「血圧計」というと、“お年寄りが使うもの”“渋いデザイン”というイメージが強いが、オムロン ヘルスケアが2017年2月16日に発表した上腕式血圧計「HEM-7600T」(以下、HEM-7600T)は、そんなイメージを覆すスタイリッシュなデザインが新鮮。本体とカフ(腕帯)が一体化したチューブレスの仕様は見た目がよいだけではなく、いつでもどこでも手軽に使用できるのが特徴だ。3月1日発売予定で、市場想定価格は19,800円前後となる。
「HEM-7600T」にはBluetooth(Bluetooth Low Energy)通信技術が搭載されているため、測定データをデバイスに転送し、専用アプリで管理することもできる
オムロン ヘルスケアは1973年より血圧計を販売しており、その累計販売台数は、2016年には2億台に到達している。同社によると、現在、日本人のおよそ3分の1が高血圧症。高血圧症は日本人の死因2位である心筋梗塞などの「心疾患」、4位の脳梗塞や脳出血といった「脳血管疾患」の原因としてもあげられ、大きな社会課題となっているという。
また、自宅で血圧を測っている人の多くが朝晩の1日2回という頻度で血圧を測っているが、血圧値は1日に約10万回、1拍ごとに変動しているため、1日数回の測定では捕えることのできない変動やリスクがあると考えられるという。そんな現状をふまえて開発されたのが、今回発表された「HEM-7600T」。測定精度の高さはもちろんだが、手軽に血圧を測定できる「HEM-7600T」を使うことで、日常的に血圧を測定する頻度を上げてほしいという。
血圧の測定頻度を上げれば、これまで見えていなかった本当の血圧状態を「見える化」できるかもしれない
「HEM-7600T」は、本体をひじ上に装着して測定ボタンを押すだけで、スムーズに測定ができる上腕式血圧計だ。一般的な上腕式血圧計は本体とカフがチューブでつながっているが、「HEM-7600T」は、ポンプやセンサーなどの部品を小型化して本体とカフを一体化させることで、チューブレスを実現した。対象腕周は22〜42 cmで、測定範囲は、血圧が40〜260mmHg 、脈拍数が40〜180拍/分となる。
使用しない時は立てて置くことができるのでじゃまにならず、電池式なので、血圧が気になった時にいつでもどこでも測定可能。旅行先などにも持っていけるよう、専用のケースが付属する。血圧計然としていない、このようなデザインなら、「血圧がちょっと高めだけれど、まぁ大丈夫だろう」と過信してしまいがちな40〜50代にも受け入れられやすいという期待もあるという。ちなみに、「HEM-7600T」はそのデザイン性の高さから、ドイツの「iFデザイン賞2017」、日本では2016年度の「グッドデザイン賞」を受賞している。
本体サイズは、 約120(幅)×約85(高さ)×約20(奥行き)mm(カフ含まず)で、重量は約240g(電池含まず)。カラーは、ホワイトとブラックの2色が用意される
電源には、単4形アルカリ乾電池4個を使用
使いやすさにもこだわっている。一般的な上腕式血圧計では、腕に圧力を与える空気袋がカフの一部分にしか内蔵されていないため、巻く時の位置や方向に注意を払う必要があったのに対し、「HEM-7600T」はカフ全体に空気袋を内蔵している。これによって、腕に巻いた時に正しい位置から多少ずれてしまっても正確な測定が可能に。装着の向きを気にせず、左右どちらの腕でも測定することができるという。
腕に巻きやすいような形状になっているカフ。1人でも簡単に巻きつけられる
一般的な血圧計同様、マジックテープでカフを固定する
測定を開始する時は、本体右下の「START/STOP」ボタンを押すだけ。従来は電源を入れてから測定開始まで3〜4秒かかっていたが、「HEM-7600T」では約1.5秒で測定が始まるので、よりスピーディーに計測が可能だ。表示部には測定結果の表示のほか、測定中に体が動いたり、カフの巻き方がゆるかったりした場合に、「再測定をおすすめします」といったメッセージやその理由も表示されるため、誰でも正しく使用することができる。
表示部には視認性の高い有機ELディスプレイを採用している
アイコンだけでなく、文字でエラー内容を教えてくれるのでわかりやすい
筆者も試しに「HEM-7600T」で血圧を測ってみたところ、初めてでも迷うことなく操作できた。有機ELディスプレイは、表示に対して斜めの位置からでも数字や文字がはっきり見やすいのもグッドだ。
素肌に巻きつけるのが難しい場合も、薄でのニットなどであれば洋服の上からでも使用可能
「HEM-7600T」にはBluetooth通信機能も搭載されており、測定データを専用アプリ「OMRON connect」(iPhone/Android対応)に転送して確認・管理できる。スマートフォンの操作に慣れていない人でもスムーズに機器登録ができるよう、ペアリング操作をシンプルなフローにしているのに加え、本体には100回分の測定結果を記録しておけるメモリー機能も搭載。データを保管して数日おきにまとめて転送することも可能なので、測定のたびにアプリにつなげるのをストレスに感じる心配はない。
測定結果は大きな文字で見やすく、測定データはグラフ化して日々の変化を確認することもできる