パナソニックのドラム式洗濯乾燥機に新しく登場した「SDシリーズ」は、本体の高さと奥行きを抑えたコンパクトサイズと購入しやすい価格設定が特徴。さらに、ライフスタイルにあわせて選べるように液体洗剤・柔軟剤自動投入&スマホ連携機能を搭載した「NA-SD10UAL」(Uタイプ)と、温水洗浄に対応した「NA-SD10HAL」(Hタイプ)がラインアップされています。「SDシリーズ」の特徴と2つのタイプの違いをまとめました。
共働き世帯や単身世帯の増加などにより、ドラム式洗濯乾燥機の出荷台数は毎年伸長しています(日本電気工業会のデータ参照)。といっても、出荷台数は全体の4割程度。パナソニックの調査によると、ドラム式洗濯乾燥機が欲しいと思っているものの、「本体価格が高い」「サイズが大きくて設置できない」といった理由で購入に踏み切れない人が多いそう。そんな課題を解消するため「SDシリーズ」は、洗濯・脱水容量10kg、乾燥容量5kgながら本体サイズ639(幅)×650(奥行)×1,010(高さ)mm(給水ホース・排水ホース含む)という省スペースにも設置できるコンパクト設計を実現しました。
2機種とも本体サイズは同じ。基本的なデザインは共通です
本体の高さは960mmで、給水ホースの取り付け部を含むと1,010mm。水栓の位置が、設置面から蛇口までの高さが960mm以上1,300mm未満なら干渉せずに設置できます(蛇口のタイプによっては「壁ピタ水栓」への交換が必要になる場合もあります)
同社の8kgタイプの全自動洗濯機「NA-FA8K3」より本体の高さは10cm以上低いので、縦型からの買い替えも安心して検討できそう
ドアを開けた奥行きは1,127mm。写真の奥にあるドラム式洗濯乾燥機は同社の最上位機「LXシリーズ」(洗濯・脱水容量12kg、乾燥容量6kg)と比べると本体の奥行きは72mm、ドアオープン時の奥行きは88mmコンパクトです
本体の高さが低い設計ですが、投入口の位置は、洗濯・脱水容量12kgの「LXシリーズ」とほぼ同じ。楽な姿勢で洗濯物を出し入れできます。操作パネルも天面に配置されているので見やすく、操作しやすいでしょう
本体サイズがコンパクトなので、玄関などの出入口や通路が狭めでも搬入できます。下の動画は「SDシリーズ」を搬入している様子。幅約74cmの出入口も余裕を持って通過できました。
また、重量が65kgと比較的軽めなのもポイント。「SDシリーズ」のようなスクエア型のドラム式洗濯乾燥機は他メーカーにもありますが、特に海外製の場合、振動を抑えるためにコンクリート製の重りを配置していることが多く、本体重量が100kg近くになる製品もあります。「SDシリーズ」はダンパーや液体バランサーを使用し、洗濯槽の振動を低減。運転音(洗濯時/脱水時/乾燥時)は37/41/46dBです(下の動画は洗濯中の様子)。
コンパクトサイズがウリの1つですが、「SDシリーズ」は乾燥方式がヒーター式となる点は理解しておきましょう。空気中の熱を利用するヒートポンプ式と比べると、ヒーターを使って空気を暖めるヒーター式は電気代がかかります。「SDシリーズ」(洗濯・脱水容量10kg/乾燥容量5kg)の定格洗濯乾燥時の消費電力量は1,980Whなので、1日1回洗濯〜乾燥運転したときの1か月(31日)の電気代は1,900円くらい。ヒートポンプ式の「LXシリーズ」(洗濯・脱水容量12kg/乾燥容量6kg、消費電力量890Wh)の場合、約850円なので、電気代は倍以上差が出ます。
ヒートポンプ式は構造上、本体サイズが大きくなります。また、高級モデルに採用されていることが多いので、「SDシリーズ」で目指した導入しやすいサイズと価格を実現するにはヒーター式となるのでしょう
※パナソニックのドラム式洗濯乾燥機はヒートポンプユニットが本体上部に配置されています
また、ヒーター式は排気方法で「排気タイプ」と「水冷除湿タイプ」に分類されます。「SDシリーズ」は、洗濯物を乾かした湿った温風を機外へ排気する「排気タイプ」。洗濯機を置いている部屋の温度と湿度が上がるので換気が必要です。
ちなみに、一般的なヒーター式は80度くらいの高温で乾かしますが、パナソニックは室温+約15度の低温&大風量で乾かす「低温風パワフル乾燥」を採用しているため、衣類の縮みが少なく、タオルもふんわり仕上がります。低めの温度で乾かすので室温の上昇は抑えられますが、湿気は出るのでやはり換気は必要。
ここからは、Uタイプの「NA-SD10UAL」とHタイプの「NA-SD10HAL」の違いを見てきましょう。
液体洗剤・柔軟剤自動投入機能とIoT機能を搭載しているのが特徴。スマホアプリを使って外出先から洗濯を開始したり、状況を確認したりできるほか、アプリ専用のコースも使用できます。スマホで効率よく洗濯したい人に最適。
自動投入で使用する液体洗剤用タンク(容量約920mL)と柔軟剤用タンク(容量約650mL)を本体天面に配置
自動投入機能を搭載していますが、液体洗剤のみの仕様。その分、液体洗剤を入れるタンクの容量が大きいので、特大サイズの洗剤もすべて入れきることができます。
柔軟剤は手動で入れるスタイル。液体洗剤自動投入のタンクは約1,780mLと大容量です
そして、温水洗浄に対応しているのもポイント。洗剤を泡立ててから投入する洗浄方法はUタイプと同じですが、温水専用ヒーターで加熱して温めるコースを選べば、洗剤中の酵素が活性化し、皮脂汚れや黄ばみ、ニオイ、菌なども落とす洗浄力を発揮します。毛布が温水で洗えるのもメリット。温水のスチームを使って衣類のシワ取りや消臭ができるコースも搭載しています。
約40度に温めた高濃度洗剤液でつけおき洗いした綿100%のシャツ。約3時間で皮脂汚れによる黄ばみが除去されました
Uタイプ、Hタイプともに、ドアパッキンの自動お掃除機能や、すすぎ工程できれいな水を使って洗濯槽(外槽)を洗い流し、洗濯終了後にヒーター乾燥で黒カビの原因となる水分を蒸発させる「自動槽洗浄」「自動槽乾燥」機能を搭載していますが、温水洗浄ができるHタイプは手動で行う洗濯槽のお手入れでも温水を使用可能。約60度の温水のスチームを発生させ、黒カビの発育を抑制する「約60 ℃槽カビクリーンコース」や、洗浄液を温めて槽を洗浄する「約30℃槽洗浄コース」が使えるのもHタイプの強みです。
「SDシリーズ」の公式オンラインストア価格は2機種とも197,010円(税込)。パナソニックのヒートポンプ式のドラム式洗濯乾燥機は安いもので238,590円(税込)、高いものだと348,480円(税込)です。価格が安いモデルはIoT機能がないだけでなく、液体洗剤自動投入機能も非搭載なので、ヒーター式とはいえ、搭載されている機能や性能、サイズ感を考慮すると「SDシリーズ」の価格設定は魅力的と言えるでしょう。
また、ヒーター式には「Cuble(キューブル)」というラインアップもあります。最新モデル「NA-VG2900L」の場合、洗濯・乾燥容量、消費電力量、使用水量は「SDシリーズ」と同じ。本体サイズや運転音などに若干の違いはありますが、主なスペックは大きく異なりません。ただし、「Cuble」はデザインにこだわったモデルということもあり、公式オンラインストア価格は358,001円(税込)と高価。IoTや液体洗剤・柔軟剤自動投入、温水コースなど、「SDシリーズ」のUタイプとHタイプの機能をあわせ持っています。
「Cuble NA-VG2900L」。「SDシリーズ」には搭載されていない、「ナノイーX」を使って衣類の消臭や花粉抑制、除菌・ウイルス抑制が期待できるコースや、黒カビの発生を抑える洗濯槽のお手入れ機能を備えています