の動画のように際のゴミを回転ブラシでかき取りながら吸い取ってくれます
なお、上の動画は「自動」モードで掃除しました。搭載されている運転モードは「標準」「自動」「強」の3種類です。
スティック時の連続使用時間は「標準」モードで約35分、「自動」モードで約24分、「強」モードで約9分
バッテリーは着脱式なので、交換用のバッテリーを購入しておけば掃除できる時間が延ばせます。充電にかかる時間は約4時間
このほか、立った姿勢のままヘッドを外したり、ハンディスタイルに切り替えたりできる「新スグトル構造」や、テーブルなどに立て掛けておける「ちょいかけフック」を搭載。パワフルに吸引するだけでなく、楽に掃除できる工夫が備えられています。
パイプにあるレバーやボタンを引いたり、押したりしながら本体を上げると、ヘッドやパイプが取り外せる「新スグトル構造」は、外したヘッドの接続部やパイプが自立するので、腰をかがめずに着脱できます
2023年度の「RACTIVE Air」シリーズはサイクロン式のパワータイプ「EC-SR9」「EC-PR9」と軽量タイプ「EC-AR9」「EC-FR9」、そして紙パック式の「EC-KR1」の5機種ですが、「EC-FR9」以外の4機種に低騒音化技術を採用しているのも特徴。モデルによって遮音・防振性能は異なりますが、モーター音を抑える「遮音防振構造」やヘッドの駆動音を低減する「ダンピングコントロール」を搭載し、運転音や不快音を低減します。
カバーでモーター音を遮音し、さらに硬度の低い防振材を配置してモーターの振動音を抑制
ヘッドには吸込口と回転ブラシの振動を抑える振動吸収材を配置
シャープのコードレススティック掃除機はこれまでサイクロン式しか発売されていなかったため、紙パック式のモデルで低騒音化技術の有無による運転音の比較を行うことができません。そこで、「EC-KR1」と同クラスの掃除性能を備えるサイクロン式の「EC-AR8」(低騒音化技術非搭載)と比較してみました。下の動画は「EC-KR1」(低騒音化技術搭載)を「強」モードでオンにした状態から始まり、運転をオフにした後に「EC-AR8」(低騒音化技術非搭載)を「強」モードでオンにしていますが、「EC-KR1」のほうが高い音が少ない印象。なお、「EC-KR1」の運転音は64〜約57dBです。
「EC-KR1」(低騒音化技術搭載)と「EC-AR8」(低騒音化技術非搭載)の周波数特性をグラフにしたもの。「EC-KR1」は耳障りに感じる高温などのピーク音を抑えることで、「EC-AR8」に比べ、実感音が約17%低減されたそうです
モノ雑誌のシロモノ家電の編集者として6年間従事した後、価格.comマガジンで同ジャンルを主に担当。アウトドアからオタク系まで意外と幅広くイケちゃいます。