筆者は……というか、40歳を過ぎたすべての人類は、基本的にずっと体調不良です。何をしていても常にどこかしらダルい。そんなダルさをちょっとでもやわらげたい、ということで、我ら中高年はさまざまなマッサージャーやボディケア機器に手を出します。
なんですが、市販の製品は微妙に“弱い”と感じること、ありませんか? 法的な規制とかいろいろあるんでしょうが、それにしたって「もうちょっとガツッと来いよ、オラァ!」と感じることもしばしば。
そんな現状を打破するべく2024年に登場したのが、ドウシシャの「ゴリラのハイパワー」シリーズ。なんと握力500kg超えというゴリラの腕力で、「ダルい部位ごと握り潰す!」というイメージのボディケア機器です。
ドウシシャのゴリラ系超強力ボディケア「ゴリラのハイパワー」シリーズ
その剛力、まさにゴリラのごとし。「もうちょっとガツッと来いよ、オラァ!」と叫んでいた人も、たまらず「スンマセンッシタ……」(震え声)と泣きを入れるレベルなんです。今回はその超強力ボディケアシリーズ全6種を試して、どれぐらい泣けるかを確認してみました。
まず紹介したいのは、「ゴリラのハイパワー」シリーズ第1号として発売された、ふくらはぎケア「ゴリラのひとつかみ」です。ふくらはぎと言えば、足に流れた血液を心臓に押し戻すポンプの役割もあって、“第二の心臓”なんて呼び方もされます。ですが、そのくせ、少し使いすぎるとすぐガチガチに凝り固まってダルさを感じやすい部位でもあります。ここをなんとかしてやりたい!
ふくらはぎ用ボディケア「ゴリラのひとつかみ」
電源は付属のピンプラグで接続
裏面のタグどおりに位置を合わせ、シート状の本体をふくらはぎへ巻き付けていきます
まずはシート状の「ひとつかみ」をふくらはぎに巻き付け、面ファスナーで固定します。ここでゆるみのないよう、ギューッと締めながら固定するのが、ゴリラパワーをフルに感じるためのコツ。
電源を入れると、内側のエアバッグがポンプによって膨張/収縮を繰り返し、筋肉をギューッと圧迫刺激。それによって「痛気持ちイイ」感覚が得られるという仕組みです。
すき間なくしっかり巻いたら、ゴリラ握力にも負けない強力面ファスナーで固定
電源オンの後は、強さ調整を「+」「−」ボタンで行います。あまり無理はしないこと
パワーは3段階で調節できますが、感覚的には「弱」(青点灯)=他社のエアマッサージャーのMAXぐらい。なので、最初はそのあたりから様子を見つつ、が正解でしょう。とはいえ、ゴリッゴリのガッチガチに凝り倒した我がふくらはぎは、ちょっとやそっとの圧ではビクともしないんですわ。
そのゴリラの握力500kg(あくまでイメージ)とやらはどの程度のもんか、「強」(赤点灯など)で試してやろうじゃないすか!
大げさじゃなしに痛い! ゴリラの握力ヤバい!
「約束されていた負け」感は拭えませんが、はい、負けです。「ゴリラに鷲づかみされてグギュウウウウウ! と握り潰されたらこんな感じなのかー」と納得してしまうレベルのとんでもない圧で、ふくらはぎを執拗に締め付けてきます。
エアバッグが膨らんで強烈な圧迫、プシューッとエアが抜けて解放、が交互に繰り返されるんですが、その圧がとんでもない分、エアが抜けたときの「あっ、今許された!」という解放感もまたひとしお。
平たかったシートにめいっぱいまでエアが入ると、さながらゴリラの力こぶのようにパンパンに膨らみます。そりゃ痛いわ
本当に、冗談抜きで、初手は「弱」から試すことをおすすめします。「強」(赤点灯)はヤバい。本気でふくらはぎ千切れそう。
ただ、うまく圧を自分に合うように調整できれば、この「ギュウウウ!」という強力な締め付けが、なんとも痛気持ちイイんです。実際、そのパワーだけはあって、オートタイマー10分で終わった後は、めちゃくちゃ足がスッキリしました。この痛さと気持ちよさ、間違いなく現時点のボディケア機器としてはトップクラスなんじゃないでしょうか。
しかし、このゴリラ握力でも物足りない、という“剛”の者も世の中にはおられるようで……。「長時間の立ち仕事続きでふくらはぎがもはや鋼!」とか、「ふくらはぎが溜まった乳酸で破裂しそう!」みたいな方々は、さらに強い力を求めてしまうわけです。
そんなつらく悲しいふくらはぎの持ち主への福音となりそうなのが、「ひとつかみ」のパワーアップ版として登場した「スーパーゴリラのひとつかみ」です。単なるゴリラでも強いのに、スーパーゴリラと来ました。強さの指標がシンプルです。
ブラックバージョンで見た目も強そうな「スーパーゴリラのひとつかみ」
セリース袋に穏やかなゴリラが描かれたノーマル版(写真左)と、怒り猛ったゴリラが目立つ紙箱仕様の「スーパー」版(写真右)
パッケージのゴリラが頭髪を逆立ててスーパー化しているので、「ドラゴンボール」世代には「オラにはわかんぞ、強ぇなコイツ」と納得できるでしょう。あと、メーカーサイトを見ると「この商品は危険すぎるので、取り扱い店舗を限定しています」「とにかく痛いのであざができやすい人や骨が弱いと思われる人はご使用しないでください」といった文言が並び、普通に震えます。
自分も50歳を過ぎたおっさんですから、そうそうのことで泣きが入ることはないつもりでいたんですが。まさか自分の口から「ギブ! もうギブ!」という降参ワードがスルッと出てくるとは思いませんでした。確かに強い! キツい!!
ふくらはぎ圧迫によるあまりの痛みで、一瞬呼吸ができなくなっています
このキツさの秘密は、圧迫する時間にあります。ポンプはノーマルの「ひとつかみ」と同じ性能なんですが、エアバッグで圧迫する時間を長めに設定することで、よりハードに締め付けられている感覚を受けるのだとか。
ノーマル版と「スーパー」を同時に巻くと、確かに圧迫時間が違いました。あと、痛みが2倍になります
ぶっちゃけ、ノーマル版「ひとつかみ」で必要十分と言うか、あれでダメだった超硬ふくらはぎの持ち主だけが挑戦の権利を得られるタイプの機器だと思います。というか、普通は従来版で絶対に事足りるんですって。
ふくらはぎに真剣に危機感を持っている人だけ、ちゃんとした覚悟でトライしてください。ただその分、事後のスッキリ感もかなりのものが得られるはず。
よくテレビのバラエティ番組の罰ゲームとして足ツボが登場しますが、要するに足ツボは痛いボディケアの代表格的な扱いをされているわけです。で、なんでよりにもよってそこをゴリラ化する!? と言いたくなるほどわかりやすく痛そうなのが、足裏ケア「ゴリラのひとつき」です。
長時間の立ち仕事などで疲労が溜まった足裏をケアする「ゴリラのひとつき」
こちらは足底から足背にかけてぐるりと巻き付ける方式なんですが、広げた状態でちょっと不吉なものを見つけました。明らかに足の裏を突く目的の、尖ったパーツがひとつ……。この「ひとつきパーツ」が、エアバッグの圧によって足の裏をピンポイントでゴリゴリッと刺激してくる、というのが一連の流れのようです。
面ファスナーを開くと、何かのパーツが……
パーツの裏には面ファスナーが付いており、配置する場所を割と自由に調整可能。ネットでツボ図なんかを検索しつつ配置するといいでしょう。
さらに「ひとつきパーツ」の上部を回すと、ネジによって高さもちょっと変えられます。ここを高くしてやるとよりゴリッと刺さるので、より強い刺激がお好みならどうぞ。僕は正直やめとけと思います。
面ファスナーで固定位置を変更できる「ひとつきパーツ」。押し込みたいツボの位置に合わせて貼りましょう
ピンポイントに刺さる刺激は、「ひとつかみ」の圧迫刺激とはまた別ものです。「弱」でも痛くて「ギャー」と声が出るのは似たようなもんですけど。エアバッグが膨らむのにともなって、「ひとつきパーツ」が足の裏にググググッと押し込まれてくる感覚は、まさに足ツボのあの感じ。しかも押し込んでくるのは、力加減を知らないゴリラです。どうです? 震えるでしょう。
筆者は何度か足ツボマッサージを受けたことがありますが、正直ゴリラのほうがキツい……
「足ツボ大好き!」「痛いほどいい!」というタイプの人なら、これはハマる可能性が高いです。あと、「ひとつきパーツ」を外した状態で装着すると、「足の裏をマイルドにギュッともまれている」感があって、これはこれで「よしっ」て感じ。歩き疲れて土踏まずあたりがダルいときなんかは、なかなかに気持ちよかったです。
なんとおそろしいことに、足裏ケアにもパワーアップ版が存在します。その名も「スーパーゴリラのひとつき」。まさかとは思いますが、「もっと足の裏が痛いのを作って」というユーザーの要望でもあったんでしょうか。もっと自分の足を大切にしてほしい。
「スーパーゴリラのひとつき」。エアバッグやポンプの性能はノーマル版と同じなんですが……
スーパーになって何が変わったかと言うと、例の「ひとつきパーツ」が「スーパーひとつきパーツ」になったということ。どれぐらいスーパーかと言うと、これぐらいスーパー(写真下)。
尖り具合が明らかに違う、恐怖の「スーパーひとつきパーツ」(赤)。より深く強く刺さります……
「今までのひとつきパーツ、やさしさでできてたんやなぁ……」と思うぐらいのスーパーっぷりです。もはや「禍々(まがまが)しい」と表現するべき鋭さ。しかも当然のように、回せば高さが調整できます。
これがあのハイパワーエア圧で足の裏にググググッと来るのか、と想像しただけで、もうっ。
あまりの痛みに仰け反って顔が写らなかったので、ワイプでお送りします。唇を噛みしめないと耐えられない痛み
刺さります。体験中は、ただもう「グワオ」とか「ウヒェ」とか「フギィ」とか、意味をなさない叫びが喉から飛び出すだけでした。足ツボが好きという方でも、やはり「スーパー」は人を選びそうな気がします。
足の次は手だ、ということで、手のケア「ゴリラの握手」もいきましょう。足の裏と同様に手のひらもツボの多い個所なので、押し甲斐がある部位と言えます。何より製品名に「握手」というピースフルなワードが入っていて、これまでになくホッコリします。
手のひらをケアする「ゴリラの握手」。 ハンドリフレとかやさしいのを想像すると、当然ながら泣きを見ます
そのホッコリ気分も、装着するために本体をめくって内側を見るまでです。これまたかなりトンガリ感のある「握手パーツ」が、なんと2個もセットされています。突きたいツボの位置に合わせて、これまで同様に面ファスナーで貼り付けて配置しましょう。
なかなかに尖った「握手パーツ」が2個も! サービス満点だなぁ(棒)
刺激したいツボの位置に合わせてパーツをセットしたら、手のひらに巻き付けていきます
あとは親指とそのほかの指に分けてスリットに通して装着し、本体の面ファスナーでギュッと締めて固定。左手・右手はそれぞれ親指スリットの位置に合わせて本体の向きを変えることで対応可能です。
電源を入れると、全体に配置されたエアバッグが膨らむことで圧迫、握手パーツがツボにゴリッと入って痛気持ちイイ、というのはこれまでと同様です。
痛い! でも割と素直に気持ちいい! これ好きかも
僕は普段から文房具のレビューを多くやっている=ペンを長時間握ることもあって、手が凝りがちだからでしょうか。今までのゴリラシリーズの中では、これが最も素直に気持ちよさを感じられました。いや、痛いのは痛いんですが。
手のひら全体にグイーッとくる圧迫&ツボにくる握手パーツの刺激が、「弱」〜「中」でちょうどいいぐらい。疲れがひどいときは最強の赤(「強」)でもいいかな、と思ってしまいました。
ただ、終わった後はこんな感じで穴が開きますけども
ただ、「ゴリラのハイパワー」シリーズの恐ろしさは、こんなところでは終わりません。説明書によると、刺激が足りない方向けに、2個の握手パーツを手のひら側と手の甲側にそれぞれ配置して、ポイントを上下からはさむ「はさみ突き」を推奨しているんです。これは当然ながら「ギャー」でした。
これでもなお刺激が足りないなら、上下から刺さってくるスタイルの「はさみ突き」をどうぞ
さて最後に紹介するのは、「ゴリラのハイパワー」シリーズの最新版。ふくらはぎ&太ももケア「ゴリラのふたつかみ」。一般店頭発売は2025年7月ですが、一部量販店で先行発売中です。こちらはふくらはぎと太ももに巻ける2WAY製品です(パッケージに入っているのは1台だけなので、同時にはケアできません)。
実のところ、ふくらはぎと同様、太ももの筋肉も凝っていることが多くて。太ももの側面を指で押すと、痛みでうめいちゃう人も結構いるんじゃないでしょうか。
見た目は「ひとつかみ」を大型化した感じの「ゴリラのふたつかみ」
リリース情報を見たときは、ふくらはぎ用の「ひとつかみ」を大型化して太ももにまで巻けるようにしただけかな? と思っていたんですが、実物を手にして内側を見ると、このところのシリーズでおなじみになってきた怖いパーツ「ぽこぽこパーツ」がトゲトゲと2つ並んでいるのがわかります。
さらにエアバッグも大型化&大量化して、巻いた全周から「グギュウウウウ!」と圧迫できるようになったようです。
愉快な名前に反して、なんとも邪悪な雰囲気を漂わせる「ぽこぽこパーツ」×2
体感としては、やはり方向性が同じ「ゴリラのひとつかみ」と似た圧迫刺激なんですが、ふくらはぎと違って全周から圧がかかるのは、よりていねいに絞ってくれてるな、という印象。
僕は歩く量が増えると太ももに強く張りが出るので、この全周からの「グギュウウウウ!」はもちろん痛いんですが、気持ちよさもかなりハッキリと感じられます。ぶっちゃけ、今回のレビューで初めて、最強の赤(「強」)でジャストの痛気持ちよさが得られました。
また、トゲ状の「ぽこぽこパーツ」が必要以上に鋭すぎず、広い面積にほどよく強い圧をかけてくれるのがとてもいい。
すさまじい圧力による締め付けと「ぽこぽこパーツ」の刺激がキツいけど、気持ちイイ!
ふくらはぎに巻いたときも、やはり全周圧迫がいいのか、こわばった筋肉をより確実に残虐に握り潰してくれる印象です。あと、ふくらはぎのときは刺激が強すぎるので、「ぽこぽこパーツ」は外しておいたほうがいいかも。
ともあれ個人的には、これ1台あるとだいぶ助かる気がします。いや、できれば2台で「ふくらはぎ・太もも同時握り」か「両太ももW握り」がベストか。
大型エアバッグで、ふくらはぎに加えてスネ側までまとめて「グギュウウウ!」と絞ります
この「ゴリラ」シリーズ、誰におすすめしたいかと言うと、そりゃもう冒頭で述べたとおり、従来製品では刺激が物足りないという方々しかありません。
一度試してみれば「自分のカッチカチのゴリッゴリにこわばった筋肉には、そこらに転がっている程度のマシンじゃ太刀打ちできないぜ?」という妙な自信も、確実に握り潰してくれるはず。それだけのパワーはあります。
逆にそこまで強い刺激を欲していないなら、うかつに手を出さないほうが賢明だと思います。命は大事にしたほうがいい。選ぶ際には、もちろん自分の欲する部位用の製品を買うのが正解なんですが……、個人的には、使用範囲が広く、刺激もがっつりの「ふたつかみ」がいいかも。